第一話
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:33:08.72 ID:A3EjfxLiO
 
(・∀ ・)「見ろよ、すっげ〜美人じゃね?」
 
街を歩けばそんな台詞が聞こえてくる。
言われなくたって解ってるよーだ。
ゆる〜くウェーブのかかった長い茶髪。
ぱっちり二重の大きな瞳。
ぷっくりしたピンクの唇。
極め付けは
Eカップのナイスバディ。
そりゃあ、男が放っとかない。
あたし
出冷デレ(19)は
誰もが認める美人。
自分で言って許される。
だって事実だもーーーんッッ!
こんな性格だから
女の子には嫌われる。
って、思ったでしょ?
それが、そーでもないんだな。
逆にこのオープンな性格がウケて女友達はいっぱい居る。
バカっぽいって言われるけど
まぁ、それも事実だからしょーがない。
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:35:13.89 ID:A3EjfxLiO
そんな無敵(?)なあたしにだって人並に悩みがある。
それは、
彼氏いない歴19年‥‥‥
ということ。
そりゃあね?
告白なんて腐る程されてるよ?
もちろん
みんなの気持ちはうれしいし、無下に断ってるわけじゃないんだけど
好きじゃないのに付き合うのも失礼じゃない?
まぁ、早い話
あたしは恋をしたことがない。
いつか、あたしも恋が出来るかなぁ‥。
みんなの恋バナを聞いてるとすっごく幸せそうなんだもん。
大学生のあたしたちの話題といえば、もっぱら恋バナ。
あたしはみんなの話を聞く側が多い。
てか、
 
ζ(>ー<#ζ「自分恋してませんからーーーッッ!」 
なんかよく相談とかされるけど経験値ゼロのあたしなんかのアドバイスでいーのかねぇ?
まぁ、相談っつーかノロケだけどね。
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:37:51.21 ID:A3EjfxLiO
彼氏いない歴19年‥
それがあたしの悩みだけど、
あたしはそれを隠してるつもりはなかった。
聞かれなかったから、もうみんな知ってると思ってた。
てか、言ったつもりで居た。
告白されて断ると、
たいがい
 
(*`^ω^´)「彼氏居るの?」
 
って、聞かれる。
ここで『居ない』と言うと
みんな中々諦めてくれない。
だからあたしは
 
ζ(゚ー゚;ζ『居ます』
 
って言って断ってた。
 
‥それが間違いだった。
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:39:52.63 ID:A3EjfxLiO
最近、告白された人で
在留時間
って人が居た。
2個上で、
すっごいイケメンで
頭良くて
スポーツ万能で
オマケに
社長の息子。
なのに、気取ったとこがなくてみんなからも慕われてる
そんな人。
確かにカッコいいとは思うけどやっぱり付き合う気にはなれず
 
ζ(゚ー゚;ζ『ゴメンナサイ』
 
って断った。
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:42:48.29 ID:A3EjfxLiO
その次の日だった。
アノ噂を聞いたのは‥。 
どうやら、在留時間先輩の友達はあたしが断るかどうか賭けていたみたいだ。
肩書きが完璧な先輩。
いくら彼氏が居たって絶対断らないと踏んでいたらしい。
でもあたしは『NO』と答えた。
そこから、
 
(’e’)「アルタイムを振る出冷デレの彼氏はどれ程カッコイイのか?」
 
/ ゜、。 /「実は芸能人と付き合ってるんじゃないか?」
 
|(●),  、(●)、|「年収が1億ないと付き合ってもらえない」
 
根も葉も無い噂が広がっていった。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:44:39.92 ID:A3EjfxLiO
そんな噂を聞いた友人たちが
集まって
 
川*д川「ねぇ、デレの彼氏ってどんな人ーーー?!」
 
って聞いて来た。
あたしは、女友達には彼氏が居ないことを“言った気”で居たから何でそんな質問をされるのか解らず、
 
ζ(゚ー゚;ζ『はぁ?居ないよ?』
 
と答えた。
 
(゚、゚*トソン「うちらにまで隠すことないじゃん!なんか色々、噂されてるよ?!」
 
そこであたしは噂の存在を知った‥。
そこであたしは初めて、
友人たちに彼氏が居ないことを伝えてないことに気付いた。
そっか!
聞いてこないから言ったつもりで居たけど
彼氏が居て当たり前だと思ってたのか!
だって
あたし美人だからーーー!!
ようやく、何で自分がよく恋愛相談されるのか気付いた。
早く誤解を解かなきゃと思ったら、あたしの周りには沢山のギャラリーが出来ていた。
96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:48:28.07 ID:A3EjfxLiO
いつの間にこんな人だかりが?!
 
川д*川「ねぇ、どんな人?写メとかないの??」
 
みんな興味津々な顔をしてる。
早く居ないって言わなきゃ‥。
でも、ギャラリーの中にはあたしが振った男も数人、居る。
居ないって言ったら
また言い寄られる〜!!
そんなの、めんどくさい!
でも、この状況なんとかしなきゃ!
あ〜も〜どーしよー!!?
 
あたしが言葉に詰まって居ると
1人の友人がハッとした顔をしてボソッと言った。
 
ミセ*゚ー゚)リ「まさか‥‥不倫‥‥とか?」
 
ζ(゚ー゚;;ζ『え?!』
 
みんなが静まり返る。
何故かみんな納得した顔をしてる。
 
ζ(゚ー゚;ζ『ち、違っ』 
(゚、゚;トソン「デレ‥ゴメン!聞かれたくないことってあるよね!」
 
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:52:12.89 ID:A3EjfxLiO
はぁ!?
 
ζ(゚ー゚;#ζ『だから、違うって!!』
 
いくら否定しても、みんな余計に納得するだけで頑張れよ的な優しい目であたしを見る。
そんな目で見るなぁーーー!!
 
次の日、噂は
 
「出冷デレは大企業の社長の愛人をやっている。」
 
に、変わっていた‥。
もぉ、どーにでもして‥。
やっぱ嘘なんかつかなきゃ良かったかなァ‥。
なんか、罪悪感。
嘘ついて断ってたなんてバレたらみんな怒るかなぁ。
愛人・デレ
陰でそぉ呼ばれていた。
元はといえば、あたしの嘘が原因だし、仕方ないけどいい気はしない。
いっそのこと、みんなに全部話して謝ろうか。
でも、信じてくれるかどーかはすごくビミョ〜‥。
104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:54:40.82 ID:A3EjfxLiO
 
(`・ι・´)「デレさん」
(`・ι・´)
そう呼ばれて振り返ると
そこには在留時間先輩
が 居た。
 
(`・ι・´)「ちょっと、いいかな‥?」
 
ζ(゚ー゚*ζ『あ、はい?』
 
何だろう?
先輩は、あたしを人気のない教室に連れて行った。
 
ζ(゚ー゚;;;ζ『‥何でしょうか?』
 
まさか、この期に及んで
もう1回告白なんて展開はないだろう。
 
(`・ι・´)「あのさ、噂で聞いたんだけど愛人やってるってホント‥?」
 
あぁ〜‥
何て答えたらいいんでしょ‥。
やってないって言ったら信じてくれんのかな?
とりあえず
言ってみる‥?
 
ζ(゚ー゚;ζ『‥やってないです』
 
沈黙が流れる。

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:56:50.18 ID:A3EjfxLiO
 
(*`ーιー´)「良かったぁ〜‥」
 
は??
 
ζ(゚ー゚*ζ『‥何がですか?』
 
(*`・ι・´)「いや、俺女の子見る目は結構あるのよ。
結構モテていい気になってた時期もあるし。」
 
うん、モテそうなツラしてるよね。
何が言いたいのか
よく解んないんですけど?
あたしが、不思議な顔をしてると先輩は続けた。
 
(`・ι・´)「つまり、俺が好きになる子が不倫なんかする訳ないって信じてたわけ。
噂なんかいい加減なモンだから信じるつもりなかったんだけど、デレさんから違うって聞きたかったんだ。」
 
そう言って、
先輩は本当に嬉しそうに笑った。

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 01:58:28.02 ID:A3EjfxLiO
その笑顔が、
あまりに無邪気に可愛かったからなのか、
理由は解らない。
ただ、あたしは少しの間
先輩に見とれてたんだ‥。
 
(`・ι・´)「‥デレさん?」
 
あたしはハッとした。
ボーッとしてた!
あたし今、絶対間抜けな顔してた!
 
(`・ι・´)「フラれてんのに、女々しく呼び出しなんかしちゃってゴメンな?
じゃあ‥」
 
そう言って先輩は出ていこうとした。
 
ζ(゚ー゚*ζ『あ‥』
 
どうしよう‥
あたし、
このまま先輩が行っちゃったらもう会えないのかな?
話せないのかな?
そんなの………イヤ!!!!!
111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 02:01:42.66 ID:A3EjfxLiO
ζ(゚ー゚*ζ『ッッ先輩!!』
 
在留時間先輩はびっくりして振り返る。
あたしも自分でビックリした‥。
てゆーか、呼び止めたのあたし?!なんかテンパッてきた!!
 
ζ(>ー<;ζ『あの、ごめんなさい!彼氏が居るとか‥アレ、嘘なんです!』
 
(`・ι・´)「え?」
 
ζ(゚ー゚*ζ『あたし、いつも断るときめんどくさくて彼氏居るって言っちゃうんです‥。
せっかく好きって言ってくれたのに、向き合おうとしなくてスイマセン‥。』
沈黙が流れる‥。
お、怒ってんのかな‥。
てか、あたし何言ってるんだろ〜?!
でも、先輩に申し訳ないという気持ちは本当だった。
 
(;`・ι・´)「‥マジで?」
 
ζ(゚ー゚;ζ『マジです‥』
 
あたしは先輩が怒ってるような気がして、下を向いていた。
怒ってるかなぁ‥。
き、嫌われたかな?!
なんか、泣きそうになった。
 
(`^ι^´)「なんだよー!じゃー俺、諦めなくていーんじゃん。」
 
ζ(゚ー゚*ζ『え‥?』
 
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 02:04:45.12 ID:A3EjfxLiO
(`・ι・´)「俺、略奪は趣味じゃないから彼氏が居るなら諦めてようと思ってた。
でも、彼氏居ないなら遠慮しないから。」
 
え、それって‥。
 
(`・ι・´)「改めて言っとく。俺は、デレさんが好きだ。」
!!
 
何て言ったらいいんだろう。
嬉しいような
切ないような‥
胸が暑くなる感じ。
告白されて
こんな気持ちになったのは
初めて‥。
でも、あたしはまだこの感情の名前を知らない。多分、あたしは真っ赤な顔をしていたと思う。
先輩はそんなあたしを見て、
 
(`^ι^´)「ちょっとは脈ありかな?これ、よかったらメールして。
じゃ、俺行くね」
 
ニッと微笑み、ケー番とアドレスが書かれた紙切れをあたしに手渡し、出て行った。
すっごい、ドキドキする‥。
顔が熱い‥。
あたしは、紙切れを握り絞めて、しばらく放心していた。
120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/01(日) 02:06:57.61 ID:A3EjfxLiO
 
ζ(゚ー゚*ζは嘘吐きなようです
 
第一話 「(`・ι・´)在留時間先輩」
 
終わり
 
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