42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:33:03.36 ID:TlYrpylh0
――VIP高校への通学路――

高校生になったブーンにとって初めての、冬という季節。
すっかり冷え込むようになった毎朝の登校でも、彼はデレと一緒であった。

ζ(゚ー゚*ζ「ねぇねぇブーン」

( ^ω^)「なんだお?」

ζ(゚ー゚*ζ「明日から冬休みだし、肝試し行こうよ」

( ^ω^)「は?」





( ^ω^)ブーンは気づくようです






43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:35:41.25 ID:TlYrpylh0
(;^ω^)「いやいや、肝試しってなんだお?」

ζ(゚ー゚*ζ「何って、肝試しだって」

(;^ω^)「この季節にやるもんじゃないお?」

ζ(゚ー゚*ζ「何言ってんのよ、この寒さが不安を煽るんじゃない」

(;^ω^)「そんな趣味あったのかお?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん」

(;^ω^)「ほぇー」

朝という時間に唐突に告げられた事実に、困惑するブーン。
まさか女の子の趣味が肝試しなどというオカルト染みたものとは予測がつかなかった。

( ^ω^)「で、どこに誰と行くんだお?」

ζ(゚ー゚*ζ「あたしと二人で旧VIP病院」

(;^ω^)「二人で肝試しすんのかお」

ζ(゚ー゚*ζ「あったり前じゃん、何人もいたら怖さ半減よ。
明日の午後四時に校門前で待ち合わせね」

(;^ω^)「まぁ、そういうことで」

見えてきた校門を見据えるブーン。
とんでもないことになりそうだな、と思うも、好奇心も少なからず煽られていた。
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:38:06.17 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚*ζ「用意は懐中電灯とお菓子と携帯と方位磁石ね」

(;^ω^)「方位磁石なんてどうするんだお?」

ζ(゚ー゚*ζ「バカ、道に迷うかもしれないじゃない」

(;^ω^)「そんなわけねーお……」

ブーンたちが住むVIP町は、四方を山で囲まれた土地だ。
それ故に、山の中腹に建てられた旧VIP病院は、VIP高校からでも見える位置に存在していた。

ζ(゚ー゚*ζ「もう、ロマンがないなぁ」

(;^ω^)「デレがロマンに溢れすぎているだけだお」

と言い、階段に進もうとした。

ζ(゚ー゚*ζ「あ、じゃあまたね」

( ^ω^)「ああ、デレはそっちだったおね」

ζ(゚ー゚*ζ「明日忘れないでね」

( ^ω^)「わかってるおー」

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:38:23.82 ID:TlYrpylh0
 生返事をし、階段を上ろうとすると、

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ポラロイドカメラも忘れないでね!」

と言われ、

(;^ω^)「いまどきポラロイドカメラなんか家にねーお……」

買いに行かなきゃ怒るかも知れない、と頭を抱えた。

( ^ω^)(必要なのは懐中電灯とお菓子と携帯と方磁石とポラロイドカメラ……だおね)

反芻をしながら記憶の整理を行う。
やがて着いた教室の扉を開くと同時に、その作業を終了した。


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:40:42.04 ID:TlYrpylh0
( ^ω^)「おはようだおー」

(´・ω・`)「おっ、ブーンおはよー」

( ^ω^)「ショボン早いおね」

(´・ω・`)「うん。ちょっと用事があってね」

タレ眉でつぶらな瞳がキュートな彼は、ショボン。
男子には人気のある彼だが、その容姿故に、女子からの人気は壊滅的に無い。

( ^ω^)「ちょっと聞いてくれお。
さっきデレに肝試しに行こうって約束付けられたお」

だから、という訳ではなく、単に話題として出したつもりのブーン。

(´゚ω゚`)「おい、何人で何時頃どこへ行くんだ?」

しかし、ショボンのスイッチが入ったようだ。
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:43:03.22 ID:TlYrpylh0
(;^ω^)「……え?」

(´゚ω゚`)「てめーなんもわかってねーな。
夏ならまだしも、この寒い冬の季節に肝試しをする意味がよ」

(;^ω^)「ど、どういうことだお!?」

(´゚ω゚`)「へっ……教えて欲しけりゃ情報を寄越しな」

(;^ω^)「ぐっ……」

(´゚ω゚`)「さっさとしなッ!!」

「「えーなにあれキモー」」

教室の様々なところから、主に女の子の声。

(;^ω^)(こいつやりすぎだお……)

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:45:50.78 ID:TlYrpylh0
(´゚ω゚`)「おらどうしたよ内藤ッ!?」

「「ええ、内藤君もあんなキャラなのー? 信じらんなーい」」

(;^ω^)「デレと二人で四時から旧VIP病院だお」

これ以上黙るのはショボンを加速させることにしかならない。
そう判断したブーンは、正直に答えた。

(;´゚ω゚`)「なッ!? どこだって!?」

(;^ω^)「? 旧VIP病院だお?」

ショボンの様子が急に変化したことに疑問を抱くブーン。

(´・ω・`)「無謀すぎるね」

(;^ω^)「え?」

(´・ω・`)「命失くすよ?」

なんせ、と言い、語り始める。

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:48:08.24 ID:TlYrpylh0
 旧VIP病院が今でもその姿を山の中腹に聳え立たせる理由。
そして今のVIP病院が作られた理由。
さらに、過去に旧VIP病院に肝試しに行った者の成れの果て。

(´・ω・`)「まぁ、精々用心するんだね」

じゃあ、関わりたくないから。
と、その日はそれっきりブーンとショボンが会話することは無かった。

( ^ω^)「やっべ、怖すぎワロタ」

行くと約束したからには行かないと。
それはわかっているし、幽霊や祟りの類など実在しない、というのがブーンの自論である。
しかし、恐怖心は煽られてしまった。
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:50:15.13 ID:TlYrpylh0
――VIP高校 校門前――

(;^ω^)「お」

三時五十分になろうか、という時間だ。
校門前で冬物の厚着のデレが立っていた。

ζ(゚ー゚*ζ「おーいブーン!」

(;^ω^)「おっおっ、早いおね」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、あったり前じゃん」

(;^ω^)「で」

ζ(゚ー゚*ζ「ん?」

(;^ω^)「本当に旧VIP病院に行くのかお?」

ζ(゚−゚*ζ「……行かないの?」

悲しそうな表情になるデレ。
慌てて取り繕うブーン。

(;^ω^)「いやその、もっと楽しい所に行こうお?」

ζ(゚ー゚*ζ「やーだっ」

( ^ω^)「くそぉ……」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:52:11.71 ID:TlYrpylh0
 ブーンの気持ちとは裏腹に、結局向かうこととなった。
徒歩で肩を並べ、二人は山へ、そして旧VIP病院へと歩を進める。
デレの背中に背負われた、異様なまでに多い荷物が音を立てる。

ζ(゚ー゚*ζ「でね……」

( ^ω^)「おっおっ……」

ζ(゚ー゚*ζ「そうなのよー……」

気温は低く、流れる風は冷たい。
それでも、二人の会話はいつも以上に弾んでいた。
そんな中、ブーンも頭の片隅に追いやってしまった事柄があった。

ショボンが去り際に言った、
"VIP病院には魔物が棲んでいる"
という言葉だ。

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:55:00.41 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚*ζ「うわーこわーい」

発する言葉とは裏腹に、表情と声色は興奮状態の、デレ。
日が沈み、暗闇の中、ブーンとデレは旧VIP病院に辿りついていた。

(;^ω^)「……」

この旧VIP病院を近くで見たのは初めてだったブーン。
彼は思わず閉口した。

荘厳なる佇まいの、複数の病棟に。
ツタが張り巡らされた、白色が染まり黒ずんだ外壁に。
窓ガラスは割れ、風が吹き抜けていく内部に。

ζ(゚ー゚*ζ「よっしゃ! 早速入ろ!」

(;^ω^)「よっしゃって……! 行っちゃったお……」

まさか引き返すわけにもいかず、歩み出す。
敷地の周囲を囲む金網の、何者かによって破られた部分を通り、中へ入る。
慌ててデレを追いかけた為か、彼は気づかなかった、

切断された金網が、つい最近切られたような状態にあることに――。

(´゚  ゚`)「やっと……きたか……ククク」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:56:56.98 ID:TlYrpylh0
――旧VIP病院――

ζ(゚ー゚;ζ「うわー、すっごいねー」

二人が侵入した病院内。
漂う空気は通常の病院のそれとは程遠く、清潔感とは無縁だった。

(;^ω^)「モノホンの廃墟だおー……」

ζ(゚ー゚;ζ「モノホンとか、死語でしょ……」

(;^ω^)「ぐっ……でも怖いお……」

ブーンが表現したのは、廃墟。
しかし眼前に広がる光景は、アングラを地で行くようなその言葉がピッタリだった。

ζ(゚ー゚;ζ「先に行ってよブーン……」

(;^ω^)「ぐっ……」

この期に及んで、とは思ったが、モテる漢論を実践中のブーンは、デレの一歩前に出る。

(;^ω^)(この頼りがいのある背中を見ろお)

と思うが、猫背で恐る恐る歩く姿は、余りに情けない。
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:57:56.64 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚;ζ「ちょっと、そろそろ懐中電灯いるんじゃない?」

(;^ω^)「お? そうだおね」

月明かりに照らされていた病院内を歩いていた二人。
しかし、それも限界となり、懐中電灯を点ける。

同時に、浮かび上がる周囲。
荒らされた様子も少なく、ただ朽ちているだけの光景が広がる。

そのとき、背後で聞こえた大きな音。

ζ(゚−゚;ζ「え!? 何!?」

軽いパニック状態になるデレ。

(;^ω^)「大丈夫だお、風で扉が閉まっただけだお」

こういうときこそ冷静に、という風にブーンは言う。

二人の進行方向とは逆の、背後で響いた音。
それは病院内と外部を繋ぐ扉が勢い良く閉められたことにより発生した。
反動で内部まで押し込まれた扉は、付近にあったベンチに当たり、音を立てたのだ。

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 17:58:35.09 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚;ζ「びっくりした……」

(;^ω^)「か、風のイタズラだお……」

と言って、デレを先へと促すブーン。
しかし彼は今恐怖心に駆られていた。

何故なら、デレが扉を開いた方向は、進行方向へ。
つまり、病院内部へ押し開いたのであり、先の状況とは矛盾するからだ。

(;^ω^)(な、なんかの間違いだお)

そんな彼には、今は自分を納得させることしかできなかった。

(´゚  ゚`)「ようこそ……」

背後で悪魔が蠢いていたことも知らずに。

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:00:04.67 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚;ζ「なんか肝試しっぽくなってきたね……」

(;^ω^)「そ、想像以上に怖いお……」

ζ(゚ー゚;ζ「と、とりあえず二階へいこっか」

(;^ω^)「わかったお」

寄り添いながら階段を上る二人。
厚着のデレが恐怖からか少し汗をかいていた。

(;^ω^)(やべ、エロいお)

などと、下らないことを考えてる途中、始まった異変。
上階で、何者かの足音が規則正しく聞こえてきているのだ。
更には、呻くような声も聞こえてきていた。

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:00:21.11 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚;ζ「やだっ! 怖い!」

(;^ω^)「ひいぃ!」

ブーンに抱きつくデレ。
そんな状況にも関わらず、怯えるブーン。

「 ゔ あ゙ あ゙ あ゙ あ゙ ! ! 」

そして、下の階から聞こえた、絶叫。


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:02:53.83 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚;ζ「きゃああああ!!」

(; ゚ω゚)「うわああああ!!」

思わず、階段を駆け上がる。

なんだ、何が起こっている。
そんな疑問を浮かべるも、即座に消える。

爪#゚  ゚)「 ゔ あ゙ あ゙ あ゙ あ゙ ! ! 」

二階への階段を上りきった先にいたのは、真っ赤に染まった白衣を着た男。
そして、一階からの声と同じく、絶叫を上げていた。

(; ゚ω゚)「ええええ!?」

ζ(゚ー゚;ζ「いやああああ!!」

男を押し退け、二人は走った。
背後から聞こえた、うぉ、という呻き声を無視し、走る。

しかし、ブーンとデレの足は滑る。

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:05:35.95 ID:TlYrpylh0
(; ゚ω゚)「おお!?」

ζ(゚ー゚;ζ「キャッ!!」

盛大にこけた二人。
そして、手に生暖かい感触を感じた。

ζ(゚ー゚;ζ「何!?」

辛うじて懐中電灯を握り締めていたデレが、床を照らす。
一面に広がるのは、赤。
一瞬で、血だと判断した。

爪#゚  ゚)「あ゙あ゙あ゙あ゙!!」

背後からは、先程の白衣。
滑る床をなんとか立ち上がった二人は、文字通り逃げるように走る。

自然と、その手は繋がれていた。
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:08:07.12 ID:TlYrpylh0
(; ゚ω゚)「うわわわわ!」

ζ(゚ー゚;ζ「きゃああああ!」

やがて、通路の角を曲がろうとした二人に、立ちはだかる影。
シルエットから考えて、男だ。

(; ゚ω゚)「な!?」

ζ(゚ー゚;ζ「そんな……」

(´゚  ゚`)「ヒヒヒ」

暗闇に立つ男は、不気味な笑い声を漏らしている。
背後から追いかけてきた男は、既に寸前まできている。

ブーンの咄嗟の判断は、正面突破。

(; ゚ω゚)「くっ! とまるなお! デレ!!」

ζ(゚ー゚;ζ「え!?」

思考の追いついていないデレを、強引に引っ張る。
全力疾走で加速し、目の前の男に果敢にタックルした。

(;´゚  ゚`)「ぐええええ!」

吹き飛ぶ、男。
余りに呆気なく、そして間抜け。
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:09:59.10 ID:TlYrpylh0
(; ゚ω゚)「あ、あれ?」

想像と余りに違う状況に戸惑い、そして男に近寄るブーン。
そこで、気づいた。

(#^ω^)「てめぇ……」

(;´゚ω゚`)「あ、バレた?」

(#^ω^)「うりゃああああ!!」

(;´゚ω゚`)「ぶっひいいいい!!」

その日、旧VIP病院からは魔物の絶叫が聞こえたという。

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:12:03.59 ID:TlYrpylh0
――VIP高校――

場所は変わり、VIP高校。
深夜になろうかという時間帯だが、開放されている教室を使い、尋問が行われていた。

( ^ω^)「で、お前ら言いたいことはあるかお?」

(´・ω・`)「出来心でやった、反省はしていない」

爪゚ー゚)「上に同じ」

旧VIP病院の魔物は椅子に縄で縛りつけられていた。

ζ(゚ー゚*ζ「……」

( ^ω^)「……死ぬかお?」

(;´・ω・`)「いやいやいや」

爪;゚ー゚)「穏便にいきましょうよ!」
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:14:27.66 ID:TlYrpylh0
( ^ω^)「てか、そもそもお前誰だお?」

爪゚ー゚)「あ、俺っすか?」

(´・ω・`)「後輩で中三のじぃ君だよ」

( ^ω^)「あ、そう。で?」

(´・ω・`)「でって?」

爪゚ー゚)「絡みづらいっすね、ブーン先輩って」

(#^ω^) ビキビキ
83 :訂正>>82:2009/01/03(土) 18:15:39.36 ID:TlYrpylh0
(#^ω^)「……なぁお前ら」

(´・ω・`)「ん?」

爪゚ー゚)「なんすか?」

(#^ω^)「放置プレイって知ってるかお?」

(;´・ω・`)「え?」

爪;゚ー゚)「ちょ……」

(#゚ω゚)「冬休みの間そこで反省してろお」

ζ(゚ー゚;ζ(ひど……)

(;´・ω・`)「嘘でしょ!? 待ってよブーン! いやブーン様!」

爪;゚ー゚)「待ってくださいっす! ブーン大明神様――!!」

魔物二人の叫びも虚しく、教室の扉は閉ざされた。

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:18:12.80 ID:TlYrpylh0
( ^ω^)「ふぅ、とんでもない目にあったお」

ζ(゚ー゚*ζ「ホントだねー、トラウマになっちゃいそう」

( ^ω^)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……? どうしたの?」

突然無言になり立ち止まったブーンに、疑問を抱くデレ。
対するブーンも、デレに疑問を抱いていた。

ブーンはずっと考え続けていた。
ショボンが言っていた言葉、
"寒い冬の季節に肝試しをする意味"だ。

( ^ω^)「デレ……」

ζ(゚ー゚*ζ「なぁに?」

( ^ω^)「なんで、肝試しになんか誘ったんだお?」

デレにそんな趣味は無いはずだ。
少なくとも、女の子が持つような趣味では無い。
ならば、何故だ。

( ^ω^)「他の、意味があったんじゃないのかお?」
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:20:43.08 ID:TlYrpylh0
ζ(゚ー゚;ζ「……」

( ^ω^)「……」

視線を少し泳がせたデレは、しかしブーンをしっかりと見据える。

ζ(゚ー゚*ζ「あのね――」

――二人っきりになる時間が、欲しかったの。

(;^ω^)「お!?」

ζ(゚ー゚;ζ「……わっかんないかなー……」

ホント鈍いんだから、と言い、続ける。

ζ(゚ー゚*ζ「好き……だよ」

( ^ω^)「……お」

告白。
一度は自分が行った行為を、人から施された。
懐かしいな、と内心苦笑し、デレを見据える。

( ^ω^)「……うん、僕もだお」
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:23:24.50 ID:TlYrpylh0
 いつ頃からだっただろうか。
ただの幼馴染、という感情が、変化し始めたのは。
少なくとも、高校に入ってからだった。

( ^ω^)(でも、そんなことはどうでもいいお)

単純な、嬉しさがこみ上げるのを、ブーンは感じた。

ζ(゚ー゚*ζ「やた! 今日からは恋人同士だね!」

( ^ω^)「だおね」

ζ(゚ー゚*ζ「ね、早く帰ろ! 今日はブーンの家に泊まる!」

(;^ω^)「え゙」

意外な急展開に焦りながらも、悪くない、と思う。
帰り道のへの一歩を踏み出した少年は少しだけ、成長した。

( ^ω^)「ところで、もう肝試しなんかやめろお?」

ζ(゚ー゚*ζ「えーだって趣味だもーん」

( ^ω^)「あ、そこはマジなんだ……」

踏みしめる地面は、冷たい。
触れる空気は、凍えるほどだ。
でも、触れ合う手は、とても暖かかった。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:25:18.26 ID:TlYrpylh0
――教室――

(´・ω・`)「はぁ……ところで、あの絶叫すごかったね、じぃ君」

爪゚ー゚)「でっしょー、でも一階から叫んでたショボン先輩もすごかったっすよ!」

(;´・ω・`)「え?」

爪゚ー゚)「てかそれ以上にあの血! 凄い演出でしたね!
さすがは元VIP中オカルト研究部部長!!」

(;´・ω・`)「いや、あれはじぃ君が用意したんじゃないの?」

爪;゚ー゚)「は? 先輩じゃないんすか?」

从'ー'从「あれれー? まだ手術してない患者さんがいるよー?」

从 ゚∀从「本当だー。 す ぐ に 手 術 し な い と 」

(;´゚ω゚`)「「うぎゃああああ!!」」爪;゚ー゚)

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 18:27:27.57 ID:TlYrpylh0

( ^ω^)「そういやさっき血みたいなの触らなかったっけ?」

ζ(゚ー゚*ζ「あれ? 気のせいだったのかなぁ?」

ノリ, ^ー^)li「いやー、やっと守護霊としての役目果たせるなー」

< ゚ _・゚>「あー、悪霊は全部他の奴に押し付けてきたし、安泰だわ」

次の日、VIP高校では気絶して縛られた少年二人が発見された。
でもそれは、別の話。



( ^ω^)ブーンは気づくようです
fin


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