第六話
2 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 21:53:56.57 ID:23CT8NzQO
>>1代理ありがとうございました

水曜日に間に合わなんだスマソ……(;A;)

はじめに

・厨二作品です。
・途中、変な文があったらごめんなさい。
・さるったらすいませんです。

まとめサイト様↓

( ^ω^)フェスティバロスwww様

http://boonfestival.web.fc2.com/


それではどうぞ

3 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 21:57:27.38 ID:23CT8NzQO
〜これまでの主な登場人物&精霊〜

(,,゚Д゚) ギコ=モナルド 人
元素 風
装備 ロングソード 銀の胸当て
父親を探すために精霊界を目指している青年。何かと不器用。ツッコミ担当。

( ^ω^) ブーン 精霊
元素 風
装備 淡緑色のツナギ 風の宝玉の欠片
ギコの精霊。語尾に「〜お」とつける白い豚な精霊。だが、癒し系。風呂好き。


ノパ听) ヒート=スナオ 人
元素 火
装備 ハルバード 鋼の胸当て
なんとなくギコの旅について来た元気のよい女の子。すごい単純な性格。お化け大嫌いなアホの子。

从 ゚∀从 ハインリッヒ 精霊
元素 火
装備 レザーコート
ヒートの精霊。ちいさいくせにどこか大人びた雰囲気がある。しかし性格は中学生並。寝起き悪し。

( ・∀・) モララー=S=ファウス 人
元素 水
装備 ダガー 白い服
高価な機材をぶっ壊し、ロビー城の精霊研究施設をクビになった青年。困ったらクーにお任せ。

4 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:02:10.63 ID:23CT8NzQO
川 ゚ -゚) クール 精霊
元素 水
装備 水色のドレス
このパーティーで最も常識力のある存在(?)。モララーの世話をするのが面倒でしょうがないらしい。うんちくが長い。この物語のヒロインらしい。

('A`) ドクオ=マダチェリー 人(?)
元素 ???
装備 ロングボウ ただの服 不細工な顔
VIP村に住む元狩人。今は精霊使いを目指しているが、今年で三浪目の29歳童貞。
かわいい女の子型の精霊とあんなことやこんなことをしたいらしい。

( <●><●>) ワカッテマス=アンダスト ???
元素 地
装備 ただの服
ギコが精霊使いの試験を受けた時の試験官。詳細不明。

( ΦωΦ) ロマネスク=スギウラ 人
元素 風
装備 大剣 皮の服
突然ギコを襲ったおっさん。元ラウンジの傭兵。ぽろろという生物兵器となにか関係が……?
7 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:06:00.00 ID:23CT8NzQO
从'ー'从 ワタナベ 精霊
元素 風
装備 白のワンピース
ロマネスクの精霊。ブーンの知り合い。なんかのんびりとしている。ボケキャラ。

(゚、゚トソン トソン=ツムラ 人
元素 雷
装備 レイピア トライデント ラウンジの兵服
元ラウンジの傭兵でロマネスクの仕事仲間。通称『雷神』。詳細不明。

<_プー゚)フ エクスト 精霊
元素 雷
トソンの精霊で、バカ二号。座右の銘は『成せばなる』。詳細不明。
9 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:10:16.46 ID:23CT8NzQO
第六話 〜『闇』〜


爪# Д )「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

かわいいと言われたのがそんなにカンに障ったのか、
地面の揺れはおさまらない。

(;゚Д゚)「く……!ブーン!『鎌鼬』だ!」

無数の風の刃がヴァンパイアに襲い掛かる。

爪#゚Д゚)「無駄無駄無駄ぁ!!」

だが、ヴァンパイアはマントを翻し、風を起こした。
強力な突風により風の刃が返ってくる。

(;゚Д゚)「落とせ!ブーン!」

こちらも突風を起こし、相殺した。
風の刃は全て無力化され、その色を無くす。

地面の揺れがおさまった時、ヴァンパイアと目があった。
黄色く輝く目には剥き出しの殺意が映っている。

(;゚Д゚)(こいつ……強いぞ!?)
14 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:13:32.02 ID:23CT8NzQO
ブーンが……風の精霊が作り出した鎌鼬を、
マントを翻す動きだけで跳ね返した。
子供のようなその体格のどこにそんな力が隠されているのか。

从;゚∀从「気をつけろ!こいつ、魔法を使うぞ!」

(;゚Д゚)「は?魔法?」

从;゚∀从「さっきの風とか地震とかだよ」

(;゚Д゚)「精霊の力とは違うのか!?」

从;゚∀从「俺達が使ってるのは法術だ!」

(;゚Д゚)「……?ワケワカラン」

爪#゚Д゚)「そこっ!雑談しない!」

ヴァンパイアの指がこちらに向けられる。
一瞬間が空いて、その指先から光線が放たれた。

慌てて剣で防ぐと光線は刀身で反射し、ヴァンパイアのもとへ。

接触、そして爆発。
小規模な爆発だったが普通ならダメージは大きいはずだ。
16 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:18:15.37 ID:23CT8NzQO
しかし相手はヴァンパイア。
いくら体が幼くとも悪魔であることにかわりない。

やはり、あの程度の爆発では大したダメージは与えられなかったようだ。
煙の中から現れたヴァンパイアは笑っていた。

爪゚ー゚)「俺様の攻撃を跳ね返すとは……やるな!人間!」

(,,゚Д゚)「偶然だけどね」

ヴァンパイアがニヤリと笑う。
そしてまた漆黒の翼を広げた。

爪゚ー゚)「だがこれは避けられるかな?『コメッ……」

こいつはどこまでバカなのか。
翼をはためかせ、飛び上がり、天井に頭をぶつける。
再び遺跡内に鈍い音が響いた。

爪;ー;)「痛いっ!!」

(;゚Д゚)「おまえバカだろ」

从;゚∀从「チャンスだギコ!今のうちに逃げよう!」

(,,゚Д゚)「なんでだ?」

从;゚∀从「バカ!俺達じゃこいつに勝てねぇよ!」
18 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:21:52.72 ID:23CT8NzQO
言い終えると同時に走り出すハイン。
それにヒート、ブーン、俺の順で続いた。

ヴァンパイアはまだ頭をおさえてうずくまっている。
逃げるのは容易のはずだった。

だが、目の前に突如現れた人影……いや、正確には死人の影が行く手を阻んだ。

o川*゚ー゚)o「ふふ、逃がしませんよ」

……幽霊のキュートだった。

(;゚Д゚)「な、なんであんたが……?」

o川*゚ー゚)o「『闇』が一人……サキュバスのキュートです」

クスクスと笑うキュートを見ると体の震えが止まらない。
キュートから出る謎の霊気のせいか、それとも他の何かのせいか。
いずれにせよ、キュートがただならない力を持っているのがわかった。

(;゚Д゚)「サキュバス……?」

o川*゚ー゚)o「夢魔とも淫魔とも呼ばれますね。幻影を見せるのが得意ですよ」

o川* ー )o「……こんなふうにね」
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/10(金) 22:23:45.89 ID:GHDYY/Pz0
精霊使いって「せいれいつかい」って読むの?
「エレメンタラー」って読むの?

20 :>>19そのまま日本語読みでお願いします ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:26:36.70 ID:23CT8NzQO
ノハ;;)「う、うわぁぁぁぁぁ!?」

(゚Д゚;)「ヒート!?」

突然叫びだすヒート。
その場に座り込んで頭を抱える。

ノハ;;)「来るなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

その言葉は誰に向かって放たれたのか。
ヒートは誰のいない方向を向いて叫んでいた。

(#゚Д゚)「お前っ……!何をした!!」

o川*゚ー゚)o「彼女には幻を見てもらってます。
彼女の嫌いなモノがたくさん出てくる幻をね。
……ふふふ、狂うのも時間の問題ですね……」

(#゚Д゚)「この外道め!」

(#゚Д゚)「『疾風』っ!!」

加速。
一気にキュートとの距離を埋め、ロングソードを振り下ろそうとした。
22 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:31:00.33 ID:23CT8NzQO
ノハ;゚听)「うぉ!?ギコ!何をする!」

(;゚Д゚)「えっ!?」

突然、目の前にヒートが現れる。
驚いて、振り下ろしかけた剣を止め、後ろを振り向いた。
……ところがヒートはハインのそばにいる。

(;゚Д゚)「お前っ……」

ノパー゚)「遅いですよ。気づくの」

回し蹴りが顔面に直撃。
脳が揺れ、頭がクラクラする。
とても女の繰り出す蹴りだとは思えなかった。

(;-Д゚)(ってあれ?蹴り?)

なぜ蹴りを、足技を使えるのか。
答えは簡単だ。
今のキュートには足があるからだ。

……つまり初めて会った時から俺達は騙されていたのだ。
もう一度ヒートの方を見ると、ヒートはやっと幻覚から解放されたようで、必死に呼吸を整えている。
24 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:35:53.49 ID:23CT8NzQO
o川*゚ー゚)o「さぁて、そろそろ行きますよ!!」

o川*゚ー゚)o「『ナイトメア』」

キュートから出てくる白い煙。
その煙は辺り一面を白に変え、視界を覆った。

(;゚Д゚)「ブーン!ハイン!ヒート!手ぇ繋いどけ!!」

俺はブーンの、ブーンはハインの、ハインはヒートの手を握った。
こうすれば、さっきみたいに仲間の幻影が現れても対処できる。

(;^ω^)「ギコ!握るの強すぎだお!痛いお!」

从;゚∀从「お前も人のこと言えねえよ!痛ぇって!」

ノハ#゚听)「私だって負けてないぞぉぉぉぉ!!」

从;゚∀从「イタタタタ!張り合うな!ヒート!」

(;゚Д゚)「お前らうるせぇっ!!」

俺の怒号により全員が静まったのを合図に、
白い煙がゆっくり晴れていった。
そこに広がっていた景色は、今までいた遺跡とは違い、
広々とした草原だった。

ふと隣を見ると、ついさっきまで手を繋いでいたはずのブーンがいない。
……ブーンだけではない。
ヒートもハインもいなかった。
26 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:39:43.25 ID:23CT8NzQO
(;゚Д゚)「ブーン!?ハイン!?ヒート!?」

三人の名前を呼ぶが、返事はない。
草原を冷たい風が吹き抜けていった。

(,,゚Д゚)(落ち着け……これは幻覚のはず。一見恐ろしく広い草原だが、ちょっと歩けば……)

手を伸ばしながら数歩歩く。
ここは遺跡の中だからすぐに壁に触れれるはずだと思った。

(;゚Д゚)(……あれ?)

しかし、数十歩歩いても壁に手が触れない。
徐々に早足になっていた。
それでも壁に手は触れない。

ついには走り出していた。
まっすぐ、一直線に。
だが、どれだけ走っても壁にぶつかることはなかった。

(;゚Д゚)「嘘……だろ……?」

ここはあの遺跡ではない。
俺は見知らぬ地に、一人で飛ばされてしまったのだろうか。

27 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:44:09.05 ID:23CT8NzQO
(;゚Д゚)(そんな馬鹿な!!人間をこんな簡単に瞬間移動させられるわけがない!)

ならばここはどこだ。
なぜ手を繋いでいたはずの仲間とはぐれたんだ。

(,,゚Д゚)(そういえば精霊界に行った時もこうだったな……)

あの時も誰もいなかったし、誰もいなかった。
だが、あれは本物の幻覚である。
精霊達の村を草原の幻覚で上手く隠したものだった。
デレの言ったことを信じられなくて、足を小川に突っ込んでしまった。

しかし問題は、ここはすでに遺跡の中ではないという点だ。
どこまで行っても壁がない。

(,,゚Д゚)「幻覚じゃ……ないのか?」

風はなく、地面が固い。
空には雲がなくて、水の流れる音も聞こえなかった。
光はあるが、影がない。
……なんとも無機質な世界だ。

(,,゚Д゚)「ここは……どこだ?」

太陽のない空に呟いた。
音のない世界に自分の声だけが響き渡った。
29 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:48:22.57 ID:23CT8NzQO
(,,-Д-)(落ち着いて考えろ……考えろ……考えろ……)

目をつむり、深呼吸。
こういう時は冷静に考えるのが一番だ。

(,,-Д-)(こんなときはどうすればいい……?)

('A`)『もしも無人島に置き去りになったら?そんなのどうせ助けも来ないだろうから死ぬまでオナヌーに決まってるだろ』

(,,-Д-)(こんなとき……)

('A`)『一人ぼっちになったら?ま、俺には二次元の彼女がいるから一人ぼっちにはならないけどな』

(#-Д-)(こんな……)

('A`)「何で拳をプルプルさせてるんだ」

(#゚Д゚)「変な事ばっか思い出して集中できねぇからだよ!!」

後ろから声をかけてきた人物に怒りをぶつける。
……それが誰の声であるのかを理解するには数秒の時を要した。

(,,゚Д゚)「……妖怪油すまし?」

(;'A`)「そんなのこの世界にいねぇよ」

30 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:52:28.47 ID:23CT8NzQO
(,,゚Д゚)「なんでドクオさんがこんなとこに?てか、いつの間にここに?」

(;'A`)「もうちょっと驚けよ……。まぁここには野暮用で来たんだよな」

ドクオさんは背中のロングボウをその手に持った。
小柄なドクオさんの身長ほどあるそれを軽々と振り回す。

(,,゚Д゚)「さっきまで全く姿が見えなかったのにて、どうして突然現れたんですか?」

('A`)「教えない」

(,,-Д゚)「もったいぶらずに教えて下さいよ」

('A`)「ひ・み・つ・(はぁと)」

(,,゚Д゚)(やばい……鳥肌が立つほどキモかった)

(,,゚Д゚)「……まぁ、いいや。とりあえずここはどこですか?」

('A`)「それは……」

左手を前に突き出し、弓を構えた。
弦を引く右手には矢が握られている。

('A`)「俺を倒せたら教えてやるよ」

(,,゚Д゚)「は?」

31 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 22:55:33.30 ID:23CT8NzQO
矢が放たれ、それが足元に刺さった。

(;゚Д゚)「あっぶね!」

('A`)「今のは威嚇だ。次は当てるぞ」

そう言ってまた矢を引く。
ピンと張られた弦がギチギチと音をたてた。

ドクオさんが右手をはなすと、その矢はかなりの速度で飛んで来るだろう。
しかも厄介なことにこの男、弓の腕だけはいい。
ブーンがいない今、矢を避けるのは至難の技だ。

(;゚Д゚)「ちょ、待ってくださいよ!なんで戦わなきゃならんのですか!」

('A`)「それは……」




(#゚A゚)「お前がかわいいおにゃのことちちくりあいながら旅しとるからじゃぁぁぁ!!」



(,,゚Д゚)(えぇー……)
34 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:00:51.91 ID:23CT8NzQO
ドクオさんが矢を放つ。
バックステップで一本目の矢を回避し、腰のロングソードを抜いた。
飛んできた二本目の矢は剣で叩き落とす。

(,,゚Д゚)(まぁいいか。いっぺん本気で殴ってやろうと思ってたんだ)

村長の娘に手を出そうとして通報されたとき、
村の女の子の服を盗んで、それを自慢気に話されたとき、
「お前、俺の弟にならないか?」と言われたときなど、
殺意が芽生えた場面は幾度となくある。

(,,-Д-)(殺さないように痛めつけるか)

姿勢を低くし、突撃の体制をとった。
相手は弓矢。
接近戦は得意としないはずだ。

('A`)「突っ込んで来る気か……甘いな」

(,,゚Д゚)「なんとでも言え!!」

地を蹴り、低姿勢のまま駆けた。
矢を一発防げば十分懐に潜り込める距離だ。

('A`)「……甘いよ。本当に」

('A`)「『隼』」

35 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:04:39.00 ID:23CT8NzQO
隼、と言ったドクオさんの手には三本の矢が握られていた。
そして、ゆっくり弦が引かれ、放たれる。

(;゚Д゚)「!!」

同時に三本の矢が飛んできた。
顔、腹、足を的確に狙ってくる矢。
剣を振り、顔と腹に向かってきた矢は防げた。
だが、足に向かって飛んできた矢は防げず、右足の甲に刺さってしまった。

(; Д )「っつ!!」

三本同時に射たためか威力が弱く、傷が浅い。
それでも俺の動きを封じるには十分だ。
ドクオさんはすでに次の矢を射る準備をしていた。

('A`)「『影縫い』」

限界まで弦を引かれた弓がギチギチと音をたてる。
それから放たれる矢は刹那のうちに左足の甲を貫いた。

足の甲から足の裏にかけて感じる熱。
そして襲いくる激痛。

(; Д )「っぅぁあああ!?」

36 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:08:24.41 ID:23CT8NzQO
矢は足を貫き、地面と足を繋いでしまった。
その上無理に左足を動かそうとするとひどい痛みが走る。
今もギリギリ立っていられる状況だ。

(; Д )「フゥッ……!フッ……グ……」

('A`)「辛そうだな」

(; Д )「おかげさまで……ね」

('A`)「そっか」

素っ気ない返事をしたあと、弓を構える。
ドクオさんの表情には狂気じみたものが浮かんでいた。

('A`)「最初の頃の余裕はどうした?ギコ」

('∀`)「こんなに早く終わったんじゃおもしろくないじゃないか」

(; Д )「気が……くるっとる」

ウヒヒヒといやらしい笑い声をあげるドクオさん。
いつもなら「キモい」の一言で済むはずだが、今の彼には恐怖すら覚える。

('∀`)「そうか!俺は狂ってるのか!」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/10(金) 23:11:34.45 ID:iJsU9Ybc0
ドクオってホンモノもこんなに強いの?
39 :>>37とりあえず、ノーコメントです ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:13:39.06 ID:23CT8NzQO
('∀`)「ごめんね!いつも馬鹿にされる立場の俺がいつも馬鹿にする立場の奴を虐めれると思ったら嬉しくて!」

そう言い終わると突然ドクオさんの顔から笑みが消えた。

('A`)「……だからもう少し楽しませてくれよ」

(; Д )「っ!?」

声のトーンを落とし、睨むような目で言葉を放つ。
体が震える。
感じたのは純粋な恐怖。
今まで戦ってきてこんなことは無かった。
「殺される。」
直感的にそう感じた。

今俺は動けない。
それに対し、目の前で弓を構えている男はなんでもできる。
俺を生かすも殺すもドクオさん次第だ。

('A`)「このまま殺したんじゃ面白くないから……」

('∀`)「そうだ!的当てゲームでもしよう」

腰から布を取り出し、自らの目を隠した。

(=A=)「的当てゲーム!!ドンドンパフパフ!!」

(; Д )(自分でパフパフゆうなよ……)

40 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:16:54.46 ID:23CT8NzQO
(=A=)「ルールは簡単!目隠ししたままくるくる回って適当に矢を撃つ!」

(=A=)「ギコに当たれば得点ゲット!」

(=∀=)「腕と足は200点。胴体は100点。頭は500点。心臓を射ぬけば1000点です!」

(;゚Д-)「悪趣味なゲームだな……!」

痛みをこらえ剣を構えた。
ドクオさんは目隠しをしている。
攻撃のチャンスは今だ。

とは言ったものの左足に刺さった矢は抜ける気配がない。
とりあえず地面から引き抜こうとするが、少しでも左足を動かすとどうしようもなく痛い。

(=∀=)「ルーレット、スタート!」

ドクオさんが回りだした。
弓を引いたポーズのまま回転する姿はなんともシュールで、どことなくうざったいものがある。
だが、そんなこと気にしている暇はない。

万が一矢がこちらに飛んできて頭にでも刺さったら死んでしまう。

(; Д )「っうぐぅ……!ああぁぁあぁぁ!!」

痛みをこらえ、無理矢理矢を引き抜こうとした。
しかし、無情にも矢が抜ける気配は全くない。
43 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:21:21.29 ID:23CT8NzQO
(; Д )(落ち着け……ドクオさんは回転して適当に矢を撃つんだ。そんなのが簡単に当たるわけがない)

そうして、再度矢を引き抜こうとした時だった。

すぐ耳元で聞こえた風を切る音。

(;メ Д )「え……?」

頬に熱を感じ、手を触れた。
血が出ていた。

(=A=)「ん〜。当たったと思ったんだけどなぁ」

彼の体は完璧にこちらを向いていた。
俺が呆然としていると、また嫌な笑みを浮かべる。

(=∀=)「次は当たるといいなぁ」

(;メ Д )(やばい……)

(;メ Д )(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!)

この男には俺の姿が見えるのか?
なぜあんなにグルグルと回っていたのにこっちに向かって矢が撃てるんだ。

ドクオさんはまたグルグル回りだした。
もはやその様子を見る余裕すらない。

44 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:27:56.98 ID:23CT8NzQO
痛みをこらえて、力付くで矢を抜こうとした。
少しずつだが矢が地面から抜けてきているのがわかる。
……それにしても深く刺さったものだ。

それでももう少しで地面からは完全に抜けそうだった。

(; Д )(もう少し……!)

左足はかなり痛む。
だけど、もう少しで地面から矢が抜ける。
奥歯を噛み締め、両手に力を込めておもいきり引っ張った。

ひゅっ、どすっ

矢が抜けた。
左足にはまだ矢が刺さってるものの、これである程度は動くことができる。

だが、それと同時に感じる右腕の違和感。
……右腕は矢に貫かれていた。


(=∀=)「へへへ……に〜ひゃ〜く〜て〜ん〜」

……間延びした不気味な声が聞こえる。
46 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:31:10.44 ID:23CT8NzQO
(;メ Д )「ぐあぁっ!?」

遅れてやってきた痛み。
親指、動かない
人差し指、動かない
中指、動かない
薬指、動かない
小指、動かない

腱か筋をやられてしまったのか、右腕が使えなくなってしまった。
矢は見事に腕を貫通している。
これも抜けそうにない。

そして一つ気掛かりな言動がある。
ドクオさんはさっき「にひゃくてん」と言った。
目隠ししているはずなのになぜ腕に刺さったとわかったのか。

(;メ゚Д゚)(実は見えてるのか?)

見えてるとすれば厄介だ。
目隠ししているうちに一気に近づき、攻撃するつもりだったが、
ドクオさんが俺のことが見えていたとしたらその作戦は全く意味をなさない。

(;メ-Д-)(もしそうだとしたら勝ち目はないな)

48 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:37:21.25 ID:23CT8NzQO
左足が機能しないため、走ることが出来ない。
右腕が機能しないから、剣をまともに振ることが出来ない。

まともな戦闘では勝ち目がない。

(;メ-Д゚)(見えてないことを信じるしかないな)

左足を引きずりながらドクオさんに近づく。
ドクオさんはまだ馬鹿みたいに回っている。

……そしてこちらを向いてピタリと動きを止めた。

(=A=)「ダメだなぁ……的が動いてちゃ」



……終わった



全身から血の気が引いていくのを感じた。
矢が放たれ、腹に突き刺さる。

49 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:40:28.02 ID:23CT8NzQO
一本、二本、三本
次々と腹に矢が刺さっていく。
ついに立っていられなくなって膝をついた。

息が苦しい。
視界が霞む。

('A`)「……もう飽きた」

目隠しを外したドクオさんがこちらに歩いてくる。
そして俺の目の前で弓を引いた。

(;メ Д )(嘘だろ……?ドクオさんに負けるなんて……)

耐え難い激痛の中でそんな事を考える。
今まで何度もドクオさんとは本気で喧嘩をした。
そしていつも俺が圧勝していた。

なのに、このドクオさんは今までと違う。
こちらの行動に一切臆しない。
そして、どこまでも冷酷な攻撃を加えてくる。

(;メ Д )(こいつは……誰だ……?)
51 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:43:34.77 ID:23CT8NzQO
('A`)「どうしたの?俺が怖い?」

(;メ Д )「……」

否定も肯定もしない。
このドクオさんはドクオさんであってドクオさんではない。


('∀`)「大丈夫だよ。まだ殺さないから」


こいつはドクオさんじゃない。
こいつはなんだ。
こいつは誰だ。
この世界はどこだ。
ここはなんなんだ。
キュートは俺に何をしたんだ。
……考えた。

そして、一つの答えが出る。

(,,メ Д )「夢……?」

('A`)「……は?」

ドクオさんが一瞬焦ったような表情をした。
俺はそれを見逃さなかった。
53 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:47:23.04 ID:23CT8NzQO
(,,メ゚Д゚)「……夢だろう?」

今度は確信を持って言った。

('A`)「なに言ってんだよ!」

ドクオさんの声の調子が強くなった。
焦っている証拠だ。

(,,メ゚Д゚)「キュートの言葉を思い出してな。」


o川*゚ー゚)o『夢魔とも淫魔とも呼ばれますね。幻覚を見せるのが得意ですよ』


(,,メ゚Д゚)「あいつは幻覚を見せるのが得意だと言った。だからこれは幻覚の類の可能性が高い」

(,,メ゚Д゚)「だがあの場所ではこんな大袈裟な幻覚は見せられないだろう。
……ならばこれは夢で、あいつは夢の内容を操ることもできると考えるのが妥当だ」

(,,メ゚Д゚)「それともう一つ、あんたが俺をなかなか殺さない理由。
多分俺がここで死んだら夢が終わって目が覚めるって仕組みだろ?」

('A`)「そんなのただの仮定じゃないか。それで本当に死んだらどうするんだ?」

確かにこれはまだ仮定の域だ。
だがかなり確信の持てる仮定でもある。

その証拠に体の痛みが徐々に引いていっている。
これが夢だと認識したからだろう。
55 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:50:40.29 ID:23CT8NzQO
(,,メ゚Д゚)「それに……」

ロングソードを真上に掲げた。

(,,メ-Д゚)「俺がいつもいきあたりばったりで行動してるのを、ドクオさんならよく知ってるだろ?」

(;'A`)「ばっ……!」

そう言って勢いよくロングソードを腹に突き立てた。
痛みはない。

……そして視界が一気に黒に染まった。

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

(,,-Д-)( ‐ω‐)从 -∀从ノハ--)

o川*゚ー゚)o「うふふ……よく寝てますね。仲良く手なんか繋いじゃってホント……」

o川* ー )o「うざったらしいったらありゃしない」

爪゚ー゚)「おい、キュート。またやったのか?」

o川*゚ー゚)o「えぇ、ほらこの通り。みんな苦しそうな顔してるわ」

爪;゚Д゚)「えげつな……。まるで悪魔だなお前」

o川;*゚ー゚)o「いやいや、悪魔ですから」
57 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:52:36.33 ID:23CT8NzQO
o川*゚ー゚)o「それより、早く食べちゃいましょう。鮮度が落ちちゃいます」

爪´Д`)「最近ずっとネズミとかウサギとかの血ばっかだったからなぁ……。
人間なんて久しぶりだ」

o川;*゚ー゚)o「あんたは人里に出て人間を襲うってことをしなかったんですか?」

爪´Д`)「……」

爪;゚Д゚)「おぉ。お前頭いいな」

o川*゚ー゚)o(あぁ……。なんかもう一気に疲れた)

爪゚ー゚)「じゃ、俺はあの女の子の血を吸ってくる」

o川*゚ー゚)o「じゃあ私はこの元気そうな男の子を……」

o川*゚ー゚)o「では、いただきま……」

(,,゚Д゚)パチ

o川*゚ー゚)o

(,,゚Д゚)

o川;*゚ー゚)o

(;゚Д゚)
60 : ◆4br39AOU.g :2009/04/10(金) 23:56:17.97 ID:23CT8NzQO
(;゚Д゚)「えと……あなたは僕のズボンに手をかけて何をするおつもりで?」

o川;*゚ー゚)o「え……と、ちょっと精をいただこうかなって……」

(;゚Д゚)「精……だと……?」

(,,;Д;)「いやぁぁぁぁ!!助けて!!犯されるっ!!」

貞操の危機を感じて、一気に距離を取った。
夢の中では強い痛みを感じていたのに、今は何も感じない。
なんか変な感じだ。

キュートは呆然とこっちを見ていた。
なぜ俺が目覚めたのかわからないといったところだろうか。
他の仲間はまだ苦しそうな表情で眠っていた。
互いの手をがっちりと掴んだままで……。

そこで、ヒートがヴァンパイアに襲われそうになっている光景が目に入った。

(;゚Д゚)「ヒート!!」

腰からロングソードを抜いて駆け出す。
そして、ヴァンパイアの牙がヒートの首筋に立てられるギリギリのところでヴァンパイアに一撃を喰らわせる。

ヴァンパイアを吹っ飛ばし、三人を守れる位置に立った。
ヴァンパイアはキュートと同じようにひどく驚いた様子でこちらを見ていた。
62 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:00:06.90 ID:QTgpcdKyO
o川;*゚ー゚)o「なぜ……起きたの……?」

(,,-Д゚)「わりとすぐにあれが『夢』だって気づけたからかな?」

爪*゚Д゚)「やっぱやるな!人間!!」

自分の術を破られて、少なからず動揺しているキュート。
ヴァンパイアのジィは興奮して跳びはねている。

しかし、目を覚ましたはいいが、現在起きているのは自分だけ。
対して、悪魔は二人いる。

仲間が寝ているので逃げ出すこともできない。
かといって、ブーンの力を借りずして悪魔二人を相手にできるのか。

(,,-Д-)(できるのか、じゃないな……)

(,,゚Д゚)「やるしかない……な」

ロングソードを強く握り締めた。
それを見て悪魔達が身構える。

自分の背後にはヒート達が寝ている。
みんなまだ苦しそうな顔をしていた。
64 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:03:15.95 ID:QTgpcdKyO
(,,゚Д゚)(……いや、やっぱ一人じゃ無理だろjk)

剣を振り上げる。
そしておもむろに後ろを振り向き……

(,,゚Д゚)「せりゃ」

ガツン!(;+ω+)オッ!?

ゴツン!从;+∀从グハッ!!

スコーン!ノハ;++)ハウッ!?

……みんなの頭をどついた。
これでみんな起きてくれればいいのだが……。

そう思ったのもつかの間。
俺が後ろを向いた時にできた隙を悪魔達が見逃すわけがなかった。

爪゚ー゚)「よぉっ!!」

鋭い蹴り。
体を捻り、それを回避して横薙ぎに剣を振った。

爪゚ー゚)「甘い!!」

ヴァンパイアは翼をはためかせ、上に回避する。
66 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:06:49.91 ID:QTgpcdKyO
(,,゚Д゚)「甘いのは……」

(#゚Д゚)「そっちだろ!!」

もう一度横薙ぎ気味で剣を振るった。
狙いは脚だ。

この状況で脚に向かって横薙ぎに振られる剣を避けるには、さらに上に飛ぶしかない。

爪゚ー゚)「あらよっと!!」

やはり、ヴァンパイアはさらに上に飛んだ。
その選択は正しい。
だが、それこそが俺の狙いだった。

ガツン!!

爪; Д )「ごっ……」

いままでで1番速い速度で、天井に激突する。
二度あることはなんとやらと言うが、まさにその通りだ。

これで三度目。
思いっきり頭をぶつけ、そのまま落下するヴァンパイア。

しばらくピクピクとしていたが、
ついには動かなくなってしまった。

67 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:10:16.79 ID:QTgpcdKyO
(,,-Д゚)「だから甘いって言っただろ?」

瞬殺。
これでしばらくこいつは動けないだろう。
残るはキュート一人だけだ。

(;^ω^)「おー……?ここはどこだお?」

ノハ;゚听)「こんにゃくの怪物はどこだぁー?」

ちょうどみんなも目を覚まし、これで一気に形勢が逆転した。

从 -∀从「zzzz……」

……いや、まだ若干一名寝ていた。
それでもこちらが優勢なのに変わりない。

(,,゚Д゚)「さぁ、次はあんたの番だ」

o川* ー )o「人間どもが……」

キュートの周りの空気が一変する。
辺りの気温も心なしか低くなってきたように感じる。

o川# д )o「調子に乗ってんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」

怒号、そしてキュートの体から不思議な力が溢れ出した。
70 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:14:28.31 ID:QTgpcdKyO
(;゚Д゚)「っく!?」

謎の衝撃波に体が吹き飛ばされそうになる。
剣を地面に突き刺して必死に堪えた。

⊂(゚Д゚;)「ブーン!捕まれ!!」

(;^ω^)⊃「おっ!」

⊂(^ω^;)⊃「ヒート!捕まるお!」

ノハ;゚听)⊃「おぉっ!!」

手を繋ぎ、なんとか堪える。
ただ、いまだ爆睡中のハインは吹っ飛ばされてしまったようだ。
しかも「ゴツン!」となにかに激突する音まで聞こえてきた。

……やがてキュートの怒号が止み、衝撃波も感じなくなる。

o川# ー )o「『ナイトメア』」

キュートの周りから発生する白い煙。
先程はこれのせいで眠ってしまった。

(,,゚Д゚)「ブーン!『つむじ風』!!」

ブーンの巻き起こす風によって煙を吹き飛ばす。
煙はキュートを包み、その姿を隠した。
72 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:17:13.54 ID:QTgpcdKyO
白煙のせいでキュートの姿が伺えない。
つまり、キュートが今どこにいて、何をしようとしているのかわからない状態だ。

こうなると下手にこちらも動けない。
キュートのいた方向に神経を集中し、あらゆる攻撃に対応する準備をした。

(;゚Д゚)「どこから来るかわからないぞ。気をつけろよ、ヒート」

ノハ;゚听)「わかったぞー……」

膠着状態が続いた。
煙は少しずつ晴れていっているが、キュートの動きはまだ見受けられない。

そして、煙が完全に晴れた。

ノハ;゚听)「「!!?」」(゚Д゚;)

煙が晴れたときにはキュートの姿がなくなっていた。

(;゚Д゚)(逃げられたか?……いや、まだ気配はある)

気配があるということは、キュートはただ自分の体を見えなくしただけだろう。
いずれにせよ、油断は禁物だ。

頬を嫌な汗がつたう。
汗が顎まで来て、一滴垂れた。
74 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:20:02.95 ID:QTgpcdKyO
「『フレイム』」

突然響いた高い声。
続いて自分の足元から巨大な火柱が出現した。

(;゚Д゚)「おぉぅ!?」

間一髪それを交わした。
そしてまた静寂が訪れる。

(;^ω^)「相手の位置がわからないとこっちには勝ち目がないお!」

(;゚Д゚)「ああ、わかってる」

わかってる。
それはわかってるのだがこれと言った手もない。

(;゚Д゚)(しばらく様子を見るしかないのか……?)

どこかになにかがあるはずだ。
どこにいるかわからない敵に細心の注意を払いながら辺りを観察する。

「『フレイム』」

(,,゚Д゚)「!」
76 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:24:32.17 ID:QTgpcdKyO
声が聞こえた瞬間、視界の端で何かが光った。
同時に足元から炎の柱が上ってくる。

服を少し焦がしたが、すぐさま回避したため、ダメージはない。

(,,゚Д゚)(攻撃のチャンス見つけた!)

(,,゚Д゚)「ブーン!『疾風』!」

風が集まってきたのがわかる。
本来、疾風はこんなに狭い場所で使うのは危険だ。
なぜなら、ちょっとでも力加減を間違えたら壁に激突してしまうからだ。

(;-Д-)(あのスピードで激突したらさすがに痛いだろうなぁ……)

だがそんなことも言ってられない。
勝負は一瞬だ。

さっき魔法を使った瞬間、
キュートは一瞬だけ手が光った。

(,,゚Д゚)(次、魔法を使ったら……仕留める!!)
78 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:28:31.27 ID:QTgpcdKyO
再び訪れた静寂。
あのヒートですら緊張で動けないでいるようだ。

目を光らせ、耳を澄ます。
一瞬の光を見逃さないように。
その言葉を聞き逃さないように。
……そして、視界の隅でなにかが発光した。
それを見逃さず体を光の方向に向けて、地面を蹴った。

「『フレイ……(#゚Д゚)「そこだ!!」

相手の言葉が終わる前に、光の発信元に向かって突っ込む。
音速に近いスピードでの体当たりを仕掛ける。
背後では巨大な火柱が上がっていた。

o川; д )o「ごふっ……!」

右肩から右肘にかけて感じる肉の感触。
……直撃だ。

(#゚Д゚)(このまま……!!)

勢いを弱めずにそのまま壁に激突した。
爆音が鳴り響き、大量の土煙が舞う。
81 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:32:16.71 ID:QTgpcdKyO
ノハ;゚听)「ギ、ギコ!?」

遠くでヒートの声が聞こえる。
悲痛な叫び声だ。

キュートは俺の体当たりが直撃し、そのまま壁に叩き付けられた。
今は壁にめり込んでいる。


(; Д )「ゲフッ…」

……しかしその手は俺の首をギリギリと締め上げていた。
大の男を片手で持ち上げるほどの力。
これが悪魔の力なのか。

o川# д )o「人間ガ……。弱イ生キ物ガ調子ニ乗リオッテ……」

(; Д )「がはぁっ!?」

首を掴む手にさらに力が篭る。
抵抗しようとするが、腕が上がらない。

先程の体当たりの時、ぶつかった時は柔らかい肉の感触がした。
だが壁に激突したとき、その時のキュートの肉体はまるで岩のように固く、重かった。
83 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:36:00.73 ID:QTgpcdKyO
o川# д )o「人間メ……!人間メ……!!」

キュートの姿はすでに以前のあどけない少女のものではない。
膨らんだ女性の胸を隠すほどの胸筋。
頭からは二本の角が突き出し、背中からはヴァンパイアのものよりも立派な黒翼が生えていた。

(; Д )(なんだ……こいつは……!?)

首の骨がミシミシと音をたてる。
気道が潰され、息が出来なくなった。

(#゚ω゚)「その手を離せおぉぉぉぉぉ!!」

ブーンが叫び、風を切り裂きながらこちらへ向かってきた。
「来るな」と言おうとするが声がでない。

(#゚ω゚)「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

拳を振り上げる。
だがそれを振り下ろす前に、何者横かに横から攻撃され、ブーンは吹っ飛ばされてしまった。

o川# д )o「ジィ……」

爪゚ー゚)「おいおい人間相手に何キレてんだよ。大人気ないぜ?」

……攻撃の主はヴァンパイアだった。
85 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:41:29.33 ID:QTgpcdKyO
(; Д )(もう……復活しやがったのか……こいつ……?)

爪゚ー゚)「おい人間。情けない姿だなwww」

ヴァンパイアがケラケラと笑いながらこちらに近づいてきた。
ブーンは物凄いスピードで壁に叩き付けられ、気を失っていた。

爪゚∀゚)「おいおい、死にそうじゃねぇかwww。キュート、離してやれよ」

o川# д )o「……フン」

急に手を離され、背中から地面に落ちる。

(; Д )「ゲホッ!ゲホゲホ!ゴホッ!!」

爪゚∀゚)「うひゃひゃひゃ。苦しそうだなwww」

爪゚ー゚)「まぁ……仕方ないよな」
爪 ー )「おまえ、弱いし」

(; Д )「!」

……こいつの言う通りだ。
俺は……弱い。

ヒートは泣きながら必死に俺の名を叫んでいる。
俺がここで殺されたら、次に狙われるのは間違いなくヒートだ。

(,, Д )(俺は……誰も守れないのか?)
87 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:44:07.88 ID:QTgpcdKyO
爪゚ー゚)「なぁなぁ、こいつの血飲んじゃっていい?」

o川* д )o「……好きにすれば?」

キュートの体がゆっくりと縮み、元の女の体に戻った。

o川*゚ー゚)o「もう、必要ありませんし」

爪゚∀゚)「じゃ、いっただきまーす」

(; Д )「っ……!」

首筋にチクリとした痛み。
ヴァンパイアの牙が首に刺さっているのだろう。

続いて、その傷口を吸われる感じがした。
静脈に傷をつけたのだろうか、血はどんどん溢れてくる。

(; Д )「ぅ……ぁ……」

爪;-Д-)「うぇ……マズ……」

まずいと文句を垂れながらも、血を吸いつづけるヴァンパイア。
体の血が少なくなり、だんだん意識が遠くなっていく。

もう……ダメだ……。

88 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:47:43.33 ID:QTgpcdKyO
半ば諦めかけた時、誰かがこちらに向かって走ってくる音が聞こえてきた。
それも、一つではなく複数だ。

川;゚ -゚)「ギコ!!」

(;ΦωΦ)「あれは……『闇』の連中じゃねぇか!」

……この声は、クーとロマネスクさんだ。
助けに来てくれた。

悪魔達は新たな侵入者に気づき、俺から離れる。


(;・∀・)「え!?『闇』って何?」

(゚、゚;トソン「ゴタゴタ言ってる暇はありません!!『迅雷』!!」

(;ΦωΦ)「『疾風』!!」

(#ΦωΦ)「『シンクロ』!!」(゚、゚#トソン

爪;゚ー゚)o川;*゚ー゚)o「!?」

こちらに飛んでくる緑色の光と黄色い光。
それを見た悪魔達は、一瞬たじろいだ。

眩しい程の光が辺り一面を照らしだす。
90 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:51:52.90 ID:QTgpcdKyO
(#ΦωΦ)「『鎌鼬』!」

(゚、゚#トソン「『雷撃』!」

幾多もの風の刃と雷の球が悪魔を襲う。

爪;゚ー゚)「うおっ!?あぶねっ!」

悪魔達は必死に避けようとするが、完全に避けることはできず、体のあちこちに切り傷が出来ていた。

あの悪魔達に簡単に攻撃を当てることもすごいが、
その攻撃のどれもが俺自身に当たらないというのもすごかった。

悪魔達が焦っているのがここから見ていてもわかる。

o川;*゚ー゚)o「ダメです!さっきかなり魔力を使っちゃいましたからまともにやり合えません!」

爪;゚Д゚)「じゃあ逃げるぞ!『アレ』は持ったか!?」

o川;*゚ー゚)o「はい!」

爪;゚Д゚)「よし!『デジョンホール』!」

悪魔達の足元に黒い穴が出来た。
そして、二人がその穴に飛び込むと、自然と穴が塞がった。

すごい……。
俺達はあいつらと戦うと自分の身を守るだけで精一杯なのに、
ロマネスクさん達はあっという間にあいつらを追い払ってしまった。
92 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:56:16.75 ID:QTgpcdKyO
悪魔が消えると、遺跡内は途端に静かになった。
ロマネスクさん達は悪魔が逃げて行ったのを見届け、こちらに走り寄ってきた。

(;ΦωΦ)「ギコ!!大丈夫か!?」

(゚、゚;トソン「まったく……魔物がいたら無理せず逃げろと言いましたよね!?」

(; Д )「す……ま、……せん……」

(゚、゚;トソン「喋らないでください!!謝るのは後でいいです!」

トソンさんが自分のカバンから包帯を取り出し、近くに落ちていた木の枝などを使って右腕を保定した。

(;ΦωΦ)「おいおい……お前首もやられてるじゃねぇか」

从;'ー'从「……このままじゃちょっとやばいですよ」

川;゚ -゚)「できればちゃんとした設備がある所に運びたい所だな」
(;・∀・)「じゃあ早くしよう!ハイン!ブーン!起きて!!」

モララーがブーンとハインの体をゆする。
しかし、二人とも起きる気配がない。

(;ΦωΦ)「そいつらは俺が運ぶ!ギコはワタナベとツムラに任せた!」

(゚、゚;トソン「わかりました」
94 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 00:58:51.53 ID:QTgpcdKyO
体が浮く。
ワタナベの作り出した風だろうか。
とても心地がよい。

(゚、゚;トソン「ワタナベ。できるだけそのままの姿勢で運んであげてくださいね」

从;'ー'从「はい」

そのまま移動をした。
なんだか変な感じだ。

(,, Д )(ああ……なんだか眠たくなってきた)

体の血液が少なくなってるからか、急激な眠気に襲われる。
まぶたが重くなり、目を開けていられなくなってきた。

(,, Д )(……ダメだ。意識が……)

……そして俺は深い眠りについた。


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

95 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:01:23.77 ID:QTgpcdKyO
(;ΦωΦ)「くっそ!こいつら重いな!!」

ロマネスクはブーンとハインを小脇に抱え、走り出した。

(;・∀・)「ヒート!行くよ!」

ノハ;;)「うぅ……ギコぉ……」

(#・∀・)「ヒート!!」

Σノハ;;)ビクッ

(#・∀・)「早く来ないと置いてくよ!」

モララーが珍しく怒鳴り声をあげる。
ヒートは泣きながらゆっくりと走り出した。

来た道を早足で戻る一同。
ブーンとハインはまだ目を覚まさない。
ヒートはさっきからずっと泣いている。

(;ΦωΦ)(くそっ……!もっと早くこっちに来ていれば……!)

ロマネスクは後悔していた。
一つはこのクエストを甘く見ていたこと。
もう一つは安全性を配慮して常に全員で行動しなかったことだ。

(;ΦωΦ)(それにしても……こんなとこで『闇』に会うとは……ついてねぇな。)

96 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:03:40.23 ID:QTgpcdKyO
今、精霊界で怖れられている『闇』。
ロマネスクの旅の目的は『闇』を潰すことだった。

( ΦωΦ)(ぽろろ……)

……ロマネスクとトソンがラウンジを去る事にしたきっかけがそれだ。
とある日、ロマネスク達が仕事で城を空けている間に、
城が『闇』の襲撃に遭ったことがあった。
その時だ、ロマネスクの息子同然の『怪物』、ぽろろが誘拐されたのは。

『闇』にぽろろを連れ去られたと直感したロマネスクはすぐにラウンジを去った。
トソンはその数日後にロマネスクを追うようにしてラウンジを去ったのだ。

( ΦωΦ)(……こいつらは、巻き込みたくない)

自分に抱えられ、眠っている精霊達に目をやった。
熾烈を極めるであろう『闇』との戦いに、ブーン達は巻き込みたくない。
だから、ロマネスクは彼らとともに旅をするのを拒んだのだ。

……彼らに情が移り、また彼らに甘えてしまわないように。

( ΦωΦ)(これは……俺自身の問題だからな)

97 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:05:46.72 ID:QTgpcdKyO
しばらく走り続け、ようやく出口が見えた。
久しぶりに日光に照らされ、目が痛くなる。

馬車にギコを寝かせ、クーとワタナベが出来る限りの応急処置を始めた。

(゚、゚;トソン「ここからだとヘッドライン共和国にある町が一番近いはずです。急ぎましょう」

(;ΦωΦ)「あいよ」

ゆっくりと、馬車は走り出す。
最寄りの町には日没前には着くはずだ。

(;ΦωΦ)(ギコ……死ぬなよ……!)

馬車の車輪がカタカタと鳴る。
ロマネスクの頭には、その音がいやにはっきりと響いていた……。


第六話 〜完〜
101 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:13:19.79 ID:QTgpcdKyO
本日の投下は以上です。
遅くまで付き合っていただきありがとうございました。

ところで週一投下がもう無理そうなんだが……
とりあえず二週間以内には投下するつもりです。
ごめんなさい。

質問等あればどうぞ

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/11(土) 01:14:55.18 ID:g1xqB9S40
魔法と術って違うの?

103 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:21:26.62 ID:QTgpcdKyO
>>102
('A`)「魔法と法術のことですか?
魔法は悪魔が潜在的に持ってる魔力を使って超常現象を起こすものです
法術は世界に存在する自然の力を借りて火を出したりするものです」

('A`)「あと、>>98。本物のどっくんも強いですよ。」

(;'A`)「戦うのなんて怖いからやだけど……」

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/11(土) 01:22:30.47 ID:g1xqB9S40
なるほど
じゃ、ドックンが試験に受からないのは心がけ次第ってことかな?

105 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:25:51.23 ID:QTgpcdKyO
('A`)「>>104ありがとうございます。参考にします」

('A`)(心がけ……か……)

(;'A`)(……ってことは試験当日にお守り代わりに美少女フィギュア持っていかないほうがいいかな……?)
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/11(土) 01:33:37.81 ID:LPjqTS6j0
いったいどんなペースで書いてるの?日産5000字とか?

108 : ◆4br39AOU.g :2009/04/11(土) 01:39:06.13 ID:QTgpcdKyO
>>107
('A`)「ペースは目茶苦茶です。一日に500字ぐらいしか進まない日もあれば、一気に10000字ぐらい書き上げちゃう日もあります」
Back
inserted by FC2 system