∀゚*;)俺達は平穏に過ごせないようですlw´‐ _
1 名前: ◆9SAojckYCw :2009/09/18(金) 19:17:03.05 ID:503IopGj0
お久しぶりです。
この間の投下時にはシルバーウィークなんて単語知らなかった……


めちゃくちゃお世話になっているまとめサイト様はこちら

  http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/peaceful/peaceful.htm   ブーン文丸新聞
  http://boonfestival.web.fc2.com/notpeace/list.html   ( ^ω^)フェスティバロスwww
 
お疲れ様です、いつもありがとう!


今回の話は4話目、またまた長めです。
面倒かもしれませんが、よろしければ最後までお付き合いください。


  (※大事な事なので二回言いました。次のレスから本編投下開始)

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:19:59.55 ID:503IopGj0

('A`;)「クーが地底人だったなんて…………嘘だろ?」
                                            サンド・イーター
川 ゚ -゚)「すまないが本当だ。地上制圧軍先行部隊、偵察班第七組隊長・『砂を 食う』中尉……
     それが私の本当の名前、そして身分だ」

('A`;)「じゃ、じゃあもしかして高岡が鬱になったのも……」

川 ゚ -゚)「ああ、私がやった。この薬、『ウツニナール』を使ってな」
 つθ

('A`;)「そんな……俺に近づいた目的も……」

川 ゚ -゚)「君の父は我々に対抗できるだけの兵器を開発していた優秀な科学者だ。
     君をこちらの手に落とせば……そう考えるのは当然だろ?」

('A`;)「も、もしかして観覧車でのあの言葉も……」

川 ゚ -゚)「…………ああ、君の気を引く為だけに言った言葉だ。決して本心ではない」

('A`)「う、嘘だ……嘘だ……」

川 ゚ -゚)「君がそうやって事実から目を逸らすのは勝手だが……真実は変わらんよ」

('A`)「……その右腰にある銃で、俺を殺す気か?」

川 ゚ -゚)「君がどうしても我々について来ないと言うならな。 ……じゃあそろそろ答えてもらおうか」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:23:02.36 ID:503IopGj0
初めて心が許せた人、初めて心から愛せた異性……それが父や友人の仇である地底人だった。
クーへの愛と地底人への怨みがドクオの頭で混ざり合い、冷静な考えが出来る状態では無くなっている。

重い沈黙がたっぷり一分は流れただろうか。ドクオの閉ざされた口がようやく開いた。

('A`)「俺は――」



「そこまでだ!」


突然部屋の扉が開き、部屋の中へと飛び込む影がある。

                           サンド・イーター
(´・ω・`)「両手を上げろ、クー! ……いや、『砂を 食う』と言うべきか?」

拳銃を突きつけながら叫ぶショボン。対するクーは冷静に答える。

川 ゚ -゚)「なるほど、盗聴というわけか……」

(´・ω・`)「ああ、ハインへの最後の接触者は君だったからな。一応念を入れておいたんだが……
        残念だよ。まさか君が地底人だったなんて」

川 ゚ -゚)「フッ、流石は研究所一の切れ者だな。で、その銃で私を撃つつもりか?」

(´・ω・`)「僕の本心はすぐにでも撃てと叫んでるが……生憎君には色々聞かなきゃいけないんでね」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:25:57.22 ID:503IopGj0

川 ゚ -゚)「……まずはハインに与えた『ウツニナール』の解毒剤といった所か?」

(;´・ω・)「なっ……」

川 ゚ -゚)「あれほど二人でいちゃついてて、まさか気付かれないとでも思ったか?
     ……生憎だが、あの薬に解毒などという方法は無い。地獄への片道切符さ」

(;´ ω )「………………」

川 ゚ -゚)「一度壊れた頭は、どうやっても戻らない……人間は脆い生き物だな」

(#´゚ω゚)「うっ、うわあああああぁぁぁっっ!!」

激情したショボンが銃の引き金を引き絞り、室内に軽い破裂音が響く。
クーの頭を狙った銃弾。しかし目標は外れ、クーの背後にあったガラス窓を撃ち割るだけに終わる。

川 ゚ -゚)「やれやれ、銃を撃つ時は―― こうするんだ」

腰の銃を素早く抜いたクーは、ショボンへと狙いを付け発砲する。
まるで機械の様に無駄な動き一つない射撃。その凶弾はショボンの利き手へと吸い込まれていった。

(´ ω `)「づぁっ……!」

銃を取り落とし、痛みに悶絶するショボン。クーはそのショボンへと近づき、頭に銃を突きつける。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:28:55.87 ID:503IopGj0
川 ゚ -゚)「十秒以内に答えろ。この情報は他の者へも洩れているのか?」

(´;ω;`)「う゛あぁっ…………ぼっ、僕だけしか……」

川 ゚ -゚)「そうか……チッ、時間か」

壁の時計は、まもなく日付を変えようとしていた。
ショボンを銃で殴り気絶させたクーは、彼の落とした銃を拾いながらドクオへと問いかける。

川 ゚ -゚)「……一緒に来る気は無さそうだな」

( A )「なんで俺は……お前なんかに惚れちまったんだよ」

川 ゚ -゚)「……さあ。それは君自身が知ってるんじゃないか?」

('A`)「……なあ、初めて会った時の事、覚えてるか?」

川 ゚ -゚)「研究所内の食堂だろ? 私が君へとうどんをぶちまけた日……」

('A`)「ああ。あの頃の俺は納豆に嵌っていてな。ようやく納豆の美味しさに気付いた頃だったんだ」

川 ゚ -゚)「……そうだったな。君は体にかかった事より、納豆かけ御飯を無駄にした事に対して怒っていた」

('A`)「それからも色々あったよな。公園での一夜、ブーンとの別れ、遊園地での初めての……
    俺の傍にはいつもお前がいて……俺は…………」

川 ゚ -゚)「……で、どうした?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:32:35.85 ID:503IopGj0
('A`)「お前への愛は本物だった…………でもやっぱ、俺にとって地底人は敵なんだよ!」

懐に隠していた銃をクーへと向けるドクオ。クーは先ほどと同じく、微動だにしない。

川 ゚ -゚)「無理だ。お前には撃てない」

(;A;)「何だよ! 何でだよ! どうしてお前が、あんな……!」

川 ゚ -゚)「……さよならだ、ドクオ」

クーは平然とした顔で出口へと向かおうとする。だがその前へとドクオが立ち塞がった。

(;A;)「行くなよ! 俺には本当にお前しか――!」

川 ゚ -゚)「……ドクオ、これ以上の我侭はよせ」

ドクオの鳩尾にクーの拳が入り、ドクオの意識は途切れる。
崩れ落ちたドクオを丁寧に寝かせた後、最後にクーはドクオへと囁きかけた。

川 ゚ -゚)「お前をなぜ撃たなかったか解るか? それが私の本心だ。
     じゃあな、ドクオ。出来れば二度と会わない事を祈る」


クーは駐車場にある愛用のバイクに跨り、研究所を離れて行く。
もう研究所に未練は無い……そう自分を偽りながら、仲間との合流ポイントへと急いだ。

川  - )「……やはり、私に嘘は似合わないな」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:36:13.26 ID:503IopGj0
\___________________________________/
      o
     。
    。

lw´‐ _‐ノv「――という夢を見たのだが……」

(;*゚∀゚)「無駄に長いよ!」



     俺達は平穏に過ごせないようです


            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
          |今回のタイトルには「恋の」というフレーズがあるが、実は話の中に恋愛要素は全くもって皆無である。.なぜこんな|
          |う話だ。そもそも私は米キャラという事で定着している所がある。 なぜそうなのかといえば、やはり米という存在が|
          |「はい、ないです」 という言葉は、彼の純粋さを表すエピソードとしては好都合である。その次の第21話で、大佐が|
  lw´‐ _‐ノv < であり、トリビュート版が出ると言う事で期待が集まっている。今回は過去の名曲のアレンジに加え、あの松崎しげ|
          |が一番好きなAAだと言ってる。.しかし私としては、やはり素直三姉妹という存在が気にいってるので、素直姓であ|
          |頭部を比較して、明らかに大きいと言えるのがアカウミガメである。本土で産卵するウミガメの、ほぼ100%はこの|
          |しまったが、今回の話、『その4:恋の稲刈り』を思う存分楽しんでもらいたい。ちなみにこの話に出てくる地名や人|
            \_____________________________________________/



(#*゚∀゚)「だから長いって言ってるだろうがあああぁっ!!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:38:57.28 ID:503IopGj0

     |※|     |※|     |※|

  えー。オレの名前はつー、苗字は鶴亀だ。年齢は今年で10歳、でも高校生。
  なぜこんな事になってるかというと、それは天才少女だからだ。 (……自分で言うと寒いな)

  アメリカ育ちだが、日系両親の影響で日本語ペラペラ。勿論英語もOK。
  シカゴのハイスクールに飛び級で入った辺りで、なぜかオレだけこの国に引っ越す事となる。
  母親の知り合いである、砂緒家という家(というよりは神社)にお世話になってる訳だが……


lw´‐ _‐ノv「――という感じでどうだ?」

(;*゚∀゚)「いきなり何を話し出したのかと思いきや……なんでオレの紹介なんだ?」

lw´‐ _‐ノv「こうすればここの文章を、つーの一人称だと勘違いしないかなーとか……」

(;*゚∀゚)「急に何を言い出してるんだ? 文章とか、人称とか……」

ふっ、人類には解り得ない高度なメタがあるのさ。勿論私も人類だから解らない。

lw´‐ _‐ノv「後、先ほどのタイトルコールで縦読みを探した人に、この言葉を送ろう」

いかんいかん、忘れる所だった。まあそんな人はいるかどうか怪しいがな……

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:42:40.61 ID:503IopGj0

  lw´‐ _‐ノv「プギャー」


(;*゚∀゚)「って、台詞だけかよ! 指突き出せよな!」

流石にそれは失礼だろう……もしいたらの話だがな。

(;*‐∀‐)「全く……お前と暮らしてると、いくらツッコミがあっても足りないよ……」

lw´‐ _‐ノv「まあまあ、君と私との十数年の仲じゃないか」

(*゚∀゚)「…………もういい。それより朝飯食い終わったんだろ? そろそろ学校行くぞ」

lw´‐ _‐ノv「あ、ちょっと待ってくれ。試したい事があるんだ」


     U     U     U

そう言い残してシューは台所へと消えていく。
……正直な所、かなり不安だ。様々な意味で。

コーラ暴発事件、コンセントに鍵事件、チャッカマンの猫事件……
ここに暮らし始めてもう半年以上経つが、平穏だった日は一度も無い。
せめて今回は火事寸前にならなけりゃいいんだがな……

lw´‐ _‐ノv「お待たせ〜、じゃあ行こっか?」
    \,,,

どうやら火事になる心配は無さそうだ。 ……オレの心が持つかは別として。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:45:06.59 ID:503IopGj0
(*゚∀゚)「…………」

lw´‐ _‐ノv「あちゃ〜、もうこんな時間。遅刻遅刻〜」
    \,,,

……どうやら少女マンガにありがちな、『食パンをくわえて走る少女』を再現したいらしい。
気持ちや理論が少しは理解できる分、いつものシューの行動に比べるとまだ常識的だ。
……まあ食パンをくわえてるならちゃんとした絵になっただろう。そう、食パンなら。

(;*‐∀‐)「あのなぁ、シュー……」

lw´‐ _‐ノv「えっ、何かしら?」
    \,,,

『その気持ち悪い喋り方をやめろ』と叫びたくなるのをグッと堪え、言葉を続ける。

(;*゚∀゚)「家には今確かに食パンは無い。だからといってだな、稲穂をくわえるなよ!」

お転婆少女を目指してるんだろうが、どうみても番長的な何かにしかみえない。

lw´‐ _‐ノv「……解った。今度は米粉のパンで試そう」

稲穂を飲み込みながら答えるシュー。いや、食うなよ。
毎朝オレ達はこんなペースで学校へと向かう。
正直誰か代わって欲しい…………
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:48:07.54 ID:503IopGj0

     △     △     △

GW明けの久しぶりである授業も午前中が終わり、今は楽しい昼飯時。
4月の終わりに行った席替えにより、俺達5人は一箇所へと固まる事が出来た。
今まで俺だけ離れてたから、正直喜ばしい事だ。 ……まあその分疎遠になった奴もいるが。

('A`)「ういー、お疲れさん」

( ^ω^)「おっおっ、やっぱ久しぶりの授業は疲れたお!」

ξ ゚听)ξ「へー。机の下でこっそりマンガを読む事って、アンタにとっては授業になるのね」

(; ^ω^)「き、気付いてたのかお!?」

ξ ゚听)ξ「……まあいいわ。でもテスト前になって泣き付いてきても知らないから」

川 ゚ -゚)「まあそこまで言ってやるな、ツン。いざとなれば私のノートを貸そう」

(* ^ω^)「おっ、クーは優しいお! ツンとは大違いだお」

川 ゚ -゚)「ただし200円な」

( ^ω^)「うーん、でもそれぐらいなら安い気が……」

川 ゚ -゚)「一文字につき」

(; ^ω^)「いや、一文字でかお! どんだけ暴利なんだお!?」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:51:00.29 ID:503IopGj0
(;´・ω・)「…………はあ」

('A`)「どうした、ショボン。今朝から元気が無いように見えるが……」

いつもそこまで明るい顔では無いショボンだが、今日は一際疲れてる様に見える。

(;´‐ω‐)「いや、昨日の晩ほとんど寝れなくてね……」

そういや真面目なショボンにしては珍しく、授業中に少し寝てたな。

(´つω‐`)「駄目だ……ゴメン、寝させて……」

食べかけのジャムパンを鞄に収め、机に突っ伏すショボン。
すぐに寝息が聞こえてきた辺り、相当な重症だな……

川 ゚ -゚)「そんな夜遅くまで何をしていたのやら……」

ξ ゚听)ξ「……昨日って何かあったっけ?」

GW最終日……特に記憶は無いな。そもそも各自別々だったし。
休日明けだから月曜だと勘違いしやすいが、そういや今日は木曜なんだよな……

( ^ω^)「おっおっ、今日と明日が終わればまた休みだお!」

ξ ゚听)ξ「はあ、アンタは気楽でいいわね……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:53:57.71 ID:503IopGj0
各自が弁当を半分ほど食べ終えた頃、教室のスピーカーが鳴り響いた。

『 VIP高校の皆さん、こんにちはー! 放送部が送る昼番組、【クオっていいとも】のお時間です!
 今日の司会は、放送部期待の新人、1年Q組の日暮 ミセリがお送りします。今回の曲は……』

('A`)「へー、ミセリさんって放送部だったんだ」

川 ゚ -゚)「私の投稿が出ればいいんだがな……」

ξ ゚听)ξ「ん? どんなのを送ったの?」

週二回あるこの放送。学生にしては中々のクオリティがあり、校内でも人気が高い。
番組内で投稿が紹介されると、学食の割引券などの様々な景品が手に入る。
その分皆が競い合い、送られる投稿の質も上がるのが人気の原因だろう。

陽気な曲を背景にして、ミセリが次々とお便りを読み上げていく。
元気一杯の透き通った声を聞いていると、期待の新人ってのも納得だな。

『……では次のお便りを。RN、うどん9% さん。一年生の女性の方ですね』

川 ゚ -゚)「よしっ!」

ξ;゚听)ξ「なんてRNで送ってるのよ……」

『「最近カレーうどんをよく食べ〔ガチャッ〕るの――」 ……すいません、少しお待ちください』

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 19:57:09.39 ID:503IopGj0
……何だろう。扉が開く様な音が聞こえたと思ったら、急に会話が打ち切られた。
マイクの音声を切り忘れているのか、遠くの方で話し合う声がうっすらと聞こえる。

『……っと……は放送中……』

『……れを見……だそんな事が言え……』

どうやらミセリと誰かが話し合ってるみたいだが、相手の声に微妙に聞き覚えがある気が……

『……んな物で脅しても無……』

『……ば仕方な……強行手段に……』 キュポキュポ ピロリロリロリン

『……っと! 止め……』 プニャーン ヒュミョン ポサポサポサ グエエッ


('A`;)「一体何が起きてるんだ……?」

(; ^ω^)「全くだお……あ、音が止んだお」

謎の音が止んだ後、マイクを弄る雑音が入る。そして、ミセリではない者の声が流れ始めた。

『 あーあー、テステス。昨日は晴天だったが、今日はさっきまで曇ってた。
 日曜は晴れだといい…………ってか晴れろ。太陽gngr』

この声、まさか……
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:00:00.38 ID:503IopGj0

(#*゚∀゚)「あのバカッ!」

つーが慌てて教室を飛び出して行く。全く、どちらが年上なんだか……

『 まあ雨がずっと降らないのも困り者だ、美味しい米には大量の水が必要だからな。
 やはりこの国で稲作が発展したのは豊富な水資源が原因だろう……おっと、いかん』

放送の後ろから、うっすらドアを叩く音と和寒内先生の声が聞こえてくる。

『砂緒さん、そんな事をしたらいけないんです! 今すぐ止めるんです!』

『 止めろと言われて止める奴はいないだろ。おっと、どこまで話したかな……
 あっ、そうだ。確かようやく四天王の一人目を倒し終えた所までだったな』

『こんな事をしても親が悲しむだけなんです! とにかく鍵を開けるんです!』

(; ^ω^)「相変わらずぶっ飛んでいるお……」

ξ;゚听)ξ「全くね……」

『 ――そして遂に主人公は魔王に会ったわけだが、そこで二つほど衝撃の事実を知らされる。
 「魔王を倒すのに伝説の剣はいらない」「両親は既に解放されている」 この事実を知った――』

『何やってんだよシュー! おいビロちゃん、この部屋の合鍵は!?』

『あっ、忘れてたんです……ちょっと探してくるんです!』

おっ、到着が速いな。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:03:00.80 ID:503IopGj0
『 ……さて、本題に入ろう。今度の日曜、朝10時から新居戸町にある織座神社で、豊稲祭りを行う。
 本来は稲の豊作を願うささやかな祭りだったが、今は五月病を退けるために騒ぐ場になっている。
 地元の商工会の良心的な屋台から、やたらお祭り価格な出店まで色々と揃ってい……チッ、時間か』

ドアが開く音と共に、幾人かが部屋へと駆け込む音が響く。

『詳しくは一階の学生掲示板を参考に。来なかった奴は呪――』

『呪うなーっ!』

『この腹をえぐる様な綺麗なパンチ……やるな、ブライト』

『誰がブライt ――』 ブツッ

騒がしかった放送が突然切れ、教室全体に何とも言い難い沈黙が漂う。
……おそらく校内全体がこんな空気なんだろうな。


( ^ω^)「今週末かお……」

('A`;)「あれ、ブーンは乗り気なのか?」

ξ ゚听)ξ「ブーンは昔からイベント事が好きなのよ。でもシューが言う祭りだからね……」

確かに、ちゃんとした祭りかどうかも怪しいな……


川 ゚ -゚)「わ、私の投稿が……」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:06:15.22 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

('A`;)「……すまん、もう一度言ってくれ」

lw´‐ _‐ノv「つまり、君にこの新型機を操縦してほしいと言っている。
       大丈夫、君には隠された才能があるはずだ」

ξ;゚听)ξ「さっきと内容変わってるじゃない……
       で、『祭りを手伝え』ってどういう事なのよ?」

放課後、シューが俺達5人に話を持ちかけてきた。内容はツンの言った通りだ。

lw´‐ _‐ノv「いや、微妙に人手が足りないという連絡がさっきあってな。
       哀れな子羊……ではなく生贄を探していた所、君達が目に入ったのだ」

おい、本音が隠せてないぞ。

lw´‐ _‐ノv「さすがに只ではない。3000円出してくれるらしいがどうだ?」

(; ^ω^)「土日働いてそれだけって、何か安い気がするお……」

lw´‐ _‐ノv「……フッ、甘いな。一時間3000円だ」

('A`;)「Wao ! 3000円!?」

何か破格過ぎて逆に怖いぜ……

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:09:29.72 ID:503IopGj0
lw´‐ _‐ノv「ああそうだ。五人全員の時給を合わせるとな」

川 ゚ -゚)「……つまり一人頭での時給は600円か」

lw´‐ _‐ノv「ノーマルに考えるとそうなる」

ちくしょう、そういうカラクリかよ! 俺のwktkを返せ!

lw´‐ _‐ノv「まあ仕事自体は楽だし、海原さんを助けると思って……」

海原さんって誰だよ。 ……まあともかく、それほど悪い話では無いのかもな。

(;*゚∀゚)「オレからも頼む!」

いつの間にか話の輪に入っていたつーが、俺達に向けて手を合わせてきた。
自然な動きでこちらへと近づいたつーは、シューに聞こえない程度の声を上げてくる。

(;*゚∀゚) (正直な所、オレ一人だけでシューの相手をするのは疲れるんだよ……)

うーん……確かに悲惨そうだな、それは。
そんな必死な顔でお願いをされたら、男なら黙っちゃいられない。

('A`)「よし、俺はやるぞ!」

川 ゚ -゚)「つーの一声でそこまでやる気を出すとは……やはりロリk――」

('A`#)「違う、俺は綺麗なお姉さん派だ! Cカップ以下には興味が無い!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:12:19.64 ID:503IopGj0

…………あれ、俺今何を口走った?


川 ゚ -゚)「……とりあえず、クラス内の七割以上の女子を敵に回したな」

(*゚∀゚)「お前がそんな奴だったとは……」

lw´‐ _‐ノv「ちなみに私はC、君の基準だとアウトだな」

軽蔑と呆れの混ざった、冷ややかな眼差しを浮かべてくる三人。


(´・ω・`)「そこまできっぱりと自分の趣味を言うなんてね……」

(; ^ω^)「ドクオ、ある意味男だお……」

ある意味尊敬が篭った、少し温かな眼差しを浮かべてくる二人。


ξ# )ξ「私の中にあるドクオの評価、変えとかないとね……」

直視すると死にそうな、敵意100%の眼差しを浮かべてくる一人。


……人一人がすっぽり入るほどの穴の場所を、誰か今すぐ教えてください。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:15:03.74 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

そんなこんなで土曜の朝。俺達5人組は神社の最寄り駅である、南新居戸駅にいた。
新居戸町は元は稲作が盛んであったが、最近では美府市や神速市のベッドタウンとしての役割が大きい。
街の西側には『今北戸湖』が大きく広がり、斜面にある住宅街から湖面を見れるのが売りの一つだとか。

( ^ω^)「いやー、やっぱり街のふいんきが違うお」

ξ ゚听)ξ「………………まあともかく、さっさと神社まで移動しましょ」

川 ゚ -゚)「そうしたいのは山々なんだがな……」

クーは手元の紙を見ながら、何やら悩み込んでいる。

ξ ゚听)ξ「ちょっと見せて…………って何これ?」

確かシューに貰った地図だよな。 ええっと…………


http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org155153.jpg

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:18:00.93 ID:503IopGj0

('A`;)「本当に何これ!?」

最早シュールってレベルじゃないだろ、これ……

川 ゚ -゚)「……ついさっきまで確認してなかったのが敗因だな」

ξ#゚听)ξ「貰ったその場で確認しときなさいよ!」

ツンの言う事ももっともだな、こりゃ……

ξ;゚听)ξ「はぁっ……神社までどうやって行けばいいのよ……」

川 ゚ -゚)「まあこんな事もあろうかと――」

クーが鞄の中から、別の紙を取り出す。

川 ゚ -゚)「つーからも地図を貰ってるんだな」

(;´・ω・)「先にそっちから出そうよ……」

つーの書いた地図は、主要な道の番号や目印になる建物が豊富に書かれていた。
大体の所要時間や距離まで書き込まれたこの地図なら、よっぽどの方向音痴でも迷う事が無いだろう。

ξ ゚听)ξ「徒歩で20分はかかるみたいね。時間も無いし、早く移動しましょ」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:20:57.57 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

地図が示す道を進んでいる俺達は、住宅街へと差し掛かった。
どこからか子供のはしゃぐ声がうっすらと聞こえ、のどかな空気が流れているが……

('A`;)「……あれ?」

初めて来たはずの街なのに、強烈な既視感が漂ってくる。
この風景どこかで……

(; ^ω^)「なんか見覚えあるような風景だお……?」

ξ ゚听)ξ「あれ、アンタもそう感じてた?」

そう感じたのはどうやら俺だけではないらしい。
この風景を見たのは、そこまで昔では無い気がするんだが……

川 ゚ -゚)「……なるほどな、あの家を見てみろ」

クーが示した先にあったのは、一軒の『元民家』だった。
家の一角が焼け焦げ、敷地の周りには立ち入り禁止用のロープが張られている。

(´・ω・`)「そっか。ここが一家消失事件の……」

ξ ゚听)ξ「かなりニュースになったからね……」

『新居戸町一家消失事件』……国内で知らない人はいないだろうと思うほど有名な事件だ。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:24:04.36 ID:503IopGj0
犠牲者の名前は忘れてしまったが、確か事件の概要としては――

('A`)「ここの家族ってさ、たしか夫婦と娘一人の三人家族だったんだよな?」

ξ ゚听)ξ「そうそう、平凡なサラリーマンに専業主婦、地元の大学生……
         どこにでもあるような普通の家庭だったらしいわ」

で、そんな在り来たりな家庭だったのだが……

( ^ω^)「去年の7月辺りの夜、家が燃えてるのを見つけた通行人が119番。
      中へと駆けつけた消防士が見たのは、白骨になるまで焼かれた夫の姿だったらしいお」


(´・ω・`)「……しかし出火時間や状況からして、白骨化するまで燃える事はまずあり得ない。
      当初は行方不明になった妻と娘が疑われたんだけど……」


川 ゚ -゚)「車や自転車はガレージにそのまま、他の交通機関を使った形跡も無し。
     有力な目撃情報はただ一つ。通報の約一時間前、近所の人が三人の在宅を確認しているだけだ。
     ……そもそも火の手が無かった玄関先には、三人の靴が残されていたらしい」


ξ ゚听)ξ「『早過ぎる白骨化』『二人の消失』という二つの要素で、今世紀一番の怪奇事件と呼ばれる……
       でも気が早過ぎよね。まだ十分の一ほどしか過ぎてないのに」


実際に家を目の前にすると、何とも言えない悪寒が襲ってくる。
半年前にこの家で何があったのか……それを知る人はいるのだろうか?

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:26:59.07 ID:503IopGj0
('A`;)「な、なあ。そろそろいこうぜ! ここにいるとあんまりいい気分しないしさ……」

川 ゚ -゚)「ん、そうだな。待たせるとよくないし……」

皆足早に離れていく辺り、やはり俺と同じ感情を抱いてたのだろう。

( ^ω^)「……さっきの事件なんだけどお、保険金目当てで妻が夫を殺したっていう考えはどうかお?」

ξ ゚听)ξ「行方不明の妻がどうやって保険金を受け取るか、教えて貰いたいものね」

……でもやっぱり、道中はこの話題になるんだよな。

('A`)「そもそも何処に二人が消えたか、まだ解ってないんだろ?」

付近の住民の証言や、自販機に設置された防犯カメラ等では、怪しい人物や車の目撃は無かったらしい。
手段に目的、ともかく謎が多い事件だ。現代科学で解明出来るのか……あ、そうだ。

('A`) ヒソヒソ(なあツン、魔法関係では説明出来ないのか?)

あれだけ色々な事が出来るなら、この事件の背景にももしかして……

ξ ゚听)ξ ヒソヒソ(うーん……一応出来なくはないとは思うけど、動機が謎だわ。
        それに私も気になってこっそり『視て』みたんだけど、それらしき反応は無かったしね)

ツン曰く、魔力が使われた場合、ある程度の形跡が残るらしい。
変身してなくてもそれくらいは『視る』事が出来るらしいが……

ξ ゚听)ξ ヒソヒソ(まあ私自身、まだそこまで詳しくないしね。何とも言えないわ)

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:30:06.95 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

駅から歩いてちょうど20分ほどだろうか。山裾まで来た俺達の目の前には、大き目の広場があった。
駐車場を兼ねている砂利がひかれた広場。その端では、白いテントや屋台などが組まれている最中だ。

('A`)「いやー、まさしく祭の準備って感じだな」

(´・ω・`)「待ち合わせ場所は神社の本堂前だったよね。どこか分かる?」

川 ゚ -゚)「地図の説明によると……そこの石段の上だな」

横幅も広めに作られたそれを大体50段ほど上ると、立派な鳥居が目の前に現れてくる。
その奥には広めの参道と、ある程度の大きさがある社殿が見えた。

(´・ω・`)「……かなり立派な神社だね」

( ^ω^)「おっおっ、何か凄いお!」


(*゚∀゚)ノシ「よー、お前ら来たのか!」

社殿の入り口から駆け寄ってくるつー。まあそれはいいのだが――

('A`*)「…………巫女さんだ」

神聖な雰囲気を醸し出す白の小袖に、明るく華やかな赤い袴。
それがつーの小動物的な雰囲気と超時空融合して、殺人的な可愛さを生み出している。
別に俺には巫女やロリ属性は無かったが、今なら少しは解るかもな……

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:33:02.36 ID:503IopGj0
(* ^ω^)「おおっ、巫女さん衣装だお! 可愛いお!」

(*゚∀゚)「へへっ、そう言われると悪い気しねーな」

どことなく気恥ずかしそうな表情を浮かべ、軽快に笑うつー。
……おそらくブーンは、後ろからのツンの眼差しに気付いては無いのだろう。
向けられてない俺でさえ寒気がしてるのに……

川 ゚ -゚)「まあ可愛いのは確かだな。で、シューは?」

(*゚∀゚)「神社の中で明日の儀式の練習しててさ、オレに伝言を頼んできたんだ。
     男連中は下の本部テント、ツンとクーはオレについて来ればいいそーだってさ」

……俺達は多分力仕事をやるんだろうが、二人には一体何をさせるんだろう?

(´・ω・`)「分かった。本部に行った後の話は聞いてない?」

(*゚∀゚)「特には……あっ、神主さんに聞いてくれって言ってたな」

神主さんか……そのテントに行けば分かるのかな?

( ^ω^)「じゃあツンも頑張って……あれ、何で睨んでくるんだお?」

ξ ゚听)ξ「……別に。じゃあつー、案内お願いね」

(*゚∀゚)「りょーかい! お前らも頑張れよ。神主さんによろしくな!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:36:00.06 ID:503IopGj0

     □     □     □

クーと私は、つーに案内されて神社の建物内へと向かう。
板敷きの廊下の外には、綺麗に刈られた庭木が見える。

ξ ゚听)ξ「……で、結局私達は何をすればいいの?」

(*゚∀゚)「さあな、実はオレも詳しくは知らないんだ。ほら、連れて来たぞー!」

部屋の一つの前で立ち止まったつーが、中にいる人へと呼びかける。
何か呟き声が漏れ出してくるのが聞こえるって事は、儀式の練習真っ只中なのかしら?

(*゚∀゚)「……いいな、開けるぞー!」

つーが勢い良く扉を開ける。その中には――



lw´‐ _‐ノv「『くっ、我が軍は劣勢か……仕方ない、撤退する!』」

lw´‐ _‐ノv「『へへっ、このまま一気に本丸まで……何ッ!』」

lw´‐ _‐ノv「『隊長、角の奴が一人で!』『畜生、無理しやがって……』」


一人で将棋を指しているシューがいた……しかも全裸で

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:38:56.50 ID:503IopGj0
(* ∀ )「………………ナニヲシテルンデスカ、シューサン」

lw´‐ _‐ノv「少し待て、今いい所なんだ。この後仲間を裏切ったかに見えた飛車が実は――」

(#*゚∀゚)「 い い か ら 服 を 着  ろ っ ! ! 」

lw´‐ _‐ノv「む、失礼な。ちゃんと身に着けているではないか」

(#*゚∀゚)「ちゃんと服を着ているって定義にはなっ! パンツ一枚の奴は入んないんだよ!」

ちょっと訂正、流石に下は履いていたみたい。 ……だからどうしたって感じだけど。

lw´‐ _‐ノv「パンツだなんて……年頃の娘はそんな事言う物じゃありません」

(;*゚∀゚)「今のあんたにだけは言われたくない。頼むから服を着てくれよな……」

半分涙目になりながらシューを説得するつー。正直これ以上見てられない。

ξ;゚听)ξ「ちょっと、年下の子を泣かせてどうするのよ!」

川 ゚ -゚)「服なんかどうでもいいから、早く話を進めて欲しいんだが……」

いやいや、よくないでしょ……

lw´‐ _‐ノv「まあいい、私も肌寒く感じて来たからな。つー、隣の部屋に二人を連れていってくれ。
      昨日の仕事の続きを頼む。二人に一から七十三まで説明できるよな?」

(*゚∀゚)「…………大丈夫だ。あと早く服を着てくれ。これ以上変な事すんなよ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:42:27.65 ID:503IopGj0

つーに連れられて隣の部屋へと向かう私達。そこにあったのは――

ξ ゚听)ξ「…………おふだ?」

川 ゚ -゚)「うむ、間違いなく札だな」

机の上に詰まれたお札。達筆の筆で何か書かれている様だけど、全く読めない。
紙の薄さからして、大体二百枚ほどの山が五つあり、机の横の床には、箱がいくつか置いてある。

(*゚∀゚)「手伝って欲しいのはな、この――」

つーが箱を開き、中からある物を取り出す。それは神社ではお馴染みのアイテムな――

(*゚∀゚)「御守り作りだ。やる事は単純だが、結構辛いぞ」

つーの説明によれば、袋の中にお札を折って入れ、口を結えば終了という、確かに簡単な仕事だ。
ただ、折り方や入れる向きを間違えない、袋の色に対応するお札を入れるなどのポイントがあるらしい。
その他にも幾つか注意点を聞いた後、恐ろしく単調で黙々とした作業が始まった。


ξ ゚听)ξ「…………」

川 ゚ -゚)「…………」

(*゚∀゚)「…………」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:45:11.84 ID:503IopGj0
ξ ゚听)ξ「…………」

川 ゚ -゚)「…………」

(*゚∀゚)「…………」



ξ ゚听)ξ「…………」

川 ゚ -゚)「…………」

(*゚∀゚)「………………」



ξ;゚听)ξ「………………」

川 ゚ -゚)「…………」

(;*゚∀゚)「………………」



ξ;゚−゚)ξ「…………………………」

川 ゚ -゚)「…………」

(;*‐∀‐)「………………」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:48:15.80 ID:503IopGj0
(;*゚∀゚)「もう耐えられない! 何だよこの沈黙は!?」

川 ゚ -゚)「……つーの負けだな」

ξ;゚听)ξ「あー、やっぱり勝負だったの……」

……何となくそんな空気ではあったけどね。

川 ゚ -゚)「ところで、数枚同時に折り目を付けるのは駄目なのか?」

(*゚∀゚)「あ、それだけは絶対やるなって厳命されてんだよ。何でも御利益が薄れるとか……」

御利益ねぇ……でもバイト料も出る事だし、言われた事はきっちりしないとね。

川 ゚ -゚)「どうせ一般人の私達がやるのだから、効率重視でもいい気がするがな。
     御利益とか非科学的な物に頼るぐらいなら……おっとすまない、言い過ぎたな」

(*゚∀゚)「まあ御利益というか何というか………………いや、やっぱいいや。
     重ねて折るとどうしても大雑把になるからな。それもあるらしいぜ」

ξ ゚听)ξ「かなり細かい作業なのね、正直私には向いてないかも」

私が折った札って、何か少しズレがあるのよね……

川 ゚ -゚)「でもツンの飾り結びは中々だぞ」

(*゚∀゚)「そうそう、コツでも教えて欲しいぜ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:51:27.91 ID:503IopGj0
コツって言われてもね……

ξ ゚听)ξ「コツも何も、普通に結んでるだけよ」

川 ゚ -゚)「普通はこんなに早く……そうか、普段から慣れてるからか」

そう言いながら私の頭を見てくるクー。
主にその目線は、私の髪の根元、赤いリボンに向けられていた。

(*゚∀゚)「なあ、ツンは何でそんな髪型にしたんだ?」

ξ ゚听)ξ「そうね、小さい頃からやってた様な……」

昔からクセ毛だった私。物心ついた頃からしばらくは、確かポニテにしてたはず。
でも小学校に入る前辺りから、今の髪型にしている。
あれは確か……気まぐれでツインにしてみて…………えーっと、それで…………


     (*^ω^)『 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ! 』


ξ ゚听)ξ「そうか、そういえばアイツが……」

(*゚∀゚)「ん? あいつって誰だ?」

絶対言えない。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:55:11.28 ID:503IopGj0

川 ゚ -゚)「…………なるほどな、まあいい。つー、この話は終わりだ。
     ツン、役割分担といかないか? どうも私は紐を結ぶのが下手みたいでな」

ξ ゚听)ξ「いいわよ。私も折る段階に時間がかかるし……」

(*゚∀゚)「その話、オレも乗らせてくれ」

結局つーとクーが札を折って袋に入れ、私が口を結んでいく事になる。
他愛も無い会話を続けながら作業をしていくうちに、札の山は少しずつ数を減らしていった。

ξ ゚听)ξ「そういえばさ、何でつーはシューと仲がいいの?」

(*゚∀゚)「あれ、言ってなかったか? シューとは親戚でさ、今居候させてもらってるんだよ」

……知らなかった。まあでも、確かに納得出来る話ではあるわね。
思えば入学の初日から大体二人は一緒に行動してたし……

川 ゚ -゚)「そもそも何でこんな生活をしてるんだ? 向こうでの暮らしもあっただろうに。
     なるべくなら両親と一緒に居た方がいいんじゃないかと思うが……」

その質問と共に、つーの表情から笑いが消える。

(*゚−゚)「…………色々あったんだ。やっぱこんな歳で高校生をやってるとさ――」

ξ;゚听)ξ「ちょっと、大丈夫?」

(*;−;)「……親父……母さ…………」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 20:57:04.23 ID:503IopGj0
そこからはあっという間だった。堰を切ったかのような勢いで号泣を始めるつー。
高校生並に見える雰囲気や態度もどこかに消え、歳相応の少女にしか見えない。

ξ ゚听)ξ「よしよし。大丈夫、大丈夫だから……」

つーを抱きしめ、背中と頭をゆっくりと擦る。

(*;д;)「……っぐっ…………うえぇっ……」

ξ ゚听)ξ「ちょっとクー、つーに一言あるんじゃない?」

川 ゚ -゚)「む……すまなかった、つー」

数分ほどつーを宥めた後、落ち着いてきた彼女はボソボソと語り始めた。

(* − )「……ごめん……ちょっと色々思い出してさ……」

川 ゚ -゚)「いや、こちらの失態だ。もうちょっと君の気持ちを汲むべきだったな」

体を起こしながら、顔を拭っていつもの笑顔を浮かべるつー。

(*゚∀゚)「……んなこたーない。オレがもっと強くならなきゃ駄目ってだけさ。
     …………ありがとな、ツン。迷惑をかけちゃってさ」

ξ ゚ー゚)ξ「辛い時は甘えてもいいんだからね?」

(;*゚∀゚)「いや、恥ずかしいから…………まあ、いざって時位には……」

なんか胸にモヤモヤしたものが…………母性愛ってこんな感じかしら?

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:00:39.66 ID:503IopGj0
lw´‐ _‐ノv「そう。その気持ち、まさしく愛だ!」

私の後ろから急に聞こえてくる声……って考えを読まれた!?

(;*゚∀゚)「なっ、いつの間に……!」

私の真後ろに立っていたのに、声を聞くまで全く気配を感じさせなかったシュー。
ちなみに今の彼女は巫女衣装を身に着けている。つーと同じ物って事は、この神社の正装なのかも。

lw´‐ _‐ノv「やっぱり貴方は、私よりその女の方が大事なのね!」

(*゚∀゚)「いや、お前の目付きからはいつも危険なオーラを感じるし……
     あ、でもシューが嫌いって訳じゃねーぜ!」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ私の胸に飛び込むがいい。さあおいでー」

(;*゚∀゚)「とりあえず指をわきわきと動かすな。怪しすぎる」

lw´‐ _‐ノv「まあ君が来なくても、私から行くんだがな……」

(;*゚∀゚)「なっ、お前――」

lw´‐ _‐ノv「抱きしめたいなっ!」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:03:07.95 ID:503IopGj0

そう言いながらつーへと……じゃなく――

lw´‐ _‐ノv「津出ツン!」

ξ;゚听)ξ「なっ、何で私ッ!?」

急に進路を変え、私へと飛びつくシュー。

lw´‐ _‐ノv「この胴回り、正に貧ny―― グハッ」

とりあえず、目下にある頭へとチョップを振り落とす。少し力が緩んだ。

lw´‐ _‐ノv「そ、その胸を良しとすr―― ラムッ」

またまたチョップを一発。その一撃で、シューは床へと崩れ落ちる。

lw´ _ ノv「に、二度もぶたれた……でも惚れはしない……」

ξ#゚听)ξ「……で、何でこんな事をしたの?」

凄い勢いで立ち上がり、私の右手を取るシュー。

lw´‐ _‐ノv「それは勿論、君達の事を詳しく知りたいからさ……主に肉体的な意味で」

ξ ゚听)ξ「お巡りさんを呼んでもいい? それとも黄色い救急車の方がいいかしらね?」

lw´‐ _‐ノv「……言葉が悪かったな。つまりはこういう訳だ」

そう言いながらシューが取り出してきた物、それは…………

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:06:14.57 ID:503IopGj0

     △     △     △

(; ^ω^)「……よし、これでテント設置完了だお」

('A`;)「おー、こっちも大体終わったぜ……」

俺達三人は、主に下の駐車場兼広場で、会場設営を手伝っている。
作業量は割りと多く、俺の体にもそろそろ疲労の色が見え始めてきた。

( ^ω^)「それよりお腹ペコペコだお……そろそろ動けなくなりそうだお」

('A`)「今の時間は……って、もうすぐ二時になるのか」

当然昼飯はまだ食べてない。それだけ作業に夢中だったという事か。

(´・ω・`)「お疲れ、二人とも。神主さんがご飯にするって言ってたよ。
      本部テントの周りにあるテーブルに集合だって」

( ^ω^)「おっおっ! やったお!」

('A`)「ようやくご飯か……待ちわびたぜ」

本部テントの方へと向かうと、そこでは既に昼食会が開かれていた。
俺達が顔を出した途端、次々と威勢のいい声が掛かってくる。

「おー、若いんもこっちゃーこー」

「疲れたかー? 弁当をあっちの人から貰ってきーや」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:09:17.46 ID:503IopGj0

とりあえず弁当とお茶を貰い、適当な席に腰掛ける俺達。
どんな交渉をしたか知らないが、ブーンは弁当を二つ貰っていた。

( *^ω^)「さっそくいただきますだお!」

猛然とした勢いで弁当をかきこみだすブーン。よっぽど腹が減ってたんだろうな……
弁当の内容は、純和風調の物。おそらく商工会の手作りだろう、素朴で実直な味が心と体に染みる。

「あんちゃん、これも食いな!」

「若いんだからしっかり食べなさいよ! ほら!」

('A`)「あっ、ありがとうございます!」

地元の人たちが、おかずが入ったタッパーをどんどん運んでくる。
菜っ葉と油揚げを炊いた物、牛蒡と牛肉の炊き込みご飯で作ったおにぎり……正直どれも美味そうだ。

(´・ω・`)「……こういうのは久しぶりだな。何か楽しいよ」

('A`)「確かにな……おっ、この芋の天ぷら美味しいぞ」

( ^ω^)「ボクの分も残しといてくれお!」

('A`;)「お前じゃないし大丈夫だよ……」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:12:03.69 ID:503IopGj0

ブーンが二つ目の弁当箱を空にした頃、周りのざわめき声が大きくなる。

「かーっ、えらい別嬪さんが大勢来たなー」

「いつの間にかシューちゃんも大きくなって……」

( ^ω^)「あれっ、ツンたt …………」

俺の後ろ側を見たブーンの表情が、途中で固まった。
ブーンの隣にいるショボンも、同じ様な状況に陥っている。

('A`)「一体何が…………」

ブーンの目線を追い、後ろへと振り向く。そこには――

ξ ゚听)ξ「あっ、いたいた。お疲れー」

川 ゚ -゚)「むっ、中々美味しそうなものを食べているじゃないか」

lw´‐ _‐ノv「おにぎりは残ってるな、よしよし……」

(*゚∀゚)「もーオレもお腹ぺこぺこでさー……あれ、何でお前ら固まってるんだ?」

別れて作業していた女性組がいた。まあそれは想定内だったが……

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:14:59.81 ID:503IopGj0
('A`;)「何で……全員巫女服なんだ?」

白い小袖に緋袴、それをつーやシューはともかく、他の二人も身に付けている。
特にクー。長い黒髪とスラリとした体つきが装束と相合わさり、正に大和撫子を体言していた。

川 ゚ -゚)「……やはり変か?」

('A`)「いや、そんな事は無い! 寧ろ似合い過ぎて怖い位だ」

川 ゚ -゚)「……一応褒め言葉として受け取っておこう」

ξ ゚听)ξ「明日の手伝いをするのに必要らしくてね。サイズ合わせの時大変だったのよ……」

少しげんなりした顔で、チラリとシューを見るツン。一体何があったのやら……

( *^ω^) ボソボソ(……巫女属性に目覚めそうだお)

ξ ゚听)ξ「ん、何か言った?」

( ^ω^)「いや、凄く可愛いって言っただけだお!」

ξ;゚听)ξ「なっ、急に何言ってるのよ?」

( ^ω^)「おっおっ、その髪を結んでる水引も似合ってるお」

ξ;゚ー゚)ξ「……まあいいわ。皆の分のお弁当貰ってくるね」

弁当の配布場へと駆け出すツン。逃げたな……

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:18:01.07 ID:503IopGj0

川 ゚ -゚)「さて、じゃあ私達は先に席に――」

lw´‐ _‐ノv「うん、やっぱり海原さん家のおにぎりは最高だな」

(;*゚∀゚)「あっ、ずるいぞっ!」

いつの間にか席に付き、おにぎりを口へと運んでいるシュー。
重箱の中に十個以上はあったはずのそれは、あっという間に四個まで数を減らしていた。

(; ^ω^)「こんなに速く……ボクでも出来ないお」

川 ゚ -゚)「私たちの分は残しといてくれよ」

lw´‐ _‐ノv「少し物足りないが……まあ仕方ないな。三粒でいいか?」

(;*゚∀゚)「三つの間違いだよな? いい加減にしないと……」

lw´‐ _‐ノv「はっはっはっ。軽いアメリカン・ジョークだよ、ワソトン君」

(;´・ω・)「……アメリカンの要素ある?」

それよりワソトンって誰だよ……ちょっと見過ごしそうになったぜ。

ξ ゚听)ξ「お待たせー、貰って来たわよ」

ツンが弁当とお茶の乗ったお盆を抱えて戻ってくる。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:20:58.75 ID:503IopGj0
川 ゚ -゚)「あれ、一つ多くないか?」

ξ ゚听)ξ「一つじゃ足りない食いしん坊がいると思ってね……」

( ^ω^)「おっおっ。流石ツン、分かってるお!」

まて、お前はもう二つ食べただろ。まだ食う気なのか!?

( ^ω^)「じゃあいっただきまーすお!」

三つ目の弁当に取り掛かったブーン。食べるスピードが全く落ちてない所が恐ろしい……

lw´‐ _‐ノv「ところで神主とは話をしたか? 一応私の祖父なのでな」

('A`;)「あー、やっぱりシューの親類だったか……」

(; ^ω^)「……納得したお」

(;´・ω・)「あれはね……確かにね……」

ξ;゚听)ξ「一体どんな人なのよ?」

( ^ω^)「……ほら、あの人だお」

ブーンが遠くの席を指差す。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:24:02.10 ID:503IopGj0


   / ̄ ̄ ヽ,
  /        ',
  {0}  /¨`ヽ  {0},
  l   ヽ._.ノ   ',
 ノ   `ー'′   ',





ξ;゚听)ξ「人なの!? ってかこっち見ないで!」

lw´‐ _‐ノv「むっ、失礼な……一応人類だよ」

……ヒトの定義について話し合いたくなるな。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:26:12.44 ID:503IopGj0

「よっしゃ、もう一頑張りすっか!」

「やれやれ、じゃあ始めますかの」

周りの人達が段々と立ち上がり、各自の持ち場へと向かって行く。
俺達も移動した方がいいのかもしれないが……

(´・ω・`)「どうする? 僕達も……」

('A`)「でもそっちは今食べ始めた所だし、ブーンの奴も――」

( ^ω^)「おっおっ、ご馳走様だお!」

……こいつの事を考えるのは杞憂だったな。

ξ ゚听)ξ「私達はいいから、早く仕事に戻りなさいよ」

川 ゚ -゚)「一応給料を貰う身だからな、しっかり働いてこい」

('A`;)「そ、そうか……じゃあな、そっちも頑張れよ」

(´・ω・`)「無茶はしないようにね」

( ^ω^)「おっおっ、じゃあまただお!」

(*゚∀゚)ノシ「おー、じゃーなー!」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:29:03.72 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

そして時間が過ぎて夕方、日が暮れる前辺りで今日の作業は終わる。
神主さんと共に境内に移動すると、元の私服に着替えたツンとクーが待っていた。

ξ ゚听)ξ「お疲れー、みんな。どうだった?」

( ^ω^)「おっおっ、あの後は楽だったお。ツン達の方はどうだったかお?」

ξ ゚听)ξ「こっちは寧ろ明日が本番らしいわ」

lw´‐ _‐ノv「期待してるぞ、新しいタイプの二人にはな」

相変わらずいつの間にか現れるシュー、ちなみにまだ巫女服である。

{0} /¨ヽ {0}「……オチュ」

神主さんが封筒を各自に渡してくる……そういえば声を初めて聞いたな。

{0} /¨ヽ {0}「…………」

lw´‐ _‐ノv「今日の給料らしい。祖父曰く、少しおまけがあるそうだ。
       確認のため、今開けてほしいとか」

何か渡された時から感じているんだが、封筒がやたらと重たい。
一体何がおまけで入っているのか……くそっ、糊付けが硬いな。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:31:12.77 ID:503IopGj0

ξ;゚听)ξ「えっ!? 五千円って……少し多くないですか?」

{0} /¨ヽ {0}「…………」

lw´‐ _‐ノv「問題ないそうだ。頑張ってくれたご褒美らしい」

川 ゚ -゚)「おまけに明日のバザー券が入っているではないか……しかも二千円分も」

{0} /¨ヽ {0}「…………」

lw´‐ _‐ノv「問題ないそうだ。頑張ってくれたご褒美らしい」

('A`;)「あのさ。俺のお金、全部500円玉で入ってるんだけど……」

{0} /¨ヽ {0}「…………」

lw´‐ _‐ノv「問題ないそうだ。頑張ってくれたご褒美らしい」

いや、明らかにご褒美とは違うだろ。まあ金額的には合ってそうだし……

(´・ω・`)「ではお疲れ様でした、また明日よろしくお願いします」

lw´‐ _‐ノv「明日は9時集合で。あとツンク、例の準備よろしくな」

ξ;゚听)ξ「まとめて呼ばないでよ……」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:33:47.69 ID:503IopGj0

(*゚∀゚)「じゃーな、お前ら! 帰り道には気をつけろよー」

('A`)「……まあ問題は無いだろ」

ξ ゚听)ξ「……何で私の顔を見ながら言うのかしら?」

( ^ω^)ノシ「おっおっ、まただおー!」

神社を出て、今朝通った道を逆走していく。
帰り道での話は主に、今日の仕事内容になったのだが……

('A`)「へー、つーってシューと同居してたのか」

ξ ゚听)ξ「そうそう、色々と深い事情があったらしくてね」

(´・ω・`)「……だからあの二人はいつも一緒なんだね」

( ^ω^)「こっちは普通に力仕事だったお……」

川 ゚ -゚)「それは大変だったな。まあ明日は暇なんだろ?」

主催者に話を聞いたのだが、明日の仕事は今日ほど辛くないって事を言っていた。

('A`)「だといいんだがな……」

南新居戸駅でショボンに別れを告げ、クーとも途中の駅で別れる事となる。
体に残った適度な疲労感からいって、今夜はぐっすり眠れそうだな。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 21:48:26.00 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

('A`;)「今日はゆっくり出来る……そう考えてた時期が俺にもありました」

そして当日の朝十時過ぎ。今の俺達は、子供達の群れと格闘していた。
三次炉がいいって言ってる奴、今すぐ俺と変わって欲しい。
こいつら数が集まると、同数の狼より厄介だ。 ……狼に会った事は無いけど。

(; ^ω^)「あーあー、押さないでほしいお……こらそこっ、勝手に持っていったら駄目だお!」

(´・ω・`)「ねえ、そこの君。ズルをしたら……分かっているよね?」

俺達に言いつけられた今日の仕事、それは水風船釣りだった。
100円貰い、こよりの付いた針金を渡し、時々風船を補充するという仕事。
三人もいるし、正直楽な仕事だと思っていたが……現実は甘かった。

我先にと押し合い、順番で揉める子供達。
釣り糸を使い、大量捕獲を企む悪賢い餓鬼。
風船の色の違いなど、些細な事でケンカを始める兄弟……

('A`;)「こうしてみるとさ、つーって大人なんだな……」

(; ^ω^)「ってか時々ブーン達より冷静だお」

(;´・ω・)「まあアメリカの高校に通ってたらしいからね。その位の精神力はあるんじゃない?」

いくら現実逃避をしようとしても、目の前の光景は変わらない。
子供達の無茶な注文を聞き流しつつ、俺達の仕事は続いていく。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:00:15.30 ID:503IopGj0

     □     □     □

ξ ゚听)ξ「はい、こちらが学問成就ですね。五百円になります」

私達の仕事は、境内での売り子だった。
巫女服を着て昨日作った御守りを売るんだけど……やたら速いペースで売れていく。
在庫も合わせて二千個はあった御守りは、午前中だけで残り五百個まで減っている。

ξ ゚听)ξ「開始前にちょっとした列が出来てたしね」

川 ゚ -゚)「話を聞くと、評判がかなりいいそうだな。正に神懸り的な効果があるとか無いとか」

ξ;゚听)ξ「結局どっちなのよ……あっ、ようこそお越しくださいました」

十二時を回った頃から、境内へと人が段々上がってくる。
一時からの儀式を見るため、集まってきた人なんだろう。
御守りの数が残り二百を切り、客足も途切れて来た頃に顔を出してくる人物がいた。

('A`)「よー、調子はどうだ? これ差し入れだ」

( ^ω^)「おっおっ、お疲れだお!」

ξ ゚听)ξ「お疲れ……あれ、仕事中じゃなかったの?」

確か手が離せないって聞いてたけど……

(´・ω・`)「商工会の人がね、儀式だけでも見て来いって代わってくれたんだ」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:03:02.03 ID:503IopGj0
ショボン達と一緒にいた見慣れないおばさんが私達に声を掛けてくる。

「さあさあ、そこの二人も行って来な。あたしが代わりにやるからさ」

(´・ω・`)「こちらの人は海原さん。昨日のおにぎりの人だね」

ξ ゚听)ξ「あっ、ご馳走様でした。よければ今度、料理方を教えてください」

「いーわよいーわよ。一応シューちゃんにも教えてあるから今度聞いてみなさいな」

……ちゃんと教えて貰えるのかしら?

(*゚∀゚)「おーい……って、何でお前らもここに?」

そこに駆け込んで来たつー、ちなみに今日も彼女は巫女服を着ている。

「あれ、この子は…………あー、もしかしてつーちゃん? あのアメリカ帰りの……」

(;*゚∀゚)「あっ……はい、そうです!」

「あらまー、可愛いわね。高校に通ってるって本当なの?」

(*゚∀゚)「はいっ! 毎日が勉強です! すいませんがおばさんは……?」

「時々おにぎり持っていってる人よ。海原って聞いたことない?」

(*゚∀゚)「あっ、何度かご馳走になってます。とっても美味しいです!」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:06:19.43 ID:503IopGj0

「あらあら、ありがとーね……しかししっかりしてるわねー。ウチの馬鹿息子にも見習って欲しいわ」

(*゚∀゚)「あははっ……そんな事ないですよー」


ξ;゚听)ξ「完全に営業モードに入ってるわね……」

川 ゚ -゚)「あの変わり身、少し見習うかな……」


「…………んー、ところでどっかで合った事ないかしら? 何か見覚えあるよーな……」

(;*゚∀゚)「あー、多分気のせいだと思います。何処にでもいるような顔だし……」

「こんな可愛い子は中々いないと思うけど……あっ、もうすぐ時間じゃない、早く行きなさい!」

ξ ゚听)ξ「あっ、じゃあよろしくお願いします!」

「任せなさい! これでも昔、ここでバイトやってたんだからね」

海原さんに会場を任せて、私達は移動する。
ちょうど開いていた空間に入り込み、儀式が始まるのを待つ。


やがて太鼓の音が響き渡り、拝殿の扉が開いた。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:09:31.74 ID:503IopGj0

     △     △     △

('A`)「いやー、綺麗だったな……」

(; ^ω^)「ってか、完全に別人だったお」

儀式用の装束を着込み、化粧をしたシュー。正直別人だと言われても納得するレベルだった。
女は化粧で変わるとは言うが…………恐ろしいな、本当に……

ξ ゚听)ξ「踊りも綺麗だったしね……」

川 ゚ -゚)「物心ついた位から、かなり練習をやり込んでいたと言ってたな」

若い巫女一人が、豊作祈願のため太鼓に合わせて舞を踊る……これが儀式の内容。
その踊りは、時にはせせらぎの様にゆっくり、時には荒れ狂う台風の様に荒々しく……
舞い踊る袖の裾に簪の鈴の音、手に持った鍬を模した棒の捌き具合、見た者全てを魅了する力があった。

ξ ゚听)ξ「何でも9歳の頃から任されているらしいわよ」

(´・ω・`)「じゃあ相当やり慣れている訳か……」

(*゚∀゚)「本当に綺麗だったな……いつものシューからは想像出来ないぜ」

('A`)「そうだな……あ、そろそろ時間だな。じゃあまたな」

ξ ゚听)ξ「OK、あんた達も頑張りなさいよ」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:12:10.07 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

そして時間が過ぎて午後五時を回った頃、終わりを告げる号砲が撃ち上がった。
10分前辺りにちょうど風船が切れたので、かなりちょうどいいタイミングだ。

('A`)「……やり遂げたな」

川 ゚ -゚)「ああ、そうだな」

ツンとクーは三時過ぎには仕事が終わったらしく、私服に着替えてこちらに合流してきている。
特にツンの子供捌きの上手さにはかなり助けられた。親戚に小さな子でもいるのかもな。
テントの片付けは明日やるそうなので、これで今回のバイトは晴れて終了だ。

ξ ゚听)ξ「しかし大分疲れたわねー……明日に響かなきゃいいけど」

( ^ω^)「おっおっ、じゃあバイト料を貰ってさっさと帰るかお?」

lw´‐ _‐ノv「あいや。待たれよ、そこのご両人」

(´・ω・`)「あれ、いつの間に……そうそう、踊り綺麗だったよ」

lw´‐ _‐ノv「保存させてもらうよ、その言葉……ではなく、酔わないか?」

川 ゚ -゚)「酔うとは……自分にか? それとも気分的な意味か?」

昨日着ていた巫女服に着替え、いつものシュールトークを話す彼女。
やっぱさっき踊っていた人物は別人だったのかもな……

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:15:36.02 ID:503IopGj0
(;*゚∀゚)「だから分かるように説明しろってあれほど……」

そんな彼女と一緒に付いて来たつー、こちらはTシャツにハーフパンツという軽装である。

( ^ω^)「ん? この後も何かあるのかお?」

(*゚∀゚)「あー、打ち上げがあるらしくてさ。良ければ一緒にどうかだってさ」

lw´‐ _‐ノv「豚の丸焼きに湖の魚料理……当然酒もガバガバ飲めるぞ」

(* ^ω^)「参加するお!」

……ここまで素早い決断は中々無いだろうな。

ξ;゚听)ξ「全くあんたは……まあいい、じゃあ私もね。
        ブーン一人だと何をやらかすか分からないし……」

('A`)「あー、じゃあ俺も参加するかな」

まあタダで豪華な料理が食えるんだ、参加しない手口は無いな。

(´・ω・`)「僕もだね。意外な料理が食べれるかもしれないし……」

これで残るはクーだが……

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:18:03.83 ID:503IopGj0
川 ゚ -゚)「……参加したいのは山々なんだがな。生憎7時から用事があるんだ」

lw´‐ _‐ノv「それは残念だな……重箱に入れておこうか?」

川 ゚ -゚)「いや、そんな手間を掛けなくてもいい。ところでシュー、呪術とか出来るか?」

lw´‐ _‐ノv「まあ一応は可能だ。どの程度の不幸が必要だ?」

……いきなりダークな話題になったな。しかも出来るのかよ。
これからは極力シューを怒らせないようにしよう。最もそんな場面が想像つかないけど。

川 ゚ -゚)「ほんの小さな不幸でいいんだ。タンスの角に小指をぶつける程度で」

lw´‐ _‐ノv「了解、それならロハで請合おう。対象の人物は?」

川 ゚ -゚)「四十過ぎの冴えない駄目男、名前は植岡だ。写真はこちら」

シューに手渡された写真をこっそりと覗きこむ。……やっぱ例の叔父さんか。

lw´‐ _‐ノv「情報は充分だ、少しオマケしておこう。『机の上の限定フィギュアが壊れる』位でどうだ?」

川 ゚ -゚)「何でそこまで知っ……いや、それで大丈夫。よろしく頼む」


(; ^ω^)「……おにちくがいるお」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:22:26.46 ID:503IopGj0
クーの後姿を見送った後、俺達は境内の裏手にあるシューの家にお邪魔する事となる。
神主である祖父とシュー、それに加えて今はつーが住んでいると聞いた。
ちなみにシューの両親は県外で働いているとか。シュー曰く、「相当の自由人」らしい。

客間に通された俺達は、つーの持ってきたトランプで時間を潰す事になったが――

( ^ω^)「おっ、じゃあ大富豪でもやるかお」

ξ ゚听)ξ「人数も六人だしね、ちょうどいいでしょ」

('A`;)「あれ、ゲーム名って大貧民じゃないのか?」

(´・ω・`)「僕らの方でも大富豪だったけど……そうそう、アメリカでは何て言うの?」

(*゚∀゚)「あー、このゲームはこの国発らしいぜ。向こうの奴に聞いてもさっぱりだったから。
     まあ両親とやってたから大体ルールは分かるぜ、ちなみに家での呼び名は大貧民だったな」

lw´‐ _‐ノv「この辺りでは大貧民だな。私は勝手に焼肉定食と呼んでいたが」

ξ ゚听)ξ「了解、じゃあ始めますか」

適当に切って手札を配るツン。俺の手札にダイヤの3があるので、俺から――

lw´‐ _‐ノv「待て、じゃんけんは?」

ξ;゚听)ξ「えっ、普通ハートの3を持っている人からでしょ」

('A`)「あれ、俺の方ではダイヤの3なんだが……」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:24:23.86 ID:503IopGj0

(*゚∀゚)「オレの家でもダイヤの3だったな」

(´・ω・`)「最初の時はダイヤの3だね。二回目以降は大貧民からだけど」

( ^ω^)「ボクの所ではハートだったけど……多数決でダイヤからでいいんじゃないかお?」

('A`)「よし、じゃあ俺から……」

とりあえず手札の邪魔な札、ダイヤとスペードの3の二枚を出す。

(´・ω・`)「あれ、初回は同時出し駄目じゃなかった?」

(; ^ω^)「それよりスペードの3を消費するなんて……もったいないお」

('A`)「あれ、普通に出せるだろ? それに勿体無いって……」

ξ ゚听)ξ「スペ3って単体の2とジョーカーを殺せるカードでしょ?」

(*゚∀゚)「ん、ジョーカーだけじゃなかったか?」

('A`;)「……ちょっと待て、お前ら。7渡しとか8切り、10捨ては解るか?」

ξ ゚听)ξ「8切りは解るし、あと11バックも知ってるけど……7とか10は知らないわね」

( ^ω^)「おっおっ、後はロックも解るお」

(*゚∀゚)「8切りは知ってるんだが……なんだ、そのロックって?」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 22:27:55.29 ID:503IopGj0
lw´‐ _‐ノv「まさか銀河鉄道や女神の法則、トリプルブレイクも無しなのか?」

(;´・ω・)「何それ、全然聞いたことも無いよ」

ξ;゚听)ξ「……ローカルネタが多過ぎるわね。止めにしない?」

('A`;)「まあそれが懸命だな」


話し合いの結果、ダウトをする事になった。まあこれならルールが単純だしな。

( ^ω^)「じゃあ次……4だお」

lw´‐ _‐ノv「ダウトだ」

(; ^ω^)「くっ、ばれたかお……」

('A`)「じゃあ5」

lw´‐ _‐ノv「ダウト」

('A`;)「なっ、何でわかるんだ……?」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:02:59.12 ID:503IopGj0

lw´‐ _‐ノv「ふっ、なぜなら4と5の札は全て私が握っているからな。
       ……おっと、私の番か。数字の6だ」

ξ;゚听)ξ「……ダウト」

lw´‐ _‐ノv「な、なぜ解った?」

ξ;゚听)ξ「いや、だってシューの手札8枚だったじゃない」

(;*゚∀゚)「何やってんだよ、シューの奴は……」


そんなこんなでダウトを続けていた所、急にシューが立ち上がった。

lw´‐ _‐ノv「……おっとすまない、ペットに餌をやらないとな」

ξ ゚听)ξ「へー、ペットなんて飼ってるんだ。何?」

lw´‐ _‐ノv「ヒヨコのピーちゃんだ。可愛いぞー、見に来るか?」

シューにしては普通だな。まあ興味あるっちゃある様な――

(;* ∀ )「な、なあ。あれを人に見せるのか…………?」

……えらく動揺しているつー。一体どうしたんだ?
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:06:01.64 ID:503IopGj0

lw´‐ _‐ノv「……まあいい。見たい者はついて来い」

結局全員でゾロゾロと家の裏手に移動する。
彼女が手に持っているのは……米袋?

lw´‐ _‐ノv「ほーら、ピーちゃん。ご飯だよー」





       ,-'"ヽ
      /   i、       / ̄ ̄ ヽ,      _/\/\/\/|_
      { ノ   "' ゝ    /        ',     \          /
      /       "' ゝノ {0}  /¨`ヽ{0}     < ニャーン!! >
      /              ヽ._.ノ  ',    /          \
     i                `ー'′  '.     ̄|/\/\/\/ ̄
    /                       }.
    i'    /、                 ,i..
    い _/  `-、.,,     、_       i
   /' /     _/  \`i   "   /゙   ./
  (,,/     , '  _,,-'" i  ヾi__,,,...--t'"  ,|
       ,/ /     \  ヽ、   i  |
       (、,,/       〉、 、,}    |  .i
                `` `     ! 、、\
                       !、_n_,〉>

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:09:03.67 ID:503IopGj0

ξ ゚听)ξ「………………」


( ^ω^)「………………」


('A`)「………………」


(´・ω・`)「………………」



lw´‐ _‐ノv「ほらほら、もっと食え。そんな事では大空へ羽ばたけないぞ」

ピーちゃん「ニャーン!!」



(*゚∀゚)「世界って……広いよな…………」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:12:04.08 ID:503IopGj0

     ○     ○     ○

そんなこんなで時間が来て、俺達は昨日昼食を食べたテーブルに付いていた。
目の前には様々な料理が並び、手元にはソフトドリンクを入れたカップがある。

「……えー、それでは神主さん。乾杯の一言をどうぞ!」

{0} /¨ヽ {0}「……おちゅ」

『『『『『 乾杯ー!! 』』』』』


('A`;)「あ、あれでいいのか……?」

(´・ω・`)「……いいんじゃないかな。それよりドクオ、早く取らないと無くなるよ」

無くなるって言っても、目の前のタッパーには大量の……何ッ、半分以下になってる!?

( *^ω^)「ふおおっ、ほのはらはれはいほーだお!」

重箱に盛られた鶏の唐揚げがブーンの口の中へと次々消えて行く。
あわや無くなるかと思われた時、ブーンの頭に振り落とされる拳があった。

ξ#゚听)ξ「一人で食べ尽くさない! あと口に物を入れてしゃべるなって、昔から何度も……」

母親モードになったツンが、ブーンを叱り付ける。将来は尻に敷かれる事間違い無しだな。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:15:33.35 ID:503IopGj0

(*゚∀゚)「くっはーっ! やっぱ労働の後のジュースは最高だな!」

表舞台には立たなかったつーだが、彼女なりに色々と手伝いをやっていたらしい。
豪快にりんごジュースを飲み干す姿を見てると、何か微笑ましくなるな。

lw´‐ _‐ノv「うん、それは全米が同意だな」

こちらはチビチビと…………何か茶色をした缶のジュースを飲んでいる。
ってか酒じゃないのか? BEERとか書かれている様に見えるし。

(´・ω・`)「それってもしかして……ルートビア?」

lw´‐ _‐ノv「ん、初見で解ってくれたのは君が二人目だな」

( ^ω^)「やっぱお酒かお?」

lw´‐ _‐ノv「いや、アルコール0%のれっきとした炭酸飲料だ。少し飲んでみるか?」

( ^ω^)「じゃあ早速いただき……ブゴアッッ!」

ツンの方に向け、物凄い勢いで口の中の物を吹き出すブーン。そんなに不味いのか?

(  ゚ω゚)「なんだおコレ! 人間の飲み物じゃないお!」

lw´‐ _‐ノv「むっ、失礼な。アメリカではポピュラーなんだぞ」

(*゚∀゚)「……オレは嫌いだったがな。何でシューはこんな湿布臭い物が好きなんだ?」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:18:20.92 ID:503IopGj0

(´・ω・`)「ねえ、ちょっと飲ませてくれないかい?」

lw´‐ _‐ノv「ん、構わんよ。ほれ」

(´‐ω‐`)「んー、この味この味。懐かしいなー……」

大げさにブーンが吹いたので、かなり毒性が強いのかと思ったが……意外といけるのか。
あれ、そういえばブーンの吹き出した先って……

ξ# ー )ξ「ねえブーン、この服買ったばかりだったのよ……」

(; ^ω^)「あばばばば……もう、何とお詫びを言ったらいい事か……」

ξ# ∀ )ξ「ちょっとそこの物陰まで一緒に行かない?」

(; ゚ω゚)「お、お断りしますお!」

ξ#゚听)ξ「問答無用!!」

(; ^ω^)「た、助けてくれおーっ!」

二人の追いかけっこを眺めながら、まったりとおかずを消費していく。
うん、この煮物いけるな。数日前から仕込んであるに違いない。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:21:01.51 ID:503IopGj0

(´・ω・`)「あ、着信が来た。ちょっとゴメンね」

ツンとブーンがどこかに走り去っていった後、ショボンも席を立つ。
俺以外に席に残っているのは、相変わらずチビチビと飲んでいるシューと、料理を食べているつー。
しかし妙にルートビアって奴が気になるな……

('A`)「なあ、俺にも一口分けてくれないか?」

lw´‐ _‐ノv「まあ構わないと言いたいが……一本しか持ってきてないしな」

(*゚∀゚)「あー、じゃあオレが母屋から取ってくるよ。一本でいいか?」

lw´‐ _‐ノv「いや、二本頼む」

(*゚∀゚)「じゃーな!」

つーも立ち去っていき、残されたのは二人きり。一人でシューを相手にするのか……

lw´‐ _‐ノv「ほれ、残りをやる。全部飲めよ、あの北極星に誓ってな」

('A`)「んあ、ありがとな……」

とは言っても、せいぜい一口ちょいほどしか残ってない。俺は一気に流し込み――

('A`;)「湿布臭ッ!!」

そして地面へと吐き出した。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:24:02.37 ID:503IopGj0

しかしシューとの話題か……昨日から気になってたあの事でも聞いてみるかな。

('A`)「なあ、そういや何でつーをここで住ませる事になったんだ?」

lw´‐ _‐ノv「……建前と嘘、どちらが聞きたい?」

('A`;)「どっちも嘘じゃねーか。真実で頼む」

lw´‐ _‐ノv「うーむ………………………………」

なんだろう、物凄く真剣な顔をしているように見える。

lw´‐ _‐ノv「そうだな、一人位は巻き込んでも……」

何か不吉な事を言っている様に聞こえるが……聞かない方がいい様な気も……

lw´‐ _‐ノv「解った、君にだけ話そう。この世の真実、その一つを。
       当たり前だが、この話は他言無用だ。そして君は話を聞くと引き返せなくなる……」

('A`;)「あー、いや。やっぱいい――」

lw´‐ _‐ノv「よし、覚悟はしているようだな」

いいって言ってるのが解らないのか!?
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/18(金) 23:27:06.09 ID:503IopGj0

lw´‐ _‐ノv「そもそも、私とつーには血の繋がりなど――」

ξ;゚听)ξ「ねえあなた達、ブーン見なかった!?」

突然現れたツンにより、シューの話が止まる。ちょっと聞きたかった様な、聞かなくてよかった様な……

lw´‐ _‐ノv「おやお帰りツン。ブーンなら10分ほど前にここから立ち去ったぞ。
       何かに怯えた様な顔をして、必死に走り去っていってたな」

ξ ゚听)ξ「私が追いかけ始めた時の事でしょ、それって……それから後よ」

('A`;)「あー、あれから後は姿見てねーぞ」

ξ ゚听)ξ「ならいいんだけど……」

lw´‐ _‐ノv「ここで待ち構えるのが得策ではないか? 『窮鼠猫をも噛む』という諺があるのだし」

確かにここで待つのは妥当だろう。だがなぜその諺を持ち出す?

ξ ゚听)ξ「んー、じゃあまあここで休憩させてもらうわね」

lw´‐ _‐ノv「……ちょっと私は用事を思い出した。ゆっくりしていてくれ」

そう言い残し神社の方へと向かうシュー。 ……そういえばつーとショボンの帰りが遅いな。

ξ ゚听)ξ「ふぅ。全く、あの馬鹿は……」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:00:14.92 ID:uJXL+92B0

('A`)「なあ、最近は家業の方はどうなんだ?」

ξ ゚听)ξ「家業って言い方は……まあ特に進展はないわね」

('A`)「そういえばさ、ツン一人でやってるのか? それ」

ξ ゚听)ξ「……まあ多分ね。相手も小規模みたいだし、私一人でも何とかなってるのが現状ね」

('A`)「まあそれなら……ツン、あんまり一人で背負い込むんじゃないぞ」

ξ ゚ー゚)ξ「解ってるわよ……あっ、そうだ。ちょっと服の染み落としてくるね」

神社に向けて立ち去るツン。おそらく水道を貸してもらうつもりなんだろうな。

('A`)「……そして誰もいなくなった、か」


     ○     ○     ○

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:03:10.00 ID:uJXL+92B0

     ☆     ☆     ☆

( ^ω^)「ふぃーっ、疲れたお」

もうあれから30分は経ったから、多分ツンの怒りも収まってるはずだお。
会場のボク達の机には……あれ? ドクオしかいないお。
まあ戻るなら今かお。まだ料理をほとんど食べてない事だしお。

('A`)「よお、お疲れ様」

( ^ω^)「おっおっ、皆はどこ行ったんだお?」

('A`)「さあな、何か皆用事があるとかでどこかに消えていったな」

ドクオの話は聞いてるけど、それよりも――

( ^ω^)「ところでドクオ。そのお皿は何だお?」

湯気を立てる何かのお肉。上にかかったソースも美味しそうだお。

('A`)「ああ、さっき運ばれてきた豚の焼いた奴だな……って――」

(* ^ω^)「いただきますお!」

('A`;)「食べるの早過ぎだろ……少しは残しとけよ」

それは若干厳しいお。いい具合に焼けたお肉に甘辛いタレが合わさって……
塩おにぎりと交互に食べてると、また肉の旨味が増すんだお。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:06:16.67 ID:uJXL+92B0

('A`)「ところでさ、お前ツンにちゃんと謝ったのか」

( ^ω^)「おっおっ、そんな暇無かったお。逃げるので精一杯だお。
      そもそもあれは事故に近いお」

('A`;)「事故って、お前なー……」

( ^ω^)「そもそもツンは普段乱暴なんだお! だから天罰だお!」

('A`;)「…………ツンが聞いたら殺されるんじゃないか?」

( ^ω^)「だからツンがいない時に……いないおね?」

嫌な悪寒がしたので回りを見回してみたけど、やっぱり姿は見えないお。
でもなんかさっきから悪寒が続いているお……

('A`)「……お前さ、普段ツンの事をどう思ってるんだ?」

うーん、正直言い辛いお。ここは言葉を濁して……

( ^ω^)「乱暴な幼馴染だお。このままだと嫁の貰い手さえ怪し――」 ガシッ

あれ、誰かがボクの足を掴んだお……机の下から腕が伸びてる様に見えるお……
もしかして、ツンは最初から机の下に…………

('A`)b「グッドラック、ブーン」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:09:05.47 ID:uJXL+92B0

     △     △     △

ブーンが机の下に引き摺り込まれ、激しい打撃音と叫び声が続く事数分間。
机の下から、ボロボロになった何かを抱えたツンが出てきた。

ξ ゚听)ξ「まったく、この馬鹿は……」

その何かを地面に放り投げ、席へとつくツン。
ちょうどそのタイミングで、シューとつーが戻ってくる。

(*゚∀゚)「よお……ってブーン、大丈夫か?」

lw´‐ _‐ノv「ミンチより酷い……小説版だと良かったのにな。ところでショボンはどうした?」

('A`;)「あー、そういやまだ帰ってないな」

携帯に連絡があったと聞いたが、幾らなんでも遅すぎるだろ。

(´・ω・`)「いやー、ごめん。兄さんとちょっと合流しててね」

噂をすれば影、手に紙袋を抱えたショボンが戻ってくる。

(´・ω・`)「この辺に用事があったらしくってさ、ちょっと近くまで呼び出されたんだ。
      はいこれ、皆で食べてくれだってさ」

袋から出てきたのは高級そうなチョコレートの箱。食後のデザートは決まったな。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:12:21.67 ID:uJXL+92B0

そして宴の時は過ぎて行く。


('A`)「しかしこの漬物美味いな……」

lw´‐ _‐ノv「その言葉、末代まで決して忘れるなよ」

('A`;)「…………?」

(*゚∀゚)「その漬物さ、シューが作ったんだぜ」


皆で馬鹿みたいに騒いで、美味しい物を食べ、飲み――


ξ ゚听)ξ「ねえ、少しそのビール飲んでみていいかしら?」

(; ^ω^)「ツン、お酒は駄目だお!」

ξ ゚听)ξ「何よ、アンタはもう二本飲んでいるじゃない!」

( ^ω^)「ボクは飲みなれているから例外だお。とにかくお酒は18歳からだお!」

(´・ω・`)「さすが酒屋の息子だね。僕は兄さんに飲ませてもらえないのに……」


そんな時間も、やがて終わりが訪れる。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:14:54.69 ID:uJXL+92B0

     ○     ○     ○

lw´‐ _‐ノv「じゃあな、気をつけて帰れよ」

('A`)「解った。多分大丈夫だな」

(*゚∀゚)「ツンを落とさないように気をつけろよ、ブーン!」

( ^ω^)「おっおっ、任せてくれお!」

爆睡しているツンを背中に抱え直しているブーン。

ξ*‐凵])ξ「…………ZZZ」

結局ブーンの反対を押し切り、酒を飲んだツン。
…………いやー、ブーンが本気で反対した訳がよく分かった。
しかしブーンもかなり飲んだはずなのに、こちらは顔色一つ変えてないな。

(;´・ω・)「じゃあまた明日ね」

lw´‐ _‐ノv「またツンが暴れだしたら、三人で止めるんだぞ……おっといけね」

懐に手を伸ばし、人数分の御守りを取り出すシュー。

lw´‐ _‐ノv「クーにも渡してあるが、私特製の奴だ。持っていってくれ。
       学問、健康、金運、恋愛、安産のどれでも対応してるのではないかな?」

何で疑問系……そもそも安産は必要ないだろ。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:18:04.15 ID:uJXL+92B0

('A`)「ブーン、とりあえずお前らの分も預かっておこうか?」

( ^ω^)「おっおっ、よろしく頼むお」

lw´‐ _‐ノv「なるべく肌身離さずにしてくれ。スペシャルな一品だからな」

今朝にツン達が配っていたのとは、外見上は特に違いが解らない。
まあせっかくの貰い物だし、制服の内ポケットにでも入れておくかな……

(*゚∀゚)「じゃーなー。今日は楽しかったぜー!」

lw´‐ _‐ノv「明日もよろしく。そして明々後日も、いつまでも……」

( ^ω^)「バイバイだおー!!」

('A`)「じゃあなー」

最初に思っていたよりは、割と平穏に終わった週末。
いつもこんな毎日なら歓迎なんだけどな……


5月の終わりには中間テストが待ち構えている。
まあ俺は大丈夫だろうが……ブーンは大丈夫なのか?
また騒がしい事になるんだろうな……


     【次回に続く……?】

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:21:29.05 ID:uJXL+92B0


        【断章】


     U     U     U

シューに頼まれたルートビアを取るため、オレは神社の石段を駆け上がる。
まあオレもりんごジュースの追加が欲しいし、疲れてるシューを労わないとな。

(*゚∀゚)「……あれ?」

目的の物を袋に入れ会場へと戻る途中、妙な違和感を感じる。
その正体は、普段は閉じられている本殿の扉。
中には御神体や、その他貴重な物が色々とあるんだが……

(*゚∀゚)「開いてる……よな」

大き目の錠前が外され、扉に少し隙間が出来ている。
普段管理をしている神主さんは下にいるはずだし……

(*゚∀゚)「……シューが閉め忘れたのか?」

何の気無しに扉を開け、中に入る。


……後から考えると、この時もっと慎重になるべきだったのかもしれない。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:23:59.89 ID:uJXL+92B0

何度か入った記憶を頼りに、手探りで電灯のスイッチを探す。
明かりが付きまず目に飛び込んでくるのは、祭壇に積まれた米俵。
この神社では秋にも祭りがあり、その時の品評会で一位の物を奉納しているらしい。

(*゚∀゚)「なんか深夜に見ると不気味だな……」

この部屋の左右にも棚があり、様々な物が収められている。

ゴテゴテとした飾りが付いた高級そうな壷に、どこかの山にでも転がってそうな何の変哲もない石。
この神社には似合わない西洋式の黒い大剣や、夜になると髪がひとりでに伸びそうな人形……
正に文字通り、玉石混合って具合だ。

(*゚∀゚)「……やっぱ誰もいないよな」

入り口から見渡してみたが、やっぱり人の姿や気配は無い。
多分シューが今日の道具を納めて、その後鍵を閉め忘れたんだろう。
……そう思い引き返そうとした時だ。祭壇の裏手から、何かが動く音が聞こえた……気がした。

(;*゚∀゚)「なっ、誰かいるのか!? 出て来い!」

当然だが、オレの言葉への返答は無い。
本殿は見通しが良くなっていて、人が隠れそうな所はそこぐらいだ。
しかし覗きに行くのも……なんだかなー…………

(*゚∀゚)「おーい、出てこーい……」

やはり当然だが、何の動きも無い……と、思っていた。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 00:27:00.49 ID:uJXL+92B0
「くふふっ……はははっ……」

(;*゚∀゚)「なっ! 誰だっ!?」

何かを口に当ててるような、くぐもった笑い。
男とも女とも取れない笑いが数刻続いた後、祭壇の陰から出てくる姿がある。


その人物は、全身を黒いマントで覆っていた。
その人物は、顔を奇怪な仮面で覆っていた。



( [E/▽)「ふふっ。誰かと思ったら、ここのおチビちゃんだったか……」



中性的な体型、声、話し方。外見からでは一つしか情報がつかめない。
それは――
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:00:07.04 ID:uJXL+92B0

(;*゚∀゚)「不審者だあああぁぁっっ!!」

オレの人生で、これ以上の不審者は見た事が無い。まさかシューを上回る奴がいたとは……

( [E/▽)「いきなりそんな言い草とは……というか君、怖がらないんだね」

相変わらず抑揚のない声で話を続ける仮面の男。(性別は解らないけど、とりあえず男って事にしとく)
出てきたのがもし普通の人物なら怖かったかもだが、ここまでの不審者だと最早コントにさえ感じる。

(*゚∀゚)「……で、何なんだよお前は。ここは立ち入り禁止だぞ」

( [E/▽)「ふふっ、簡単に教えると思うかい?」

(*゚∀゚)「教えて貰わなくて結構だ。警察を呼ぶからちょっと待ってろ」

ポケットから携帯を取り出し、110を押す。
後は耳に当て……あれ、携帯がやけに軽い?

( [E/▽)「……まあそう慌てないで欲しいな」

その言葉と同時、オレの足元に何かが落ちた音がする。
ずらした目線の先にあったのは、携帯のディスプレイの上半分。
慌てて手元を見ると、そこには真っ二つに切られた携帯の残骸があった。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:03:02.26 ID:uJXL+92B0

(;*゚−゚)「……これ、もしかしてお前が?」

( [E/▽)「君の携帯に分離するような機能が無いんだったら、答えは一つじゃないかな?」

……あれ、もしかしてこれってヤバい? ここはとりあえず撤退を――

( [E/▽)「悪いけど、そうはいかないよ」

男が指を鳴らすと共に、後ろの扉が閉まる。

(;*゚∀゚)「……こーゆーのってさ、大抵こじ開けようとしても無駄なんだよな」

( [E/▽)「物分かりがいいね、君は」

(;*゚∀゚)「まーこうでも無いと、この歳で高校生はやってらんないからな」

( [E/▽)「……まあそうだろうね。でも君の場合は少し意味合いが違うんじゃない?」

(*゚∀゚)「…………どういう事だ?」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:06:28.98 ID:uJXL+92B0

( [E/▽)「僕が仮面を付けてるように、君も一つの仮面をつけている……そうだろ?」

(;*゚−゚)「……………………」

こいつ、まさかオレの事を……?

( [E/▽)「単刀直入に言おう。君と……いや、君達と目指している物は、僕も同じなんだよ」

(;*゚∀゚)「な、なんの事だか……」

( [E/▽)「君は両親の仇が取りたくないのかい?」

一瞬、脳裏にあの日の事が映し出される。
泣き叫ぶ母、動かない父。そして『アイツ』が……

(;*゚−゚)「オ、オレの両親はアメリカに……」

( [E/▽)「もう偽る必要は無い。君の力、その思いを少し貸してくれるだけでいいんだ」

(;* − )「オ、オレは……」


「お取り込み中すまないが、そこまでにしてくれ」

後方から響く、普段から聞き慣れた抑揚の無い声。これは――
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:09:04.98 ID:uJXL+92B0

lw´‐ _‐ノv「私は早くルートビアが飲みたいのでな……それにだ――」

開いた扉の間には、片手に木刀を構えたシューの姿。

lw´‐ _‐ノv「ウチのつーを嫁には渡さん」

(*゚∀゚)「シュー!!」

( [E/▽)「あの結界を抜ける……流石だね」

lw´‐ _‐ノv「一応ここの管理は任されてるからな……なぜつーをナンパした?」

( [E/▽)「主題を終えた時、偶然入ってきたものでね。状況により最善の手を取っただけさ」

lw´‐ _‐ノv「なるほど。で、この先はどうする?」

( [E/▽)「見逃してくれそうにはないしね……」

仮面の人物が差し出した手に、ソフトボールほどの黒い球体が浮かび上がった。
ふわふわと浮かぶ半透明のそれは、何か不気味なオーラを放っている。

lw´‐ _‐ノv「 なにそれこわい」

( [E/▽)「そんな無表情で言われても反応に困るな……」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:12:04.16 ID:uJXL+92B0

lw´‐ _‐ノv「つー、これを持って後ろに下がってなさい。絶対前に出るなよ」

オレへと手持ちの木刀を渡してくるシュー。これって確か……

( [E/▽)「おや、いいのかい? 唯一の得物を手放しちゃってさ」

lw´‐ _‐ノv「心配ゴム用醤油味。私にはこれがあるからな」

袴の内側から、数枚の紙を指先で摘み出すシュー。
それは昨日御守りの中に入れた物と同じような御札。
違う点としては、表面に書かれている文字の密度が圧倒的に濃い所だ。

lw´‐ _‐ノv「甘く見ていると痛い目に会うぞ。主に足の小指が」

シューが持っていた札が彼女の目の前にばら撒かれ、二人の間をヒラヒラと舞う。
次の瞬間、それらの札が黄色の炎で燃え上がり、細かな火の粉が空気へと溶け込んでいく。

( [E/▽)「……じゃあそろそろ始めようか」

男の手にあった球体が、突如ビー玉大ほどの小粒へと分かれ、彼の前へと浮かぶ。
20ほどあるそれらは男の合図と共に、様々な軌道を描きながらシューへと襲い掛かっていった。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:15:08.27 ID:uJXL+92B0

     |※|     |※|     |※|

lw´‐ _‐ノv「やれやれ、せっかちだな」

私は懐に手を入れ、新たな札を何枚か取り出し、前方へ投げる。
札がグワーッとなって、ガーッと来てたのがジュバーンとなった。

( [E/▽)「へえ、面白い事をするね」

lw´‐ _‐ノv「やってる私は面白くないのだがな」

更に札を二枚ほど取り出し、変な仮面を付けた男に向け投げつける。
スーッと飛んだ札がビシャーンとなるが、男はズザッと攻撃をかわす。

lw´‐ _‐ノv「避けるなよ。それ作るの大変なんだからさ……」

( [E/▽)「僕だって痛い思いは嫌だからね」

再び男の手に光が灯り、光球が出てくる。しかも今度は二つだ。
あれ? 黒いのに光球っていうのはどうなんだろうか?

( [E/▽)「これではどうかな?」

今度はブワワッと分かれ、更には先ほどよりスーッとこちらへきた。
しかし私の敵ではない。再びスラーッとやり、モソッと防ぐ。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:18:12.09 ID:uJXL+92B0

( [E/▽)「中々やるね……やはり噂は本当だったかな」

右手にアレをまたズモモンとやりながら、変人仮面は言葉を続けた。

lw´‐ _‐ノv「噂とは何だ?」

( [E/▽)「いや、凄腕の若い陰陽師がこの神社にいるって話さ」

lw´‐ _‐ノv「初耳だな、家に凄腕美人陰陽師がいるなんて」

( [E/▽)「……君は相当の自信家だね。でもそれなら――」

変人の左手に、いつの間にかあれが握られている。
まさかとは思っていたが……やっぱりあれが目的だったか。

( [E/▽)「せめてこの位は止めてもらわないと、ね」

男の左手にある物から黄色の光が出て、やがて黒へと色が変わる。
そして男の前にまた光球が出てきたんだが……

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:21:30.08 ID:uJXL+92B0

     U     U     U

なんかさっきまで地の文が酷かった気がするが……今はそれどころじゃない。
今までは精々手の平大ほどだった球体が、男の背丈を越すほどの大きさにまで膨れ上がった。
表面に黒い紫電が走り回り、爆ぜる音が響く。先ほどまでの奴とは威圧感が段違いだ。

( [E/▽)「もし死んでも怨まないでくれよ」

lw´‐ _‐ノv「その言葉、そっくりそのままつーに送ろう」

(;*゚∀゚)「ってなんでオレなんだよ!」

( [E/▽)「……甘いね。僕は二人ともに言ったつもりなんだけど」

男の右手が球体へと伸び、表面近くを撫でるように動く。
伸ばされた腕にまで紫電が走り、球体の内部に見えるうねりが一際濃くなった。

( [E/▽)「『我が力を糧に、帝国の魔女を滅せよ! “ ル・ラーダ・フォルオル ”!』」

男が閉じていた指を開くと同時。更に膨れ上がった球体から、大量の黒い光の帯が飛び出してきた。
空中を泳ぐ蛇にも見える放射状に放たれたそれらは、途中で急に軌道を変え、俺達の方へと迫ってくる。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:24:51.68 ID:uJXL+92B0

     *     *     *

二人へと襲い掛かる光の束を見たシューは、素早く懐から一枚の札を取り出し、前方へと投げつける。
多方向から二人へと襲い掛かろうとしていた黒い帯は、まるで餌を見つけたかの様に進路を札へと変えた。
札へと猛進し、爆発をおこす光の帯。その爆発の余波は、扉の前まで下がったつーも感じ取れるほど大きい。

(;*゚∀゚)「大丈夫なのかよ……?」

爆発を受けるたびに札の輪郭が小さくなっていくのが、つーの目にも見て取れる。
男の前に浮かぶ光球も体積を減らしているが、札の消滅の方が明らかに早い……彼女がそう思った時だ。

lw´‐ _‐ノv「ナウジャスタイム」

シューが右手の中指を鳴らす――ような動きをする。 ……残念ながら音は出なかったが。
しかしその行為により、目の前の札に変化が訪れた。

黒い帯に半分飲み込まれている白い札。そこから黄色の炎が爆発的に噴き出し、対峙している両者の間を覆いつくす。
シューの寸前、両壁いっぱいにまで広がる炎。棚の上にある物も炎に包まれるが、それらが燃える事は無い。
だが黒い帯達は広がる炎に押し溶かされ、跡形も無く消失していく。


炎が治まり最初につーの目に飛び込んできたものは、半分以上が炎に飲まれ、形が崩れた球体だった。
やがて球体は崩れ落ちるように地面へと落下し、黒い煙を上げながら消えていく。
後に残されたのは、マントを体に巻きつけて攻撃を防いだらしい仮面の男の姿。

( [E/▽)「フレアと見せかけての起爆装置……一番最初に巻いた札が燃料だったのかな?」

lw´‐ _‐ノv「説明口調乙。まだ続けるか?」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:27:10.04 ID:uJXL+92B0

( [E/▽)「このままだと正直厳しいな……両方とも無傷じゃすまないだろうね。
      しかし噂は伊達じゃ無いって事か。まだこれを使い慣れてないとはいえ……」

左手に持ったものを見つめながら、仮面の男は話す。
それは半透明な黄色をした、手の平に収まるほどの大きさの水晶の欠片だった。
シューの目線が水晶に向かっている事に気が付いた男は、言葉を続ける。

lw´‐ _‐ノv「それは……」

( [E/▽)「君も知ってのとおり、本殿の中に安置されていたやつさ」

lw´‐ _‐ノv「……侵入の目的はその水晶か?」

( [E/▽)「計画のためには必須だったのでね。余計な争いは避けようとしたんだけど……
       まあみすみす持って行くのを見逃してくれるはずは無いしね。悪いけど――」

lw´‐ _‐ノv「ああ、それなら持っていってもいいぞ」

( [E/▽)「やっぱりそうだよね。だかr ………………すまない、何って言った?」

lw´‐ _‐ノv「ゴロゴロして邪魔だったからな。大事にしてくれるなら問題ない」

(;*゚∀゚)「ちょっとシュー、あんな奴に渡していいのかよ!」

( [E/▽)「……あー、その…………大事なものでは無かったのか?」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 01:29:55.91 ID:uJXL+92B0

lw´‐ _‐ノv「無論大事だ。しかし君、XXXXXX にとっては必要なんだろ?」

シューが小声である人物の名前を呟いた時、男が仮面越しにでも解るほどの動揺を見せた。

( [E/▽)「なっ……!!」

(;*゚∀゚)「えっ、誰だって!? 声が小さくて聞こえなかったぞ!」

lw´‐ _‐ノv「……まあタダで渡すわけにもいかないしな。取引といこうか」

( [E/▽)「……何が望みだ?」

lw´‐ _‐ノv「こちらの望みは、私とつーにそちらから干渉しない事だ。
       逆に君の計画が失敗しない限り、こちらから君への干渉もしない事にする」

( [E/▽)「願ってもない条件だが……もしNOと言えばどうなる?」

lw´‐ _‐ノv「さっきから口調変わってるぞ。まあそれはともかく断るようなら、今この場に桜餅を呼ぶ」

( [E/▽)「桜餅…………まさか彼女を?」

lw´‐ _‐ノv「今この神社に来てるのでね。流石に片追いは厳しいだろ?」


(;*゚∀゚) (さっきからスルーされてる……ってか会話の内容が解らねえよ……)
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 02:00:44.06 ID:uJXL+92B0
( [E/▽)「君のサポートがあるなら、確かに無事に帰れる気はしないが……
       一体君はどこまで知っているんだい?」

lw´‐ _‐ノv「把握してるのは大方7割って所だな。傭兵に化け猫、妖狐に吸血鬼……」

( [E/▽)「後者二つは初耳だね。 ……まったく、おかしなクラスに入ったものだよ」

(;*゚∀゚)「クラスって……」

( [E/▽)「おっといけない、喋り過ぎたね。 ……君は彼女には何も教えてないのかい?」

lw´‐ _‐ノv「当たり前だ。こんな楽しい秘密、そう易々とは教えられない」

(*゚∀゚)「……シュー、あとでみっちり話し合おうな」

( [E/▽)「まあともかく取引には応じるよ。むしろこちらからお願いすべきかな?」

lw´‐ _‐ノv「気にするな、あと君の計画自体には別に反対していない」

( [E/▽)「……君の考えは本当に解らないね」

lw´‐ _‐ノv「解られてたまるか。私の存在価値が無くなるからな」

( [E/▽)「その位で歪む存在価値はどうかと思うけど……
       じゃあこの位で帰らせてもらえるかな?」

lw´‐ _‐ノv「問題ない。桜餅にバッタリ会わないようにしろよ」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 02:03:19.37 ID:uJXL+92B0
( [E/▽)「忠告受け取っておくよ。出来れば君とは二度と会いたくないね、この姿では」

lw´‐ _‐ノv「私も同感だ。その妙な仮面、二度と目の前に見せないようにしろ」

男はシューとつーの横を歩き去り、扉の外へと出て行った。
それを見届けた少し後、つーがシューの元へと駆け寄ってくる。

(#*゚∀゚)「なあシュー! 何なんだよ、アイツはっ!?」

lw´‐ _‐ノv「落ち着け、つー。そんなに怒ると小じわが増えて……」

(#*゚∀゚)「皺なんかねーよ! ……じゃなくて、あいつはオレの事を――」

lw´‐ _‐ノv「つー。彼は言いふらすような事はしない」

(*゚∀゚)「……さっきから疑問なんだが、あいつの事知ってるのか?」

lw´‐ _‐ノv「ふっ、クラスメイトを知らないはずないだろ」

(;*゚∀゚)「クラスメイトって……やっぱQ組のか!? 一体誰なんだよ?」

lw´‐ _‐ノv「……それはまだ言えない」

(*゚∀゚)「…………まだ?」

lw´‐ _‐ノv「彼と私達の目的は同じだ。ただ、彼の考えには賛同できない所がある」
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/19(土) 02:04:19.11 ID:uJXL+92B0

(*゚∀゚)「……シュー、お前は――」

lw´‐ _‐ノv「これで話は終わりだ。早くルートビアを飲みたいしな」

(*゚−゚)「…………」

lw´‐ _‐ノv「彼が誰なのか教えるのは簡単だ。だが知ってしまったら、生活にしこりが生まれるはずだ」

(*゚∀゚)「わかった、わかったよ……」

lw´‐ _‐ノv「……すまない。今は我慢してくれ」

(*゚∀゚)「もういい。それよりさっさと会場に帰るぞっ!」

つーは入り口脇に置いていた袋を回収し、先に会場へと向かう。
残されたシューは後を追いながら、一つの事を考えていた。


lw´‐ _‐ノv (しかしあの男の実力ではな……少し根回ししておくか)

lw´‐ _‐ノv (……まずは牛乳に相談だな)


     【今度こそ次回へ続く】

125 名前:【次回予告】:2009/09/19(土) 02:05:16.22 ID:uJXL+92B0
  _
( ゚∀゚)Ф  「『今回はいいおっぱいが拝めました』……っと」
      ̄
('A`)「そんなシーンって……ああ、>>31-32の辺りか」
  _
( ゚∀゚)「大きさに色、形! どれを取っても平均以上!」

('A`;)「はいはい。次回の話は……」


  宝を狙う黒い影……そしてそれを追う一人の刑事。
  梅雨時の美術館に一枚のカードが送られた時、十数年以来の戦いが幕を開ける。
  そしてツンは、遂にあの人物と出会う……


  次回:『天使の雨』
  _

( ゚∀゚)「見てくださいっ!」

('A`;)「おーい、眉毛がえらいことになってるぞー……」
127 名前:以下、本編にかわりまして後書きをお送りします:2009/09/19(土) 02:13:51.28 ID:uJXL+92B0

……以上、投下終了。猿退治に付き合っていただいた皆さん、ありがとうございました。
文丸さんタイトルコール本当にごめんなさい。適当に料理してください。
あと内定おめでとうございます。風邪には気をつけてくださいね。

この話のジャンル……何なんだろうね? 正直自分でもうまく説明出来ません。

次回の投下ですが……実はまだ書き溜めが出来ていません。
目標としては10月の11日前後辺りには仕上げたいけど……ちょっと無理かも。
誰か脳内の映像を文章に起こす装置を作って欲しい……


今回の話の後にちょっとしたオマケを投下しようと思ってたけど……ごめん、眠い。
また次回にでも投下します……お休みなさい。
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