第七話
9 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 21:38:02.97 ID:wPi2SKKmO
〜これまでの主な登場人物&精霊〜

(,,゚Д゚) ギコ=モナルド 人
元素 風
装備 ロングソード 銀の胸当て
父親を探すために精霊界を目指している青年。何かと不器用なムッツリスケベ。ツッコミ担当。いきあたりばったりで行動する。

( ^ω^) ブーン 精霊
元素 風
装備 淡緑色のツナギ 風の宝玉の欠片
ギコの精霊。語尾に「〜お」とつける白い豚な精霊。だが、癒し系。風呂好き。


ノパ听) ヒート=スナオ 人
元素 火
装備 ハルバード 鋼の胸当て
なんとなくギコの旅について来た元気のよい女の子。すごい単純な性格。お化け大嫌いなアホの子。

从 ゚∀从 ハインリッヒ 精霊
元素 火
装備 レザーコート
ヒートの精霊。ちいさいくせにどこか大人びた雰囲気がある。しかし性格は中学生並。寝起き悪し。チキン。

( ・∀・) モララー=S=ファウス 人
元素 水
装備 ダガー 白い服
高価な機材をぶっ壊し、ロビー城の精霊研究施設をクビになった青年。困ったらクーにお任せ。
11 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 21:42:19.07 ID:wPi2SKKmO
川 ゚ -゚) クール 精霊
元素 水
装備 水色のドレス
モララーの世話をするのが面倒でしょうがない。この物語のヒロインらしい。最近ボケてない。

('A`) ドクオ=マダチェリー 人(?)
元素 ???
装備 ロングボウ ただの服 不細工な顔
VIP村に住む元狩人。今は精霊使いを目指しているが、今年で三浪目の29歳童貞。
かわいい女の子型の精霊とあんなことやこんなことをしたいらしい。

( <●><●>) ワカッテマス=アンダスト ???
元素 地
装備 ただの服
ギコが精霊使いの試験を受けた時の試験官。詳細不明。

( ΦωΦ) ロマネスク=スギウラ 人
元素 風
装備 大剣 皮の服
突然ギコを襲ったおっさん。元ラウンジの傭兵。『闇』にさらわれたぽろろを助けるべく旅をしている。

从'ー'从 ワタナベ 精霊
元素 風
装備 白のワンピース
ロマネスクの精霊。ブーンの知り合い。なんかのんびりとしている。でも、つよいよ?

12 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 21:46:31.45 ID:wPi2SKKmO
(゚、゚トソン トソン=ツムラ 人
元素 雷
装備 レイピア トライデント ラウンジの兵服
元ラウンジの傭兵でロマネスクの仕事仲間。通称『雷神』。ロマネスクを追って、ラウンジを去ったらしい。

<_プー゚)フ エクスト 精霊
元素 雷
トソンの精霊で、バカ二号。座右の銘は『成せばなる』。詳細不明。

爪゚ー゚) ジィ 悪魔
元素 闇
装備 なし
『闇』のメンバーの一人で、バカ三号のヴァンパイア。詳細不明。

o川*゚ー゚)o キュート 悪魔
元素 闇
装備 なし
『闇』のメンバーの一人のサキュバス。幻覚を見せる魔法を使う。詳細不明

13 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 21:51:38.52 ID:wPi2SKKmO
第七話 〜強く……〜

(;ΦωΦ)ソワソワ…

(-、-トソン「落ち着きなさい。ロマネスク」

(;ΦωΦ)「お、おう」

(ΦωΦ;)ソワソワ…

(-、-#トソン

<アッーーー!!


……ロマネスク達は日没前に無事にギコを医者のところへ連れて来ることができた。
現在は数人の医者がブーン達とともにギコの治療にあたっている。
ロマネスク達は現在、ギコが治療を受けている部屋の前で待っていた。

(;∵)「ふぅ……」

(゚、゚トソン「あ、先生……」

ドアが開き、白衣の男が出てくる。
どこかで見たことあるような顔だが、気にしちゃいけない。
15 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 21:55:38.21 ID:wPi2SKKmO
(゚、゚トソン「どうですか?あの子の容態は……」

(;∵)「……なんとも言えません。ほぼ全身の骨が折れていて、しばらくは動けないでしょう。
それに、内臓もいくつか破裂していて、普通の人間ならいつ死んでもおかしくない状況です」

(゚、゚;トソン「そんなにひどいのですか……。ちょっと想定外ですね」

(;∵)「とにかく、最善は尽くします。
精霊の子達も一生懸命やってくれてますし、あとは彼の体力次第ですね……。
少なくとも意識が戻るまでは安心できません」

(゚、゚;トソン「そうですか……。では、よろしくお願いします」

(;∵)「はい。……ところで」

(゚、゚トソン「はい?」

(;∵)「……そこで肛門に箒の柄を突っ込まれてる男性も治療しますか?」

(゚、゚トソン「ああ……。結構です」

(;∵)「は、はあ……」
18 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 21:59:04.81 ID:wPi2SKKmO
……

トソンと医者が話し合ってる頃、ハインとヒートは宿屋で留守番をしていた。

ベッドの上で三角座りをしているヒートにハインが声をかける。

从 ゚∀从「なぁ……。ギコのところに行かないのか?」

ノハ )「……」

从;゚∀从「……」

从 ゚∀从「そうだ!町行こうぜ町!なんかいいものあるかも!」

ノハ )「……」

从;-∀从「……」

从;゚∀从「なんか喋ってくれよ……」

ノハ )「……」

从;-∀从「あ〜もう!」

从;゚∀从「もう俺一人でギコのとこ行くからな!」

ノハ )「……」

19 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:02:38.55 ID:wPi2SKKmO
从;゚∀从「本当に行くからな!!」

……そう言ってハインは部屋を出て行った。

ヒートは遺跡を出てから一度も言葉を発していない。
ここに来るまでも、馬車の中でずっと泣き続けていた。

ノハ )(ギコ……)

頭に浮かぶのは遺跡での出来事。
その場面には常にギコの背中が映っている。

ノハ )(私は……何をやっていたんだ)

いつもギコの後ろにいて、
強すぎる敵に怖じけついて何もできなかった。
ギコが悪魔に首を絞められて殺されそうになった時も、
ギコが吸血鬼に血を吸われてる時も、
足がすくんで動けなかった。
怖くて何も出来なかった。

ノハ )(ギコの旅に勝手についてきて……ギコに甘えて……自分は何もせずに……)

以前オチューと戦った時もそうだ。
自分は気絶していて何も出来なかった。
その間にブーンは強制送還され、ギコとモララーは大怪我をしていた。

ノハ )(私は……荷物になってるんじゃないか……?)

20 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:07:18.19 ID:wPi2SKKmO
ドサ、とベッドに大の字になり寝転がる。
窓の方を見るとすでに日は沈んでいて、星がいくつか輝き始めていた。

ノハ )(もう旅に出てから三ヶ月くらいか……)

そういえば、自分はなぜ精霊使いになろうと思ったのか。

ノハ )(火龍に会うため……)

火龍に会ってどうするつもりなのか。

ノハ )(火龍に会って……それで……)

……自問自答を繰り返しながら「ギコ達にいらない子だと思われてたらどうしよう」などと考える。

ヒートの精神はすでに限界に近かった。

自分のせいでギコが瀕死状態になってしまったという罪悪感。
それと、自分一人では何もできないという背徳感により、ヒートは追い詰められていた。

ノハ )(私はいらない子じゃない……よな?
ギコは私を嫌いにならないよな?)

心の奥のトラウマが蘇る。

21 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:11:12.74 ID:wPi2SKKmO
ノハ )(私はいらない子じゃない……いらない子じゃない……いらない子じゃ……)

『あんたなんか生まれて来なきゃよかったのに!』

ノハ; )(いらない子じゃない……いらない子じゃない……いらない子じゃない……)

『なんでこんな事もできないの!?あなた本当に私の娘?』

ノハ; )(いらない子じゃない……いらない子じゃ……いらない……)

『あら、ヒート?何やってるの?家に上がらないでって言ったでしょ?』

ノハ; )(私は……私は……!!)

溢れてくる忘れたはずの記憶。
いままではいつも誰かがそばにいてくれたから、
思い出すことのなかった記憶。


『早く出て行きなさい!もうあなたは私の子じゃないのよ!』


ノハ; )(私は……ギコ達と……一緒にいていいのかな……?)

……ヒートの心の中の不安は徐々に大きくなっていった。
23 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:16:49.19 ID:wPi2SKKmO
……

( ・∀・)「……」

<_プー゚)フ「なー、なんかわかったか?」

( ・∀・)「うん。なんとなく」


一方のモララーは、エクストを連れてヘッドライン城近くの図書館にやってきていた。
目的はあの遺跡について書いてある資料がないか探すこと、
精霊界への行き方を調べること、
そして悪魔のことだ。


( ・∀・)「『悪魔』は精霊になりきれなかった思念体のうち、
負のオーラが強く邪念にまみれているものがなる。
そしてその負のオーラと邪念が入り混じった力が『魔力』となり、『魔法』を使う原動力となる」

( ・∀・)「『魔法』とは『悪魔』の持つ『魔力』によって使うことのできる『法術』と似た効果のある術のことである。
『法術』はこの世界に存在する七元素の力を借りて使う術のことだ」

( ・∀・)「また『悪魔』にはいろんな種類があり、それぞれ特異な体質を持っていたりする。
有名なので言えば、動物の血を飲み生きている吸血鬼は日光が苦手で、
光に晒されると身体能力が半分以下にダウンしてしまう」
26 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:21:01.16 ID:wPi2SKKmO
( ・∀・)「……」

(・∀・ )「で?」

<_フ;゚ー゚)フ「俺に聞くなよ」

( ・∀・)「うーん……僕が知りたいのはこれじゃないんだけどな……」

モララーが調べたかったのは『悪魔』と『闇』という存在の関係についてだ。

( ・∀・)「……あとでロマネスクさんに聞くしかない、か」

<_プー゚)フ「よーっし。じゃあ帰ろうぜ!」

( ・∀・)「いやいや、まだ精霊界のこととあの遺跡のこと調べてないから」

<_フ;゚ー゚)フ「はぁ?もう夜だぞ?いつまでここにいるつもりなんだ?」

( ・∀・)「大丈夫大丈夫。朝までには帰るから」

<_プД゚)フ「……」

<_フ ゚Д゚ )フ

( ・∀・)「こっち見んな」
28 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:24:17.27 ID:wPi2SKKmO
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

(,,゚Д゚)「……」

ギコは見覚えのある地に立っていた。
チョロチョロと流れる小さな小川。
立ち並ぶ小さな家。
その奥にそびえ立つ教会のようなもの。
そして、こっちを見て悲しそうな笑みを浮かべる少女の姿。

ここには一度来たことがある。
どうやら死にかけるとこちらの世界にこれるようだ。

『光の草原』
広々とした野原に立地した小さな村だった。
ただ、その時の面影はなく、
小川は黒く汚れ、
小さな家は焼かれ黒い炭となり、
教会は無惨に破壊され、あちこち穴だらけだった。

(;゚Д゚)「これは……一体……?」

ζ(^ー^*ζ「久しぶりだね。ギコ」
30 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:27:37.37 ID:wPi2SKKmO
(;゚Д゚)「一体何があったんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「……『闇』の奴らに襲われて……」

ζ(゚‐゚*ζ「ちょうど私はここにいない時で……」

ζ( 、 *ζ「……子供達、みんな死んじゃった」

(;゚Д゚)「『闇』……か」

自分も最近『闇』の悪魔と戦った。
奴らの強さは身に染みている。
子供が多かったこの村はひとたまりもなかったであろう。

ζ( 、 *ζ「私が帰ってきたとき……。村は燃えてて……ちょうど悪魔達が帰って行くところだった」

ζ( 、 *ζ「先頭にいた悪魔は『アバドン』。『闇』の中でもトップクラスの悪魔よ」

ζ( 、 *ζ「子供達はきっと苦しい思いをして死んでいったんでしょうね」

(;゚Д゚)「……」

デレの声は震えていた。
遠目から見ても彼女が泣いているのがわかる。
慰めの言葉は浮かばず、ただ彼女の事を見つめていた。
やがて嗚咽が聞こえてきて、デレの頬を涙が伝った。

31 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:31:15.56 ID:wPi2SKKmO
ζ(;、;*ζ「やっと法術が使えるようになったって喜んでた子も、
明日が誕生日だからって私を誕生日パーティーに招待してくれた子も、
毎日、教会に花を届けてきてくれた子も、みんなみんな死んじゃった」

(,,゚Д゚)「……」

ζ(;、;*ζ「いつも仲良しだった三つ子の兄弟の歌声も、
喧嘩ばっかりしてた男の子と女の子の言い争いも、
夕方になると男の子が毎日吹いていたオカリナも、もう二度と聞けないんだよ?」

(,,-Д-)「……」

ζ(;、;*ζ「『世界で一番強くなる』とか、
『人間界で最高のパートナーを探す』とか、
『俺は海賊王になる!』とか、
みんなそれぞれの夢を話してくれたけど、その夢が叶うことは」もうないんだよ?」

(,,-Д-)「……」

黙ってデレの話に耳を傾けた。
恐怖で泣き叫びながら無惨に殺されていく子供達の姿がありありと浮かぶ。

ζ(;、;*ζ「なんで……皆殺しになんか……」
33 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:35:01.50 ID:wPi2SKKmO
ζ(ぅー;*ζグシグシ

ζ(゚ー゚*ζ「……これが『闇』よ」

(,,-Д-)「……ああ」

改めて教えられた『闇』という存在。
残忍で、凶悪。
なおかつ強力な敵。

(,,-Д-)「……皆殺し、か。一体なんでこの村を襲ったんだ?」

ζ(゚、゚*ζ「それは……」

デレが言葉を濁した。
……言いたくない理由があるのだろうか。

(,,゚Д゚)「まぁ言いたくないならこれ以上は詮索しないが……」

ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね……」

(,,-Д-)「気にするな」

どちらにしろ、『闇』が俺達の敵であることに違いはない。
……だができれば戦いたくない相手だ。
42 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:50:16.32 ID:wPi2SKKmO
(,,-Д-)(でも……)

そんな奴らを野放しにはできない。
いずれは戦わなくてはいけないだろう。

そのためにはもっと強くならなければならない。
今の自分は弱すぎる。
あの時だってヒートをなんとか逃がしてやることすらできなかった。
もしもロマネスクさん達が来なかったら……
考えたらゾッとする。
俺は間違いなく殺されていて、ヒートも危険にさらされていただろう。

(,,゚Д゚)(俺が強くなって……あいつらを守らないと……)

今後の旅にロマネスクさん達がついて来るとは限らない。
そうなると自らの身はもちろん、あの二人を守れるのは自分だけだ。

(,,゚Д゚)(こうしちゃおれん。早くあっちの世界に戻らないと)

(,,゚Д゚)「デレ、あっちの世界に戻りたいんだが……」

ζ(゚ー゚*ζ「あー……。今は無理」
(;゚Д゚)「……は?」
45 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:53:47.44 ID:wPi2SKKmO
(;゚Д゚)「え?なんで?」

ζ(゚、゚*ζ「だって今、あなたの思念体を受け付ける器がないもの」

(;゚Д゚)「へ?死ねん隊?」

ζ(゚ー゚*ζ「ようするにあなたの肉体は、あなたの魂を収容できる状況じゃないってこと」

ζ(゚ー゚*ζ「覚えてるでしょ?自分がどれだけひどい怪我したか」

(,,゚Д゚)「あー……はいはい」



(,,゚Д゚)「……えっ?」

ζ(゚д゚;ζ(理解しろよ!)

ζ(゚д゚;ζ「だから、あなたの体がボロボロすぎて、魂が体に戻れないの!」

(;゚Д゚)(魂が体に戻れない……?)

(;゚Д゚)「まさか……俺は死んだってこと?」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫。死んではいないわ」
48 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 22:57:20.77 ID:wPi2SKKmO
その言葉を聞いてホッとした。
とりあえずまだ生きてはいるらしい。

(,,゚Д゚)「じゃあ……なんで俺は自分の体に戻れないんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「今戻ったらあなたの体は壊れるわ。体が壊れたら本当に死ぬわよ」

(;゚Д゚)「いやいや、待て。意識が戻っただけで壊れるんだったらすでに俺の体は壊れてるんじゃないのか?
意識があるのとないのじゃ大差ない気がするんだが……」

ζ(゚、゚*ζ「何言ってるのよ。魂って結構大きなものなのよ?」

ζ(゚、゚*ζ「あなたの体を風船だと例えると、さしずめ魂は中に入ってる空気ってとこね」

ζ(゚、゚*ζ「風船本体は傷だらけであちこち薄くなっちゃっていまにも破れそうな状態」

ζ(゚、゚*ζ「今は風船から空気を抜いて、ボロボロになった風船本体を治してるの」

ζ(゚、゚*ζ「その状態の風船に空気を入れたらどうなると思う?」

(,,゚Д゚)「ぱーん」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、よくできました」

(,,゚Д゚)(なんか違う気がする)
51 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:00:55.42 ID:wPi2SKKmO
とりあえず、まだあっちの世界には帰れないようだ。
ブーン達が心配だが、仕方ない。

(,,゚Д゚)「……いつ戻れるんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「具体的にはわからないけど……その時には自然と魂が体に帰ろうとするから気にしなくていいよ」

(,,-Д-)「そうか」


もうしばらく精霊界に残ることになりそうだ。
顔をあげ、もう一度焼けた村を見る。
死んでしまった子供達の冥福を祈り、

『強くなろう』

と、もう一度自分に言い聞かせた。


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
53 名前: ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:05:02.62 ID:wPi2SKKmO
治療室……

川 ゚ -゚)「きれいな顔してるだろ?死んでるんだz从#'ー'从「生 き て る !」

从#'ー'从「しかもそのネタ前に見た!」

川 ゚ -゚)「鉄板ネタにしようと思って」

从#'ー'从「使う場所が限られてるじゃない!
それにそんなにギコくんが死にかけたら困るでしょ!」

(#∵)「二人とも!静かにしてください!」

从;'ー'从「あ、すいません……」

川 ゚ -゚)9m「やーい。怒られた」

从#'ー'从「クーちゃんのせいでしょ!」

川 ゚ -゚b「しーっ。静かに」

从#'ー'从(……いつか殴る)
55 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:09:09.13 ID:wPi2SKKmO
治療室は騒がしかった(主にワタナベとクーが)。
それというのもギコの容態が安定して、医者達が付きっきりになる必要がなくなったからだ。

クーとワタナベは現在休憩中だ。
夕べから朝までずっとギコの治療にあたってたのだから。

川 ゚ -゚)「しかし」

从#'ー'从「あ゙?」

川 ゚ -゚)「ブーンはまだギコに付きっきりか?」

从#'ー'从「そうだよ」

川 ゚ -゚)「……いつまで怒ってるんだ」

从#'ー'从「クーちゃんが謝るまで!」

川 ゚ -゚)「ごめんねごめんねぇぇーー!(語尾上がり気味)」

从# ー 从 ブチッ

川 ゚ -゚)(やべ……)

(゚- ゚ 川「さーて……ギコの様子はどうかなぁ〜っと……」

从# ー 从

((( 从# ー 从テクテク……
58 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:13:45.03 ID:wPi2SKKmO
……

ガチャ
从# ー 从

( ΦωΦ)「おおワタナベ。ギコの様子はどうd从# Д 从「死ね!!ロリコン!!!!」

( ΦωΦ)「……」

(;ΦωΦ)「……え?」

ー #从 )))テクテク……

(;ΦωΦ)「え?……えっ?」

(;ΦωΦ)「……」

( ΦωΦ )

(゚、゚トソン「こっちみんな」


……

从*'ー'从「ふぅ……すっきりしました」

从*'ー'从「やっぱりイライラするのはよくないですね」

从'ー'从「さて、私もブーンくんのところに行きますか」
61 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:17:55.53 ID:wPi2SKKmO
……

(;‐ω‐)「……」

川 ゚ -゚)(ブーン……)

ブーンはギコの手を握り、ずっと回復術を使っていた。
昨夜から今日まで一番頑張って治療にあたっていたからか、
その顔には疲労の色が見える。

しかしギコは相変わらず目を覚ます気配はない。

川 ゚ -゚)(……まったく。この二人はよく怪我するな……)

川 ゚ -゚)「おい、ブーン」

(;^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「あまり無茶はするな。ギコの体力も考えろ」

(;^ω^)「お……」

川 - 、-)「私が代わってやる。しばらく休んでこい」

(;^ω^)「おっ……。ありがとうだお……」

ブーンはフラフラしながら部屋を出て行った。
やはりかなり疲れていたようだ。
63 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:22:28.55 ID:wPi2SKKmO
川 ゚ -゚)「ギコにしろブーンにしろ……無理しすぎだ」

川 ゚ -゚)「きっとよほどのマゾヒストなんだな。今度ムチでも買ってやろうか」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「ツッコミ役がいないと淋しいものだな」


川 ゚ -゚)「そういえば……」

川 ゚ -゚)「お伽話でお姫様は王子様のキスで目が覚めるんだよな」

川*゚ -゚)

川*゚ -゚)「い、いいよな」

川*゚ -゚)「うん、いいはずだ。何たって私ヒロインだし」

川*゚ -゚)「今なら誰もいないし……」

川*゚ -゚)「……いただきます」


クーの顔がギコの顔に徐々に近づいていく。
ギコの顔にクーの冷たい吐息がかかる。
そしてついに唇が重な――……

64 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:25:43.20 ID:wPi2SKKmO
(;^ω^)「なに……やってんだお?」

川;゚ -゚)「ブ、ブーン!?」

クーが慌ててギコから離れる。
ブーンからの視線が痛い。

(;^ω^)「今……なにを……まさか……?」

川;゚ -゚)「いや、ブーン。これは……あれだ」

(;^ω^)「い……」

( ;ω;)「いやぁぁぁ!!クーがギコを手籠めにしようとしたぁぁぁぁ」

川;゚ -゚)「待て!ブーン!」

クーの制止を振り切って、ブーンが泣きながら部屋をでていった。
そしてブーンの叫び声を聞いた他のメンバーが部屋に集まってくる。

(;ΦωΦ)「なんだなんだ?」

(゚、゚;トソン「どうしました?」

从'ー'从「クーちゃん、またブーンくんいじめたの?」

川;゚ -゚)「いや、違……」
66 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:29:59.32 ID:wPi2SKKmO
(-、-トソン「なんだそういうことですか」

(゚、゚トソン「ダメですよ、ブーンをいじめちゃ。自分の主人があんな状態で少なからず傷心してるのですから」

川;゚ -゚)「いや、だから……」

( ΦωΦ)「そうだぞ。少しはブーンの気持ちも考えてやれ」

川;゚ -゚)「そうじゃなくて……」

反論する隙も与えられず、スーパーお説教タイムに突入。

ギコのためを思って取った行動(?)が誤解に誤解を生んで現在の状況に至った。
そう考えたクーはギコを恨んだ。

川 ゚ -゚)(あいつが寝てるからいけないんだ!
起きたら一発殴ってやる!プンプン!)

(゚、゚トソン「……聞いてますか?」

川;゚ -゚)「あ、ごめんなさい」

(-、-トソン「いいですか?ブーンはギコが怪我した原因には自分の不甲斐なさも含まれていると思い悩んで……」

川;゚ -゚)(これはしばらく終わりそうにないな)

67 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:35:01.02 ID:wPi2SKKmO
……

<_フ-д-)フ「zzz……」

( ・∀・)「……」

モララーはまだ本を読んでいた。窓からは朝日がサンサンとさしている。

その後ろには山積みになった本と資料、
そしていびきをかいて眠ってるエクストがいた。

( ・∀・)「……」

本のページを一枚めくる。
その本の表表紙には『英雄狐の伝説]T』と書いてあった。

( ・∀・)(おかしい……)

最後のページを読み終え、モララーが本を閉じる。
後ろに積み上がった本の中には『英雄狐の伝説』のT〜]が置いてあり、
モララーがこの本を全巻読んだことを示していた。

( ・∀・)(この本はロビー国にもあった……。有名なお伽話だ)

( ・∀・)(タイトルのこの独特な金の文字……裏表紙についている狐のエンブレム……)

( ・∀・)(ロビー国にあったのと全く同じだ……)
70 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:39:18.89 ID:wPi2SKKmO
(;・∀・)(なのに……なぜだ……?)

(;・∀・)(なぜ内容が違う……)

モララーが感じた違和感。
それはストーリーの不一致だった。

話の大まかな流れは同じだ。
ラウンジの王子フォックスが失われた精霊の力を取り戻すため精霊界に行き、
精霊神と話し合い、精霊の力を取り返す。

この部分は全く同じだった。
しかし、その間の話が全く違っていた。

(;・∀・)(僕が見た本では水龍と戦い、勝利して、水龍を仲間にしていた)

(;・∀・)(でも……これは雷龍を仲間にしてる……)

(;・∀・)(それだけじゃない。肝心の精霊界へ行くシーンも違う……)

(;・∀・)(『雷龍の背に乗り精霊界まで行けり』……。
ここは確か次元の剣を使って精霊界に行く道を作ったって感じの内容だったはずだ)
73 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:42:41.17 ID:wPi2SKKmO
それは些細な違いかもしれない。
しかし、モララーにはどうしてもその些細な違いが気になって仕方がなかった。

(;・∀・)(クーはこの話を聞くといつも『そんなものただのお伽話だろう』と言った……)

(;・∀・)(俺もそう思った。お伽話だと……)

(;-∀-)(でもなんで地域によってお伽話の内容が違うんだ……?偶然か……?考えすぎか……?)

(;・∀・)(もしかしたらギコ達の村でも違う内容の話が……?)

(;-∀-)「……」

( ・∀・)「なんちったりして」

( ・∀・)「ちょっとシリアスな雰囲気出してみました」

( ・∀・)「所詮お伽話はお伽話。地域によって内容が違うなんてよくあることだ」

( ・∀・)「……」

(;・∀・)「そう……だよ……な?」

心の中に小さな違和感を残したまま、モララーは本を棚に戻しはじめた。

76 :>>74ミスった ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:48:32.53 ID:wPi2SKKmO
山積みになった書物を少しずつ棚に戻していく。
モララーがふと顔を上げると、
眩しい朝日が目に入った。

( -∀-)(朝までには帰るとか言ってたのに結局朝になってしまった……)

一応ここの図書館の管理人らしき人には了承を得ているため、いつまで館内にいても問題はない。
ただギコとヒートの様子が気になってならなかった。

( ・∀・)(ギコはもう大丈夫かな……。そう簡単に死ぬやつではないだろうけど)

( -∀-)(それよりもヒートだ。昨日からずっと抜け殻みたいな状態だからな……)

( ・∀・)(なんともなければいいけど……)

( ・∀・)(……)



( ・∀・)(あー……早くクーに会いたい)

いろいろな事を考えながら、黙々と本を棚に戻していく。
半分ほど戻し終えたところでようやくエクストが目を覚ました。

77 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:50:29.25 ID:wPi2SKKmO
<_フ-д-)フ「おはよー……」

<_フ;゚ー゚)フ「ってもう朝かよ!朝までに帰るんじゃなかったのか!?」

(・∀・ )「エクスト。そこにある本を左側の棚の1番下に入れといて」

<_プー゚)フ「あ、はい」

<_フ;゚ー゚)フ「……なんだこの本の量。まさかこれ全部読んだのか?」

( ・∀・)「半分くらいは片付けたけどねー」

<_フ;゚ー゚)フ「すげぇな……。これ全部悪魔や精霊関係の本か……」

( ・∀・)「そう。そういう関係の本も結構あるもんだろ?」

<_プー゚)フ「この『魔法少女ヘリカルナナコ』って本も関係あるのか?」

( ・∀・)「それは僕の趣味」

<_フ;゚ー゚)フ「……」

(・∀・ )「あ、その本は後ろの棚の真ん中ね」

<_プー゚)フ「あ、はい」
79 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:54:10.02 ID:wPi2SKKmO
……

ノハ )「……」

ヒートは結局一睡もできず夜を明かした。
泣きすぎで目は腫れていて、寝不足で目の下にクマができている。

ノハ )(朝か……)

おぼつかない足で部屋を出た。
荷物は全て残し、片手にハルバードを握って。

ノハ )(強くなるんだ……。だから……)

ノハ )(いつまでも一人でウジウジしてられるか!)

ノパ听)「よしっ!」

短く気合いを入れ、歩きはじめた。
向かった先はクエスト屋。

手っ取り早く強くなるなら、実戦が1番。
そう考えた故の結論だった。

クエスト屋の入口に到着した時、ふとハインの事が頭に浮かんだ。
何も言わずに一人で来てしまったが、大丈夫だろうか。

ノパ听)(いや……これは私の問題だからな……。ハイン達を巻き込みたくない)
81 : ◆4br39AOU.g :2009/04/22(水) 23:56:44.69 ID:wPi2SKKmO
扉を開け、中に入る。
クエスト屋の中は、見事に過疎っていた。
クエストを受けようとする冒険者の姿も、旅人の姿も見受けられない。

一応、掲示板には依頼の紙がちらほらと貼ってあった。

ノパ听)(どれがいいかな……)

できれば魔物討伐のクエストがあってほしい。
あることを祈りながら一枚一枚依頼の紙を確認する。


そして見つけた一つの依頼。

ノパ听)「『キマイラが現れて困ってます』……」

ノパ听)「キマイラ?」

キマイラ。
キメラとも呼ばれる山羊の体に蛇の尾、そして獅子の頭を持つ怪物のことだ。
この世界にいる大抵の人間はキマイラの事を知っているだろう。
それほどキマイラという怪物は凶暴なのだ。

……しかしヒートはキマイラの事を知らなかった。

ノパ听)「獣系の魔物か……。ボアなら何度かやっつけたし、問題ないだろう!」

……故に、その危険きわまりない依頼を受けてしまったのだ。
84 :>>82もちけつ(;^ω^) ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:01:28.68 ID:fRp1VFG0O
依頼の場所はヘッドライン共和国の西側に位置する砂漠の村。
距離だけ見ればそんなに遠くはない。
だが、その村に行くためには途中で砂漠を通らなくてはならなかった。

ノパ听)「んー……まぁ、地図を見る限りじゃそこまで大きくないし、大丈夫だろう」

地図をしまって、ゆっくり歩きはじめた。
目的地には昼までに到着できるだろうか。
あまり遅くなるとみんなに迷惑をかけかねない。

ノパ听)(すぐに戻ってくる……。そして、証明するんだ!)

ノパ听)(私はいらない子じゃないって……)

ノハ )(いらない子じゃ……ないって……)

脳裏に蘇る記憶を無理矢理封じ込め、足を進めた。
一人ではこんなクエストを成功させられないかもしれない。
それでも、成功させなくてはいけないのだ。

自分の存在の『証明』のために……。

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

85 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:05:19.65 ID:fRp1VFG0O
精霊界……


トン、トン、トンと断続的な音が響く。
右手には木でできた柄に金属製の槌がついたハンマー……。
いわゆるトンカチを持っている。

左手には数本の釘。
ひざ元には何枚かの木の板が置いてあった。

(;゚Д゚)「ふぅ……」

……そう、俺は今壊れた教会の屋根の修復をしている。

(,,゚Д゚)「くそっ……怪我人をこき使いやがって」

ζ(゚ー゚*ζ「それはあっちの世界での話でしょ?」

(,,゚Д゚)「……それにさ、なんで屋根の修理は手作業なの?
精霊の力で簡単に直せないの?」

ζ(゚ー゚*ζ「私の力は主に生物にしか効かないから」

(;-Д-)「……チッ」

デレに聞こえないよう小さく舌打ちをして、釘を打つ作業に戻った。
自分とデレの二人しかいない世界に釘を打つ音だけが響いた。

86 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:07:58.30 ID:fRp1VFG0O
トン、トン、トン、トン……

(,,゚Д゚)(しかし……)

三枚目の板を貼り終えたところで一旦休憩を入れる。

不思議と疲れはない。
魂は疲れないのだろうか。

だが、それよりも気になることがあった。

(,,゚Д゚)(この屋根に空いた穴……。
他の家の壊されかたと違うな……。
「壊された」というより「無くなった」って感じだ)

他の家や建造物は焼かれた跡や、強い衝撃を受けた跡があった。
だがこの教会だけは何か強力な力で壊されたような跡はなく、
きれいな円形に壁や天井が切り取られていた。

……まるで最初からそこに穴が空いていたかのように思わせるほど、自然な形だった。

(,,゚Д゚)(鋭利な刃物でくり抜いたみたいな穴だ……)

(,,-Д-)(だけどこんな固い材質の壁を切り取れるような武器があるのか?)

(,,゚Д゚)(……と、なると魔法か……)

(,,-Д゚)(だとしたらなんでこの教会だけこんな穴が空いてるんだ?)
89 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:10:29.79 ID:fRp1VFG0O
普通の建造物は焼いたり、物理的な攻撃を加えたりして破壊してあるのに、
なぜ教会だけは魔法を使う必要があったのだろうか。

(,,゚Д゚)(……教会には魔法を使わなければならない何かがあるのか?
教会自体に……もしくは教会の中にいる人物に……?)

下を見ると、デレがとこからか集めてきた花を二、三本ずつ束にしていた。
死んでしまった子供達に供えるためだろう。

(,,゚Д゚)(教会で暮らしてるのはデレ一人だって本人が言ってたな……)

(,,゚Д゚)(まさか『闇』がデレを狙って……?)



(,,-Д-)(いやいや、そんなはずは……。
第一、あんなにひ弱そうなデレに対して魔法を使う必要があるか?)

(,,-Д-)(しかし……他に理由が考えられないな……)

ここで、一つ思い出す。
壊された村を見て俺は「なんでこの村が襲われたのか」とデレに聞いた。

だが、デレは答えなかった。
91 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:13:27.38 ID:fRp1VFG0O
(,,-Д-)(答えなかったのは言いたくなかったからだ)

それは簡単にわかる。
では、なぜ言いたくなかったのか。

(,,-Д-)(……自分を狙ってきた敵によって、子供達が殺されてしまったからか?)


デレのことだ。
子供達が殺されたのは自分のせいだと思ったのだろう。

……自分を狙ってきた敵に殺されたのだから。


(,,゚Д゚)(……まだ仮定の域だが……多分これで間違いないだろう)

(;゚Д゚)(だけど……)

生まれてくる新たな疑問。

……なぜ『闇』はデレを狙ったのか。


デレは一体何者なのか……。

92 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:17:36.26 ID:fRp1VFG0O
普通の精霊とは違う。
前に会った時からそんな感じはした。

じゃあ悪魔の仲間か?
そんなわけがない。

人間?
そんな馬鹿な。
精霊と同じ力を持っているのに。

(;゚Д゚)(デレ……。あんたは一体何物なんだ?)

頬を嫌な汗がつたう。
デレはまだお供え用の花を準備していた。

俺は天井の修理を忘れてずっとデレを見ていた。
人間という生物は、正体がわからないものに恐怖感を覚えるもので、
デレのあの笑顔の下には恐ろしい悪魔の顔が隠れているんじゃないか、
デレのあの優しさの中には裏があるんじゃないかと、

あることないことをいろいろ考えてしまう。

(;゚Д゚)(デレ……)

93 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:19:50.00 ID:fRp1VFG0O
(;-Д-)(バカやろう……!俺は何を考えているんだ……!)

デレに限ってそんなことがあるはずがない。
子供達が死んで、本気で涙した奴が……。

……そんなことを考えていた時だった。


ドォォォーン!!


(,,゚Д゚)「「!!」」ζ(゚ー゚*ζ

突然の爆音。
足場が揺れて、釘が数本落下する。

音の発信源を確認すると、そこにはまがまがしいオーラを纏った男が立っていた。

(  ゚∀゚ ) 「アヒャヒャヒャ……見つけたゼェ。エデン」

ζ(゚ー゚;ζ「……ベリアル!!」

(;゚Д゚)(ベリアル……?悪魔か?)

慌てて天井から下りる。
武器は……トンカチがあるからいいか。

94 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:22:53.91 ID:fRp1VFG0O
(#゚Д゚)「待てやゴルァ!!」

デレと対峙している悪魔に向かって叫んだ。
相手は悪魔。
せめてデレだけでも逃げる時間が稼げればいいが。

(  ゚∀゚ )「さぁテ……どうやって殺してやろうカ」

ζ(゚ー゚*ζ「……その余裕。いつまでもつかしらね?」



(,,゚Д゚)「……あれ?」



(  ゚∀゚ )「アヒャヒャヒャ!そのセリフ……そっくりそのまま返してやル!
覚悟しロ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「覚悟するのはあなたの方でしょ?……かかってきなさい!」



(;゚Д゚)「もしもーし……?」


……俺が空気になってる中、悪魔対精霊の戦いが始まった。

〜続く〜
96 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:24:33.11 ID:fRp1VFG0O
第七話前編は以上です。
では、おまけに参ります

97 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:27:00.59 ID:fRp1VFG0O
('A`)「さっそくみなさんの質問を受けたいと思います」

('A`)「質問ある方はいますか?」

川 ゚ -゚)ノ「私がヒロインっぽいことしてない件」

(;'A`)(またお前か……)

('A`)「それは仕方ないんじゃないの?クーちゃんは安価で決まったヒロインなんだし……」

川 ゚ -゚)(またちゃん付けしやがった……)

('A`)「てかさ、ヒートの方がヒロインっぽいじゃん?」

川 ゚ -゚)「なんだと?」

('A`)「だって最初からいるし……バカだけど健気だし……」

川 ゚ -゚)「ヒロインは物語の最初から出ていて、なおかつ健気でなければいかんのか?」

('A`)「そういうわけじゃないけど……」

川 ゚ -゚)「ならいいじゃないか」

(;'A`)(いいのかなぁ……?)
99 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:28:43.56 ID:fRp1VFG0O
川 ゚ -゚)「つまり、私はヒロインなんだ」

川 ゚ -゚)「ヒロインたるもの主人公とイチャイチャする必要があるだろう」

('A`)(別に必要ないと思う……。でも口に出すと殴られそうだから何も言わない)

川 ゚ -゚)「そ・こ・で・だ」

川 ゚ -゚)「ギコとイチャイチャするためにまずギコの好感度を上げようと思う」

川 ゚ -゚)「でもクーちゃんはそういう経験がないから、みんなに手伝って欲しい」

川 ゚ -゚)「ではまず何をすればいいか、>>103頼んだ」
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:37:06.01 ID:8mmXUziiP
kskst

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:37:15.51 ID:mxQ7NTt1O
>>99
ギコに寝技

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:37:22.51 ID:OA5yVqIC0
ksk

104 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:37:30.24 ID:fRp1VFG0O
('A`)(このまま>>103まで届かなかったら、クーも諦めるかな……?)

(*'A`)ノシ「>>83>>100アリガトー」
106 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:50:50.76 ID:fRp1VFG0O
(;'A`)「……って書き込んでる隙に一気に来たよ」

川*゚ -゚)「よし!kskするぞ!」

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

(,,-Д゚)「……で?何の用だ?」

川 ゚ -゚)「ksk」

(,,゚Д゚)「……は?」

川 ゚ -゚)「kskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskksk
kskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskksk
kskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskksk
kskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskkskksk」

(;゚Д゚)「……」

ヾ川*゚ -゚)ノ「kskst!!」

(;゚Д゚)「………………」

川*゚ -゚)「どうだ?」

(,,゚Д゚)「意味がわからん」

107 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 00:54:51.13 ID:fRp1VFG0O
川#゚ -゚)「……なんかダメだったぞ」

('A`)「いや、あそこは>>103じゃなくて>>102する流れだったろ」

川#゚ -゚)「安価は絶対だ!次喋ったら凍らすぞウジ虫!」

(;'A`)(なぜここまで言われないといけないんだ……)

川 ゚ -゚)「よし、今度はプレゼント作戦だ!」

(;'A`)(まだやんのかよ……)

川 ゚ -゚)「なにをプレゼントしたらいいか>>110頼んだ!」

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:55:41.93 ID:w2a34LmvO
kskst

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:56:31.08 ID:8mmXUziiP
ksk

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:56:38.14 ID:OA5yVqIC0
クー

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 01:02:52.24 ID:mxQ7NTt1O
>>110
まさにこの図
http://imepita.jp/20090423/036780
113 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 01:06:26.72 ID:fRp1VFG0O
川 ゚ -゚)「クー……だと?」

川*゚ -゚)「>>110お前頭いいな」

川*゚ -゚)「そうと決まれば早速準備だ!!」

川*゚ -゚)(待ってろよギコ……これで確実に落とす!!)

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・


(,,゚Д゚)「なんだなんだまた呼び出して」

川*゚ -゚)「ふふふ。いいものをやろうと思ってな」

(,,゚Д゚)「いいもの?」

川*゚ -゚)っ「それはこれだ!!」

(,,゚Д゚)「『Qoo』……?」

(*゚Д゚)「うん、美味い」

川*゚ -゚)「だろ?」

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 01:09:39.81 ID:8mmXUziiP
そっちかw

115 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 01:10:57.84 ID:fRp1VFG0O
川*゚ -゚)「今度は手応えアリだったな」

(#'A`)(全裸で待ってた俺の時間を返せ……!)

川 ゚ -゚)「さて、好感度もちょっと上がったことだし……マジで落としにかかるか」

川 ゚ -゚)「いよいよ告白だな」

(#'A`)(それはまだ早いだろ!もう少し好感度上げろよ!)

川 ゚ -゚)「緊張するな……。なんて言おうか」

川 ゚ -゚)「>>117頼む」

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 01:11:48.84 ID:OA5yVqIC0
kskst

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 01:15:42.74 ID:8mmXUziiP
好きだ。彼女にしてくれ

118 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 01:21:25.46 ID:fRp1VFG0O
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

(;-Д-)「三度も呼び寄せやがって……用件があるなら一度に済ませろっての」

川 ゚ -゚)「ギコ」

(,,-Д゚)「あ?」

川 ゚ -゚)「大事な話なんだ。よく聞いてくれ」

(,,゚Д゚)「あ、ああ……」

川 ゚ -゚)(よし、落ち着けよ私……。ついにここまで来たんだ)

川 ゚ -゚)(あとは『好きだ。彼女にしてくれ』って言うだけ……)

川 ゚ -゚)(私ならできる!なんたってヒロインなんだから!!)

川 ゚ -゚)(言うぞ!!)

119 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 01:26:27.29 ID:fRp1VFG0O
川 ゚ -゚)「あのな……ギコ……」

川*> -<)「す、好きだ!彼氏にしてくれ!」

(,,゚Д゚)「……」



(;゚Д゚)「は?」

川 ゚ -゚)「え?」

川;゚ -゚)「だ、ダメか……?」

(;゚Д゚)「えっ?何かいろいろと間違ってるよね?」

川#゚ -゚)「何を言う!私は本気だぞ!」

(;゚Д゚)「はぁっ!?本気で言ってるのか!?無茶言うなよ!」

川# - )ピキッ

川#゚ -゚)「ギコ……お前には失望した」

(;゚Д゚)「えぇっ!?」

川#゚ -゚)「私の気持ちを踏みにじりよって……。お前なんか嫌いだ!アカンベー!」
121 : ◆4br39AOU.g :2009/04/23(木) 01:35:31.88 ID:fRp1VFG0O
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜

(;-Д-)「……ってことがあったんだが、俺はどうすればよかったんだ?」

(;'A`)「……」

(;-Д-)「あそこは素直にクーの彼女になった方がよかったのかな?」

(;'A`)「……大丈夫だギコ。お前は間違ってない」

(;-Д-)「……ですよね」



おまけは以上です。
質問があれば受け付けます。
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:01:01.86 ID:w2a34LmvO
从'ー'从支援だよ〜
http://imepita.jp/20090422/846570
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/23(木) 00:31:02.29 ID:mxQ7NTt1O
ロリコン間に合ったー!
http://imepita.jp/20090423/017860

トソン描いた人も来ててよかよか
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