( ><)オレンジライダーのようです
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:04:58.61 ID:MILqmvx60
がらがらがら……

昼下がりの町に、プラスチックとアスファルトが擦れ合う音が響きます。


( ><) 「兄さん、まだ手を離さないでくださいね」

( <●><●>)  「はいはい」

私はロマネスク。
いまだ自転車に上手く乗れない弟、ビロードのために放課後特訓を行っている最中です。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:06:52.91 ID:MILqmvx60
がらがらがら……と音を立てるのは自転車の補助輪。
多くの人が自転車に乗り始めた頃、それにお世話になってきたことでしょう。

さて、”四輪車”はやがて拓けた野原に到着しました。
ここならば転倒しても怪我の心配は少ないですし、車などに注意を払う心配はありません。


( <●><●>)  「じゃあちょっと手を離しますよ」

( ><) 「よーし」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:09:09.04 ID:MILqmvx60

  ( ><)
..  ( O┬O
◎-ヽJ┴◎ 
キコキコ

. .  ┬
.◎--┴◎   ⊂⌒っ><)っ
ドテーン


( ><) 「うう、痛いんです」

これで今週に入って十回目の転倒です。補助輪有りでこけるとは、なかなか出来ない芸当だと思います。
どうやらまだ練習は必要なようですね。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:10:41.27 ID:MILqmvx60

しばらくして立ち上がったビロードの膝を見ると、擦れて赤い血が少しにじんでいました。
私は家から持ってきた応急処置セットから消毒と絆創膏を取り出し、治療を施します。

(;><) 「しみますしみます」

( <●><●>)  「消毒しないともっとひどいですよ」

毎日のようにそれを行うため、私の所作はすっかり手馴れてしまいました。
少し、複雑な気持ちになります。




( <●><●>)  「もっと前をしっかり見るのですよ」

私は自身が自転車に乗れなかった頃のことを思い出し、一生懸命弟にアドバイスをしました。
しかしビロードは臆病な性格が災いしてか、いつまで経ってもうまく乗れませんでした。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:14:00.70 ID:MILqmvx60
……それからもビロードは着実に転倒数を重ねていきました。
やがておなかが空いた私たちは特訓を切り上げ、帰宅することにしました。


黒く暮れ行く空は、私に少しの寂寥感を与えました。
そこにはたくさんのカラスがいて、それはまるで綺麗な水を探す魚のようにさまよっていました。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:16:30.21 ID:MILqmvx60
( <●><●>)  「いいですか、ビロード」

帰りながら私は弟に、交通に関する基本的な知識を教えることにしました。

交通量の少ないこの田舎といえども、その知識がなけば事故に繋がる恐れは十分あります。
この機会にしっかり教えておきましょう。

( <●><●>)  「一人で自転車に乗れるようになったら、信号の色に注意して行動するのですよ」

( ><) 「うん、わかってます」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:19:57.78 ID:MILqmvx60
( <●><●>)  「それでは問題です。信号機が黄色の時、どうすればいいですか?」

( ><) 「えーと、えーと……」

(*><) 「勢い良く手を挙げて渡ります!」

( <○><○>)

真っ白い頬を紅潮させながら元気良く答える彼の様子を見て、少し目眩を感じました。
ビロードの先行きがとても不安になったからです。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:22:11.04 ID:MILqmvx60
///
野原を出て、アスファルトの道を逆にたどり、小高い丘を越えたところに私たちの家はあります。
父は単身赴任でほとんど家を空けているので、母と私と弟の三人で暮らしています。


川 ゚ -゚)  「遅かったな」

私と同じくらい無愛想な顔をした母が、私たちを出迎えます。
愛想が無いのと同程度、胸も無いですが父親の居ない分をカバーするほど、頑張って私たちを育ててくれています。

川 ゚ -゚)  「お前晩ご飯抜きな」

( <○><○>)
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:22:06.94 ID:9Qc7zRv5O
C



…しかし、ワカッテマスじゃなくて( ФωФ)?
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:23:18.47 ID:MILqmvx60
>>16
アッー

ベルベットに脳内補完お願いいたします。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:25:16.14 ID:MILqmvx60
川 ゚ -゚)  「ビロード、今日はどうだった」

食事中、母が弟にそう問いかけました。

( ><) 「10メートルくらい転ばずにこげました」

( ><) 「兄さんのおかげなんです」

( <●><●>)  「えっへん」

川 ゚ -゚)  「よし、白米くらいは食わしてやろう」

こうして楽しい夕食の時間は過ぎていきました。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:27:41.52 ID:MILqmvx60
ビロードはその内気な性格からか、なかなか自転車に乗る練習をしたがりませんでした。

そんな彼が今回、特訓することを決心したのは理由があります。
それは今日からちょうど一週間後、遠足を兼ねた写生大会があり、その目的地に行くために自転車が必要なのです。

別に車を使用すればそこに行くことは可能です。
しかしビロードは、友達と一緒に行きたいのだと彼にしては珍しく主張し、それをかなえるために特訓を始めたのでした。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:31:12.72 ID:MILqmvx60
(´・ω・`) 「ビロードくーん」


翌朝。元気の良い声が外から聞こえます。
ビロードの同級生で、毎朝こうして弟を迎えに来てくれます。

(´・ω・`) 「今日もお綺麗ですね、お母さん」

川 ゚ -゚)  「よう、ショボン君。相変わらずしょぼくれてるな」

川 ゚ -゚)  「もうちょっと待ってくれ。すぐ来るから」

(´・ω・`)
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:34:19.11 ID:MILqmvx60
( ><) 「お待たせしま……ショボン君、何でしょぼくれてr川 ゚ -゚)  「さあさあ遅刻するぞ、早く行くんだ」

( ><) 「うん? 行ってきます」


威勢良く彼らは走って学校に向かいました。
さて、私も学校に向かうことにしましょう。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:38:26.69 ID:MILqmvx60
///
授業をこなし、放課後。
荷物をまとめ、早速帰ろうとする私を呼び止める者がいます。


( ・∀・) 「ロマー、今日遊ぼうぜ」

('A`) 「スパイVSスパイやろうぜ」


旧友のモララーとドクオです。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:42:32.89 ID:MILqmvx60
( <●><●>)  「すみません、今日も弟の練習の日なんです」

( ・∀・) 「あー、今日もその日だったか。また今度暇な日に誘うよ」

('A`) 「暴れん坊天狗もあるのに」


……思えば当初の計画より、ビロードの特訓は長引いています。

このままでは遠足に間に合わないかもしれません。
もっと、厳しく特訓する必要がありますね。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:45:11.41 ID:MILqmvx60
///
特訓ダイジェスト

-=( <●><●>)  「もっと早くこげ」

(;><) 

-=( <●><●>)  「おまえだけ遠足走って行きたいのか」

(;;><) 

-=( <●><●>)  「ほら、あと2000メートルで終わりだ」

(;;;><) 

-=( <●><●>)  「俺に追いつかれたら……その時はわかるな?」

ダイジェスト終了
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:48:53.02 ID:MILqmvx60
///
私の献身的な指導の結果もあって、なんとかビロードは人並みの運転技術を身につけました。
補助輪を外しての走行も可能となりました。

もう空はすっかりオレンジ色。そろそろ帰ることにしましょう。

しかし、いけません……。あまりにも走りすぎたせいか、頭がくらくらします……。


「兄さん? 兄さん!」



……しばらく経って、遠ざかる車輪の音が聞こえました。
最後に目に映ったのは巨大な夕日の、橙色でした。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:51:32.44 ID:MILqmvx60
///
( <○><○>)

( <●><●>) ハッ!

( <●><●>) 「ここは……」

川 ゚ -゚)  「やっと目覚めたか」

( ><) 「大丈夫ですか!」

目が覚めるとそこは意識を失った野原で、眼前には心配そうに私を眺める貧乳とビロードがいました。
いったい何が起こったのでしょうか。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:53:46.97 ID:MILqmvx60
川 ゚ -゚)  「かくかく」

( ><) 「しかしか」

( <●><●>) 「つまり私が倒れてから怒涛の勢いでビロードが助けを呼びに行ってくれたのですか」

川 ゚ -゚)  「そうそう」

( <●><●>) 「……ビロード」

( <●><●>) 「助かりました」

(*><) 「うん」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 22:58:01.78 ID:MILqmvx60

川 ゚ -゚)  「じゃあこいつを念のため病院に連れて行くから、先に帰ってお留守番しててくれ」

(*><) 「わかりました」


そういうとビロードは、ヘルメットの顎ひもをしっかりと締め、颯爽と岐路に着きました。

その後ろ姿はいつもよりちょっぴり頼もしく見えました。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 23:01:28.89 ID:MILqmvx60
……夕日に照らされる、彼は小さなオレンジライダー。

end
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 23:04:47.37 ID:MILqmvx60
おまけ

病院にて

(*‘ω‘ *)  「次の方どうぞ」

( <●><●>) 「はいはい」

(*‘ω‘ *)  「今日はどうされましたか」

( <●><●>) (えっと、弟を全力疾走で追い掛け回してて)

( <○><○>) (なんて言えない)
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 23:06:12.93 ID:MILqmvx60
(*‘ω‘ *)  「? どうしましたか」

( ;<●><●>) 「えっと……」

( <●><●>) 「野原で遊んでいたらナイフを持った暴漢が襲ってきてですね私は必死に応戦しましたが敵わず逃げることにしたんですが」

( <●><●>) 「遂に振り切ったとき体力の限界が来てしまい地にふしてしm(*‘ω‘ *)  「本当のことを言え」


( <●><●>)

( <●><●>) 「かくかくしかしか」

(*‘ω‘ *)  「お前馬鹿だろ」

end
48 名前: ◆loGsdX/zMQ :2009/03/29(日) 23:08:47.07 ID:MILqmvx60
先日は申し訳ございません
そしてベルベットの件も申し訳ございません

自害して果てます。


ご支援ありがとうございました。

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