川 ゚ -゚)謳われない戦争のようです

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 19:58:06.16 ID:/tC2XJI10
[搭乗員宿舎 9月27日 11時46分]

私は今、実に滑稽なことをしていると思う。
この状況では、どうしようも無いのが事実だ。

取材用に持ってきた自前のビデオカメラを部屋の隅の天井に取り付ける作業が終わり、
私はそのまま録画を示すスイッチを汗ばんだ指先で押した。

そのまま少し距離を取り、カメラが私全体を写すであろう位置まで後ずさる。
自分で自分を撮るということに慣れてはいないが、私はやらなければならない。
カメラを真っ直ぐに見つめ、

('A`)「私にあてがわれた部屋。」

少しおどけた調子で両手を開き、部屋全体を見回す。

('A`)「――または、監獄。」

ここに本来住むべき搭乗員は、先日の演習で落とされた機体に乗っていたらしい。
二人部屋なので、もう一人の搭乗員とともにすごすことになりそうだ。
ソファー、二段ベッド、少し型の古いテレビとパソコン、簡単なデスク。
――どうやらこの部屋の管理者は家具に関して疎いらしい。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 19:58:48.12 ID:/tC2XJI10





川 ゚ -゚)謳われない戦争のようです
                   Mission 3 NARROW MARGIN
                          《間隙の第一波》





5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:00:50.27 ID:/tC2XJI10
[搭乗員宿舎 9月27日 12時05分]

今、私のすぐ横で電話を手にしてどこかのお偉いさんを話しているのが、ハミルトン大尉だ。
年齢は30台前半といったところだろう。まだ若さが伺える。
それに、何より切れ者の顔つきをしている。エリートという言葉がピッタリだ。

私を閉じ込めた基地司令官の副官にしては話の出来る男だ。
先日取り上げられたカメラも、彼が取り返してくれた。

――伯父が軍人でなかったら、君のような記者になりたかった。
そう言ったときの、憂いを帯びた表情は筆舌に尽くしがたい。

ガチャ。
どうやら、電話は終わったらしい。
ハミルトン大尉は、コツコツと固定電話を指先で叩く。

( ・∀・)「……貴方を閉じ込めていた理由が、たった今なくなったよ。」

('A`)「え……?どういう意味ですか……?」

私を閉じ込めた理由に関しては思い当たるところが沢山ある。
だが、それが無くなるというのはつまり――

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:03:14.32 ID:/tC2XJI10
( ・∀・)「ユークトバニアが宣戦布告した。」

('A`)「……」

やはりそれしか無いだろうとは思っていた。

( ・∀・)「……宣戦同時攻撃だ。」

('A`)「なっ……」

どうやらユークトバニアは、本気でオーシアと戦う気のようだ。
彼はそれを言ってから空軍の帽子を被り直し、部屋の出口へ向かって歩き出す。

( ・∀・)「セント・ヒューレット軍港が空襲を受けている。」

それだけ言って、彼はドアを開けて出て行った。
ドアの閉まる音が、独りになった私の孤独感と閉塞感を高める。
おもむろに窓へと近づき、ブラインドシャッターに手をかける。

開いた隙間から、日光が注ぎ込まれた。
そこから外を見ると、機体が離陸している瞬間だった。
きっとその軍港に駆けつけるのだろう。
――だが、彼らは三機しかいない。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:04:50.16 ID:/tC2XJI10
本当に俺らはすぐに出撃の用意をさせられた。
隊長の墜落を引きずったままの疲労した心身を一刻も早く休ませたいところだったが、状況が状況だった。

機体の整備班も修羅のような形相で燃料、弾薬の補充を行っている。
しかし、普段の演習の時とは違う。彼らだって必死なんだ。

ナガセの顔は見なかったが、きっと疲労の色を浮かべているはずだ。
彼女は一番ショックだっただろう。警戒を怠った彼女が悪いと言ってしまえば、それでカタがつく。
しかし、俺とチョッパーも彼女のような状況になっていたかもしれない。
たまたま――本当に偶然彼女がそうだっただけなのだ。

整備兵の一人に渡された飲料を流し込み、すぐにF-5に搭乗する。
照りつける太陽に汗が滲むが、それを気にしている余裕は無いようだ。

(`・ω・´)<<ブレイズ、発進します。>>

<<了解、幸運を>>

俺の後に、チョッパー、ナガセがいるのを確認してから、俺はスロットバーを上げ、
離陸に必要な速度まで機体を滑らせる。

操縦桿を上げ、離陸。
本当の戦争が始まる。

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:06:38.06 ID:/tC2XJI10
( ゚д゚ )<<緊急事態につき、この時間で戦況を説明する。>>

“この時間”というのが指すのは目的地までの飛行時間を指すらしい。
無駄が省けてよかったな。だがこっちは操縦もしているんだ。

( ゚д゚ )<<約32分前、ユークトバニア航空部隊による奇襲攻撃を受けていると、セントヒューレット軍港から入電があった。>>

(`・ω・´)<<もう内地にまで攻め込まれて来ているのか>>

( ゚д゚ )<<そうだ。現在、港全体は極度の混乱状態にある。>>

そりゃそうだ。長く平和だった港がいきなり空襲を受けるなんて、そこで生活していた人は思いもしなかっただろう。
だが、ユークトバニアから侵攻があったことを公開していれば、もしかしたら対処出来たのではないか。

( ゚д゚ )<<港にはオーシア第三艦隊の艦船が停泊中であり、敵の攻撃に晒されている。>>

( ゚∀゚)<<おっかねえこった。>>

( ゚д゚ )<<セント・ヒューレット軍港に急行し、艦船の湾外への脱出は支援せよ。>>

尚、とサンダーヘッドは続けた。

( ゚д゚ )<<尚、第三艦隊の中核を成す空母“ケストレル”だけは必ず守り抜け>>

嫌な予感しかしない。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:09:19.24 ID:/tC2XJI10
目的地まではあと僅か。
既に遠くには港が見える。
セント・ヒューレット軍港は貿易船や漁船も多く停泊している。
軍港、とは言ったものの、港街が広がる美しい街だ。

( ゚д゚ )<<サンダーヘッドよりウォードッグ。エッジ、編隊の指揮を執れ。>>

司令室直々のご指名だ。
まあナガセの腕からすれば当然といったところだろう。
――隊長がいない今、三機で何とかしなければならない。

川 ゚ -゚)<<いいえ。ブレイズ、前に立って。私は後ろにつく。>>

何を言っているんだ、彼女は。
これだって立派な命令違反である。
三角編隊の頂点にいた彼女は減速し、俺の左後方に機体を持っていった。

(#゚д゚ )<<ナガセ少尉、命令に従え。>>

サンダーヘッドを怒らせるのがどうやら俺たちは日課のようだ。

川 ゚ -゚)<<いいえ、指揮はブレイズが。私は後ろを守る。>>

(`・ω・´)<<おい……>>

川 ゚ -゚)<<もう、一番機を落とさせはしない。>>

彼女の決意が、声から読み取れた。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:11:02.82 ID:/tC2XJI10
レーダー上に機体が現れる。
シグナルは味方の表示なので安心するが、それはあっという間に後方から俺たちを抜き去った。

(#`∀´)<<うろうろしてるんじゃないモナ!ここは戦場だモナ!そこらじゅうにいる敵に喰われるモナよ!>>

低くて渋い声が俺たちを叱ってきた。
聞いたことが無い声なので、きっと今の機体に搭乗しているパイロットだろう。

(;゚∀゚)<<ひえーぃ 俺はどん尻でいいよ>>

チョッパーは本当にやる気があるのだろうかと時々疑いたくなるが、今は仕方ない。
俺だって正直脚が震えてるし、腕もガクガク言ってる。
完全な戦場に向かうのだ。初めて。

( ´∀`)<<こちらソーズマン、スノー大尉だモナ。次の敵編隊を迎撃するモナ。位置を教えろモナ。>>

TACネームはSwordsman(ソーズマン)か……。
ともに戦うのに信頼できる力を持っているとは思う。

<<こちらは対空艦エクスキャリバー!前方を塞ぐ艦、離れてくれ!SPYレーダーが照射できない!>>

SPYレーダーを照射しないとレーダー上に破壊目標をリンク出来ない。
演習などで繰り返しているにも関らず出来ないのは、混乱している状況のせいだろうか。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:12:37.87 ID:/tC2XJI10
レーダー上に敵飛行編隊を確認

( ゚д゚ )<<交戦を許可する>>

――いよいよ始まる。

(`・ω・´)<<ブレイズ、交戦>>

川 ゚ -゚)<<エッジ、交戦>>

( ゚∀゚)<<チョッパー、交戦!>>

機体の速度を上げる。
燃料、弾薬の数が満タンなのを確認。

レーダー上の敵機に合わせて針路を取り、直進。

川 ゚ -゚)<<私が後ろを守る。いいわね、ブレイズ?>>

(`・ω・´)<<……あぁ。>>

川 ゚ -゚)<<私はもう決めたの。二番機としての任務を、必ず果たすと。>>

止める気は無い。止めようとしたって無駄だろう。

――徐々に見えてくる港の様子は凄惨だった。
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:14:44.81 ID:/tC2XJI10
街の至るところから炎と黒煙が上がり、戦闘機が持てる限りの爆弾を投下していく。
オーシアの大地が、俺たちの目の前で、着実に、確実に蹂躙されている。

<<隣の給油艦が爆発した!消火艇はどこだ?本艦に燃え移る!助けてくれ!>>

通信に混じるノイズは爆発音。
確実にこちらは被害が増えていく。

一番近かった敵に照準を合わせ、自動的にロックする。
敵は俺にロックされたのに気付き、速度を上げて機体を上昇させる。

俺はそれを追うため操縦桿を倒し、機首を上へと向ける。
“下”とは対照的に綺麗な空と、爛々と輝く太陽が目に入る。

そのまま機体を傾けたまま、加速。
敵機は俺を振りほどこうと加速、減速を繰り返し旋回を続ける。

(`・ω・´)<<ブレイズ、FOX2!>>

ミサイルの射程距離に入った敵機を逃がすわけにはいかない。
すぐに俺の放った白蛇は宙に軌道を残しながら目標を貫いた。

右翼をもぎ取られた鉄鳥は失速し、港街の中に消えていった。
まずい、敵機を下手に墜とすと、“下”に被害が出る。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:17:12.83 ID:/tC2XJI10
<<何故侵入に気付かなかったんだ!?>>

若い艦兵の問いに答えられる者はいなかった。
確かに、疑問だ。防衛システムに穴が?

<<停泊艦ばかりだ。まるで演習だな。>>

<<敵の増援部隊を確認。警戒しろ。>>

聞きなれない訛り。
俺はそれがユークの連中の言葉だと気付くのにそう時間はかからなかった。

( ゚∀゚)<<ブービー、指示を出してくれよ。>>

あぁ、すっかり忘れていた。
俺はこの任務からは“隊長”だったんだ。

(`・ω・´)<<あぁ、分かった。>>

( ゚∀゚)<<よし、いつでも従うから、言ってくれ。>>

敵機は多い。散開したほうが、効率よく敵を減らしていけるだろう。

(`・ω・´)<<エッジ、チョッパー、ブレイク。>>

川 ゚ -゚)<<エッジ、了解。>>

( ゚∀゚)<<チョッパー、了解!>>

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:19:06.57 ID:/tC2XJI10
味方の戦闘機と敵の戦闘機が入り混じる混沌とした戦場。
敵機にロックされたことを示すアラームは常に鳴り続けている。
背後を取られないよう、針の穴を通るような繊細さを心がけて飛行する。

俺の真上をとおり抜けた敵機を宙返りして追う。
急激なマニューバに強烈なGが体にかかるのを感じるが、それを堪える。

<<消火艇が爆発に巻き込まれた!2隻…いや3隻…燃えてるぞ!>>

通信のノイズが“下”の状況をよく表している。
途切れることの無い爆発音と炎上音、そして絶叫。

<<…これは演習ではない…>>

<<見りゃ分かるぞ!馬鹿野郎!>>

敵機との距離を詰め、機銃の射程距離に入るまで追い詰める。
相手も俺を出し抜こうとしているのか、左右に小刻みに飛行し、なかなか狙いを定めさせてくれない。

これだけの敵の数だ。
出来るだけ弾薬の消費は抑えたい。

レクティルの中に入った敵機を視認した瞬間、トリガーを絞る。
ドッグファイトで有効なのは、相手の機動を奪うこと。

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:21:53.06 ID:/tC2XJI10
機銃は左右のエンジンを掠め、そこからジェットエンジンの炎が噴き出す。
ターゲットの機体はあっという間に炎に包まれ、そのまま海へと突っ込んでいった。

<<目標は敵空母及び随伴する大型艦。>>

<<港外への脱出を許すな。全て沈めろ。>>

新たな敵影をレーダーで確認。
レーダー表示を見る限りでは、4機編隊が二つ。
厄介だ。敵は数でこちらに勝っている。

<<ケストレルを守り通すんだ!>>

まずは俺の周りにいる敵を削らないと、そのままケストレルまで持っていってしまう。

( ゚∀゚)<<FOX2!FOX2!>>

チョッパー機から射出されたミサイルが俺の近くを飛行していた敵機を撃墜した。
爆発の振動がコックピットのガラスを僅かに震わす。

味方の艦隊の移動が遅い。何している。

<<今こそ盾の役割を果たす!>>

一つの艦が艦隊の列から外れ、交戦体勢をとるのが見えた。

<<すまない。出港までの援護を頼む>>

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:24:18.95 ID:/tC2XJI10
先ほどの敵編隊の一つへ突っ込む。
敵は艦隊を目掛けて一直線に港へ入ってきた。

速度を下げて、真下の海に機体を垂直にする。
下を通った敵機の後ろへ機体を持っていく。
海に突っ込みやしないかとヒヤヒヤしていたが、何とかそれは大丈夫だったみたいだ。

(`・ω・´)<<数が多いな。確実に減らそう>>

( ゚∀゚)<<ああ、分かってる!>>

敵の編隊は俺が後ろについたにも関らず回避行動を取ろうとしない。
何故だ?と思った矢先、俺の機体が敵機にロックされた。

畜生、後ろか。

宙返り。
反転した瞬間敵機の機首が見えた。

速度を保ったまま突っ込んでくる敵機の鼻先へミサイルをぶち込む。
コックピットに直撃した。破片が速度を持ったままこちらへぶつかって来る。
破片とはいえ、当たればかなりのダメージだ。

慌てて機体を逸らした。何とか回避に成功する。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:25:55.16 ID:/tC2XJI10
川;゚ -゚)<<港全体が炎の中に…!>>

(;゚∀゚)<<なんだ、この損害は?俺様の想像力を上回るとは、どうなってんだ!?>>

(;`・ω・´)<<まずいな。油断したら落とされるぞ>>

そこらじゅうの敵機が持てる限りの弾薬を港の施設、艦隊に注ぎ込んでいる。
敵の手は休まる気配が無い。こちらの士気がみるみる下がっていくのが分かる。

<<こちらは港長!港口に近い艦から港外へ逃れよ!>>

早くしてくれ。
いつ敵に落とされるか分からない緊張で体が強張りっぱなしだ。

<<船体が傷ついても構わん!!出港しろ!!>>

<<沈まないように港から出ろ!!上手くやれ!!>>

艦隊の兵士も必死だ。
もはや多少の犠牲は覚悟でいかないと、全員が沈む。
そう判断しての行動だろう。

無線が交差する。ノイズと背景音で聞き取りにくい。
まして、こちらも敵機目掛けて機銃やミサイルをぶっ放している最中だから余計だ。

<<…こちらは空母ケストレル。港口へ向かう。>>

<<了解、ケストレル。ケストレルの脱出を優先しろ!そこの艀!気持ちは分かるが道を空けろ!空母は貴重品なんだ!>>

ケストレルが動き出す。自然と敵も、俺らも行動の指針を変えなくてはならない。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:30:14.29 ID:/tC2XJI10
俺らが守り通さなければばならない。

川 ゚ -゚)<<ブレイズ、こちらエッジ。空母ケストレルを確認できますか?>>

(;`・ω・´)<<あぁ、確認できている。>>

川 ゚ -゚)<<こちらも捕捉できました。まだ大丈夫のよう。>>

空母は装甲からいっても頑丈なのは間違いない。
そこら辺の機銃程度が掠ったぐらいではまったく航行に支障は出ない。

しかし、空母はその大きさからいい的なのだ。
特に俺らのような戦闘機からすれば下手に射程距離に入っていなくとも攻撃できる。

<<ケストレル出港完了!よい航海を!>>

ケストレルが出港したか。
あとは港外へ脱出させればいいだけだ。

――まぁ、ここからが大変だろう。

<<上空の味方戦闘機、ケストレルを守ってやってくれ!>>

(#`∀´)<<こちらソーズマン。今、向かうモナ!俺たちの艦だモナ!>>

スノー大尉の任務はまた俺たちと僅かに異なっているはずだが――

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:30:56.65 ID:/tC2XJI10
( ゚д゚ )<<駄目だ。こちらはサンダーヘッド、空中管制指揮官だ。>>

やはり、スノー大尉の思い通りにはいかないらしい。

( ゚д゚ )<<ソーズマンは東セクターに留まれ。持ち場を守り戦闘を続行せよ。>>

(#`∀´)<<あれは俺の母艦なんだモナ!>>

(#゚д゚ )<<ウォードッグ、ケストレルの直衛につけ。>>

(#`∀´)<<石頭野郎め!>>

サンダーヘッドが石頭で融通が利かないのはここ何日かで把握済みだ。

(  ∀ )<<まかせたモナ、ウォードッグ。俺たちの母艦を。>>

スノー大尉の気持ちに応えるためにも、絶対にケストレルを沈ませるわけにはいかない。
何としてでも、俺らが守り抜かなくてはならない。

<<こちらケストレル。湾口までの距離3マイル!>>

追っていた敵機に機銃をぶち込んで大破させた後、反転してケストレルの上空まで向かう。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:32:47.84 ID:/tC2XJI10
( ゚д゚ )<<こちらサンダーヘッド、ウォードッグへ。空母ケストレルを頼む。>>

サンダーヘッドだってケストレルを沈ませるわけにはいかないんだ。
ただ任務には忠実すぎるらしい。

(`・ω・´)<<あぁ、分かっている。>>

( ゚д゚ )<<よし、ウォードッグ、任せたぞ。ケストレルから決して眼を離すな。>>

川 ゚ -゚)<<敵をケストレルから離さなくては。ケストレルを敵の射程外に!>>

(`・ω・´)<<エッジ、任せた。>>

川 ゚ -゚)<<了解、ブレイズ>>

ナガセには敵への牽制を含んだ行動を期待したい。
俺とチョッパーで減らせる敵のも限りがある。

少しでも湾内の敵を減らして艦隊が動きやすいようにしないと。

(;゚∀゚)<<くそっ、わんさかいやがって、目が回るぜ。手が抜けねえ!>>

演習で旋回を続けるのと違って生死の狭間で飛行している分、確かに体への負担は大きい。
顔には汗の水滴が浮かんでいるのが分かるし、手だって汗まみれだ。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:36:49.71 ID:/tC2XJI10
<<管制機、目標を指示してくれ!>>

(;゚д゚ )<<方位280から敵侵入……駄目だ、数が多すぎる!>>

<<しっかりしろ!あんたの指示が必要なんだ!>>

混沌した状況の中では管制機は“目”としての役割を果たさないとより俺らの状況を悪くしてしまう。
サンダーヘッドはよくやっている。だが、焦りがにじみ出すぎている。

川 ゚ -゚)<<FOX2!>>

(`・ω・´)<<ナイスキル!>>

何機撃墜すれば敵は弱まるんだ。
ますます敵の動きが活発になっている気がする。

<<艦を捨てる…。このままではやられるだけだ!>>

<<逃げるな!この腰抜けが!>>

<<俺たちを殺す気か!?>>

敗色が濃厚すぎる。
疲労と焦り、恐怖からみんな判断が狂い始めているのが手に取るように分かった。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:39:06.28 ID:/tC2XJI10
<<A隊は敵艦船へ、B隊は港湾施設を破壊しろ。>>

<<C隊は上空制圧だ。分かったか?>>

<<了解した。攻撃を開始する。>>

サンダーヘッドが言っていた敵機が俺らの空域の入る。

(;゚∀゚)<<あぁ、クソッ>>

(`・ω・´)<<悪態ついてないでさっさと迎撃するぞ>>

敵編隊へ向けて針路を取り、加速。
周囲の様子を見る限り、俺の後ろを取ろうとしている敵機は見当たらない。

F-5Eは比較的小型の戦闘機なのでこのような混戦の場合有利だ。
相手の視界に入ったとしても、見失う可能性があるからだ。
もっとも、電子戦闘に近い近代空戦では、あまり関係は無い。
しかし、パイロットはレーダーよりも自分の目に入ったものを優先するため、僅かながら効果はあるといえる。

<<敵機対艦ミサイル発射!!ファランクス撃ち方始め!>>

先ほどの敵機はどうやら対艦ミサイルを搭載しているようだ。
早々に潰さないと、より被害が大きくなってしまう。

<<馬鹿ッ!やめろ!岸のドッグを直撃してるぞ!>>
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:42:22.24 ID:/tC2XJI10
敵機に当たらなかった弾が自分たちの施設を破壊しているなんてのはお笑い種だ。
しかし、この状況。俺の外した機銃の弾だって街に降り注いでいる。
早く、早くケリをつけないと――

<<救護所は既に満杯だ。まだ増えるのか!?>>

(;゚∀゚)<<やべえな、負けるぞ>>

(;`・ω・´)<<分かったから口より手を動かせ!>>

敵機は数で押しているという印象だ。個々の機体自体を落とすのは簡単だ。
しかし、いつ回り込まれるか分からない。深追いは自然と出来ない。

俺に追われて編隊から外れた一機に機銃を浴びせる。
轟音をあたりに響かせてそれが爆散したのを確認して、宙返り。
すぐに次の機体を狙いに行かなくては、間に合わない。

<<早く脱出艇を下ろせ!>>

<<何をしている!早く逃げるんだ!>>

悲鳴、爆発音。

<<駄目だ、もう終わりだ。>>

断末魔、炎上音。

<<畜生、最悪の一日だ。>>

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:43:12.86 ID:/tC2XJI10
<<こちら第三メディカルセンター。収容準備が整いました。>>

<<負傷者はまだ増えるかもしれません。大丈夫か?>>

<<私たちは大丈夫です。最後まで希望を捨てないで下さい!>>

<<新人のお前一人で大丈夫か?>>

<<大丈夫です。やってみせます!>>

あぁ、いるじゃないか。
俺らのような新人が、“下”にも。

諦めちゃ駄目だ。
命を賭けてこの任務は成功させなければいけないのだ。
そう思って挑んでいる奴が残っているんだ。

<<こちらケストレル!湾口まで後1マイル!>>

あと少しで脱出できる。
何とかして被害を抑えなければ。

やるしかないんだ。
俺は自分の出来ることをやるしかないんだ。
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:44:04.30 ID:/tC2XJI10
(#゚∀゚)<<もう少し耐え凌げよ!味方!>>

<<ここが踏ん張りどころだ!絶対脱出するぞ!>>

旋回して護衛艦の一つに向かって直進していた敵機に機首を向ける。
相手は俺にロックされたことに気付き、針路を海のほうに向けて逃れようとする。

それを見切った上で俺は海側へ回り込み、相手を内地へ押し込む。
すると俺の狙っていた敵機がいきなり火を噴いた。

<<よっしゃ!当たったぞ!>>

あぁ、手柄を取られた。
なんて考えてる余裕は無い。

<<護衛を排除しろ。空母はそれからだ。>>

( ゚∀゚)<<俺たちは空母の前菜か。へっ、俺はフルコースのディナーなんて性に合わねえんだ。>>

(`・ω・´)<<同意する。さっさと落とすぞ>>

チョッパーが俺の後ろについたのがレーダーで見えた。
二機であの編隊をブチのめしてやろうじゃないか。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:45:54.01 ID:/tC2XJI10
川 ゚ -゚)<<頑張りなさい、ケストレル!>>

ナガセも確実に敵機を減らしている。
護衛艦やケストレルに近づいた機体から優先的に狙っているのは有難い。
俺らは遊撃機といった役割か。

<<奇襲のはずなのに損害が多すぎるぞ>>

<<くそ、腕のいい野郎だ。>>

( ゚∀゚)<<誉めてもミサイル以外出ないぜ?>>

編隊を崩さない敵の4機を左右で挟み込む形で迎撃。
ほぼ真横からの攻撃に敵機は対応を遅らせた。
一番近くにいた敵に目掛けて機銃とミサイルを同時に撃ち込む。

射程距離内で完璧に捉えられたそいつはほぼ無抵抗で鉄屑になった。
チョッパーも同じように敵を撃墜したらしい、それぞれ次の目標へと切り替える。

(`・ω・´)<<チョッパー、うまいぞ。>>

( ゚∀゚)<<それは俺が一番分かってる!>>

技術は十分だがもう少し性根を入れ替えてほしいところだ。
ジョークなのか本気なのか分からないところがある。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:47:47.06 ID:/tC2XJI10
<<間もなく湾口を通過!>>

敵もだいぶ減ってきた。
このままなら何とか脱出は出来るはずだ。

<<空母ケストレルはまもなく湾を脱出する!>>

弾薬の残りは僅か。
せいぜい5機仕留めれるかどうかといったところだ。

ケストレルが湾口を横切るのが見えた。
ところどころ損害が見えるが、航行に影響はないらしい。

護衛艦の数は最初の半分にも減っていた。
湾内には水しぶきを上げて沈んでいく瞬間の艦が見える。
――搭乗員の無事を祈るくらいしか、俺は出来ない。

<<こちら空母ケストレル!本艦は今、湾を脱出した。そのまま外海へと出る!>>

俺が“下”の様子を伺いながら追っていた敵機が射程距離に入った。
それへ目掛けて機銃を撃つ。
外れたかと思ったが敵の主翼に当たったようで、急激にバランスを崩して火を噴きながらそのまま海へと落ちていった。

川;゚ -゚)<<あの波間に浮いているのは…人?>>

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:49:16.50 ID:/tC2XJI10
――ヤバいもんを見ちまった。

――ブービーが落とした、あの敵機が墜落して、炎で海を埋める前。

――あそこに浮いていたのは、あれは人間の顔だったんじゃないか?

――あんなに……沢山の。

――やめてくれ。

――もうこんなのはたくさんだ。

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:50:44.01 ID:/tC2XJI10
( ∀ )<<ブービー、あれを見たか?>>

一瞬見えた、胃の中の物が全て出てきてもおかしくない光景。
おびただしい数の顔が、見えた。数え切れないほどの。

(` ω ´)<<あぁ……>>

吐き気を催しながら搾り出した言葉はチョッパーに聞こえただろうか。

( ∀ )<<そうか…、ならいいんだ。>>

ケストレルが湾外に脱出したが、そのまま航行を続けている。
自然と俺らもその艦隊に追従する形で飛行を続けている。

/ ,' 3<<こちらは空母ケストレル艦長。無事に脱出した各艦、おめでとう。>>

壮年の男性の声。彼がケストレルの艦長のようだ。

/ ,' 3<<これより小官が指揮を執り、臨時戦隊を編成する。――前方に敵艦船の封鎖線がある。>>

レーダーが更新され、敵の艦隊が映った。
どうやらまだ任務は終わりそうにないらしい。厄介だ。

/ ,' 3<<これを突破し、安全な海域へ脱出しよう。諸君の健闘を祈る。上空の味方機、援護を頼む。>>

弾薬の残りが少ないことをアタマの隅に常に置いておかないと。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:52:22.98 ID:/tC2XJI10
( ゚д゚ )<<ブレイズ、こちらサンダーヘッド。作戦内容は明らかか?>>

(`・ω・´)<<あぁ、ようはユークの艦船を叩き潰せばいいんだろう?>>

( ゚д゚ )<<……空母ケストレルの外海への脱出を援護することを優先せよ。>>

(`・ω・´)<<それを考えた上での発言だったが、間違いだったかな?>>

( ゚д゚ )<<……直ちに行動に移れ。>>

( ゚∀゚)<<ちぇっ、さっさと終わらせようぜ。>>

何時間フライトしているだろうか。
正確にはそんなに時間は経っていないのかもしれないが、あまりにも中身の濃い時間すぎて体内時計が狂っている。

<<封鎖線までの距離を確認。4マイル!>>

敵の艦船の姿がちらほらと視認できる。
数はそう多くない気がするが、艦載機の攻撃もあると見ていいだろう。

<<あの空母を中心とした隊形だ。展開開始。>>

<<戦果を挙げるまたとない機会だ。行くぞ。>>

ユークの航空隊もお出ましのようだ。敵の数は先ほどに比べれば大したことはなさそうだ。

(`・ω・´)<<エッジ、チョッパー、迎撃するぞ。>>

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:53:43.99 ID:/tC2XJI10
<<あの艦隊のど真ん中を突っ切るだと?>>

<<何隻かやられるのは覚悟しないとな。>>

味方の艦隊は封鎖線の真ん中へ向けて直進している。
体当たりにでもしにいくのか?勘弁してくれ。

<<艦隊の隊列を乱すな。一気に突破する!>>

敵戦闘機と向き合う形で飛行を続ける。
俺は機体を右に傾け、右翼が海に対して垂直になるような形を保ったまま旋回。

艦隊を攻撃するためにそのまま俺たちを無視して突っ切ろうとする敵機の背後に回りこむ。

<<スノー大尉の援護に回る。アルファ2ついてこい!>>

味方の戦闘機がついたようだ。これで気兼ねなく敵を叩ける。
俺のロックした標的はヨダーが壊れそうなくらい急激に旋回して、俺の後ろを逆に取ろうとしてきた。

<<もっと早く飛べ!やられるぞ!>>

各機がそれぞれ戦闘を開始している。
俺もさっさと手柄を上げなくては。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:55:06.68 ID:/tC2XJI10
ローリングして相手を霍乱する。
俺の後ろについた敵はなかなか距離をつめてこない。
機体を加速すると、案の定相手も距離を保つため速度を上げてきた。
そのまま艦隊が戦っているところから離れる。

<<アルファ3、方位170に敵艦だ!一発ぶち込んでやれ!>>

そして、減速。
相手は俺にぶつかるのを避けるため上へブレイクする。
俺は減速した状態から機首を真上に飛んでいった敵へと向け、そのまま至近距離で機銃を掃射。
真下からの銃弾をもろに喰らった敵機は鉄の装甲がひしゃげ、中の機関部を剥き出しにして火達磨になる。

(`・ω・´)<<一機撃墜!>>

川 ゚ -゚)<<ナイスキル。>>

<<敵ながら良い動きしやがる。>>

<<上空の援護がいい。いけるぞ!>>

流れを引き寄せて一気に叩きたい。
少しでも味方の被害を少なくしなくては。

<<まもなく封鎖線に突入する。総員全力を尽くせ!>>

/ ,' 3<<ケストレル、速度このまま、針路このまま、舵中央。中央突破する。>>

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 20:58:59.36 ID:/tC2XJI10
( ´∀`)<<敵の懐に飛び込む母艦を援護するモナ。>>

スノー大尉がケストレルの護衛をしてくれるのはありがたい。
俺らウォードッグで敵の機体を潰せという指示を含んでいるだろう。

<<くそ、オーシア艦隊が接近中!>>

<<敵艦隊は正面から挑んでくる。何を考えている!?>>

俺がユークの艦船に搭乗する兵だったら同じことを考えるだろう。
手負いの艦隊がわざわざ敵のど真ん中に突っ込むなんて正気の沙汰じゃないからな。

<<ふんばれよ!ここで艦隊を守りきれば勲章ものだぞ!>>

( ゚∀゚)<<そりゃいい。絶対守ってやる。>>

ユークとオーシアの艦隊がお互いの射程距離に入る。
混戦は間違いないだろう。耐え抜いてくれ。

/ ,' 3<<スノー大尉、上は任せたよ。>>

( ´∀`)<<了解ですモナ、アンダーセン艦長!>>

ケストレルの艦長はアンダーセンという名のようだ。
なんてことを考えていたら、対空ミサイル発射機にロックされた。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:00:53.95 ID:/tC2XJI10
高性能の対空ミサイルは食らったらひとたまりもない。
さっさと上空へ逃げると、ロックから解除された。
――と思うとすぐにまたビープ音が鳴る。

どうやら上空から様子を伺っていた敵機にロックされたらしい。

<<おい!何だ今の振動は!>>

<<後ろだ!甲板が吹っ飛んでるぞ!>>

機体を上向きに向けてハーフループ。
直後に機体を反転させる。
インメルマンターンと呼ばれるマニューバは演習の時にした以来だが、成功した。

俺の後ろにいた敵機は俺の真正面に現れる。ミサイルを発射するボタンを強く押す。
最高速度マッハ2.5のAIM-9が至近距離から放たれる。

<<撃て!撃て!もう少しで突破できるぞ!>>

<<負けるな。こっちも撃ち返せ!>>

<<沈められるもんなら沈めてみろ!>>

ミサイルは俺の狙い通りに相手の機体のど真ん中に突き刺さり爆発。
これで2機目だ。

“下”は激しい戦闘が続いている。

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:03:55.17 ID:/tC2XJI10
<<レーダーロック!貴様らのケツにブチこんでやる!>>

<<弾が切れるぞ!弾薬!弾薬庫の中だ、早く持ってこい!>>

無線が錯綜している。
艦兵の鬼気迫る声が俺の中にある戦意を振るい立たせてくれる。

(`・ω・´)<<絶対に勝って、隊長に報告するぞ!>>

( ゚∀゚)<<あぁ!>>

川 ゚ -゚)<<そうね!>>

隊長は今頃基地で俺らの戦闘の様子を通信から伺っているはずだ。
最高の報告をしたい。

<<警告、手強いのがいるぞ!>>

敵の艦船へ機銃を浴びせる。
高度を持った状態から加速して一気に海面スレスレまで下降し、海面に機首が触れそうな状態から
護衛艦と激しい打ち合いをしている艦船に掃射。

( ´∀`)<<デルタ1はどこへ行ったモナ?デルタ1応答するモナ!>>

甲板や装甲がひしゃげる音が聞こえそうなほどのダメージを与えることが出来たはずだ。
対空ミサイルが発射される前にまた加速し、今度は上空へ一気に駆け抜ける。



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:05:56.61 ID:/tC2XJI10
<<何をボケッとしている!早く打ち込め!やられるぞ!>>

味方の航空機も落とされている。
だけどそれ以上に敵の機体を落としているはずだ。

( ´∀`)<<この海で俺について来れるには腕前が足りないモナ!>>

スノー大尉が敵機をどんどん落としていく。
彼のドッグファイトの技術は確かなものなのは、見てのとおりだ。

川 ゚ -゚)<<ケストレルの針路確保を最優先に!>>

(`・ω・´)<<あぁ。チョッパー!護衛艦が戦っている敵艦を沈めろ!>>

( ゚∀゚)<<了解!>>

一進一退の攻防。
敵の艦船は半分近くに減った。しかしこちらの艦隊も明らかに数が減っている。

ケストレルは無事のようだ。
周りの護衛艦が盾の役割を忠実に果たしている。

先ほどと同じ容量で敵の艦船に近づき、今度はミサイルを撃ち込む。
赤外線探知のミサイルのため、戦闘機だろうが艦船だろうが容赦なく追尾して破壊する。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:07:09.10 ID:/tC2XJI10
( ´∀`)<<必ず守り通してくれモナ!頼んだモナ、ウォードッグ!>>

川 ゚ -゚)<<味方艦の進路を妨害している敵艦から優先的に叩く。>>

ナガセが機銃とミサイルを艦船の燃料部に打ち込む。
厚い装甲も機銃の連射を喰らったことで剥き出しになり、艦船は中心から避けるようにして沈没。

大きな水柱がそこらじゅうにあがる。
それはミサイルや銃弾が外れたものであったり、艦船が沈むものであったり、戦闘機が墜落したものであったりと
この戦闘の各勢力の被害を表しているようにみえた。

<<低く飛びすぎて燃料消費が早い。ケストレルの突破はまだか?>>

味方のパイロットの声で俺も慌てて燃料計を確認する。
まだ飛行を続けるには足りるが、このままでは燃料切れもありうる。
どれだけ長い時間フライトしているだろう。
よく燃料が持っているものだと思う。

( ´∀`)<<ちくしょう、しぶとい奴だモナ>>

スノー大尉は何機撃墜しているのだろうか。まさに鬼神のような機動だ。
あと少し、あと少しで封鎖線を突破できる。

ハーフループをして機体を後ろにいた敵艦の近くまで持っていく。
機銃掃射後にすぐに高度を上げる、というヒットアンドウェイで艦に損害を与える。
もう弾薬はほぼ0に等しいし、燃料だって基地まで戻るのが精一杯といったところだ。

<<日ごろの成果を出すんだ!俺たちなら出来る!>>

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:09:39.76 ID:/tC2XJI10
<<沈まない限り俺たちは負けじゃない!>>

味方の声。
頼むぞ、ケストレル

<<もうすぐだ、もうすぐ封鎖線を突破できる!>>

封鎖線の最後尾にいた敵艦が道を塞ぐ。

川 ゚ -゚)<<艦隊突破まであと少し。お願い、持ちこたえて!>>

その艦がケストレルに向かって射撃する。

<<ちくしょう、持ちこたえてくれ!>>

誰かが放ったミサイルが敵艦の甲板を直撃。
炸裂音とともに激しい火を噴き出す。

ケストレルは、水しぶきを上げながら沈みはじめる艦の脇を通って――

歓声。
通信は歓喜の声で満ちる。

( ゚∀゚)<<突破しやがった!ヘビーなサーフボードだぜぃ!>>

ふぅ。
全身の力が抜け、強張った体が緩む。
よかった、何とか、守り通すことが出来た。


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:13:32.66 ID:/tC2XJI10
( ゚∀゚)<<ところでブービー、隊長になった気分はイイもんか?>>

歓声の中、チョッパーが尋ねてきた。

(`・ω・´)<<どうだかな。誰かさんが不安で堪らないよ>>

( ゚∀゚)<<そのうち慣れるから、そう心配すんな。>>

こいつ、俺の皮肉が通じなかったらしい。

/ ,' 3<<こちら空母ケストレル艦長。本艦隊は安全な海域への脱出に成功した。>>

艦長がそう言うと、また喚起の声が上がる。

/ ,' 3<<海、そして空の勇士たちに感謝する。>>

たくさんの人が死んだだろう。
たくさんの船が沈んだだろう。
だが、任務は成功した。

( ゚∀゚)<<…1、2、3。…1、2、3機。>>

チョッパーが唐突に数を数え始めた。ついにアタマがヤられちまったか。

( ゚∀゚)<<何度数えても俺たちぁ3機とも無事だぞ。>>
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:15:00.75 ID:/tC2XJI10
(`・ω・´)<<当然だ。>>

( ゚∀゚)<<見てろよ、隊長の奴。海から上がってきたら、自慢してやるからな!>>

そうだな。最高の結果を一番最初に報告したい。
隊長はどんな顔をするだろうか。どうせまた叱られるに違いない。

川 ゚ -゚)<<そうね、隊長に報告しましょう。>>

ナガセの奴は、これで少しは心に余裕が出来ただろうか。
少なくとも、隊長が墜とされたのは彼女のせいでは決してないことを知ってもらいたい。

燦燦とあたりを照らす太陽。
広がる青い澄み切った海。
そしてそこで航行する艦船たち。

全てを目に焼き付けよう。
そして、隊長に自慢してやろう。




――だが、隊長――バートレット大尉がサンド島に還ることは、二度となかった。
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:16:39.53 ID:/tC2XJI10


                           
                     
               MISSION ACCOMPLISHED
                     AND NEXT MISSION COME SOON...      
                  
                    



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:17:56.63 ID:/tC2XJI10
投下終了っ……!
訪れたのは空しさと確かな達成感…!
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:19:13.81 ID:/tC2XJI10
すぐ落ちるとは思いますがスレが終わるまでは見てますので質問要望中傷批判があったらどうぞ

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:23:01.10 ID:dWZIOu9+0
F−15SEをどう思う?

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:23:37.68 ID:9EHGeafDO
圧倒的乙っ……!

原作知らずとも楽しめる表現力っ……!

嫉妬っ! 奥底から湧き出る嫉妬の嵐っ!


夜夢砲っ!

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:24:23.64 ID:/tC2XJI10
>>51
ぼくはフランカーのほうがすき!ロシア最高!
>>52
このとき作者に

          電流走るっ・・・・!
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:27:02.65 ID:YD3xDJjw0
ラストぞくっときた

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:27:17.13 ID:9EHGeafDO
>>53
鷲巣ポケモン

貴様、このワードに見覚えがあるなっ……!

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:28:17.54 ID:/tC2XJI10
>>54
こういうレスがつくと俺勃起しちゃう

>>55
な、何のことかな・・・・(^^;

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:28:30.06 ID:dWZIOu9+0
フランカーよりはファルクラムのほうが好きだよ!

主人公達って何に乗ってるの

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:29:43.11 ID:/tC2XJI10
>>57
今回まではF-5Eです
一般的な機体ですね。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:32:03.93 ID:9EHGeafDO
違ったか

投下後のレスにアカギ混ざってたから
鷲巣様がポケモンを始めたようです
を見たのかと

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:32:32.87 ID:/tC2XJI10
>>59
ただの福本好きなだけなんです><ごめんね

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:38:22.81 ID:9EHGeafDO
>>60
把握っ……!


>>6>>7で視点がドクオ→シャキンになってるよな?
視点が変わるとき、間に
※※※※※※※※※※※※※※※
とか区切りを入れてほしいんだがどうだろう?

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:44:36.55 ID:/tC2XJI10
>>61
そのとおりでござんす
タイトル入れるとこミスったなんていえない
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:45:07.89 ID:dWZIOu9+0
F−5Eか・・・・・
じゃあ敵はMig23とか?
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:57:10.39 ID:/tC2XJI10
>>63
相手も基本的にF−5編成です。設定上は
ですがMig機も出てきますよ
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:49:17.44 ID:9EHGeafDO
なるほど

だいたいはタイトルで視点が変わるということで把握した
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土) 21:59:02.95 ID:/tC2XJI10
>>64
そういうつもりですね。
※今度から入れるようにしますありがとう
Back

inserted by FC2 system