別れの言葉のようです
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:40:54.78 ID:01KHBXtdP
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ある人里離れた山奥に、一匹の動物がいました。
彼は群の中でも嫌われ者で孤立していました。
誰からも相手にされず、仲のいい者はいません。
(´・ω・`)『どうして、みんな僕を避けるのかな……』
彼は一匹きりで悲しい思いをしています。
季節は凍えるような冬。
その年はなかなか食料が見つからず、仲間から食料を分けて貰うこともありません。
孤独な彼は、山を降りることにしました。
人間の許に行けば、お腹を満たすことが出来るかもしれないと思ったのです。
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:44:40.35 ID:01KHBXtdP
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降りしきる雪の中、銀色の世界を歩いて行きます。
食べ物を求めて、凍てつくような寒さに体力を奪われます。
辺りはしんと静まりかえっており、生き物の気配はしません。
延々と続く木立に葉は無く、枝には雪が積もっているだけです。
朝から歩き続けて、既に日は傾き始めていました。
(´・ω・`)『お腹……空いた……』
空腹を堪えて進んだ先、開けた場所に出ました。
そこは、人間の住む町でした。
前方を見やると一軒の古めかしい家があり、彼は心を躍らせました。
(´・ω・`)『行ってみよう……!』
家の方へと近づき、もう目前にまで迫った時、家の中から人間が出てきました。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:47:22.66 ID:01KHBXtdP
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(*^ω^)「うー、寒いお。今日はよく降ってるお……」
(´・ω・`)『!』
(*^ω^)「お……? 君は……」
頬を紅く染めた子どもでした、綺麗な澄んだ目で彼を見て一言。
(´・ω・`)『食べ物……』
彼はそう言うと、雪の上に倒れました。
空腹で体がもう動かないのです。
(;^ω^)「た、大変だお! 何かやるお!」
男の子は駆け寄り、ふさふさの毛並みをした彼を撫でて言いました。
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:49:25.36 ID:01KHBXtdP
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(*^ω^)「おいしいかお?」
(´・ω・`)『おいしい……』
男の子は家の中に戻り、食べ物を持って戻ってきました。
何日も食べていなかった彼は貪るように慌てて食べます。
(*^ω^)「おっおっお、そんなに慌てなくてもいいお。まだまだあるお」
(´・ω・`)『……』
彼は男の子に感謝しました。
温かい優しさを感じながら、男の子がくれたリンゴを囓ります。
「こらブーン! 何してるの!」
その時、女性の怒声が響きました。
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:51:05.08 ID:01KHBXtdP
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ξ#゚听)ξ「ブーン! 餌なんて与えちゃ駄目よ!」
(;´・ω・`)『!』
(;^ω^)「かーちゃん……だって、可哀相だったから……」
ξ゚听)ξ「人間が餌をくれるって覚えて、また来ちゃうから駄目なの」
(;^ω^)「でも……」
ξ#゚听)ξ「駄目なの! 理解しなさい!」
( ;ω;)「うう……分かったお……」
男の子の母親のようです、彼女は怒りました。
動物に餌をやってはいけないと。
男の子が振り返ると、食べかけのリンゴが雪の上に落ちているだけでした。
動物は驚いて逃げてしまったのです。
悲しい気持ちを胸に、男の子は別れの言葉を口にしました──
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:52:30.50 ID:01KHBXtdP
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(´・ω・`)(全部食べられなかったや……)
女性の声に驚き、彼は逃げ出しました。
餌を求めて、町を彷徨い歩きます。
やがて、広い雪原にぽつんと佇む家まで辿り着きました。
(*・A・)「……」
先程と同じように、小さな男の子が家の外にいました。
男の子は彼を抱きかかえ、家の中に入りました。
(;´・ω・`)『わわ……』
突然のことだったので彼は驚きましたが、何か貰えるかもしれないと身を任せます。
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:53:43.10 ID:01KHBXtdP
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(´・ω(*・A・)「お母さん、この子飼っちゃダメ……?」
川 ゚ -゚)「ん? ドクオ、なんだそいつは……」
(*・A・)「家の前にいたんだ、ダメ?」
川 ゚ -゚)「うん、ダメ」
(*・A・)「どうして……?」
川 ゚ -゚)「私が好きじゃないのと、動物は野生でいるべきだからだ」
(;´・ω・`)『……』
(*・A・)「分かった……」
川 ゚ -゚)「餌でもやって放してきなさい」
(*・A・)「うん……」
ドクオと呼ばれた男の子は餌をやりました。
そして、悲しい気持ちを胸に、別れの言葉を口にしました──
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:54:51.24 ID:01KHBXtdP
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男の子の家を後にした彼は歩きます。
山に近い場所から活気のある町の中心地へと。
当然人は多くなってきます、それと同時に危険も増えてきます。
彼は子どもの遊び場となっている公園へやってきました。
(´・ω・`)『人がいっぱい……』
(’e’)「うわぁ〜〜〜〜」
(;´・ω・`)『わ!?』
突然木の上から男の子が落ちてきました、ビックリして声を上げてしまいます。
<ヽ`∀´>「ホルホルホル! セントジョーンズは馬鹿ニダ!」
( ・ω・)「ってなんだそいつ、ボッコボコにしてやんよ」
(;´・ω・`)『……?』
目つきの悪い子どもがやってきました、良からぬ事を考えているようです。
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 19:57:06.90 ID:01KHBXtdP
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<ヽ`∀´>「薄汚い奴ニダ! ボッコス、やれニダ!」
( ・ω・)=つ≡つ「ボッコボコにしてやんよ」
(;´・ω・`)『い、痛い……やめて!』
<ヽ`∀´>「こいつ! 動くな!」
なんということでしょう、彼は尻尾を掴まれ逃げられません。
為す術もなく悪ガキに蹂躙されてしまいます。
彼は人間に恐怖しました。
ζ(゚ー゚#ζ「ちょっとアンタたち何してんの!」
その時、巻き毛の可愛い女の子がやってきて一喝しました。
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 20:00:36.86 ID:01KHBXtdP
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<ヽ`∀´>「うるせーぶりっ子! あっち行けニダ!」
ζ(゚ー゚#ζ「動物いじめるなんて最低よ!」
( ・ω・)=つ≡つ「お前ちゃんと掴んでろよバカ!」
<#)`∀´>「アイゴー! 何するニダこのバッカス!」
(#・ω・)=つ≡つ「誰がバッカスだこのバカ!」
ζ(゚ー゚*ζ「あ……」
悪ガキは喧嘩をし始め、女の子は動物に目を向けました。
女の子は、四本足で逃げ走る動物の後ろ姿を見ました。
そして、悲しい気持ちを胸に、別れの言葉を口にしました──
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 20:03:22.56 ID:01KHBXtdP
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(´・ω・`)『痛い……』
食料を求めて町にやってきた彼は、苦しみました。
山にいても一匹きり、町に来ても彼は孤独でした。
悪ガキに殴られた体を引きずり、唯々無心に歩き続けます。
足は自然と山の方へ向かっていました。
民家が少なくなってきた雪道の途中、彼は痛みに意識を失います。
「なんだ、こんな所に……? こりゃ珍しいな」
倒れ伏す彼の許へ続く足跡、誰かが彼を抱き上げました。
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 20:06:06.31 ID:01KHBXtdP
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(´-ω・`)『う……』
彼が目を覚ましたのは、暖炉に暖められた部屋の中でした。
そして最初に目にしたのは、若い男の綺麗な顔でした。
爪'ー`)「起きたか、手当てしてやったが調子はどうだ」
(´・ω・`)『……』
見れば、腕や胴に包帯が巻かれています。
爪'ー`)「その傷では走り回ることは出来んだろうから、しばらく飼ってやるよ」
(´・ω・`)『……ありがとう』
爪'ー`)「うーん、お前に名前をやろう。そうだな、しょぼくれた顔してるからショボンだ」
彼は名前を貰いました。
若い男の名はフォックスといい、獣医をしているそうです。
趣味はインターネットで、休みの日は一日中パソコンの前にいるとか。
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 20:08:56.90 ID:01KHBXtdP
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爪'ー`)y‐「ふぅ……煙草はやっぱりピースがいい」
(´;ω;`)『く、臭い! やめて!』
爪'ー`)y‐「あ、ショボンいたのか……すまん」
爪'ー`)「ほーれほれ、みかん食うか?」
(*´・ω・`)『おいしい……』
爪'ー`)「普通に食うんだ……」
爪'ー`)「……」カタカタ
(´・ω・`)『何してるんだろう……?』
爪#'ー`)「下らん事ばっかりしやがって……」カタカタカタカタ
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 20:11:35.64 ID:01KHBXtdP
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爪'ー`)「……」
(´-ω-`)zzZ
爪'ー`)「膝の上で寝やがって……動けないだろ」
爪'ー`)「お前って何処か愛嬌のある顔だな……」
(´・ω・`)『?』
爪*'ー`)「……可愛いかもしれん」
爪'ー`)「うーん、治療は良好かな」
(´・ω・`)『フォックス、ありがとう』
爪'ー`)「ふふん、俺の手に掛かれば余裕だな」
- 94 名前: ◆Mj3H4dWyBE :2009/05/15(金) 20:16:07.76 ID:01KHBXtdP
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やがて月日は経ち、ショボンの人間につけられた傷は癒えました。
フォックスはショボンに情が移り、これからも飼うことに決めました。
ショボンは幸せでした、フォックスが傍にいたからです。
爪'ー`)「ショボン、お前を飼ってやるが家の中で大人しくしてるんだぞ」
(´・ω・`)『……』
ショボンは、フォックスの言い付けを守ることは出来ませんでした。
町へ出て、人の温もりを確かめに行こうとするのです。
その度、ショボンは人々から厭われてしまいます。
でも、家に帰ればフォックスが温かく迎えてくれるのでした。
一人と一匹は、幸せに暮らしましたとさ。
(´・ω・`)バイバイさるさんのようです
おしまい
- 95 名前: ◆Mj3H4dWyBE :2009/05/15(金) 20:20:02.24 ID:01KHBXtdP
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以上、ありがとうございました。
フェスさんへ、まとめて頂く際に適当にタイトルを伏せて下さい。
それか「別れの言葉のようです」とかにすり替えて下さい。
では、さようなら。
- 外出し義姉レイプさん
- ありがとうございました