第二章 第二話前編
- 3 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:07:28.69 ID:Kg9jriU9O
- 〜これまでの主な登場人物&精霊〜
(,,゚Д゚) ギコ=モナルド 人
元素 風
装備 ロングソード 銀の胸当て
父親を探すために精霊界を目指している青年。何かと不器用なムッツリスケベ。ツッコミ担当。
技:疾風 ブーメラン 風布 癒しの風 つむじ風 竜巻
( ^ω^) ブーン 精霊
元素 風
装備 淡緑色のツナギ 風の宝玉の欠片
ギコの精霊。語尾に「〜お」とつける白い豚な精霊。だが、癒し系。風呂好き。
ノパ听) ヒート=スナオ 人
元素 火
装備 ハルバード 鋼の胸当て
なんとなくギコの旅について来た元気のよい女の子。
技:火弾 火炎弾 火炎 炎牙 炎爆 肉斬骨断
从 ゚∀从 ハインリッヒ 精霊
元素 火
装備 レザーコート
ヒートの精霊。ちいさいくせにどこか大人びた雰囲気がある。しかし性格は中学生並。寝起き悪し。現在強くなるため、精霊界に帰省中。
( ・∀・) モララー=S=ファウス 人
元素 水
装備 ダガー 白い服
高価な機材をぶっ壊し、ロビー城の精霊研究施設をクビになった青年。たまにキレる。
技:氷柱 氷塊 液化 水蛇 氷結 水壁 凍結 ヒール
- 4 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:09:37.70 ID:Kg9jriU9O
- 川 ゚ -゚) クール 精霊
元素 水
装備 水色のドレス
モララーの世話をするのが面倒でしょうがない。この物語のヒロインらしい。キャラ崩壊注意。
('A`) ドクオ=マダチェリー 人(?)
元素 光
装備 ロングボウ ただの服 不細工な顔
VIP村に住む元狩人。ついに念願の精霊使いになれたが、早くもツンの尻に敷かれている。
技:隼 影縫い セイントアロー 癒しの光
ξ゚听)ξ ツン 精霊
元素 光
装備 白のワンピース
ドクオの精霊。ドクオの事はあまり嫌いじゃないという貴重な存在。ツンデレ。
(´<_` ) オトジャ=サスガ 人
元素 無
装備 魔銃『青龍』 革の鎧
ヒートの幼なじみで、よきお兄さん。冒険者であり、『流石兄弟』の『龍』ことまともな方。
技:炎砲、氷砲、土砲、雷砲、風砲
( ´_ゝ`) アニジャ=サスガ 人
元素 無
装備 魔銃『白虎』 革の鎧
ヒートの幼なじみで、よくないお兄さん。冒険者であり、『流石兄弟』の『虎』こと変態。
技:不明
- 5 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:11:29.12 ID:Kg9jriU9O
- ( <●><●>) ワカッテマス=アンダスト(ドルガルド?) ???
元素 地
装備 ただの服
ギコが精霊使いの試験を受けた時の試験官。詳細不明。
( ΦωΦ) ロマネスク=スギウラ 人
元素 風
装備 大剣 皮の服
突然ギコを襲ったおっさん。元ラウンジの傭兵。『闇』にさらわれたぽろろを助けるべく旅をしている。
技:疾風 鬼牙斬 鎌鼬 つむじ風 風斬りノ刃
シンクロ 『mode-緑翼』 『mode-風刃』 『mode-そよ風』 『mode-風神』
从'ー'从 ワタナベ 精霊
元素 風
装備 白のワンピース
ロマネスクの精霊。ブーンの知り合い。なんかのんびりとしている。
(゚、゚トソン トソン=ツムラ 人
元素 雷
装備 レイピア トライデント ラウンジの兵服
元ラウンジの傭兵でロマネスクの仕事仲間。通称『雷神』。ロマネスクを追って、ラウンジを去ったらしい。
技:迅雷 雷撃 稲妻 磁変 トールの雷
シンクロ 『mode-雷神』
- 6 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:13:28.91 ID:Kg9jriU9O
- <_プー゚)フ エクスト 精霊
元素 雷
装備 なし
トソンの精霊で、バカ二号。座右の銘は『成せばなる』。詳細不明。
ζ(゚ー゚*ζ デレ(エデン?) ???
元素 光
装備 ???
時々ギコに夢を見せていた精霊(?)詳細不明。
技:光の壁 最後の審判
_
( ゚∀゚) ジョルジュ(イグニール?) ???
元素 火
装備 ???
おっぱいに触れなくても相手の心を見ることができる。人のおっぱいを勝手に触るのはいけないことです。詳細不明。
- 7 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:15:25.33 ID:Kg9jriU9O
- 第二話 〜武闘大会〜
(;゚Д゚)「おおぅ」
ヾ(*^ω^)ノシ「すげーお!!お祭みたいだお!!」
川 ゚ -゚)「今日は祭の日だからな」
ラウンジに到着して三日目。
今日は精霊祭の日だ。
まだ朝も早いというのに大通りでは盛大なパレードが行われている。
(,,゚Д゚)「ところでクーはなんで俺達の部屋にいるんだ」
川 ゚ -゚)「ギコ……」
川/////)「ゆうべは凄かったね……」
- 8 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:18:21.51 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)「ゆうべ?……ああ、いびきか。それは済まなかった」
川 ゚ -゚)「……は?」
( ^ω^)「お?ブーンには聞こえなかったお?」
(,,-Д゚)「お前はぐっすりだったからな」
(*^ω^)「おっおっおっwww」
(,,^Д^)「はっはっはっwww」
川 ゚ -゚)(ちっ……からかい甲斐のないやつめ……)
- 9 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:21:12.94 ID:Kg9jriU9O
- (*ΦωΦ)「おう、みんな起きてるか」
部屋の扉が開き、そこからロマネスクさんが顔を覗かせた。
今日はいつもより目がキラキラとしている。
正直、筋肉隆々のオッサンが目を輝かせているのは気色が悪い。
(*ΦωΦ)「ほら、さっさと飯食え」
(,,゚Д゚)「……何朝っぱらからはしゃいでんだよ……。
いい年したオッサンが……」
(*ΦωΦ)「だって今日は精霊祭だぞ!?祭だぞ!?
テンション上がるに決まってるだろうが!」
(,,゚Д゚)「……その気持ちもわからなくはないけど……」
……正直ここまではしゃぐのはどうかと思う、ガキじゃあるまいし……。
ヾ(*^ω^)ノシ「おっ!!お祭りだお!
ギコ!早くご飯食べて外行くお!!」
(;゚Д゚>「わかったわかった。わかったからそんなに引っ張るな」
- 10 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:24:17.02 ID:Kg9jriU9O
- …………………
(;゚Д゚)「おおぅ」
ヾ(*^ω^)ノシ「すげーお!お祭りだお!!」
宿の外に出て、間近で見るパレードはド迫力のスケールだった。
派手な衣装を来た男女が派手な飾りを振り回しながら行進して、
巨大なモニュメントがそれに続く。
その両サイドでは鼓笛隊が笛や太鼓を鳴らし、
火や水の精霊がパレードに彩りを加えていた。
(;゚Д゚)「こりゃすげーな……」
(;・∀・)「ロビーでもこんなパレード見たことないよ」
(゚、゚トソン「ラウンジの精霊祭の派手さは世界一ですからね」
( ΦωΦ)「お前ら、迷子になるなよ」
川 ゚ -゚)「……ところでロマネスク」
(ΦωΦ )「ん?どうした?」 - 12 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:26:45.05 ID:Kg9jriU9O
- 川 ゚ -゚)「すでにワタナベとエクストの姿が見えないんだが」
(゚、゚;トソン「えっ」
(;ΦωΦ)「……あのバカ」
(ΦωΦ;)「ちょっと探して来るからここで待っててくれよ」
そう言うと、ロマネスクさんとトソンさんは慌てて宿屋の方に引き返していった。
そして、残された俺達はパレードの様子をぼーっと眺めることにした。
(,,゚Д゚)(……しかしすげーな……。こんな派手なパレード、ヒートが見たら大騒ぎするんだろうな……)
まだヒートと別れてそんなに経っていないのに、ヒートと一緒にいたのが随分昔に感じる。
(,,-Д-)(……やっぱり、あいつがいないと淋しいな)
いつも自分の傍にいてくれたのはヒートだったな……。
人は大事な物を失ってからでないとその大切さに気づけないとよく言うが、
まさにその通りだと思う。
- 13 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:29:00.70 ID:Kg9jriU9O
- ヒートはちゃんとサロンに到着しただろうか。
ハインがいないから迷子になってないか心配だ。
そういえば、ドクオさんは今日で4度目の試験だったな。
いい加減合格してもらいたい。
じいちゃんは元気かな。
年寄りの癖に力は馬鹿みたいに強かったし、そこまで心配はしてないけど。
(;ΦωΦ)「はぁ……はぁ……。待たせたな」
ロマネスクさんが息を切らしながらこちらへ歩いてきた。
その横にはちゃんとワタナベもいる。
从'ー'从「ごめんね〜。気がついたらあのパレードの中に入っちゃってて……」
(,,゚Д゚)「なにをどう間違えたらそうなるんだ……」
从*'ー'从「えへへ……」
- 14 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:31:25.38 ID:Kg9jriU9O
- そして、ロマネスクさん達が戻って来てすぐにトソンさん達も帰ってきた。
(゚、゚トソン「すいませんね。この馬鹿が勝手な行動をして」
……その馬鹿は頭に大きなこぶを作り、トソンさんに引きずられていた。
(;゚Д゚)(精霊の頭にたんこぶって……。どんだけ強い力で殴ったんだよ……)
( ΦωΦ)「よし、じゃあ全員揃ったことだし……城に行くぞ」
(*^ω^)「おー!お城かお!早く行くお!」
(,,゚Д゚)「城……?なんか用事でもあるのか?」
( ΦωΦ)「この前言ったろ?ここの精霊祭では武闘大会あるって。
その参加申請に行くんだよ」
(,,゚Д゚)(そういえばそんな事も言ってたな……) - 16 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:34:04.38 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)「あー……じゃあ俺ちょっと寄りたいところがあるから、先に行っててくれ」
( ΦωΦ)「構わんが……何しに行くんだ?」
(,,゚Д゚)「それは教えられないな……。
行くぞ、ブーン」
( ^ω^)「おっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
( ><)「……はぁ」
(*‘ω‘*)「ぽっぽ?」
( ><)「ちんぽっぽちゃん……。
僕はどうすればいいんでしょう」 - 18 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:36:58.06 ID:Kg9jriU9O
- (*‘ω‘*)「ぽっぽ!」
( ><)「……でも、誰も信じてくれませんでした」
(*‘ω‘*)「ぽっ!ぽぽっ!」
( ><)「……無理ですよ。
僕一人の力じゃ……」
(*‘ω‘*)「ぽぽぽっ!」
( ><)「……そうですね。僕を信じてくれる人がいれば……」
ガチャ
(付)「王子、間もなく武闘大会が始まります。
出かける準備の方を」
( ><)「わかったんです。すぐに準備するんです」
( ><)(大臣さんも僕の言うことを信じてくれませんでした……。
今のこの国に僕の事を信じてくれる人はきっといないんです。
だから……)
- 19 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:38:51.66 ID:Kg9jriU9O
- ・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
〜ラウンジ城〜
( ΦωΦ)「遅いぞ」
(;゚Д゚)「すまん」
( ΦωΦ)「まぁいい。とりあえず受付は済ませておいたから、戦う準備だけしておけ」
(,,゚Д゚)「おう」
( ^ω^)「おっ!やるお!」
( ΦωΦ)「ああ、あと言っておくが、
この武闘大会には世界から猛者どもが集まって来てるから……相手を殺す気でかからないと負けるぞ」
(;゚Д゚)「殺す気……って、死んだらどうすんだよ」
( ΦωΦ)「大丈夫大丈夫。殺しても罪には問われないから」
(;゚Д゚)「いや、そういう問題じゃなくて……」
- 20 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:40:35.53 ID:Kg9jriU9O
- ( ΦωΦ)「安心しろ。人はそんな簡単に死なない。
それに、ここの医療班には優秀な精霊達がいるから滅多に死人は出ないしな」
(;゚Д゚)「そ、そうか……」(滅多に……?)
( ΦωΦ)「あぁ、だから相手を傷つけるのを躊躇うなよ。
お前が相手を殺さなければ相手もお前を殺さないということはないからな」
(;゚Д゚)「……」
……相手はいつもと違う。
悪魔でも魔物でもない、人間だ。
傷つけるのにはいささか抵抗がある。
『甘い』と言われればそれまでだが……できれば殺しそうになるのは避けたいところだ。
(,,-Д-)(俺は甘い……のか)
- 21 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:43:02.16 ID:Kg9jriU9O
- (゚、゚トソン「あぁ、二人ともここにいましたか。対戦表が決まりましたよ」
( ΦωΦ)「おぉ、そうか」
(゚、゚トソン「ギコはAブロック第一試合……一番最初の試合ですね」
(,,゚Д゚)「おらわくわくすっぞ」
(*^ω^)「みwwwなwwwぎwwwwっwwwwてwwwきwwwた」
(゚、゚トソン(一番最初と言ったのに緊張しないとは……どっしりしてるのか能天気なだけなのか……)
(*ΦωΦ)「な、な、俺は?俺は?」
(゚、゚トソン「自分で見てこいクズ」
(´ΦωΦ)
- 22 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:45:52.83 ID:Kg9jriU9O
- (;゚Д゚)「『俺は?』……ってまさかロマネスクさんも出るのか?」
(´ΦωΦ)「当たり前だろう」
(゚、゚トソン「私も出ますよ」
(;゚Д゚)「トソンさんも!?」
从'ー'从「私も出るよ〜」
(,,゚Д゚)「……うん」
从;'ー'从「なんで私が出るって言った時は驚かないの〜?」
(,,゚Д゚)「いや、ロマネスクさんが出るなら必然的そうなるだろ」
从*'ー'从「えへへ……」
<_プー゚)フ「俺も俺も!!俺も出る!!」
(,,゚Д゚)「そういやモララーは?」
<_フ#゚Д゚)フ「無視すんなぁぁぁぁぁぁ!!」
- 23 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:48:14.64 ID:Kg9jriU9O
- (゚、゚トソン「モララーなら『城の本読み漁ってくる』とか言ってどこか行きましたが」
(,,゚Д゚)(モララーは出ないのか……。
まぁあいつは頭脳派だし、戦うのは嫌いそうだからな……)
<_フ;゚ー゚)フ「おーい……」
( ΦωΦ)「試合が始まるまでまだ時間があるだろ。
それまでに闘技場の形でも確認した方がいいな」
(,,゚Д゚)「ん、そうだな」
<_フ;゚ー゚)フ「もしもーし……?」
<_フ;゚ー゚)フ「ねぇ、無視しないでよ」
(゚、゚トソン「あら、エクスト。いたんですか?」
<_フ;ー;)フ「今だけ泣いても構わないですかぁぁぁぁ!?」
- 24 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:50:33.84 ID:Kg9jriU9O
- ………………
(;゚Д゚)「……」
( ΦωΦ)「ここが闘技場だ」
城の中にできた巨大な空間。
真ん中には人が二人戦う分には広すぎるスベース。
周りは自分の身長の何倍はあろう巨大な壁に囲まれていて、
その壁の上には観客席のようなものが見えた。
( ^ω^)「おー!広いお!」
( ΦωΦ)「試合が始まったらここは人でいっぱいになるからな」
(;゚Д゚)「ここがいっぱいになるのか!?」
- 25 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:53:21.83 ID:Kg9jriU9O
- ( ΦωΦ)「なんせ一年に一度の一大イベントだからな。
国王も王子も見に来るほどだ」
(;゚Д゚)「王様も!?」
(;-Д-)(これは……。下手な戦いはできないな……)
多くの人……それどころか王様まで見てる中で戦うのだ。
あっさり負けたらすごく恥ずかしい。
恥ずかし死にしてしまうかもしれない。
(,,゚Д゚)(……そうだ!負けなきゃいいんだ!)
うん、負けなければ恥ずかしい思いもしなくて済む。
いつにも増してポジティブな考えだが、きっと祭でテンションが上がってるのだろう。
(,,゚Д゚)「うし、ブーン」
( ^ω^)「お?」 - 27 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:56:30.01 ID:Kg9jriU9O
- (,,-Д゚)「絶対……勝とうな」
( ^ω^)「おっ!」
元気よく返事を返してくれたブーン。
その声に緊張は感じられなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
(*・∀・)「すっげー!でっけー!!」
川 ゚ -゚)「騒ぐな恥ずかしい」
( ・∀・)「いやでも見てよこの本の山!これを見て興奮しない人なんているの!?」
川 ゚ -゚)「ギk」
( ・∀・)「あ、ギコとヒートは例外ね。
頭が痛くなってきただの首が痛くなってきただの言うだろうから」
- 28 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 20:58:34.94 ID:Kg9jriU9O
- ( ・∀・)「とりあえず、『あの本』から見たほうがいいよね」
川 ゚ -゚)「いや、『あの本』はどうせ持って帰るのだろう?
だったら『あの本』は先に鞄にしまっておいて、他に興味のある本を読んだ方が得じゃないか?」
( ・∀・)「奇才あらわる」
川*゚ -゚)「照れた」
( ・∀・)「よし!そうと決まれば……」
( ・∀・)「何読もう?」
川 ゚ -゚)「なんでもいいだろう」
( ・∀・)「じゃあとりあえずこの比較的新しめの本を……」ヒラ…
川 ゚ -゚)「おい、何か落ちたぞ」 - 30 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:01:27.79 ID:Kg9jriU9O
- ( ・∀・)「手紙?……ラブレター?」
川 ゚ -゚)「なぜそうなる」
( ・∀・)(……ん?このシールは……ラウンジのエンブレムか……)
( ・∀・)「開けるよ」
川 ゚ -゚)「他人宛だったらどうするんだ」
( ・∀・)「その可能性は……低い」
川 ゚ -゚)「む……」
- 31 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:03:30.04 ID:Kg9jriU9O
- モララーの目の色が変わった。
便箋の裏に貼ってあった金色のシールを見てからだ。
真剣な表情で封を開け、中の手紙を取り出す。
クーはその間一言も喋らないでいた。
クーはもともと、人間界に来るつもりはなかった。
モララーも、精霊使いになるつもりはなかった。
ただ、二人は似ていた。
クーは、人間という生き物について、
モララーは精霊という生き物について興味を持っていた。
そして、二人は出会った。
( ・∀・)「……」
川 ゚ -゚)「なんて書いてあるんだ?」
- 32 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:10:01.85 ID:Kg9jriU9O
- モララーは無言で手紙をクーに手渡す。
そして、やはり無言のまま図書室の奥へ行って、『あの本』を鞄にしまい始めた。
クーが手紙に目を通す。
そこにはかわいい文字で信じられないことが書いてあった。
――――――
この手紙を読んだ人へ
今、この国は危険です。
国王は変わってしまいました。
恐らく人であらざる者の仕業です。
信じられないと思いますが、本当の話です。 - 34 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:12:26.64 ID:Kg9jriU9O
- 大臣も、僕の付き人も、母上も誰も信じてくれませんでした。
町に出てみんなに話しても、誰も信じようとしてくれませんでした。
でも、事実です。
何者かは国王に取り憑いた以上、何もしないことはありえません。
そして人がたくさん集まる精霊祭で、何か事を起こす可能性が高いと思います。
どうか、みんなを護るために力を貸して下さい。
ビロード=F=ラウナジア
―――――
川 ゚ -゚)「……クマー」
- 35 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:15:30.46 ID:Kg9jriU9O
- 「馬鹿げている」と、クーは思った。
こんな手紙、信じる馬鹿などいなだろう。
ビロードとはこの国の王子の名前だ。
王子の名前を借りた愚か者がイタズラで書いたとしか思えない。
ただ、モララーは相変わらず真剣な表情だった。
( ・∀・)「クー、行くぞ」
川 ゚ -゚)「行くってどこに?」
( ・∀・)「王子のとこだ」
川 ゚ -゚)「待て。まさかあの手紙の内容を信じるつもりか。」
( ・∀・)「うん」
即答だった。
- 36 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:17:45.11 ID:Kg9jriU9O
- 川 ゚ -゚)「いやいやいやいやいやいや、さすがにあれは釣りだろ」
( ・∀・)「……まず、便箋についてたシール。あれはラウンジの王族しか使えない特別なものだ」
川 ゚ -゚)「……は?」
( ・∀・)「もともと国家間の情報のやりとりに使われる手紙についてるもので、
国王が厳重に保管しているから一般人が盗んだり複製したりするのは不可能だ」
( ・∀・)「そうなるとこのシールを使える可能性があるのは王族と国王の側近だけに絞られる」
( ・∀・)「まず、もしこれがイタズラだとすると、
国王やその側近みたいないい大人がこんな子供じみたイタズラをすると思えない。
つまり、イタズラでこれを書くのはまだガキンチョの王子しかいないってことになる」
川 ゚ -゚)「一国の王子様をガキンチョ呼ばわりするとは……なかなかいい度胸してるじゃないか」
( ・∀・)「ごめんなさい調子乗りました」 - 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:19:13.47 ID:Nh1Dq4Id0
- この世界にも釣り師がいるのか…?
- 38 :>>37いるみたいですね ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:21:56.27 ID:Kg9jriU9O
- ( ・∀・)「次にこの手紙に本当の事が書いてあるとすると、
『国王は変わって〜』『大臣も〜』『付き人も〜』『母上も〜』とあるから
これらの人間が書いたのではないということになる」
( ・∀・)「つまり、これを書いたのは王子……となる」
川 ゚ -゚)「ふむ。この手紙がイタズラだとしても本当の事だとしても、
書いたのは王子様ってことか」
( ・∀・)「そう。だから王子に手紙の内容について問い詰めようと思う。
本当の話だったらギコ達にも協力を仰いで……、イタズラだったら……」
川 ゚ -゚)「どうする気だ?」
( ・∀・)「しばき倒す。……ギコが」
川 ゚ -゚)「それは名案だな」
- 39 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:25:27.88 ID:Kg9jriU9O
- ( ・∀・)「早く王子のところに行こう。
この手紙の内容が本当だとすると、いつ何かが起きてもおかしくない」
川 ゚ -゚)「それに関しては同感だ。
だが一つだけ問題がある」
( ・∀・)「んー?」
川 ゚ -゚)「我々は王子の部屋がどこにあるか知らない」
(;・∀・)「あっ」
クーがため息をつき、やれやれと肩をちぢませる。
……モララーはいつのまにか、いつものモララーに戻っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・ - 41 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:28:23.07 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)「ブーン……」
( ^ω^)「なんだお?」
(;゚Д゚)「今さらだけどすっごい緊張してきた」
( ^ω^)「大丈夫だお!いつも通り戦うお!」
(,,゚Д゚)「いつも負けてばっかりだった俺にそれを言うか」
……間もなく武闘大会が始まる。
開会式みたいなこともやったが、その間はぐっすり眠っていたので記憶はない。
トソンさんは「立ったまま爆睡できるなんてなかなかのバランス感覚ですね」と、
誉めてるんだか皮肉ってるんだかよくわからないコメントをしてくれた。
ロマネスクさんは一言「頑張れよ」と言って、どこかに行ってしまった。
- 42 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:31:58.49 ID:Kg9jriU9O
- 俺達の試合は第一試合なので、現在は控室みたいなとこで作戦会議中だ。
(,,゚Д゚)「……とりあえず、ロマネスクさんに言われた事は実践しないとな」
( ^ω^)「お!イメージだお!」
(,,゚Д゚)「イメージ……ねぇ。本当にそれだけで技が強くなるんだか」
( ^ω^)「ギコのイメージはそのままブーンに伝わるお!
あとはブーンがギコのイメージ通りに風を作り出せばいいんだお!!」
(,,-Д゚)「そうか。……頼んだぞ。ブーン」
(*^ω^)「任せるお!!」
こういう場面ではブーンのこの明るさには助けられるな。
そう思いながらイスに座った時だった。
(係)「間もなく試合が始まります!準備をお願いします!」
- 43 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:36:11.71 ID:Kg9jriU9O
- 係員に言われ、緊張が最高潮に達する。
でも、悪くない感覚だった。
体がブルッと震えた。
武者震いというやつだろうか。
(,,゚Д゚)(……俺達は強くなる。ヒートとも約束したんだ)
(,,-Д-)(……見せてやろうじゃないか。ラウンジの奴らに……)
腰に巻いたベルトにくくりつけた『秘密兵器』を指で一度撫で、立ち上がる。
(,,゚Д゚)「よっし!行くぞ!ブーン!」
( ^ω^)「合点だお!!」
腹から声を出して気合いを入れ、闘技場へと足を進めた。 - 45 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:39:14.34 ID:Kg9jriU9O
- ……………
( ΦωΦ)「そろそろ試合開始か」
(゚、゚;トソン「ギコは大丈夫でしょうか……」
( ΦωΦ)「なんだ、心配か?」
(゚、゚;トソン「えぇ……あの子はあれでもまだ子供ですし……、
この大会に出る人間はどれも一筋縄ではいかない相手……。
心配するのは当然でしょう?」
( ΦωΦ)「あいつは心配ないさ」
(゚、゚トソン「……過保護のあなたがそんなことを言うとは珍しいですね」
( ΦωΦ)「信頼してるんだよ、あいつを」
(゚、゚トソン「……そうですか」
从'ー'从「大丈夫だよ〜。ギコくんは丈夫だし〜」
(゚、゚;トソン(そういう問題ではないのですが……)
- 46 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:42:26.44 ID:Kg9jriU9O
- ………………
(;゚Д゚)「改めて見ると……すごい人だな」
( ^ω^)「ロマネスク達はどこだおー?」
格子状の扉の前でスタンバイ。
反対側にも同じような扉が見えるが、人間の姿までは把握できない。
(`∵)『さぁぁぁー!!始まりました!!毎年恒例、ラウンジ国精霊武闘大会!!実況の肥子山です!』
_
( ∵)『同じく実況の肥子川です』
(`∵)『この武闘大会には毎年世界中から強者共が集まり、その力を競い合います!
今年は48人の選手が集まりました!!
それでは注目の第一回戦!西側!若干19歳にてこの大会に参加した命知らずの風使い!!
ギコぉぉぉぉ=モナルドぉぉぉぉ!!』
_
( ∵)『相方の精霊の名はブーンです。
あと肥子山、うるせぇからちょっとマイクの音量落とせ』
(`∵)『だぁが断るぅぅぅぅ!!』
- 47 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:45:12.11 ID:Kg9jriU9O
- 沸く観客席。
この大会に俺みたいな若年層がいるのは珍しいのだろうか。
(;゚Д゚)「うお……やっぱり迫力あるな……」
(;^ω^)「凄いお。人の声だけで地面が揺れたお」
(`∵)『東側!ロビー国屈指の暴れん坊!!巨大な鉄球を片手で振り回す筋肉バカ!!
コージーぃぃぃぃ=フロムシぃぃぃぃ!!』
_
( ∵)『ドーピング疑惑はありません』
ム ロフ=)「ブッ飛ばしてやるぜ!!」
(,,゚Д゚)「うわ、何あの鉄球」
( ^ω^)「当たったら痛そうだお……」
(;゚Д゚)「痛いじゃ済まないな……」 - 49 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:49:02.79 ID:Kg9jriU9O
- (`∵)『両者が戦場に立ちました!!それでは精霊武闘大会第一回戦!!』
(`∵)『レディ……?……ファイトォ!!!』
ム ロフ=)「子供とはいえ容赦はせんぞ!!」
フロムシが巨大な鉄球を頭上で振り回しながら近づいてくる。
おそらくあの鎖の届く範囲になったら投げつけてくるつもりだろう。
(,,゚Д゚)「あの鉄球を投げられたらまずいな……。先制攻撃だ!
ブーン!『つむじ風』を圧縮するぞ!」
( ^ω^)「おっ!」
突風を起こす技、『つむじ風』
その風を直径20cm程度の球体に圧縮する。
(#゚Д゚)「まだまだ!!」
さらに圧縮。
球体はその形を変えぬままどんどん風を取り込んでいく。
- 50 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:52:53.06 ID:Kg9jriU9O
- 限界まで圧縮された風の球。
それは手の中でゴウゴウと音をたてていた。
そして、両手を前に突き出し、叫ぶ。
(#゚Д゚)「行くぜ……!!『圧風』!!」
新技その1、『圧風』
限界まで風を取り込んだ球体は、淡緑色の光を放ちながら猛スピードで標的のもとへ飛んでいく。
ム ロフ=)「ふん!!こんな風、この『あぼんの鉄球』で粉砕してくれるわ!!」
フロムシが鉄球を振り下ろし、球体を攻撃した。
無論、前方から衝撃を受けた球体は破裂。
その中に収まっていた風が一気に吹き出す。
……その球体に入る空気の何百倍もの体積の風が……
ム;ロフ=)「むぉ!!?」 - 53 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:55:41.16 ID:Kg9jriU9O
- 巨大な爆音とともに発生した突風はいともたやすくフロムシの体を吹き飛ばし、
その体を闘技場の周りを囲む壁に激突させた。
あまりの衝撃に地面が揺れ、土埃が一面に舞う。
土埃がはれると、そこには上半身を壁にめり込ませてぐったりと動かないフロムシの姿があった。
(;ΦωΦ)「……」
(゚、゚;トソン「……」
(;^ω^)「……」
(,,゚Д゚)「……」
(;゚Д゚)「……へ?」
会場を静寂が包み込み、俺の情けない声だけが虚空に吸い込まれる。
観客は誰もが何が起こったか理解できない様子で呆然としていた。
というか、技を使った張本人である俺ですらその威力の高さに驚いている。
- 54 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 21:58:12.38 ID:Kg9jriU9O
- (;`∵)『……しょ、勝者!!ギコ=モナルド!!』
実況の肥子山の声が会場に響きわたる。
そして、一瞬遅れて会場を割れんばかりの歓声が包んだ。
(;`∵)『びょ、秒殺だぁぁぁぁ!!一体誰がこんなこと予測できたでしょうか!!!』
_
( ∵)『フロムシ選手……あれは抜けるんですかね?』
(;`∵)『早速すごい奴が出てきたぞぉぉ!!?早くも大波乱の予感だぁぁぁ!!』
_
( ∵)『めっちゃめり込んでますよ。どうやって抜くのか見物です』
(;゚Д゚)「……」
(*^ω^)「やったお!!勝ったお!!」
(;゚Д゚)「……勝っ……た?」
(*^ω^)「そうだお!!勝ったお!!」
(,,゚Д゚)「勝った……勝ったんだな……俺……」
- 55 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:00:56.31 ID:Kg9jriU9O
- ブーンの言葉によってようやく勝利を実感した。
観客席からは今も俺達にむかって声援や拍手を送ってくれている。
なかなか気持ちがいい。
(;゚Д゚)「けど……フロムシさん大丈夫かな」
リハ´∀`ノゝ「大丈夫よ〜。私達がいるから〜」
(;^ω^)「おっ!!びっくりしたお……」
視線を下げると、ブーンと同じくらいの身長の精霊がいた。
リハ´∀`ノゝ「あなた達は〜……別に治療はいらなさそうね〜。
じゃあ、退場して下さ〜い」
(;゚Д゚)「あ……はい」
精霊に言われて、自分達が入ってきた扉から退場する。
俺が退場しても拍手はしばらく鳴り続けていた。 - 57 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:02:59.22 ID:Kg9jriU9O
- …………………………
(;ΦωΦ)「予想以上……だな」
(゚、゚;トソン「えぇ。あの程度の攻撃、避けるのはたやすいですが……」
(;ΦωΦ)「問題は他の派生技だ。
まだ見てないからわからないが……少なくとも格段に威力が上がってるに違いない」
(゚、゚;トソン「そうですね……」
(;ΦωΦ)(ギコは……弱いんじゃなくて、力の使い方を知らなかっただけだったのか……。
しかし……あんな強力な攻撃をかましておいて平然と突っ立ってるんだから……恐ろしい精神力だ)
(゚、゚トソン「……では、私はそろそろ試合の準備に行かなくてはならないので」
( ΦωΦ)「そうか。健闘を祈る」
(゚ー゚トソン「……あなたと闘うまでは負けないのでご安心を」
- 58 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:04:46.43 ID:Kg9jriU9O
- ・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
〜精霊界〜
ζ(゚、゚*ζ「はぁ……」
( <●><●>)「どうしたんです?ため息なんかついて……」
光の草原にある教会。
デレは肘をついて手に顎を乗せ、ワカッテマスはティーカップを片手に持ち円卓に座っていた。
ζ(゚、゚*ζ「早くギコがこっちにこないかなー……って」
( <●><●>)「それは、『魂』がですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ううん。ちゃんと肉体を持って」
( <●><●>)「それは……難しいですね」
ζ(゚、゚*ζ「もー、なんでそんなことを言うのさ」
( <●><●>)「第一、普通の人間が精霊界に来るのは不可能です」
- 59 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:06:52.09 ID:Kg9jriU9O
- ζ(゚、゚*ζ「なんで?人間達は精霊界へ行く道を本に記したって『あの人』が言ってたわよ?」
( <●><●>)「それでも……です」
ζ(゚ー゚*ζ「まさか、『守護者』がいるからとか言わないでしょうね?」
( <●><●>)「……そう言うつもりでしたが?」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫よ。ギコは強いから」
(;<●><●>)「あのですね、いくら彼が特別だと言っても……。
あなたは少々彼を買い被りすぎだと思いますが?」
ζ(゚ー゚*ζ「でもあの子は一人じゃない」
(;<●><●>)「……」
( <●><●>)「はぁ……。そうですか。
しかしですね、エデン。
彼は精霊界に来てからの方が辛い思いをする事になると思いますが……それでもいいのですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「言ったでしょ?ギコは強いって……。
ちゃんと私の所へ来てくれるわよ。
……全てを知った上で」
( <●><●>)「……そう、ですか」
- 60 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:09:28.23 ID:Kg9jriU9O
- ワカッテマスがティーカップに手を付け、中の紅茶を一口飲む。
( <●><●>)「……変わった味ですね」
ζ(゚ー゚*ζ「私のオリジナルよ?お口に合わなかったかしら?」
( <●><●>)「変わった味とは言いましたが、美味しくないとは言ってませんよ?」
そう言って、残りの紅茶を喉へ流し込む。
不思議な香りがワカッテマスの鼻腔一杯に広がった。
( <●><●>)「……やはり、変わった味です」
ζ(゚ー゚;ζ「せめて美味しいか美味しくないか言ってよ……」
それは無理な注文です、と言いながらワカッテマスは空になったティーカップを皿に置いて立ち上がる。
( <●><●>)「最後に、もう一度だけ忠告しておきます。
精霊界にいる多くの精霊達はギコを迫害するでしょう。
……あなたと同様にね」
- 61 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:12:53.97 ID:Kg9jriU9O
- ζ(゚ー゚*ζ「……」
( <●><●>)「皆から嫌われる辛さはあなたがよくわかっているでしょう?」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、味方もいるわ。あなたもそう。
リバイアだって……セラフィムだっている……。
それにギコなら、きっと他の人達とも和解できるわ」
( <●><●>)「どうですかね。イグニールあたりなんかは彼を殺しにかかるかもしれませんが?」
ζ(゚ー゚*ζ「イグニールだってわかってくれる。
それに、悪いのは私一人。
あの子にはなんにも罪はないもの。
『破壊』と『正義』の象徴である彼が罪のない人を殺すとは思えないけど?」
( <●><●>)「……まったく。
あなたはひどい人だ」
ζ(^ー^*ζ「残念。私は人ではありません」
( <―><―>)「はぁ……。ギコには同情せざるを得ませんね」
……ワカッテマスは深いため息をつき、教会の扉に手をかけた。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
- 62 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:15:27.68 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)「……そういえばトソンさんはどこだ?」
( ΦωΦ)「あいつはBブロックの一回戦だからな、控室で準備してるんだろう」
試合を終えた俺達はすぐにロマネスクさん達の姿を探した。
観客席でウロウロしてると変なオッサンに話し掛けられたり、
若い女性にブーンが揉みくちゃにされたりしたが、
なんとかロマネスクさんを見つける事が出来た。
( ^ω^)「で、現在に至るお」
从'ー'从「ブーンくん誰に話しかけてるの〜?」
( ΦωΦ)「そうだ、お前ら。次の対戦相手の試合を見たか?」
(,,゚Д゚)「いや、見たかったんだけど……。
いろいろと迷子になってたら見れなかった」
( ΦωΦ)「そんなことだろうと思った。
次のお前の相手は雷使いだ。
さっきの筋肉バカとはスピードが段違いだから気をつけろよ」
- 63 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:18:45.72 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)(次の相手は精霊使いか……)
(,,-Д-)(じゃあ、『圧風』は使えないな……)
先程絶大な威力を見せつけた『圧風』だったが、
あれは使うまで結構な時間がかかる。
大体7、8秒だろうか。
一回戦のフロムシは動きが遅かった上、『圧風』の威力を知らなかった。
だから『圧風』の餌食になってしまったのだ。
次の戦いで『圧風』を使おうとすれば、
風を完全に溜め込む前に俺かブーンが攻撃されるか、『圧風』の球をかわされて終わりだろう。
(,,゚Д゚)(まぁいい。まだ試したいことはいくつもある)
疾風、鎌鼬、竜巻。
よく使うこれらの技の威力がどれだけ上げられるのか、
また、どのように派生させることができるのか。
試さなくてはいけないことはたくさんある。 - 65 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:21:05.92 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)(アレは……できれば使わないでおきたいな)
今日手に入れたばかりの『秘密兵器』を使った技。
恐らく、1番精神力を要するであろう大技だ。
(,,゚Д゚)(いずれ当たるロマネスクさん達用の秘密兵器だ。
それまでに使うことにならなきゃいいが……)
( ΦωΦ)「お、ツムラ達の試合が始まるぞ」
(*^ω^)「おっ!応援するお!」
司会の肥子山の声が会場内に響き、俺は思考を中断した。
そして、ブーンの横から闘技場内を見下ろす。
- 66 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:23:32.43 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)(トソンさんの相手は精霊使いか……。
負けはしないと思うけど……)
(`∵)『さぁさぁやってきました注目の一戦!!西側!!
我が国が誇る傭兵団で数々の偉業を成し遂げた才色兼備の閃光少女!!
通称『雷神』!!トソンぅぅぅ=ツムラぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
_
( ∵)『相方の名前はエクストです。あと闘技場内に物を投げ込まないでください。殺しますよ』
トソンさんの名が出たとき、観客席が今までで1番の盛り上がりをみせた。
中には感極まって涙を流している人までいた。
(;゚Д゚)「すっげぇ騒がれようだな……」
( ΦωΦ)「この国の人達にとって俺達は『英雄』だからな」
「ちょっとそこのでっかい人!!もう少ししゃがみなさいよ!!トソン様が見えないじゃないの!!」
(,,-Д゚)「……ふーん。俺『達』ねぇ……?」
(´ΦωΦ) - 68 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:26:12.72 ID:Kg9jriU9O
- (゚、゚*トソン(少女……)
<_プー゚)フ「うっしゃあ!!2秒で決めてやるぜ!!」
(`∵)『対する東側!!ビー国から歩いてやってきた旅の者!!ヨシオ=コジマ!!』
_
( ∵)『誰こいつ。相方の名前はオパピーらしいです』
ヨし;゚A゚)オ「なんだかすっげぇアウェーだ!でもそんなの関係ねぇ!」
(`∵)『一体何秒持つのでしょうか!!
それではBブロック第一回戦!!
レディ……ファイッ!!』
試合開始の合図のともに、光の塊が一瞬でヨシオとの差を詰める。
恐らくトソンさんが『迅雷』を使ったのだろう。
あっという間にヨシオの懐に潜り込んだ。
ヨし;゚A゚)オ「なn」
(゚、゚トソン「『稲妻』」
- 69 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:28:17.08 ID:Kg9jriU9O
- 相手に言葉を発する暇すら与えないで、
一瞬も躊躇うことなくヨシオの体を巨大な稲妻で貫く。
ヨシオは一度だけ体を大きく痙攣させて、動かなくなってしまった。
ヨシオの精霊はただただその様子を見ていることしかできなかった。
(*`∵)『勝者トソン=ツムラぁぁぁぁぁぁぁ!!
試合開始わずか5秒で決着がつきましたぁぁぁ!!』
_
( ∵)『おい、だから物投げ込むなって言ってるだろ。いろいろちぎるぞ』
(゚、゚トソン(5秒ですか……一応ギコより速いし、メンツは保てましたね)
<_プー゚)フ「なんだなんだ。もー終わりかよ!!張り合いねーな!」
大きな大きな歓声が闘技場内を包み込む。
そんな中、俺とブーンは開いた口を塞げないでいた。
(;゚Д゚)「は……、はえぇ……」
(;^ω^)「凄いお。本当に相手に動く暇を与えなかったお」
- 70 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:31:40.26 ID:Kg9jriU9O
- ( ΦωΦ)「なぁに。相手が弱すぎただけさ」
(;゚Д゚)「いや、でもあの人一応精霊使いだったし……」
( ΦωΦ)「あの程度の攻撃を避けれないのは弱い証拠だ。
あれならギコだって簡単に避けれるだろ?」
(;゚Д゚)「実際にやってみないとわかんないけど……」
( ΦωΦ)「ま、避けれるだろ。……しかしツムラも、あの程度の相手を簡単に倒しちまって……。
面白みのない奴だな」
ロマネスクが立ち上がり、大きなあくびを一つ。
続けて大きく伸びをする。
( ΦωΦ)「んじゃ、俺は試合の準備してくるからよ」
(,,゚Д゚)「あ、ああ」
( ^ω^)ノシ「いてらーだお」
从'ー'从ノシ「頑張ってくださいね〜」 - 72 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:34:25.80 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)(ロマネスクさんの試合か……。しっかり見ておかないとな)
同じ風使いであり、現在の自分の目標であるロマネスク。
普段はちょっとアレだが……戦いの技量においては、
恐らくこの世界でも5本の指に入るであろう実力者だ。
(,,゚Д゚)(トソンさんは速過ぎて余り参考にならなかったからなぁ……)
( ・∀・)「あ、ギコ。こんなところにいたんだ」
後ろから声をかけられ、思考を中断する。
振り返ると、額にうっすら汗を浮かべたモララーの姿があった。
(,,゚Д゚)「なんだ?図書館に行ったんじゃなかったのか?」
( ・∀・)「いろいろあってね。……ロマネスクさん達は?」
(,,゚Д゚)「ロマネスクさんは試合の準備。トソンさんは今試合が終わったとこ」
(´・∀・)「……てことは今はギコ一人か……」
(,,゚Д゚)「そんなに露骨に残念そうな顔をされると悲しいぞ」
- 73 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:36:51.91 ID:Kg9jriU9O
- ( ・∀・)「まぁ、聞くだけ無駄だと思うけどさ」
(,,゚Д゚)(じゃあ聞くなよ)
( ・∀・)「王子様ってどこにいるか知ってる?」
(,,゚Д゚)「うん」
( ・∀・)「そうだよね。ギコなんかが知ってるわけないもんね」
( ・∀・)「え」
(,,゚Д゚)「『え』じゃねーよ。知ってて悪いか?」
(;・∀・)「な、なんでギコが……」
(,,゚Д゚)「ロマネスクさんに聞いたんだよ。文句あっか」
( ・∀・)「あー……なるほど。……で?王子様はどこに?」
(,,゚Д゚)σ
( ・∀・)「お?」
- 74 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:40:09.59 ID:Kg9jriU9O
- ギコが指をさした方向には一際目立つ、豪華な観客席が見えた。
そして闘技場内を一望できる場所に大きな玉座が一つ。
( `ハ´)
その玉座にはこれまた豪華な服を着た男。
椅子に座って偉そうに踏ん反り返っている。
(;・∀・)「あれが?結構歳くってるように見えるけど……」
(,,゚Д゚)「お前は誰を見てるんだ。その横にいるだろ」
( ・∀・)「ばーかばーかwww
冗談に決まってるだろ」
(,,゚Д゚)「あまりふざけると殴るぞ」
(#)∀・)「はい。すいません」
- 75 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:42:47.45 ID:Kg9jriU9O
- その巨大な玉座の横には、一回り小さいが立派な椅子があった。
( ><)
そこに座っているのはラウンジ王国の王子、ビロード=F=ラウナジアだ。
その脇には小さな生物の姿も見られる。
( ・∀・)「あれが王子か……。横には精霊もいるね」
(,,゚Д゚)「精霊……?ここの王子ってまだ16歳くらいって聞いたけど……」
( ・∀・)「そうだよ」
(;゚Д゚)「えっ?じゃあなんで……」
( ・∀・)「王族となるといつ何時危険な目に遭うかわからないでしょ?
だからこの国では王族は幼少期から精霊と契約するんだ。
……まぁ、精霊使いになる難しさは変わらないけどね」
(,,゚Д゚)「へー。じゃあわりとすごいんだな、あの王子様」
- 77 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:45:18.02 ID:Kg9jriU9O
- ( ・∀・)「そういうこと。
じゃあ王子の居場所もわかったし、僕は行くよ」
(,,゚Д゚)「あ、ああ」(何しに行く気だ……?)
モララーは右手をヒラヒラと振り、人ゴミの中へ消えていった
川 ゚ -゚)「いいのか?ギコに手紙のことを伝えなくて」
( ・∀・)「あの場所じゃもし王様が敵だったとしても大暴れ出来ないから大丈夫だよ。
それに……」
( -∀・)「せっかくの祭なんだ。僕らも一暴れしないとね」
川 ゚ ー゚)「強気だな。もし相手が悪魔だったらどうするつもりだ?」
( ・∀・)「ははは。上級悪魔でもない限り僕らが負けるわけないじゃないか」
川 ゚ー゚)「ふっ……。もっともだな」
- 78 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:48:57.12 ID:Kg9jriU9O
- ・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
(付)「今年も熱いですね!!どうですか王子?誰か気になる選手はいますか?」
( ><)「一番最初に出てきたギコって選手がすごいんです。
僕とそんなに歳が離れていないのに、あんな大男を簡単に吹っ飛ばしちゃいましたからね」
(付)「そうですか。楽しんでいただいて何よりです」
( ><)(……楽しんでなんかいられないんです。
結局、誰も僕の手紙には気づいてくれませんでした。
……いつ、何が起きるかわかんないんです)
( `ハ´)「ビロードよ。どうだ?楽しんでるか?」
( ><)「はいなんです!」
( `ハ´)「はっはっはっ。それはよかった」
( ><)(この人は……父上ではないんです。
でも、気づいているのは僕だけ……いざとなったら僕とちんぽっぽちゃんで戦わないといけないんです……)
(*‘ω‘*)「ぽっぽ?」
- 79 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:51:38.02 ID:Kg9jriU9O
- ( ><)(でも……僕は弱いんです。
ちんぽっぽちゃんがいても、怖いものは怖いんです。
……それで、国のみんなを見捨てて、一人で逃げてしまうんじゃないか……
それが、一番怖いんです……)
『会場の皆さんお待たせ致しました!!本日二人目の注目選手!!
西側!元ラウンジ傭兵団!一人で敵兵1000人を殲滅した伝説は今でも部隊内で語り継がれています!!
世界最強!!ついた異名は『風神』!!ロマネスクぅぅぅぅぅ=スギウラぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
(付)「おお!王子、ロマネスクの試合ですよ!」
( ><)(ロマネスク……。ちっちゃい頃に遊んでもらったこともあるんです……。
あの人が僕と一緒に戦ってくれたらどんなに力強いか……)
( ><)(力が欲しいんです……。みんなを守る力が……)
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
- 80 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:54:13.04 ID:Kg9jriU9O
- (゚、゚トソン「ようやくロマネスクの試合ですか」
(,,゚Д゚)「ロマネスクさんって一回戦最後の組だったんだ」
(*^ω^)「わく わく」
从*'ー'从「てか てか」
(゚、゚;トソン「ところでなぜワタナベはここにいるのですか?
もう試合が始まりますよ?」
(;゚Д゚)「俺じゃなくて本人に聞いてくださいよ」
(`∵)『さぁそれに対するのは……!!
東側!!現・ラウンジ傭兵団三番部隊隊長!!
フィンレクトぉぉぉぉぉぉ=ゲインブールぅぅぅぅぅ!!』
_
( ∵)『現役の隊長ですよ。ちなみに相棒の精霊の名はオワタです』
(‘_L’)
\(^o^)/
(*ΦωΦ)ノシ イェーイ ミンナミテルー? - 82 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:57:06.15 ID:Kg9jriU9O
- (;゚Д゚)「現役の傭兵団……?しかも隊長だって……!?」
(゚、゚トソン「三番隊のフィンレクトですか。私達が現役の頃には副隊長をやってましたね……。
彼の異名は『大海蛇(シーサーペント)』
彼の使う水術と、蛇の如き執念深さからついた名です」
(;゚Д゚)「……もしかして、ラウンジの傭兵団ってみんなあだ名があるんですか?」
(゚、゚トソン「あだ名ではないですし全員が持ってるわけではありません。
部隊長クラスの実力を持ってる人が自然とそう呼ばれるようになるものです」
(,,゚Д゚)「へぇー」
…………………
(‘_L’)「お久しぶりですね。元一番隊隊長……ロマネスク殿」
(*ΦωΦ)ノシ「ん。そうだな」
(‘_L’)「精霊の姿が見えませんが?」
(*ΦωΦ)ノシ「おいてきた」
- 83 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 22:59:59.34 ID:Kg9jriU9O
- ピクッ、とフィンレクトの眉が動く。
(‘_L’)「それは……私に対する『ハンデ』ですか?」
( ΦωΦ)「……だってよ。普通に戦ったって面白くねぇじゃねぇか」
(‘_L’)「そうですか。私など、精霊無しで十分というわけですか」
フィンレクトの声のトーンが下がった。
強く握られた右の拳が小刻みに震えているのが見える。
(#‘_L’)「……いいでしょう。精霊がいないからと言って、手加減はしません」
( ΦωΦ)「それは賢明な判断だ。
ただでさえ弱っちいのに手を抜かれたら俺が楽しめないからな」
( ΦωΦ)「……せいぜい楽しませてくれよ?」
ロマネスクが笑みを浮かべる。
狂気を孕んだ、不気味な笑みだ。
- 84 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:02:30.91 ID:Kg9jriU9O
- (`∵)『おぉっとぉ!?早くも火花が飛び散っていますね!!
では両者が準備できたようなので、
Dブロック最終戦……レディ……』
(‘_L’)
( ΦωΦ)
両者の態勢が若干低くなる。
フィンレクトが自分の精霊のオワタに何か耳打ちしたのを、
ロマネスクは見逃さなかった。
『……ファイッ!!』
肥子山の声を合図に、両者が動いた。
- 85 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:05:00.96 ID:Kg9jriU9O
- (#‘_L’)「オワタ!!『津波』であのオッサンを吹っ飛ばせ!!」
\(^o^)/「よしきた」
フィンレクトの足元から大量の水が湧き出る。
その水は巨大な津波となり、ロマネスクに向かってゆく。
( ΦωΦ)「おほっ。こりゃすげぇ」
ロマネスクは5mはあろうという巨大な波に臆することなく、
大剣を両の手にしっかりと握り締め、水の壁へ駆けて行った。
(‘_L’)「馬鹿め!!精霊もいないのに俺の『津波』に自ら飛び込むとは!!」
\(^o^)/「ロマネスクオワタ」
(#ΦωΦ)「終わりかどうか……よーく見とくんだな!!」
- 86 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:08:19.21 ID:Kg9jriU9O
- 巨大な波に接触する数m手前でロマネスクは体を半捻りしてブレーキをかける。
慣性の法則により、前進しようとする体を無理矢理抑えることで『タメ』が生まれる。
『タメ』られた勢いを殺さず、更に上半身を捻り、上体を低くする。
そして、波がぶつかる瞬間に、全身に『タメ』られた勢いを解放、
大剣を渾身の力で下から上へ振り上げた。
(;‘_L’)「なっ……」
フィンレクトが驚きの声を漏らした。
それもそうだ。
自分の目の前で巨大な津波が真っ二つに割れたのだから。
割れた波はそのままの勢いで壁にぶつかり、大きな水しぶきをあげる。
それは雨となり観客席に降り注いだ。
( ΦωΦ)「おいおい。観客を巻き込むのは紳士的じゃねぇな」
(;‘_L’)「……」
- 87 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:11:40.86 ID:Kg9jriU9O
- (;‘_L’)(馬鹿な……。ありえない。
あの質量の水を大剣一振りで両断するなんて……)
(‘_L’)(……そうだ。ありえないんだ。
……あの男の存在は……)
昔、ロビーとの紛争が行われた時、一人で相手の部隊を殲滅。
千人斬りの偉業を成し遂げた男だ。
もはや同じ人間とは思えない。
(‘_L’)(奴を倒すことができれば、俺が『最強』の名を欲しいままにできる)
フィンレクトは笑みを浮かべ、腰のサーベルを抜いた。
そんなフィンレクトの姿を見て、オワタも再び戦闘体制に入った。
(‘_L’)(覚悟しろ『風神』……。この『大海蛇』の餌となれ!!)
- 88 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:16:23.70 ID:Kg9jriU9O
- (‘_L’)「オワタ『水球』を連発だ」
フィンレクトの周りにポヨポヨとした水の球が複数個浮かんできた。
大きさはまちまちで、大きいものはロマネスクを簡単に飲み込んでしまうほど、
小さいものはせいぜい口を塞げる程度だろうか。
( ΦωΦ)「……」
ロマネスクは大剣を構え、迎撃の姿勢をとった。
(#‘_L’)「これでも喰らえ!!」
フィンレクトが声を張り上げると、大小様々な大きさの水の球がロマネスクに襲い掛かった。
スピードはそんなに早くないし、威力もそこまで高そうに見えない。
だがロマネスクはいつにもまして真剣な表情でそれらを迎え撃とうとしていた。
(#ΦωΦ)「はぁっ!!」
気合いの篭った声を上げて、水の球を斬りつける。
大剣に切られた水の球は一度真っ二つに分かれるが、すぐにくっつき、
勢い変わらずロマネスクに向かってきた。
- 89 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:19:32.35 ID:Kg9jriU9O
- (,,゚Д゚)「なんだ?ただの水なのにあんなに真剣によけちゃって……」
(゚、゚;トソン「……ただの水だからこそです。水使いはコップ一杯の水があれば、
簡単に人を殺すことができますから……」
(,,゚Д゚)「コップ一杯で?」
(゚、゚;トソン「えぇ。それだけあれば気道を塞げますからね」
(;゚Д゚)「うげ……」
(゚、゚;トソン「……しかしその場合、術者か精霊の集中が一瞬でも切れれば、
水は同じ形を維持できなくにります」
(;゚Д゚)「じゃあもしあの水の球をくらっても、
相手の気を逸らしさえすればなんとかなるんスか?」
(゚、゚;トソン「いえ……フィンレクトの場合は、そんな時間のかかる不確実なことはしません。
彼は体内に水を侵入させ、水の形を変形し、それを氷にして人体を体内から破壊します」
(;-Д゚)「うわ……えげつねぇ……」
(゚、゚;トソン「そのえげつなさが戦争では必要だったのですから……。
彼はその能力の高さと非道さを買われて部隊の副隊長を務めていました。
例え元同僚だとしても容赦はしないでしょう」
(;゚Д゚)「……ロマネスクさん……死なないよな」
- 90 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:22:24.33 ID:Kg9jriU9O
- (;ΦωΦ)(ちっ!数が多すぎる!!)
ロマネスクは必死に水の球を避けていた。
一定の量を体内に侵入させたら負けだ。
誰が見ても、ロマネスクが圧倒的不利な状況は把握できる。
しかし、ロマネスクはうっすらと笑っていた。
(;ΦωΦ)(……これを凌げば……!!)
その理由はフィンレクトの表情に少しずつ表れてきていた。
(;‘_L’)「ハァ……!ハァ……!」
\(;^o^)/「……」
精霊の力を使うと、術者は精神力を消費する。
精神力の消費量は技の威力や大きさ、使用時間などに左右されるが、
この場合、技の重複使用、さらに複数の水の球の遠隔操作により、
フィンレクトはみるみる内に精神力を浪費していった。
十数個の水の球を同時に操作するのはかなりの精神力を必要とするのだ。
- 91 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:25:24.93 ID:Kg9jriU9O
- ( ΦωΦ)(水の動きが遅くなった……。そろそろだな)
(; _L )「ゼェ……!ハァ……!」
\(;^o^)/「フィンレクト。そろそろ術を取り消さないと……」
(# _L )「うるさい!こいつに勝てば俺は……」
水の球が一つ、また一つと形を崩し地面に吸い込まれていく。
ロマネスクはフィンレクトの方を一度だけ見て、大剣を背に掛けた。
( _L )「最強の名が……俺…の……」
最後の水の球が地面に吸い込まれるのと同時に、フィンレクトが地に伏した。
(*`∵)『勝者!!ロマネスク=スギウラ!!やはり『最強』の名は伊達じゃなかったぁぁぁぁ!!』
_
( ∵)『自滅……ですね。救護班はただちにフィンレクト選手の治療にあたってください』
四方から拍手と歓声が沸き上がる。
ロマネスクはそれらに反応することなく、フィンレクトに歩み寄っていく。 - 93 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:27:56.35 ID:Kg9jriU9O
- ( _L )
( ΦωΦ)「己の力を過信しすぎたな。フィンレクト。
自分の力量もわきまえられない奴が隊長とは……情けないぞ」
吐き捨てるように言うロマネスク。
果たしてその言葉はフィンレクトに届いているのか。
( ΦωΦ)「自惚れるな。お前はまだまだ弱い。
ラウンジ傭兵団の部隊長の名に恥じないように努力しろ」
最後にそれだけ告げて、ロマネスクは戦場を後にした。
オワタはそんなロマネスクの後ろ姿を無言で見送るしかできなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
- 94 : ◆4br39AOU.g :2009/09/09(水) 23:30:36.15 ID:Kg9jriU9O
- (;゚Д゚)「自滅……」
(゚、゚トソン「力を使いすぎたのでしょう。
複数の物質の遠隔操作は特に精神力を浪費しますから」
(;゚Д゚)「傭兵団の隊長クラスでもそんなことあるんだな」
(゚、゚トソン「フィンレクトが愚かだったというのもありますが……
まぁ、精霊使いである以上どんな人間でもなりうることですね」
(,,゚Д゚)(……俺も気をつけなくちゃ)
さて、と言って軽く屈伸をする。
俺の試合は二回戦の第三試合。
そろそろ準備をしなければならない。
(,,゚Д゚)「じゃ、試合の準備に行ってきます」
(゚、゚トソン「わかりました。頑張って下さい」
(,,゚Д゚)「了解っす」 - 98 :さるさんきらいだ ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:00:17.96 ID:bLOAWzeaO
- 一方……
( ・∀・)「ここだね」
川 ゚ -゚)「ああ、ここだな」
モララー達は国王達の観戦席の裏に立っていた。
扉の前には二人の見張り役がいる。
( ・∀・)「見張りをどうしようね」
川 ゚ -゚)「事情を話せば入れてくれるんじゃないか?」
( ・∀・)「入れてくれなかったら?」
川 ゚ -゚)「その時は実力行使しかあるまい。一刻を争う事態なのだから」
( ・∀・)「この手紙が王子のイタズラだったらどうするんだよ。
勘違いで見張りの人吹っ飛ばしちゃいました〜なんて洒落にならないぞ」
川 ゚ -゚)「ほう。そんなこと言ってるが、どうせこの手紙がイタズラの可能性は低いのだろう?」
( ・∀・)「ま、ほぼ0だろうね。僕の見解から言わせてもらうけど」
- 99 : ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:02:18.99 ID:bLOAWzeaO
- 川 ゚ー゚)「なら無問題だ」
( ・∀・)「じゃあクー……」
――――――――…
(,,゚Д゚)「相手は精霊使いだ。気を抜いたらやられるぞ」
( ^ω^)「おっ!気をつけるお!」
(,,゚Д゚)「おっし。じゃあブーン……」
――――――――…
「「戦う準備は、いいか?」」
第二話 続く - 102 : ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:04:41.80 ID:bLOAWzeaO
- 以上
さるさんきらい
質問等あればどうぞ
- 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 00:11:45.25 ID:4QqB9T1NO
- 絵描いていい?
- 104 : ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:14:32.41 ID:bLOAWzeaO
- ('A`) ちょっとだけ次回予告
('A`) 第二話後編ではギコの父親であるフサの他に、
子供の頃のギコにかなり馴染み深い存在が登場します。多分
('A`) あ、次回はモララーが活躍しますよ。多分
('A`) 僕らの登場シーンはありませんが、第三話はノパ听)サイドで物語が進行します。多分
(*'A`) >>103 絵を描いていただけるのですか?恐縮です!よろしくお願いします!
- 105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 00:20:50.79 ID:54pH+TZ9O
- 今から読むけど
作者さんAA関連板出身だったりする?
ぽろろの設定とかそう思うものがある
- 106 : ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:26:53.83 ID:bLOAWzeaO
- ('A`) さて、ではどうでもいい解説でもしましょうか
('A`) 今回、フィンレクトの攻撃手法で、
『相手の体内に水を侵入させ、形を変形して凍らせ、体内から破壊する』
と、ありました
('A`) 「こんなめんどいことしなくても人間の組織液とか凍らせちゃえば簡単に殺せるんじゃね?」
と思う方もきっといたでしょう
('A`) もちろん、そんなことはできません
精霊使いが操ることができる元素は、
『精霊が生成したもの』または『精霊、または精霊使いが視認したもの』だけなのです
ここ、試験にでましたよ
('A`) >>105 いえ、生まれも育ちもVIPです
ぽろろは『大量殺戮をする生物兵器』のイメージにピッタリだったので使っただけです
- 107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 00:31:01.88 ID:4QqB9T1NO
- 下手くそだけどかいてみる
キャラ指定ください
いつかの投下の時に貼る
- 108 : ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:35:41.17 ID:bLOAWzeaO
- ('A`) あと、非常にどうでもいい話ですが、
作者が使うAAのうち、総合のテンプレに載ってたりするAAや、
有名なAAは複数回登場するように心掛けてます
('A`) ム ロフ=) ヨし゚A゚)オ←多分こいつら二度と出ません
しかしフィンレクトやビロードは……
再登場するんですかね?
(*'A`) >>107 主要キャラの中で書きやすいキャラで描いていただければ嬉しいです - 110 : ◆4br39AOU.g :2009/09/10(木) 00:44:24.19 ID:bLOAWzeaO
- すいません明日学祭があるので朝が早いんでもう寝ます……
あと、楽しみに待っていただいてくださる方には非常に申し訳ありませんが、文丸さん主催の没ネタ合作を区切りにして、
大学受験が終わるまでしばらく更新を停止する予定です
できればそれまでに第四話までは投下したいと思っておりますが、できなかったらごめんなさい……
- 111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 01:08:18.12 ID:4QqB9T1NO
- 落書きヒートhttp://imepita.jp/20090910/038890
修正点大杉orz
- でも寝たいのでノシ