第二章
81 : ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:39:52.43 ID:cvvwhvZ+O
第二話 〜風の精霊〜



試験が終わり、ずんずんと歩き進んでいくヒートについていくこと三時間。
俺達は現在荒野を歩いている。
ここで、さっきからずっと疑問に思っていたことをヒートに聞いてみた。

(,,゚Д゚)「あの……。あなたは一体どこへ向かってらっしゃるので?」

ヒートが足を止めてこちらを振り返る。
そして、前方を指さし「前だ!」と言った。

(,,゚Д゚)「向こうに村とかあるのか?」

ノパ听)「知らん!」

(;゚Д゚)「え?どこ行く気だ?」

ノパ听)「精霊界に行くんだろぉぉ!?」

(;゚Д゚)「まさか、精霊界の場所がわかるのか!?」

ノパ听)「知らん!」

(,,゚Д゚)(胸張って言うなよ)

ノパ听)「……ところで今どこらへんだ?」

(,,-Д-)「知らん」

82 :>>78thx! ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:42:40.83 ID:cvvwhvZ+O
ヒートが途端に不安そうな表情になる。

ノハ;゚听)「もしかして……今迷子か?」

(,,-Д-)「うん」

短くそう答えると、ヒートは黙り込みその場にぺたん、と座り込んで泣き出してしまった。

ノハ;;)「ごめぇぇぇぇん!!!私のせいだぁぁぁ!!」

まさか泣かれるとは思ってなかったので、焦る。
ブーンとハインの視線が痛い。

从 ゚∀从「あーあ。女の子泣かせた」

( ^ω^)「……」

(;゚Д゚)「な、泣くなよ。別に気にしてないし……」

( ^ω^)「……」

(;-Д-)「それにほら、あれだ、失敗は誰にでもあるし……」

( ^ω^)「……」

(;-Д-)「……」

( ^ω^)「……」
85 : ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:46:01.75 ID:cvvwhvZ+O
(;-Д-)「……ごめんなさい」

(*^ω^)「……」

ブーンの無言の圧力に耐えかね、謝った。
ブーンはなぜか満足そうな顔をしている。

ノハ;;)「なんでギコが謝るんだー?」

(,,゚Д゚)「気にしたら負けだ。この辺の地理を知らない俺が悪かった。すまない」

ノハ*゚听)「そっかぁぁぁ!!!じゃあ許ぅぅぅす!!」

ヒートが単純な奴でよかった。
一安心して安堵のため息をつくと、
後ろではハインがニヤニヤと笑いながらこっちを見ている。

(,,-Д゚)「……なんだよ」

从 ゚∀从「お前、これから苦労するぜwwドンマイwww」

(;-Д-)「まったくだ……」

ノパ听)「おぉぉぉぉい!!行くぞぉぉぉ!!」

(,,゚Д゚)「待て待て待て」

またさっさと先へ行こうとするヒートを止める。
87 : ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:50:28.87 ID:cvvwhvZ+O
ノパ听)「どうしたぁぁ!?」

(,,゚Д゚)「どこ行くんだ?」

ノパ听)「……」

(,,゚Д゚)「あんまり勝手に突っ走るなよ」

ノハ;;)「……」

(;゚Д゚)「あ、そういう積極的な姿勢はすごく良いです!うん、偉いです!」

ノハ*゚听)「おー……。褒められたぞぉぉ!」

(,,゚Д゚)「うん、ですからまずは計画を立てましょう」

ノパ听)「了解だぞぉぉぉ!」

从 ゚∀从(やべぇwww笑えるwww)

俺の苦労も知らずに後ろで笑いを堪えるハインに苛立ちを覚えながら、
ドクオさんを無理矢理連れて来なかったことを少しだけ後悔する。
一見役立たずだが、あれでもサンドバッグにはなったはずだ。

ノパ听)「……で、これからどうするんだぁぁ!?」

(,,゚Д゚)「とりあえず近くの町で宿を……?」

辺りを見渡すが、町どころか家すら見当たらない。
あるのはどこまでも続く荒れた土地だった。
90 : ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:52:56.78 ID:cvvwhvZ+O
ノパ听)「よーしっっ!町へ行こう!……ところで、町はどこだ?」

(゚Д゚,,)「ブーン、精霊の力で町を探せるか?」

( ^ω^)「やってみるお!」

ブーンが胸を叩き、俺達の頭上1mのところまで上昇した。

(,,゚Д゚)「おい、何をやる気だ?」

( ^ω^)「お!風さんに聞いてみるお!」

そう答えると、ブーンはゆっくり目を閉じた。

(,,゚Д゚)「すごいな……。精霊ってそんなことが出来るのか」

从 ゚∀从「お前、知らないのかよ。風の精は風と、火の精は火と、水の精は水と、雷の精は雲と、地の精は草木と会話できるんだ」

(,,゚Д゚)「へぇー」

从;゚∀从「これくらい常識だろ?……よくそれで合格できたな」

(;゚Д゚)(カンニングしたから……なんて言えないよな……)
92 : ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:55:42.31 ID:cvvwhvZ+O
(*^ω^)「ギコ!わかったお!」

ブーンが得意げな顔をして戻ってきた。
風の話では西に三里ほど進むと小さな町があるとのことだ。

ノパ听)「よぉぉーーし!西だなぁぁぁ!」



ノパ听)「西ってどっちだ?」

(,,゚Д゚)「……」
( ^ω^)「……」
从 ゚∀从「……」

ノハ;゚听)「……」

10秒ほど固まっていたら、俺の左側から風が吹いてきた。
ちょうど、太陽が沈む方向だ。

( ^ω^)「こっちだお!」

ブーンが先導し、俺達が後に続く。
そして歩き始めると同時に、風はやんだ。

(,,゚Д゚)(この能力ってすげぇ便利だな……)

94 : ◆4br39AOU.g :2009/02/26(木) 23:58:02.26 ID:cvvwhvZ+O
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

俺達が村に着いたころにはあたりはすっかり暗くなっていた。
とりあえず、手頃な宿屋を探して今晩の寝床を確保する。

ノハ;゚听)「疲れたぞぉぉぉ!!」

ベッドに身を投げ、枕に顔を埋めるヒート。
俺も荷物を下ろし、ベッドに腰掛ける。

目を閉じ、今日一日の事を思い返した。
まず思い出されたのはワカッテマスのこと。
強かった……。
村で喧嘩は負け知らずだった俺が手玉に取られていた。
その原因があの高速移動から繰り出される攻撃。
精霊だからできると言っていたがブーンにも出来るのだろうか?

(,,゚Д゚)「なぁ、ブーン」

( ^ω^)「お?」

(,,゚Д゚)「お前さ、高速移動って出来るか?」

( ^ω^)「おー……。多分出来ると思うお!」

(,,゚Д゚)「どうやってやるんだ?」

95 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:00:27.42 ID:Sd20nal3O
ブーンが立ち上がり、少し低い姿勢で構える。
するとブーンの体が消え、同時に何かが壁に激突する音が聞こえた。

(;^ω+)「いてて……」

音の発信源はブーンだった。

(;゚Д゚)「大丈夫か?」

( ^ω^)「お!大丈夫だお!」

元気よく返事して、トテトテとこちらに歩み寄ってくる。

(,,゚Д゚)「どうやってやったんだ?」

( ^ω^)「簡単だお!ブーンの後ろに風を起こしたんだお!」

(;^ω^)「ただ力加減がわからないから壁に激突しちゃったお」

ブーンの言ったことを自分なりに解釈してみた。
まず、自分の後ろから突風を起こし、それを利用して移動する。
しかし風速をどれくらいにすればいいかわからなかったため、壁に激突した。

(,,゚Д゚)「……と、いうことはこれを応用すれば俺も高速移動ができるのか?」

( ^ω^)「多分できるお!今度一緒に練習するお!」

(,,゚Д゚)「そうだな」
97 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:03:20.48 ID:Sd20nal3O
しかし先ほどから精霊の力には驚かされてばかりだ。
先程のブーンにしても秒速何十mの風を、
自分の好きな場所へ自分の好きなタイミングで発生させたのだから。

この力を軍事利用したら……
恐ろしい限りだ。


さて、問題はこれからだ。
どうやって精霊界へ行くのか。
まずこれを誰かに聞く必要がある。
それと旅に必要な道具の準備。
地図、コンパス、あと金(モリタポ)。
魔物対策のための装備もいる。
俺は一式揃えているがヒートは武器どころか防具すらない。
魔物に襲われたらひとたまりもないだろう。

ちら、とヒート達の方を見た。


ノハ--)从∀- 从


早くも夢の中だった。
よほど疲れていたのだろう。
99 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:06:36.60 ID:Sd20nal3O
(,,゚Д゚)(……明日の事は明日考えるか)

俺は一つ伸びをすると、自分のベットへ横になった。
ブーンは俺の左隣りに寝転がる。

( ^ω^)「おやすみだお。ギコ」

(,,-Д゚)「ああ、おやすみ」

静かに目をつぶる。
俺も疲れていたようで、眠りに落ちるまで時間はかからなかった……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜


爪'ー`)y‐『ふふふ……。これが精霊神の実力とは……笑えるよ』

……なんだこれは。

N| "゚'` {"゚`lリ『貴様……!自分が何をやっているかわかっているのか!!』

……ああ、そうか。夢だ。
101 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:08:44.56 ID:Sd20nal3O
爪'ー`)y‐『うるさい。やれ、グリオーク』

何の夢だ……?

( ・∀ ∀・)『承知』

精霊神と呼ばれた男と双頭の龍。……奥にいるあの男は誰だ?

N| "゚'` {"゚`lリ『ぐ……黒龍よ……。なぜ、私を裏切った』

( ・∀ ∀・)『貴様などに教える義理などない』

ああ……龍の鋭い牙が精霊神の喉を食い破る……。
男はその返り血を浴び……笑っていた。

N| "゚'` {"゚`lリ『これで……勝ったと思うなよ』

爪'ー`)y‐『そんな瀕死の体で言っても説得力がないんだけど』

N| "゚'` {"゚`lリ『まだ、希望はある。六種の龍はまだ生きておる』

六種の龍……?

爪'ー`)y‐『殺すさ。一匹残らず。そうすればぼくはこの世界を支配できる……』

男の胸のエンブレムが光を反射する。
このエンブレムは……確か……
104 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:11:48.96 ID:Sd20nal3O
ノパ听)「朝だぞぉぉぉぉ!!」

(,,-Д゚)「ん……?」
(;゚Д゚)「うぉっ!?」

ヒートの大声で目を覚ます。
目を開けるとかなりの至近距離にヒートの顔があり、驚いてベットから落ちてしまった。

ノハ;゚听)「ど、どうした!大丈夫か!?」

(;-Д-)「だ、大丈夫だ……」

頭をさすりながら起き上がる。
普段寝起きの悪い俺だがヒートのおかげで一発で目が覚めた。

ブーンも今起きたようで、寝ぼけ眼を擦りながら俺に「おはようお」と言ってきた。


ノパ听)「ハイン!起きろぉぉぉぉ!!」

从 -∀从「んー…あと半日……」

ノハ;゚听)「半日は長すぎだぁぁぁ!日が暮れるぞぉぉぉ!」

ヒートはハインを起こそうと必死に頑張ったが、ハインは起きなかった。
結局、ヒートはハインを起こすのを諦め、そのままにしておくことにした。
108 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:16:35.55 ID:Sd20nal3O
朝食をとりながら俺は先程の夢の事を考えていた。
内容は大分頭から抜けてしまっていたが、男と龍と精霊神が何かをしていたこと、
六種の龍がどうのこうのと言っていた事は思い出せた。

(,,゚Д゚)「なぁヒート。六種の龍ってしってるか?」

ノパ听)「六種……?七種の間違いじゃないのか?」

(,,゚Д゚)「七種……?」

ノパ听)「おう!七種の精霊をまとめているといわれているのがその七種の龍だ!」

ノパ听)「火龍、水龍、土龍、風龍、雷龍、聖龍、黒龍の七種だ!」

ノハ*--)「この中でも火龍は、1500万度の熱に耐える鱗を持ち、吐くブレスはこの世のすべての物質を灰に変え、
鋭い爪は6000度の熱があるからその爪で引っ掻かれたものは痛みを感じる間もなく絶命してしまうといわれている。
また、その体はつねに200度の熱気に覆われているから生物が近づくことは困難とされている。
体を流れる血も溶岩のごとき熱を持っていて火龍を剣で傷つけたらその刃は熔けてなくなっているだろう。また火龍の骨髄に含まれる成分には……」

(,,゚Д゚)「……」

なんなんだこれは。
110 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:18:16.18 ID:Sd20nal3O
(,,゚Д゚)「ヒート」

ノハ*--)「また火龍は『破壊』を司る神としても崇められ……」

(,,゚Д゚)「ヒートさん?」

ノハ*--)「時には自らが炎となりかわり全てを焼き尽くすことも……」

(;゚Д゚)「おーい」

ノハ*--)「翼から落ちる粉塵は火龍の吐く炎に反応し、爆発する。これが……」

(;-Д-)「ダメだこりゃ」

ヒートは完全に別の次元に行ってしまったようだ。
俺は残っていたミルクを一気に飲み干し、席を立った。

( ^ω^)「お?どっか行くのかお?」

(,,゚Д゚)「ああ、地図とか買いに行かないとな」

( ^ω^)「お!いくお!」

ブーンも席を立ち、俺のところへ駆け寄ってきた。

ノハ*--)「勇者フォックスが火龍と戦ったときはこれを用いたとされ……」

ヒートはまだ一人で何かをずっと呟いていた。

111 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:20:16.52 ID:Sd20nal3O
まず道具屋に来た俺達は地図とコンパスを買った。
これで昨日みたいに迷子になることはないだろう。
早速買った地図で現在地を確認する。

(,,゚Д゚)(ん?……ここはもうロビー国なのか)

ロビー国と言えば、ラウンジに次ぐ大きさで、最大の軍事力を持つ国だ。

次に精霊界の場所を探す。
しかし、地図を隅々まで見渡したがそれらしきものは載ってなかった。

(,,-Д-)(んー……。やっぱり簡単には見つからないな)

地図をたたんでポケットに突っ込んだ。
それとほぼ同時に風を切る音が聞こえ……

(;゚ω゚)「ギコ!伏せるお!」

なにかが、俺の頭に直撃した。
115 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:24:16.65 ID:Sd20nal3O
(;^ω^)「ギコ!」

(;-Д゚)「ってて……。なんだなんだ?」

ダメージはほとんどない。
だが、いつ、誰に攻撃されたのかがわからなかった。


「あれれ〜?全然平気そうだよ〜?」

声がした方へ振り向く。
そこには白いワンピースを着た少女……の姿をした精霊がいた。

从'ー'从ノシ「あ、ブーンくんだ。やっほー」

ブーンに向かって手を振る少女。ブーンの事を知っているようだ。

(;゚Д゚)「誰だあれ……」

( ^ω^)ノシ「お!シルフのワタナベさんだお!」

いつのまにかブーンも手を振り返していた。
二人が知り合いだった事に少し驚いたが、それ以上に衝撃的なことがある。

(;゚Д゚)(黒髪ロングに白いワンピースの華奢な少女……)

(,,゚Д゚)(まさにシルフって姿してる!)
117 :>>116人間なんてそんなもんです ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:26:01.65 ID:Sd20nal3O
ワタナベとブーンを交互に見る。
これが同じシルフだとは思えない。

かたや白ワンピの少女、かたや豚。
そして俺は重要な事実に気づいた。

(,,゚Д゚)「ブーン……。なんでお前は服を着てないんだ」

(;^ω^)「知らねぇお。ブーンに聞くなお」

思い返してみれば、ハインも、ワカッテマスも、ショボンもみんな服を着ていた。
なのにブーンは服を着ていない。
全裸なのだ。

(,,゚Д゚)「仕方ないな。服買いに行くか」

(*^ω^)「お!いいのかお!?」

(,,゚Д゚)「かまわんさ」

ブーンの手をとり、俺達はその場を後にした。

从;'ー'从「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?」

(,,゚Д゚)(チッ……)

何事もなかったかのように逃げようとしたが、ワタナベに気づかれてしまった。
心の中で舌打ちをする。
120 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:29:53.26 ID:Sd20nal3O
从;'ー'从「もうちょっと待ってくれれば私のマスターが来ます!そうしたらあなたたちなんか……」

(,,゚Д゚)「なぁ、一つ聞いていいか?……俺達に何の用だ」

ワタナベの言葉を遮り、こちらから質問を投げかける。
……右手は剣の柄にかけた状態で。

从'ー'从「それは……」

( ΦωΦ)「金を巻き上げるんだよ。お前らから」

(,,゚Д゚)「!」

( ΦωΦ)「痛い目に遭いたくなけりゃ大人しく有り金全部だしな」

ワタナベの後ろから現れた筋肉質の男。
体にはいくつもの傷があり、片手には巨大な大剣を持っていた。

腰からロングソードを抜いて迎撃の体勢をとる。
道具屋の主人はポップコーンを食べながら俺達の様子を眺めていた。

( ΦωΦ)「おいおい。威勢がいいのは良いことだが……時には相手を選ぶ事も必要だぞ」

(,,゚Д゚)「なんとでも言え!行くぞ、ブーン!」

( ^ω^)「お!」
122 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:32:09.47 ID:Sd20nal3O
昨日ブーンが使った高速移動を自分の身で実践。
背中に強い風を感じ、景色が高速で通り過ぎていく。

(#゚Д゚)「行くぞ!!」


≡≡≡(#゚Д゚)         (ΦωΦ )

         ≡≡≡(#゚Д゚)(ΦωΦ )

                (ΦωΦ )≡≡≡(゚Д゚;)

                (;ΦωΦ)   ドガシャーン!!

高速で男に向かって行った俺は、一瞬の内に男の横を通り過ぎ
そのままごみ置き場に突っ込んだ。
道具屋の主人は手を叩きながら笑っている。

(;゚ω゚)「ギコぉぉぉぉ!?」

(メメ゚Д゚)「大丈夫だ。うん、大丈夫だ」

(,,゚Д゚)「大事なことなんで二回言いました」

(;^ω^)「おー。大丈夫かお……」

(;ΦωΦ)(タフだな……)
124 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:35:28.65 ID:Sd20nal3O
( ΦωΦ)「まだまだ未熟だな。その技はこうやるんだ。よく見とけ」

男が大剣を両手に持ち直し、構えた。

( ΦωΦ)「ワタナベ。『疾風』だ」

ゴ、という音がして男が俺との間合いを詰めてくる。

(,,゚Д゚)(だが……これなら避けれる!)

一直線に向かってきた男をギリギリまで引き付け、横に避けた。
速いと言ってもまだ目で追える程度。
避けるのはたやすい。

……そう思っていた。

( ΦωΦ)「甘いぞ、小僧」

(,,゚Д゚)「え」

男の大剣が振られる。
大剣の背の部分が腹に当たり、そのまま後ろへ吹き飛ばされた。

受け身をとることも出来ずに道具屋に突っ込む。
道具屋の主人はなにやら盛り上がっていた。

( ΦωΦ)「小僧。これが『疾風』だ」
129 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:39:07.77 ID:Sd20nal3O
(;-Д゚)「…ど、どうなってんだ?」

あの時、男は一直線に突っ込んできた。
俺はそれを横に避けて交わし、反撃の体制をとろうとしたら、今の有様だ。

( ΦωΦ)「簡単なことだ。風の発生場所と向き、タイミングを計算するのさ」

( ΦωΦ)「これを上手く利用すれば一瞬で方向転換ができる。お前も風使いなら覚えておけ」


(,,゚Д゚)「へぇ……」

体の砂埃を払い、剣を構え直す。
ブーンは俺の後ろで俺の命令を待っていた。

(,,゚Д゚)「……ブーン。さっきあいつが言ってたことできるか?」

( ^ω^)「……やってみるお」

背中に感じる、風。
そして、徐々に近づく男の顔。
男に動きはない。
ギリギリまでひきつけるつもりのようだ。

(,,゚Д゚)(さて……どちらに避ける?)

男は……
132 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:41:59.43 ID:Sd20nal3O
(#ΦωΦ)「はぁぁ!!」

真っ正面から向かってきた。

キィィン!

甲高い金属音があたりに響く。
道具屋の主人はこの様子をビデオに録っていた。


(,,゚Д゚)「ぐ……」

(#ΦωΦ)「ワタナベ!『鬼牙斬』だ!」

男が声を荒げると、突然、男の攻撃の速度が上がった。
男はその巨大な剣を軽々と振り回す。
大剣特有の、剣を振り終えた後にできる隙はなく
鬼のような連撃が俺に襲いかかってきた。

必死にその攻撃を防ぐも、男は攻撃の手を緩める気配がない。

(#ΦωΦ)「オラオラオラオラァ!!」

(;゚Д゚)「ぶ、ブーン!上へ!!」

(;^ω^)「了解だお!」

133 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:45:26.22 ID:Sd20nal3O
足元から吹き上げてきた風に乗り、上昇。
そのまま空中でそれをキープした。
ブーンは俺の後ろにピッタリとくっついている。

(;゚Д゚)「……くそっ。なんてぇ馬鹿力だ……」

(;^ω^)「いや、違うお。多分あれも風の力だお」


下を見下ろす。
男はじっとこちらを睨んでいた。
道具屋の主人はまだこの戦いをビデオに録っている。

( ΦωΦ)「ふむ。空に逃げたか」

男が呟く。
ワタナベは道具屋のカウンターにちょこんと座ったままだ。

( ΦωΦ)「無駄なことを」

男は、飛んだ。

(;^ω^)「来るお!」
136 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:47:16.22 ID:Sd20nal3O
(,,゚Д゚)「……」

俺は、次にとるべき行動を考えた。

避ける?
いや、どこに避けてもあいつからは逃げられないだろう。

反撃する?
ダメだ。あいつの大剣と俺のロングソードじゃあ質量差がありすぎる。

じゃあどうする?

(,,-Д-)「……」

(;゚ω゚)「ギコ!何やってるお!!」

(,,゚Д゚)「ブーン!      !!」

俺はブーンに一つ、命令した。

(;^ω^)「お!?わ、わかったお!!」

男との距離が徐々に狭まる。
俺はロングソードを握ったまま体をひねり、
それを戻す反動を利用して、
剣を投げた。
138 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:49:56.43 ID:Sd20nal3O
( ΦωΦ)「?」

しかし、剣は男のいる方向とは見当違いのところへ飛んで行く。

( ΦωΦ)「馬鹿め。血迷ったか」

男の間合いに、俺が入った。
剣を投げた俺に、奴の攻撃を防ぐ手だてはない。

( ΦωΦ)「これで終わりだ」

(,, Д )「さあ…」

(,,゚ー゚)「どうだか?」

( ΦωΦ)「!?」

最初に、『それ』に気づいたのはワタナベだった。

从;'ー'从「マスター!!後ろ……後ろー!!」

男が振り返る。

(;ΦωΦ)「ばっ……!!」

男が目を見開いた。
なぜなら、先ほど俺が投げたロングソードがこちらへ向かってきているのだから。
140 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:52:03.67 ID:Sd20nal3O
(;ΦωΦ)「おぉっ!?」

男は間一髪、大剣でそれを弾き返した。
だが、それも予測済みだ。


(,,゚Д゚)「捕まえたっ!」

(;ΦωΦ)「なっ!?」

男が剣を弾き返した瞬間、
つまり、俺に背を向ける一瞬を突いて男を羽交い締めにする。

(#゚Д゚)「ブーン!!落とせぇぇ!!」

(ΦωΦ;)「なんだとぉぉぉ!?」


男を羽交い締めにしたまま、急降下。
激しい激突音が、響いた。



・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・

141 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:54:35.64 ID:Sd20nal3O
  Ω
( ΦωΦ)「やられたぜ」

男が呟いた。
  Ω
( ΦωΦ)「まさか、剣自体を風に乗せるとは」

あの時、俺はブーンにこう言った
『ブーン!ブーメランだ!!』

……と。

ブーンがブーメランを知っていてくれたおかげで成功した作戦だった。
  Ω
( ΦωΦ)「……坊主。なんてぇ名前だ?」
 Ω
(,,゚Д゚)「ギコ=モナルド。VIP村の出だ」
  Ω
( ΦωΦ)「そうかい。俺はロマネスク=スギウラ。ラウンジの元傭兵だ」
 Ω
(;゚Д゚)「えっ!?ラウンジの!?」

ラウンジの傭兵と言えば凄腕の精霊使いの集まりとして有名だ。
傭兵になるための試験は困難の極みで、一年に一人合格するかしないかと言われている。

142 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 00:56:42.40 ID:Sd20nal3O
(,,゚Д゚)「でも、そんな人がなんでカツアゲなんか……」
  Ω
( ΦωΦ)(たんこぶ消えてる!)

( ∵)「私が説明しましょう」

道具屋の主人が、ビデオカメラ片手に店から出てきた。
ブーンとワタナベはビデオカメラに興味津々である。

( ∵)「ロマネスクさんは、こうやって毎年、精霊使いになったばかりの方々にいたずらするんですよ」

(,,゚Д゚)「いたずら……だと……?」

ロマネスクさんの方を軽く睨む。
彼は何も聞こえない振りをしていた。

( ∵)「でも、いくら手加減してるからといって、ロマネスクさんを負かしたのはあなたが初めてですよ?」
  Ω
( ΦωΦ)「んだんだ」

(,,゚Д゚)(なんかこのオッサンむかつく)

( ∵)「まぁ、そんなとこです。一応いい経験になったでしょう?」
(;-Д-)「まぁ……そうですけど……」

なにか腑に落ちないところがあった。
ブーンとワタナベはビデオカメラで遊んでいる。
145 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:01:28.16 ID:Sd20nal3O
  Ω
( ΦωΦ)「そうだ。坊主」

(,,゚Д゚)「ギコです」
  Ω
( ΦωΦ)「細かいことはきにするな。お前さ、ちぃと努力すりゃあいい風使いになれるぜ?」

(,,゚Д゚)「えっ……?」
  Ω
( ΦωΦ)「おっと。俺から言えるのはここまでだ。じゃ、次の犠牲者を探しに行ってくるぜ」

( ∵)「行ってらっしゃいませ」

  Ω
( ΦωΦ)「おう。……おい!ワタナベ!行くぞ!」

从'ー'从「あ、は〜い」

ワタナベは再生中のビデオカメラを名残惜しげに数秒見つめ、
ロマネスクさんのもとへ走っていった。

(,,゚Д゚)「……ブーン。俺達も帰るぞ」

(;^ω^)「おっ!ちょっと待ってくれお!今ギコがごみ置き場に激突したとこだお!」

(#゚Д゚)「帰るぞ」

俺は、ブーンの首ねっこを掴み無理矢理引きずっていった。
147 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:04:35.83 ID:Sd20nal3O
宿屋に向かいながら、考えるのはヒート達のこと。
時間はもうすでに正午を回っていた。

(,,-Д-)(ヒート怒ってるかな……。何も言わず出てっちゃったからなぁ)

(,,-Д-)(しかし話を聞いてくれなかったヒートにも問題があるし……)

(;-Д-)(いや、それ以前に泣かれたらどうしよう……)

少し重い気分で宿屋の戸を開けた。

(;-Д゚)「すいません遅くなりまし……」

ノハ*--)「火龍の咆哮によって森の動物達は一斉に逃げ出した。その異変に気づいた森の人々は……」

ヒートは、誰もいない食堂でまだ火龍の話をしていた。
しかも、ハインはいまだに爆睡中だった。


(;-Д-)(こいつらの心配をした俺は馬鹿なのか……?)

俺はこれからの旅に不安を感じながら、ただ呆然と立ち尽くしていた……

第二話 完
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:01:34.52 ID:df5gxSGOO
ビデオカメラあるってどういう世界なんだ

っていうかついに道具屋の主人にもAAが!
AA足りる……のか?
148 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:07:01.88 ID:Sd20nal3O
本日の投下は以上です。

たくさんの支援ありがとうございました。

以下、質問があればどうぞ。

>>146 AAは足りるはず……です
149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:08:43.17 ID:DUZl8AjxO
何話で完結する予定?

150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:09:00.34 ID:nfvchSar0
>>148
お疲れ様
人間と精霊の見分け方は?
ありがちな体の大きさかと思ったら試験官が精霊だったりと違うみたいだし
152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:10:56.33 ID:df5gxSGOO

ニ話目のアクション部もなかなか
これから期待

一番気になったのは、秒速でメートル、ブーンが距離で里を使ってたとこ。
単位はどんなんで統一されてる?

あとは精霊のサイズ
ベッドに男二人で寝られる18歳のギコがスゲーのか、精霊がちっこいのか
157 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:22:34.39 ID:Sd20nal3O
>>149 具体的には決まってませんがとりあえず長くなりそうです。

>>150 精霊は身長80cmくらいの大きさです。

ワカッテマスは特別で、理由はまだ明かせません。

>>152 すいません。作者の知識不足で、距離を里で表したら、速さの単位をどうすればいいかわかりませんでした。
次回からはcm、m、kmで統一します。
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:19:21.80 ID:QC6Utg0cO
乙でした

どんな世界なのかイマイチ把握できない。
バスとかビデオが出てくるってことは、現代的な街とか学校を想像すればいい?

156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:22:16.07 ID:Qd8uV1FF0

いろいろ言われてるが世界観を統一できなかったのがミスだったかも
これからの展開に期待
158 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:26:17.60 ID:Sd20nal3O
>>155 >>156の言う通り、世界観を統一しなかった私のミスです。

すみません。

近代化が進んでる町とそうでない町があると思ってくれれば幸いです。
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:38:19.30 ID:df5gxSGOO
まだいるかな?
近代化に格差って、それじゃ兵器は?
あと重さとか時間とか貨幣の単位も良かったら教えて

それと精霊使いの証ってこっちの世界で言うとどれくらいの資格なのかな
運転免許よりちょいレアくらい?
162 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:45:37.48 ID:Sd20nal3O
>>160
兵器とか軍事力の格差もあります。
とりあえずロビー国=アメリカみたいな感じです。

重さ、時間は私達と同じですね。
貨幣はモリタポです。

精霊使いの証は……
自分の中では国家公務員の資格と同じくぐらいです

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:49:51.21 ID:df5gxSGOO
>>162
おお、ありがとう。
すまない総合で読んだ翌日に連載始まったから>>163の通りなんだ。

次の投下はいつごろ?

166 : ◆4br39AOU.g :2009/02/27(金) 01:53:16.97 ID:Sd20nal3O
>>165

一週間以内に投下予定です。
曖昧でごめんなさい。
Back
inserted by FC2 system