第七話後編
7 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:40:07.20 ID:2uRgp4XlO
〜これまでの主な登場人物&精霊〜

(,,゚Д゚) ギコ=モナルド 人
元素 風
装備 ロングソード 銀の胸当て
父親を探すために精霊界を目指している青年。何かと不器用なムッツリスケベ。ツッコミ担当。計画性なし。

( ^ω^) ブーン 精霊
元素 風
装備 淡緑色のツナギ 風の宝玉の欠片
ギコの精霊。語尾に「〜お」とつける白い豚な精霊。だが、癒し系。風呂好き。


ノパ听) ヒート=スナオ 人
元素 火
装備 ハルバード 鋼の胸当て
なんとなくギコの旅について来た元気のよい女の子。過去に何かあったみたいだが詳細不明。

从 ゚∀从 ハインリッヒ 精霊
元素 火
装備 レザーコート
ヒートの精霊。ちいさいくせにどこか大人びた雰囲気がある。しかし性格は中学生並。寝起き悪し。チキン。

( ・∀・) モララー=S=ファウス 人
元素 水
装備 ダガー 白い服
高価な機材をぶっ壊し、ロビー城の精霊研究施設をクビになった青年。困ったらクーにお任せ。

8 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:41:50.79 ID:2uRgp4XlO
川 ゚ -゚) クール 精霊
元素 水
装備 水色のドレス
モララーの世話をするのが面倒でしょうがない。この物語のヒロインらしい。キャラ崩壊注意。

('A`) ドクオ=マダチェリー 人(?)
元素 ???
装備 ロングボウ ただの服 不細工な顔
VIP村に住む元狩人。今は精霊使いを目指しているが、今年で三浪目の29歳童貞。
かわいい女の子型の精霊とあんなことやこんなことをしたいらしい。

( <●><●>) ワカッテマス=アンダスト ???
元素 地
装備 ただの服
ギコが精霊使いの試験を受けた時の試験官。詳細不明。今回ちょっとだけ出てきます。

( ΦωΦ) ロマネスク=スギウラ 人
元素 風
装備 大剣 皮の服
突然ギコを襲ったおっさん。元ラウンジの傭兵。『闇』にさらわれたぽろろを助けるべく旅をしている。

从'ー'从 ワタナベ 精霊
元素 風
装備 白のワンピース
ロマネスクの精霊。ブーンの知り合い。いつものんびりとしている。
10 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:44:07.42 ID:2uRgp4XlO
(゚、゚トソン トソン=ツムラ 人
元素 雷
装備 レイピア トライデント ラウンジの兵服
元ラウンジの傭兵でロマネスクの仕事仲間。通称『雷神』。ロマネスクを追って、ラウンジを去ったらしい。

<_プー゚)フ エクスト 精霊
元素 雷
トソンの精霊で、バカ二号。座右の銘は『成せばなる』。詳細不明。

爪゚ー゚) ジィ 悪魔
元素 闇
装備 なし
『闇』のメンバーの一人で、バカ三号のヴァンパイア。詳細不明。

o川*゚ー゚)o キュート 悪魔
元素 闇
装備 なし
『闇』のメンバーの一人のサキュバス。幻覚を見せる魔法を使う。詳細不明

ζ(゚ー゚*ζ デレ(エデン?) ???
元素 光
装備 ???
時々ギコに夢を見せていた精霊(?)詳細不明。

11 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:46:06.48 ID:2uRgp4XlO
(  ゚∀゚ )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

(;゚Д゚)「……」


教会では、一人の男と一人の女が睨み合っていた。
片や悪魔、片や精霊。
双方に動きはなく、依然膠着状態が続いている。

俺はその様子を固唾を呑んで見守っていた。

(  ゚∀゚ )「……ッ!」

先に動いたのは悪魔の方だ。
一瞬でデレとの間を詰める。
あっという間にデレは悪魔の攻撃可能範囲内に入った。
悪魔の拳がデレに振り下ろされる。

ζ(゚、゚*ζ「フッ……!」

しかし悪魔の攻撃が当たる寸前、デレの姿が消える。
そのため拳は空を切り、その勢いのまま床にたたき付けられた。

12 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:48:34.33 ID:2uRgp4XlO
……それによって生まれたのは爆音と衝撃波。
拳がたたき付けられた場所には小さなクレーターが出来ていた。

(;゚Д゚)(なんつーバカ力だ……)

(  ゚∀゚ )「消えタ……?どこへ行っタ」

悪魔の首が180度回転する。
二つの小さな目がギョロギョロと動いていて不気味だ。
その様子をぼーっと眺めていると、
ふいに悪魔と目があってしまった。

( ゚∀゚ )「ン……?お前ハ……?」

(,,゚Д゚)「あ、今まで気づいてなかったんだね」

(,,-Д-)「まぁいい。教えてやる。俺は……(  ゚∀゚ )「エデンの奴……!どこへ消えタ!!」

(#-Д-)「……」

( ゚∀゚  )「で……お前ハ誰なんダ?」

(#-Д-)「……もういい!」

話を聞かない悪魔に腹を立てて、金鎚を握りしめる。

(#゚Д゚)「デレはどこかに避難したんだろうよ!ここからは俺が相手になってやる!」

13 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:50:13.91 ID:2uRgp4XlO
(  ゚∀゚ )「エデン……逃げたカ……」

(# Д )ブチッ

また無視。
「ターゲットはデレ一人だけ。他の奴はどうでもいい」とでも考えているのだろうか。
しかしここまで無視されると腹が立つ。

(#゚Д゚)「無視……すんなよ!!」

右手に握りしめた金鎚を振りかざし、跳躍。
そして悪魔の脳天目がけてそれを振り下ろした。


(  ゚∀゚ )「……無視するナって言われてもナァ……」


ゴッ、という音がして悪魔の頭に槌の部分がめり込む。
しかし悪魔は相変わらず涼しい表情をしていた。


(  ゚∀゚ )「俺、弱い奴ニハ興味ないカラ」

(;゚Д゚)「な……っ!?」

14 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:53:20.74 ID:2uRgp4XlO
振り下ろした金鎚は見事に悪魔の脳天にヒットした。
跳躍してから振り下ろされたそれにはかなりの勢いがあったはずだ。
実際、槌の部分は五分の一ほど悪魔の頭にめり込んでいる。
普通の人間なら頭がかち割れて死んでいるだろう。


(;゚Д゚)「そんな……馬鹿な……」

(  ゚∀゚ )「アヒャヒャヒャ。俺の鋼の肉体ニ人間如きガ傷を付けることナド不可能なのサ」

(;゚Д゚)(嘘だろ……?どんな生物でも頭の筋肉なんて鍛えようがないのに……)

(  ゚∀゚ )「オイ、人間」

(;゚Д゚)「は?」

(  ゚∀゚ )「無視するなって言ったよナ」

(;゚Д゚)「あ、あぁ……」

(  ゚∀゚ )「……相手してやるヨ」

突如、悪魔の拳が俺に向かってきた。
体を捻り、それを回避する。

15 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 21:57:16.07 ID:2uRgp4XlO
(  ゚∀゚ )「ただシ」

一撃目を回避したところで、もう片方の腕が振られているのに気づく。
……今度は避けられない。
防御のために腕を十字に組み、悪魔の拳を受けるが……



(  ゚∀゚ )「一秒だけナ」


……全く、無意味だった。

丸太のような腕から繰り出された一撃によって、
俺の体はまるでピンポン玉のように吹き飛ばされた。

教会に新たな穴を開け、外まで飛ばされる。
荒れ果てた地面の上をゴロゴロと転がり、教会から数十m離れたところで止まった。


(;-Д゚)「ちっ……。力だけはバカみたいに強ぇな……」

あれだけの攻撃を受けたが、やはり痛みはなく、体にも傷ついた痕はない。
しかしいざ立ち上がろうとすると、体に力が入らなかった。

16 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:01:20.79 ID:2uRgp4XlO
もう一度立ち上がろうとする。
痛みもないし、体のどこにも傷はない。
なのに力が入らない。

(;゚Д゚)(なんでだ……?)

《もう!ギコったらなにやってるのよ!》

(;゚Д゚)「!?」

突然聞こえた声。
声の主はデレだろう。
しかし、その姿はどこにも見当たらなかった。

(;゚Д゚)「デレか?」

《そうよ。今は姿を消してるけどあなたの横にいるわ》

(,,-Д-)「そうか……」

情けないことにデレがそばにいるということで安心してしまった。
この場面では、普通ならデレを逃がすことを優先的に考えるべきだっただろう。

ああ、やっぱり俺は弱いんだなと実感する。
19 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:05:25.00 ID:2uRgp4XlO
《それより!なんであいつと戦おうとしたのよ!魂だけの状態で!》

(;-Д-)「それは……プライドの問題で……」

《もう……。もし魂が壊されちゃったら本当に死んじゃうんだからね》

(;-Д-)「サーセン……」

《……魂は案外もろいんだから。いい?しばらく動いたらダメよ》

(;-Д-)「はーい……」

《だから……》

ζ(゚ー゚*ζ「そこで大人しく見てなさい」

光の粒子が集まり、一瞬強く発光してデレが姿を現した。
左手に不思議な形の弓を持って……。

ζ(゚ー゚*ζ「さーて……。ここからが本番よ!」

デレの右手に光の粒子が集まる。……それは徐々に形を成していき、
一本の矢ができた。

20 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:07:52.28 ID:2uRgp4XlO
光り輝く矢を掴み、弓を引く。
弓がギチギチと音をたてるほど強く弦が引かれていた。

ζ(゚ー<*ζ(狙いは……心臓……!)

ここから悪魔がいるところまでは結構遠い。
弓の技術だけは無駄に優れているドクオさんでも、
この距離から悪魔を射抜くことは難しいだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「そこっ!」

矢が放たれる。
キィンという音がして高速の矢が教会へ飛んでいった。

(  ゚∀゚ )「……!」

矢の存在に気づいた悪魔は、慌てて横に回避。
矢は左の脇腹を掠った。

ζ(゚、゚*ζ「あー……惜しい」

(;゚Д゚)(悪魔に当たった……?すげぇ……)

21 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:11:38.71 ID:2uRgp4XlO
悪魔が傷痕を指でなぞると、指に紫色の液体がつく。
悪魔はそれを舐めとり、ニタァと嫌な笑みを浮かべた。

(  ゚∀゚ )「エデン……そこカ!!」

風を裂き、恐ろしい速度で悪魔がこちらへ向かってくる。
デレは二本目の矢を構えていた。

矢を放つ。
高速で向かってくる悪魔に光速の矢が飛ぶ。

(  ゚∀゚ )「アヒャヒャ!!甘いゼェ!!」

(  ゚∀゚ )「『無の左腕』」

悪魔が左腕を突き出す。
そこから生じたのはドス黒い球。
矢はその球に吸い寄せられ……、消失した。


(;゚Д゚)「なんだ今のは!?」

ζ(゚ー゚*ζ「矢を別の次元に飛ばしたのよ。あの小さなワームホールを使って」

(;゚Д゚)「? わーむほーる?」

ζ(゚ー゚*ζ「次元の穴のこと!」

(;-Д-)「???」
23 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:15:34.52 ID:2uRgp4XlO
(  ゚∀゚ )「雑談トハ余裕だナァ!エデン!!」

いつのまにか悪魔がすぐ横にいた。
右腕にタメを作り、いつでも殴る準備はできているようだ。

(  ゚∀゚ )「『破壊の―――』」


ζ(゚ー゚;ζ「まずいわ!ギコ!逃げて!」

(;゚Д゚)「ダメだ!動けない!」


(  ゚∀゚ )「『右腕』!!」

ζ(゚ー゚;ζ「『光の壁』っ!!」

逃げることもままならず、悪魔の右腕が振り下ろされる。
同時にデレが琥珀色の壁を頭上に創りだした。

激突音、そして上からの衝撃。


(; Д )「ぐぇ……」

降り注ぐ強力な重圧。
体が押し潰されるような感覚がした。

24 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:19:00.07 ID:2uRgp4XlO
ζ(゚ー`;ζ「く……。お願い!もう少し耐えて!」

デレは両手を上に突き出し、苦しそうな表情をしていた。
壁の中心には亀裂が入っていて、壊れるのも時間の問題だ。

(;゚Д゚)(このままじゃマズイ……!)

両手に力を入れて体を起こす。
火事場の馬鹿力というかクソ力というか、
先程まで全く力が入らなかった体を起こすことが出来た。
二の足でしっかりと土を踏み、立ち上がる。
上からの重圧に抗い、直立した。
壁の亀裂はどんどん大きくなっている。


(;゚Д゚)(武器……なんか武器……!!)

金鎚はもうない。
剣はこっちの世界に来た時点ですでになかった。


(;゚Д゚)(素手で攻撃するか?……いや、金鎚であれだけ強く殴ったのにケロッとしてたくらいだ。
俺のパンチなんて蚊が刺したくらいにしか感じないだろう)

25 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:22:02.93 ID:2uRgp4XlO
折角動けるようになったのに攻撃手段がない。
このままじゃいずれ壁も壊されてしまう。
壁が壊れたら、俺は無事かもしれないがデレはひとたまりもないだろう。

(;゚Д゚)(くそ……!なにかないのか!!)


その時だ。
デレの足元で何かが光る。
目を懲らして見ると、そこには先程までデレが使っていた弓が落ちていた。

俺は慌てて走り寄り、それを拾う。


(;-Д゚)(弓なんて使ったことないが……。)

躊躇ってる時間はない。
光の壁の下から離れ、悪魔が狙える場所へ移動する。

悪魔は自分の標的に集中してるのか、それとも俺のことなど気にしていないのか、
俺の動きを警戒するそぶりはなかった。

……どちらにしろ好都合だ。

26 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:25:11.57 ID:2uRgp4XlO
距離は五mくらい。
これなら俺でも悪魔に矢を射ることはできる。

弓を正面に構え矢をつがえ……

矢を……

……矢?

(;゚Д゚)(しまったぁぁぁぁ!!)


……矢など持っていない。
さきほどまでもデレは何もない空間から矢を創りだしていた。

つまり、今この場に矢はない。


(;゚Д゚)(弓だけじゃ……何も意味ない……)

光の壁の亀裂がさらに大きくなる。
もう十秒ももたないだろう。


(;-Д-)(矢!!矢があれば……!!)

27 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:28:21.56 ID:2uRgp4XlO
光の壁が少しずつ崩れてきた。
デレの表情が歪む。

俺はなぜこんなに無力なんだ?
目の前で苦しそうな表情をしている奴がいるのに……

誰も……護れないのか?


(,,-Д-)(そんなこと……)


(#゚Д゚)「あってたまるか!!」

悪魔の視線が一瞬こちらに移った。

(#゚Д゚)「俺はまだまだ弱いかもしれないけど!!」

――右手に集まる光の粒子。

(#゚Д゚)「それでも!!」

――それは一本の矢を形成し、手の平に落ちた。

(#゚Д゚)「誰かを護ることぐらいはできるだろ!!」
29 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:31:59.10 ID:2uRgp4XlO
すぐさま弓を構え直し、
手の平に落ちた矢を掴み、
弦を力一杯引っ張る。

(#゚Д゚)「喰らっとけ!!」

右手を離す。
矢が飛ぶ。
光の壁が割れる。
悪魔が笑う。

――光の壁が壊れるのと、矢が悪魔の右腕に突き刺さるのは同時だった。


(  ゚∀゚ )「……ア?」


(  ゚∀゚ )「アアアア」


(  ∀ )「アアアアアアアアアアアア!!」

悪魔の右腕からはシュウシュウと煙が上がっていた。
デレは無事のようだ。

(; ゚∀゚ )「なぜダ!!あの矢は光の精霊にしか作れないはずだ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「それはね……」
31 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:35:35.77 ID:2uRgp4XlO
デレが手をかざす。
するとデレの顔前に魔法陣が展開され、そこから巨大な光の槍が現れた。
悪魔の顔から血の気が引いていく様子がここから見てもわかる。


ζ(゚ー゚*ζ「ギコは、特別だから」

(; ゚∀゚ )「??」

ζ( ー *ζ「『最後の審判』」

閃光。
悪魔の胸を光の槍が貫いた。

悪魔の体中から煙が出てくる。
そして体がボロボロと崩れていった。

ζ(゚ー゚*ζ「……サヨナラ」

(  ゚∀゚ :.「ア……ヒャ。アヒャヒャヒャ!」

(  ゚∀::..「俺が人間なんカのせいで負けルとは……」

(  ゚::..「だけド俺が死んだラ『闇』の上層部の奴ラが黙ってないゼ」

(:::...「どうセ死ぬんダ!お前も、お前の仲間モな!アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」


甲高い笑い声を残して、悪魔の姿は消えて無くなった。

32 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:38:51.77 ID:2uRgp4XlO
荒れた大地に静寂が戻る。

(;-Д゚)「勝っ……た?」

緊張の糸が切れ全身の力が抜けて、
ヘナヘナとその場に座りこんだ。

弓を握った左手は汗でびっしょりと濡れている。
心臓はまだ早鐘のように鳴り続けていた。


(;-Д-)「あー……なんかすっげぇ疲れた」

そのままゴロンと仰向けになって寝転がる。
風が気持ちいい。


(,,-Д-)(……俺、悪魔をやっつけたんだな)

右手を天にかざしてみた。
矢は出てこない。


(,,-Д-)(あの時……どうして矢を創りだすことが出来たんだろう)

33 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:41:41.86 ID:2uRgp4XlO
自分は人間であって、精霊ではない。
火を出すことも、風を吹かすこともできない。

ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの?手を開いたり握ったりして」

(,,゚Д゚)「いや……なんであの時矢がでてきたのかなぁ……って」

ζ(゚ー゚*ζ(イメージの具現化……。本来なら光の精霊にしか使えない術……。
それをギコが使うことが出来のは……)

ζ(^ー^*ζ(……やっぱり『血』かしらね)

(;-Д-)「もう一回やろうとしても出来ないんだ」

ζ(゚ー゚*ζ(あとは『心』の問題……。使いこなすにはまだまだ時間がかかりそうね)

(,,-Д゚)「聞いてる?」

ζ(^ー^*ζ「ううん」

(#-Д-)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「冗談よ。男の子がこんなことで拗ねちゃダメ」

34 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:44:32.17 ID:2uRgp4XlO
ζ(゚ー゚*ζ「それより、ホラ。あなたの魂はもう戻れる状態みたいよ」

(,,゚Д゚)「は?」

自分の腕を見ると、ところどころから光の球が出てきていた。
フワフワと浮かんでは消える光の球。
光の球が消えていくのにつれて、自分の体はどんどん薄くなっていく。

(,,゚Д゚)「案外早かったな」

ζ(゚ー゚*ζ「きっと向こうの世界にいる子達が頑張ったのよ」

(,,-Д-:..「……だな」

ζ(^ー^*ζ「ふふ。いい子達ね。あなたが護ってあげなきゃダメよ?」

(,,゚::...「言われなくとも。そのつもりさ」

ζ(^ー^*ζ「そうね。……じゃあバイバイ」

(,:::...「……じゃあな」

光の球の量が増える。
そして目の前が真っ白になったとき、俺の意識は途絶えた。

35 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:47:07.20 ID:2uRgp4XlO
ζ(゚ー゚*ζ(……次、会った時はきっと全部話す時ね。私のこと……ギコのこと……そして)



ζ( ー *ζ(フサのことを……)


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

ヘッドライン共和国南西の砂漠……


ノハ;´兪)「疲れたー。もうダメだぞー……」

砂漠のど真ん中で座り込むヒート。
脚はパンパン、疲労はピークに達していた。
それもそのはず、ヒートは前の晩一睡もしてないのだ。


ノハ;´兪)「暑いぞー水が欲しいぞー」

その上砂漠に入るための準備も怠ったため、満足な量の水と食糧を持っていなかった。
周りは見渡すかぎりの砂漠。
まだ村は見えてこない。
37 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:49:48.27 ID:2uRgp4XlO
ノハ;´兪)(こんなヘロヘロな状態で魔物と戦ったら負けるだろうな……)

ノハ;´兪)(それ以前に……早く砂漠から抜け出さないと……)


疲れた体に鞭を打ち、ゆっくりと立ち上がる。
そして、ハルバードを杖の代わりにして歩きはじめた。

ノハ;´兪)「暑いぞー。気持ち悪いぞー」

村の姿はまだ見えてこない。
しかし足を進めていると、向こうの方に何かが見えてきた。

ノハ;゚听)「ん……あれは……?」

ぼんやりと見える何本かの木。
そしてうっすらと緑色の土。
ヒートの目に輝きが戻る。

ノハ*゚听)「オ ア シ ス だぁぁぁぁ!!」

水を得た魚のように元気を取り戻したヒートは、
オアシスに向かって全速力で走り出した。

38 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:52:19.39 ID:2uRgp4XlO
〜〜30分後〜〜


ノハ;゚兪)「ヒィ、ハァ、フゥ…………」

ノハ;´兪)「なぜだぁぁぁ……。どれだけ歩いてもオアシスに辿り着かないぞぉぉぉ」

その場に座り込むヒート。
悲しいかな彼女の見つけたオアシスは蜃気楼である。

しかしそれに気づくことなく、ヒートは再び歩き出した。
虚像のオアシスを目指して……。

ノハ;´兪)「み、水……」

照り付ける太陽は体力を奪い、
乾燥した空気は体内の水分を奪い、
どこまでも続く広大な砂の大地はやる気を奪う。


ノハ;´兪)(砂漠……恐ろしい子!!どうやら私は砂漠をなめていたようだ……)
40 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:54:29.22 ID:2uRgp4XlO
すでにヒートの体力は限界だった。
口の中もカラカラに渇いているうえ、
意識も朦朧として足取りもおぼつかない。

しかし、こんな砂漠の中に休めるような空間はない。


ノハ;´兪)「ぁぁぁ……もうだめだ……」

フラフラとその場に倒れ込む。
太陽によって熱せられた砂が熱い。

しかし暑さと疲労でヒートの思考は停止していて、
そんなことを感じる余地もなかった。

次第に遠のいていく意識。
いつの間にかヒートはこの死の大地で眠りに落ちてしまっていた。







  _
( ゚∀゚)「ん?」

41 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:56:47.21 ID:2uRgp4XlO
ヒートが意識を失ってすぐ、
向こうの方から一人の男が歩いてきた。

がっしりした体にきりりとしまった眉。
体のあちこちにある傷は魔物との戦いでついたものだろうか。

  _
( ゚∀゚)「こんなところにおっぱいが二つ……」
  _
( ゚∀゚)「これは揉むべきかいじるべきか……」



  _
( ゚∀゚)「揉んどくか!」

ヒートの体を軽く起こし、防具の隙間から手を滑らして二つの膨らみに触れる。
そしてそれを優しく……壊れ物を扱うように丁寧に揉んでいった。

  _
( ゚∀゚)(サイズは……BとCの中間くらいだな)

  _
( ゚∀゚)(ニュー速のあたりから来たのか。ご苦労なこった)

  _
( ゚∀゚)(お!こいつ炎使いか!気があいそうだねぇ!)

  _
( ゚∀゚)(……ああ柔らかい……)

42 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 22:58:19.43 ID:2uRgp4XlO
  _
(;゚∀゚)「ってこんなことしてる場合じゃねぇな。すごい熱だ」

  _
(;゚∀゚)「えっと……確かあっちに人間の村があったはず」


男はヒートを軽々と担ぎ、歩きだした。
ヒートが目指していた村の方向へ……


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・


一方その頃……


(,,゚Д゚)「……」





(,,゚Д゚)「あれっ?」

43 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:01:58.30 ID:2uRgp4XlO
目覚めた場所は白い部屋の真ん中にあるベッドの上。
まわりには見たこともない機材がたくさんある。

全身に包帯が巻いてあり、あちこち板で保定されていた。
なかなかひどいケガだったようだ。


(,,゚Д゚)(そんなことはどうでもいい。……みんなはどこだ?)


部屋は静かだ。
物音一つない。
部屋の外からも音が聞こえないということはみんなこの場にいないのだろう。


(,,-Д-)(目が覚めたらブーンが横にいてくれると思ったんだが……)

冷たい奴らだと思いながらゆっくり立ち上がる。
……よし、歩ける。

壁づたいに歩きドアを開け部屋から出た。


やはり誰もいない。

(,,゚Д゚)(宿屋かな……?)
45 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:04:43.52 ID:2uRgp4XlO
医療施設のような場所を後にし、宿屋を探す。

太陽がギラギラと照っていて暑い。
しかも体中に巻かれた包帯が蒸れて気持ち悪かった。


(,,゚Д゚)「お、ここか」

宿屋の中に入ると、ほんのりと甘い香りがした。
あちこちに置いてある花のためだろう。

二階にあがり、適当な部屋を開ける。


Σ(`ェ´)ピャッ!?


(;゚Д゚)「あ、すいません。間違えました」


慌てて扉を閉め、別の扉を開ける。
今度の部屋にはヒートの荷物が置いてあった。

しかし肝心の本人の姿は見当たらない。

46 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:07:18.07 ID:2uRgp4XlO
(,,゚Д゚)(荷物が置いてある……ってことはまだみんなは遠くに行ってないはずだ)


窓から外を眺める。
眼下には小さな家が建ち並び、
少し遠くに目を向ければ大きな城が見えた。
そのさらに奥には砂漠が広がっている。

だが、みんなの姿は見当たらなかった。


(,,゚Д゚)(城の方かな?)

宿屋をあとにし、城へと向かう。
怪我のせいで早く動けないのがなんとも歯痒い。

ゆっくりと、痛みをこらえながら歩き進んでいった。


(;゚Д゚)「それにしても暑い……暑すぎる」

額に浮かんだ汗を拭う。
しかし汗は止めどなく流れてくる。

47 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:09:38.93 ID:2uRgp4XlO
太陽は真上に位置しているため、この時間帯が暑いのは仕方がない。
だが、この暑さはいささか異常に思える。


(;-Д-)「いくら砂漠に囲まれてる国だからと言って……この暑さはないだろ」

そう呟いた時だった。
前方からこちらに走り寄ってくる人影、
俺のよく知っている人物。

モララーだ。


(;・∀・)「ああ!ギコ!!」

(,,゚Д゚)「モララー……」

(;・∀・)「いつの間に起きたの?……いや、それよりも大変なんだ!!」

(,,゚Д゚)「お前の慌てぶりを見りゃわかる。落ち着け」

(;・∀・)「これが落ち着いてられないんだよ!!」

(,,-Д-)「……」

48 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:12:09.45 ID:2uRgp4XlO
(,,゚Д゚)「はい深呼吸!!」

(;・∀・)「!!」

(;-∀-)スーハースーハー……

(,,-Д゚)「落ち着いたか?」

(;・∀・)「少しは」

(,,-Д-)「……よし」

(;・∀・)「よし。じゃないよ!!何小さくガッツポーズしてんだよ!
ヒートがいなくなったてのに!!」

(,,゚Д゚)「……」



(;゚Д゚)「な、なんだってー!?」

(;゚Д゚)「どこ行ったんだあいつ!」

(;・∀・)「それが南西にある砂漠らしいんだ」

(;゚Д゚)「砂漠?なんで?」

(;・∀・)「知らないよ!」
50 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:14:40.62 ID:2uRgp4XlO
この暑さの中、荷物を置いて砂漠に行くなんて自殺行為だ。
いや、例え気温が低かったとしても何も持たずに砂漠へ行くなど馬鹿のすることだ。


(;-Д-)(まぁ……あいつらしいと言えばあいつらしいが)

(;・∀・)「昨日から様子がおかしかったから心配なんだ……何もなければいいけど」

(,,゚Д゚)「様子が変だった?」

(;・∀・)「うん。ハインが言うには……ギコが必死に戦ってるのに何も出来ない自分に負い目を感じてたらしいよ」

(,,゚Д゚)「!」



(,,-Д-)(何も出来ない……か……。考えることは同じなんだな)

自分もそうだ。
ヒート達を守れない不甲斐なさを恥じ、強くなろうと決意した。

だからヒートの気持ちもよくわかる。


(,,-Д-)(もし、俺がヒートの立場だったら……)

51 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:17:16.11 ID:2uRgp4XlO
(,,゚Д゚)「モララー。クエスト屋はどこだ?」

(;・∀・)「え?クエスト屋なら城の近くにあるけど……」

(,,゚Д゚)「よし、行くぞ。案内してくれ」

(;・∀・)「ちょっと待って。なんでクエスト屋に?ヒートは砂漠に行ったのに……」

(,,-Д-)「ヒートは『強くなりたい』って思ったはず。
あいつのことだ、強くなるには実戦が1番だと考えるだろう。
そうなるとクエスト屋で魔物討伐の依頼を受けるのが1番手っ取り早いからな」

(;・∀・)「確かにそれも有り得るけど……信憑性が……」

(,,゚Д゚)「うるさい、黙れ。早く連れてけ」


モララーの反論を無視し、勝手にモララーの肩に手を回す。

無論、下心はない。
まだ怪我した箇所が痛むため、こうしたほうが楽に歩けるのだ。


……しかし何故かモララーは頬を紅く染めていた。
53 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:19:21.22 ID:2uRgp4XlO
(*・∀・)「ど、どうしたんだ?突然甘えてきて」

(,,-Д-)「馬鹿やろう。肩借りるだけだ。甘えてなんかねぇよ」

(*-∀-)「もうギコったら。恥ずかしがらなくてもいいのに」

(,,-Д-)「……殺すぞ。ヒートが大変だってのにふざけてんじゃねぇ」

( -∀-)「……」



(;-∀-)(やべぇ……こいつ……マジだ!!)

(;-∀-)(なんで?久しぶりにキレのあるツッコミ期待してたのになんでキレたの?
この暑さのせい?暑いからイライラしてるの?
それともヒート?そんなにヒートが心配?
いや確かに僕もヒートが心配で仕方ないけどさ、
ギャグかます余裕くらいはあってもいいと思うよ?
まさかギk(#-Д-)「早く案内しろ」

(;・∀・)「はいぃ!!すいません!!」

(,,-Д゚)「?」

54 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:21:32.42 ID:2uRgp4XlO
突然聞き分けのよくなったモララーの肩を借り、クエスト屋に向かった。

しかし……自分から肩を借りておいてなんだが、こうやって体を密着させると余計暑いな。
包帯ごしにモララーの熱が伝わってくる。
この炎天下の中、どれだけの時間ヒートを探していたのだろうか。

モララーの体はかなり熱かった。
汗の量も多く、包帯にモララーの汗が染み込んで気持ち悪い。



(,,-Д-)「まったく……なんでこんなに暑いんだろな」

(;・∀・)「ああ、それ言うの忘れてた」


(;・∀・)「実はこの村の周辺で火龍が目撃されたんだ」

(,,゚Д゚)「火龍だぁ?そんな馬鹿な。七龍なんてお伽話の中の生き物だろ?
別の竜系の魔物を見間違えたんじゃじゃないのか?」

(;・∀・)「それが本物らしいんだよ。城の見張りが口を揃えて『あれは火龍だった』って言ったらしいから」

55 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:24:10.44 ID:2uRgp4XlO
信じられない話だが、本当ならこの暑さも納得できる。

だが、それが本当であるのならヒートの身が危険だ。


もしヒートが火龍の姿を目撃したら……。
あれだけ火龍に会いたがっていたヒートだ。
危険を省みず火龍との接触をはかるだろう。
……あまりのんびりしてられなさそうだ。

(,,゚Д゚)「……モララー。お前はこのままクエスト屋に行ってヒートのことを聞いてきてくれ」


モララーから離れ、自分の力だけで立ち上がる。
まだ痛むが問題はないだろう。


(;・∀・)「え?ギコはどうするんだい?」

(,,゚Д゚)「ヒートを探しに行く」


全身に巻かれた包帯を一部外す。
ついでに保定用にあてられていた板も取り去った。


(,,゚Д゚)(よし、大分動きやすくなったな)
57 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:26:40.10 ID:2uRgp4XlO
(;・∀・)「ちょっと待てよ!まだ怪我治ってないのに無茶するな!」

(,,゚Д゚)「俺は大丈夫だ。ところでブーン達は砂漠にいるんだな?」

(;・∀・)「そうだけど……」

(,,-Д-)「そうか。じゃあな」

( ・∀・)「待て待て待て待て待て」

その場を立ち去ろうとしたところモララーに右腕を掴まれる。
モララーの握る手に力が篭ると、いいようのない痛みが全身を駆け抜けた。


(;-Д゚)「つっっ!!」

(;・∀・)「あ……ごめん。つい強く握っちゃっ……」



( ・∀・)「ってそんなんで本当に大丈夫なのかよ」

(,,゚Д゚)「余裕だ。余裕のヨーコちゃんだ」

( -∀-)「……えいっ」

モララーがさらに強く右腕を握った。
先ほどよりも強い痛みに思わず声が漏れる。
59 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:28:44.97 ID:2uRgp4XlO
(;+Д゚)「ホゲァ!?」

( -∀・)「……」

(;゚Д゚)「そ、そんな目でこっち見るな」

( -∀-)「これでもヒートを探しに行くの?」

(,,゚Д゚)「当たり前だ」

(#-∀-)「あのねぇ……」



(#・∀・)「いいか?君は立派な怪我人なんだ。君が大人しく休むことを誰も咎めない。
だが逆にそんな五体不満足な状態で勝手に動かれたらこっちは迷惑なんだ!
僕らは君の心配しながらヒートを探さなきゃいけなくなるんだからね!」

(;゚Д゚)「う……」

モララーが声を荒げるのを初めて見た気がする。
そんなに俺の身を案じてくれているのか。

モララーの言い分はもっともだ。
今の俺は足手まといにしかならないだろう。



だけど……
61 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:31:25.67 ID:2uRgp4XlO
(,,゚Д゚)「お前の言いたい事はわかる。確かに今の俺は足手まといだ」

(,,-Д-)「それに……例え仲間が危険な状況であるのに、
俺が一人で休んでいたとしても誰も文句は言わないだろう」

( ・∀・)「なら……」

(,,-Д-)「でもな」


モララーに口を挟ませないように話を続ける。


(,,-Д-)「例えそうだとしても……仲間が大変な目に遭ってるのに、
一人ベッドの上でのんびり待ってるなんて……」

(,,゚Д゚)「……そんなこと、俺自身が許せねぇ!!」





(#・∀・)「うるせぇ。黙って寝てろ」


Σ(;゚Д゚)

62 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:35:03.10 ID:2uRgp4XlO
(#・∀・)「足手まといだって自覚してるんだろ?
だったら他の仲間に迷惑をかけないように大人しくしようって考えるだろ常考」

(#・∀・)「『俺自身が許せねぇ』だぁ?自己中も大概にしろカス。
お前の事情なんて知ったこっちゃねぇんだよ」

(#・∀・)「お前は宿屋で大人しく待ってろ。
これは命令だ。
もしも勝手に宿屋が出て行ったら尿道に木の枝突き刺すぞ」


(((;゚Д゚)))ガクブルガクブル


……なんだこれは。
モララーの怒った顔は般若を連想させ、
彼から出てくる謎の威圧感は俺の膝を震えさせ、
いつもより1オクターブ低い声は俺の抵抗する気を奪った。

今この時この瞬間において、俺のモララーに対するイメージがガラッと変わった。

( -∀-)フー……

( ・∀・)「じゃあ僕はクエスト屋に行ってからヒート探しに行くから。宿屋までの道はわかる?」

(;゚Д゚)「はい!大丈夫であります!」

(;・∀・)「? じゃ、じゃあゆっくり休んでね」

(;゚Д゚)「はっ!お心遣い感謝致します!」

63 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:38:19.11 ID:2uRgp4XlO
恐怖でガクガクと震えながら回れ右をし、宿屋へと向かった。


(;゚Д゚)(宿屋に着いたら大人しく待ってよう……)


まだヒートの事は心配だ。
しかしよくよく考えればロマネスクさんとトソンさんがいるから多分大丈夫な気がする。

(;-Д-)(ヒート……無事でいてくれよ)


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・


ノハ-听)「ん……ここは……?」


ヒートが目覚めたのは埃っぽい部屋のこれまた埃っぽいベッドの上。
まだ脳は覚醒しておらず記憶が曖昧だ。


ノハ-听)(確か……クエスト受けて砂漠に来てぶっ倒れて……ん?)

ノハ-听)(私はなんでこんなとこにいるんだー?)
65 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:41:00.52 ID:2uRgp4XlO
  _
( ゚∀゚)「お、起きたか。ヒート」

ノパ听)「……誰だー?」

ノハ;゚听)「というかなんで私の名前知ってるんだー?」

  _
( ゚∀゚)「おっぱいに聞いた!」

ノパ听)「なん……だと……?」

  _
( ゚∀゚)「信じられないって顔してるな……。
じゃあ、おっぱいには何が詰まってるか知ってるか?」

ノパ听)「こんにゃく!」

  _
( ゚∀゚)「あほか。おっぱいには君の大切なもの全てが詰まっているんだよ」

ノパ听)「全て、というと?」
  _
( ゚∀゚)「今まで見、聞き、感じた全ての情報、またその時の感情などです」

ノハ*゚听)「よくわかんないけどおっぱいってすげーんだなー」
  _
( ゚∀゚)「わかってくれて嬉しいぜ」
68 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:46:12.40 ID:2uRgp4XlO
ノパ听)「……で、おっさんは誰だ?」
  _
( ゚∀゚)「おっさん言うな。俺の名はジョルジュ!!おっぱいをこよなく愛する男!」

ノパ听)「ジョルジュかー。変な名前だなー」
  _
( ゚∀゚)「お兄さん正直な子は嫌いじゃないけど今のはちょっとイラッとしたなー」

ノパ听)「じょ、じょり、じょる……あんたが私をここまで運んできてくれたのかー?」

  _
( ゚∀゚)「ジョ・ル・ジュな。
いかにも、運んだのは俺だ」

ノパ听)「そっか!」

ベッドから飛び降り、壁に立て掛けられたハルバードを手に取る。
そしてジョルジュに向かって深々と一礼をした。

ノハ--)「助けてくれてありがとう!おかげで助かった!」

ノパ听)「だけど私はやらなきゃいけないことがある!礼はできんが勘弁してくれ!」
  _
( ゚∀゚)「はっはっ。礼などいらんよ」

ノパ听)「じゃあさらばだ!」

69 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:48:43.50 ID:2uRgp4XlO
ヒートはそう言って部屋から飛び出した。
ジョルジュは手を振りながらヒートを見送る。

ヒートがこの小屋から出て行ったのを確認したジョルジュは、静かにベッドに腰掛けた。
彼の体重によりベッドが軋み、音をたてた。

  _
( ゚∀゚)(あいつ……大丈夫かな)
  _
( ゚∀゚)(心の中にでっかい『闇』を抱えてた)

  _
( ゚∀゚)(どす黒い……憎悪と嫉妬の塊を……)

  _
( ゚∀゚)(このままじゃ早い内に堕ちて俺達の『敵』になっちまう)

  _
( ゚∀゚)(危険因子は早めに排除するべきだ)


  _
(;゚∀゚)「あ〜でもなぁ〜!」

頭を掻き、ベッドに寝転がった。
埃が宙に舞う。

70 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:51:03.37 ID:2uRgp4XlO
  _
(;゚∀゚)(心の根っこは綺麗な人間だった……今時あんなに心の綺麗な人間は珍しいぞ……?)

  _
( ゚∀゚)(それにあいつの心には強い『支え』があった)

  _
( ゚∀゚)(夢と目標……。そして1番大きいのが『仲間』か……)

  _
( ゚∀゚)(きっと今まで『仲間』とか『友達』とか出来たことがなかったんだろうな……)


  _
( ゚∀゚)(信じてみるか……あいつの心の強さを)


ジョルジュはベッドから跳ね起き、窓を開けた。
そこから顔だけ出してヒートの姿を探す。

ヒートはまだそんなに遠くまで行ってなかった。

  _
( ゚∀゚)「……ヒート=スナオ。お前が『闇』に堕ちない事を祈るぜ」

71 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:53:34.61 ID:2uRgp4XlO
ジョルジュはヒートのことをしばらく眺めていたが、
自分の背後に近づく気配に気づき、「やれやれ……」と呟きながら振り返った。


  _
( -∀-)「なんのようだ?ドルガルド」

( <●><●>)「こちらの世界ではワカッテマスですよ。イグニール」

  _
( ゚∀゚)「じゃあお前も俺の事はジョルジュって呼べよな」

( <●><●>)「はいはい。わかりたしたよジョルジュ」

  _
( ゚∀゚)「で?なんのようだ?『闇』の連中か?」

( <●><●>)「それに関しては残念ながら……」

  _
( ゚∀゚)「なんだよ。逃げられたのかよ」

( <●><●>)「違います。すでに逃げていました」

72 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/14(木) 23:56:38.01 ID:2uRgp4XlO
( <●><●>)「それより、緊急事態です」

  _
( ゚∀゚)「あぁ?」

( <●><●>)「向こうの町の人間が『火龍を見た』と騒いでましたよ」

  _
(;゚∀゚)「げっ……。マジかよ」

( <●><●>)「『闇』がいない今、人間界にいる必要はありません。
これ以上騒ぎが広がる前に戻りましょう」

  _
(;゚∀゚)「……ちっ。しゃあねぇな」


ぶつぶつと文句を垂れながら、ジョルジュが部屋を出た。
ワカッテマスがそれに続き、部屋に誰もいなくなった。



それからちょっとした後、ヘッドライン共和国上空で未確認飛行物体が確認されたという……。


第七話 〜完〜
76 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/15(金) 00:02:37.23 ID:C/9o6opqO
例えどんな駄作になろうと
例え私生活がどれだけ忙しかろうと
例えどんなに時間がかかったとしても
完結させることに意義があると思ってる

こんなこと書くとVIPに来るなと言われそうだが、
大学受験控えてる

だから秋頃から更新が停止するかもしれない

そんな俺だがこれからも応援してくれると嬉しいなっ





……あ、以上で第七話後編は終了です
質問等あればどうぞ

77 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/15(金) 00:06:55.12 ID:C/9o6opqO
一瞬だけオマケ






川#゚ -゚)「おい、なんで今回私の出番がないんだ」

('A`)「しらんがな」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 00:11:42.75 ID:TZya37nBO


目指す学部と学力によっては、作者がブーン系やるのを全力で止めるよ。
俺も昔、大学受験を控えた10月まで小説やってたが、ひどく精神が安定しなかった。
浪人したらますます更新が遅れることも留意してくれ。
せっかく話が少しずつ裏の顔を出しているのに、書かれなくなったら泣ける。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 00:12:19.89 ID:P24SZIe70
乙でした!

作者の心意気は確かに受け取ったぞ!
これからも全力で支援させてもらうぜ!!

80 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/15(金) 00:14:59.04 ID:C/9o6opqO
>>78>>79
(;A;)ありがとう、頑張ります

受験の事も考えつつやって行こうと思います
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 00:18:43.54 ID:QqK1d1EaO
のんびりやってくれ

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 00:22:32.10 ID:6bIEpyI60
がんばれよ

83 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/15(金) 00:24:42.32 ID:C/9o6opqO
なんだこのヌクモリティは……
目頭が熱いぜ……

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 00:28:59.50 ID:TZya37nBO
くっだらねえ話だけど、俺はそれで第三志望に入ったから。
入った大学、学科に後悔はしてないが国立通れなかったことは反省してる。
残り八ヶ月も無かろうが、精一杯やってくれよ。

85 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/15(金) 00:31:01.26 ID:C/9o6opqO
>>84
ありがとうございます……

志望の学部が学部なんでかなりキツイですが頑張ります('A`)

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 00:36:40.87 ID:DGppgIixO
支援出来なかったけど乙!
VIPじゃ大学つまんね、て言う奴多いがそんなことはない
受験頑張ってくれ!

87 名前: ◆4br39AOU.g :2009/05/15(金) 00:48:10.47 ID:C/9o6opqO
みんなありがとう……

では、そろそろさようならですね
( ^ω^)ノシ( ΦωΦ)ノシ从 ゚∀从ノシヾ(゚、゚トソンヾ从'ー'从


今回出番のなかった方々
エクストは手の振らせかたワカンネ
<_フ ゚Д゚)フ
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