五話
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:37:35.84 ID:/lJAYKAWO
代理thx!
終わらないよ!始まるよ!

まとめはオムライス
いつかリンク持ってきますよ

五話「名も無き隣の隣人、襲来」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:39:10.86 ID:/lJAYKAWO
昨夜の雨の名残である水溜まりを踏み散らし、野良猫を飛び越え、あるいはポリバケツを薙ぎ倒しつつ、小太りの少年ブーンは裏路地を駆けた。

( ^ω^)「鬼さんこちら♪
手段って意味の、手も無くどこへ♪」

踏みにじられた水溜まりを飛び越え、物陰に逃げ込む野良猫に目もくれず、倒れたポリバケツを蹴り飛ばしながら金髪の少女ツンは後を追った。

ξ゚听)ξ「替え歌にしては、大胆な注釈が入ってるわね。
言いたいことは伝わりやすくなってるけど、残念ながらリズムが取れない。
ってことで、やり直し」

厳しく駄目だしされた。

( ^ω^)「うむ。でも、手段も無しにどこかに行ってしまう、方向音痴な鬼もある意味、神出鬼没で侮れないお。
場合よっては萌える人間もいたり」

説明を加えるそんなブーンの服装は体操服だったりする。
背中に『津出』の名字を背負った女性物の体操服である。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:41:28.01 ID:/lJAYKAWO
額に巻いた赤い鉢巻きが風に棚引いていた。
ちなみに、ブルマではなくスパッツなので悪しからず。

ξ゚听)ξ「駄目だしされたものに対して説明を加えて挽回しようとする姿が見苦しいわ、ブーン」

さらに追い討ちを掛けるそんなツンの服装はセーラー服姿だった。
スカートの裾が踊るように跳ねる。

( ^ω^)「しかしあれだお、前にこうしてツンと楽しく追いかけっこした時はスカートがひらひらして走りづらかったけど、今回はばっちり走りやすいお!」

ξ゚听)ξ「運動するための服装なんだから、そりゃそうでしょうよ。
ちなみにそれ、私の体操服だってこと、ブーンは知ってるかしら?
その鉢巻きはどっから持ってきたのか知らないけど」

( ^ω^)「え、マジかお?やっべ、間違えちゃったおwwwwww
お弁当こぼしてもいいようにエプロンしようとしてただけなんだお!」

ξ゚听)ξ「エプロン付けるのに体操服盗んでそれを着る工程なんてないでしょ。
そもそも、お弁当食べる時はいつもエプロンなんてしないじゃん。
鉢巻きはどっから持ってきたのか知らないけど」

( ^ω^)「うむ。全くもって無意識とは怖いもんだお。
自分の体が誰かに操られているみたいで怖いお」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:43:47.46 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「んじゃ、自らの過ちに気付いてもらえたし、体操服の所有権を主張してこうして追ってきた私に返してくれるとありがたいわ。

鉢 巻 き は ど っ か ら 持 っ て き た の か 知 ら な い け ど」

( ^ω^)「体操服と言えば鉢巻きがあって然るべきだお。
古来より、拳銃に弾丸を込めるような気持ちで鉢巻きを締めてきたようなもんだお」

ξ゚听)ξ「あ、今そこに反応するんだ?
散々無視しといて、体操服を返せと言われたここぞという場面で話を逸らすのに使ったわね」

( ^ω^)「鉢巻きあげるから体操服くれお」

ξ゚听)ξ「鉢巻きへのこだわりはどこ行ったのよ」

全くもう、とツンは走りながら器用に溜め息をついた。

走りながら喋っているというのに二人の会話は実に軽快だった。
入り組んだ裏路地を縫うようにして走る足も軽やかで、障害物を物ともしていない。

(;^ω^)「何かデジャブ……」

以前にも同じような出来事があったことを思い出し、ブーンは前方の地面に注意を払った。

まさかとは思ったが、ほんの数歩先の路面に、そこにあるのが至極当然であるかのように黄色い物体が落ちていた。

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:45:16.67 ID:/lJAYKAWO
(;^ω^)「おっ!?」

反射的にジャンプ、踏み切りが不自然だったので不恰好になったがどうにか飛び越えた。

ξ;゚听)ξ「え!?きゃっ!!」

安堵する間もなく、すぐ後ろを追走していたツンから叫び声があがる。

(;^ω^)「ツン!?ツンが滑って転んでるお!
バナナの皮被害者の会会員番号三番ゲットおめでとうだお!」

振り返って見れば、踏みにじられたバナナの皮と仰向けに倒れているツンの姿。

(;^ω^)「大丈夫かお!今甘い感じの人工呼吸を!」

ξ゚听)ξ「大丈夫じゃないけど、転んで頭を打った人間に人工呼吸をしても心配蘇生はしないわよ」

慌てて駆け寄ってこれ幸いと人工呼吸をしようとしたブーンに人工呼吸、どこからか静止の声が掛けられる。

( ^ω^)「そ、その声は……誰だお!?」

ξ゚听)ξ「時間を置いてもったいぶったわりに誰の声か分かってないんじゃない!
彼女の声くらい、例え寝てても聞き当てなさい!」

誰何に答える声は上の方から聞こえてきた。
ブーンが見上げて見れば、半透明に透けているツンの姿があった。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:46:40.49 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「ツン!こんな時だから非常に言い難いんだけど、パンツ見えてるお!」

ξ;゚听)ξ「(バ、バカ!見るな!)見せてんのよ」

ツンは慌ててスカートの裾を押さえた。
それから滑るように地上に降りてくる。

ξ゚听)ξ「どういうこと?あたしがそこにいるじゃない」

この状況にあっても、ツンは冷静を保っていた。

( ^ω^)「ツツツツツツン、おお落ち着いてきき聞くお!」

ξ゚听)ξ「ブーンが落ち着きなさいよ。わざとらしい」

( ^ω^)「周りの人が慌てふためいてるのを見ると冷静になれるっていうから実行してみたお!」

ξ゚听)ξ「お心遣い感謝致しますわ。んで、ブーンはこの状況どうなってるか分かるの?」

( ^ω^)「分かるも何も……おっおっwwww」

この状況でバナナ死。心当たりがありすぎた。
嫌な予感がひしひしと襲ってきたが、それを無視出来るほどブーンは大人じゃなかった。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:48:11.89 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「渡辺さん。どうせ近くに居るんだお。
出てくるんだお、飴ちゃんあげるから」

从;'ー'从「なななななんで分かったんですか!?
もしや、噂の超能力者さんですか!」

思った通り、奴はいた。真上に。

( ^ω^)「またまたこんな時だから言い難いんだけど、パンツ見えてるお」

从;'ー'从「透視能力もお持ちとは!」

( ^ω^)「透視も何も、そんな所にいるから見えるんだお。
いいから黙って降りて来いお、天然」

从'ー'从「はい、ただ今ー!」

渡辺と呼ばれた少女は素直に従って音もなく地面に降り立った。

さらさらな黒髪を束ねたポニーテールがよく似合い、縁なし眼鏡の奥で輝く瞳は大きく、唇は桜花のように慎ましやかな少女だった。

ξ*゚听)ξ「あら、可愛い!」

冷静な性格と整った顔立ちからは想像しにくいが、可愛いものには目がないツンが食いついた。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:49:32.97 ID:/lJAYKAWO
ξ*゚听)ξ「ふむふむ。黒のワンピースには真っ白なエプロンドレスはメイド服の王道よね。やっぱ。
胸元に赤いリボン、スカートから覗くペチコート、肩口を膨らませた上でフリルを使ってボリューム感を出してるのね。
着こなしもなかなかのものじゃない。
この無粋な大きい鎌さえなければもっといいんだけど……うん、まぁ合格!」

嘗め回すようにツンは少女の服装をチェックしていった。
どうやら渡辺はツン嬢のお眼鏡に適ったようだ。

ξ*゚听)ξ「ねぇ、この娘、着せ替え人形として欲しいかも。
買って、ブーン」

( ^ω^)「よし、任せろお。給料三ヶ月分のお買い物だお。
この近くに消費者金融機関はあったかお?」

バナナ死の状況そっちのけ。
少女の意思完全無視で話が進められていった。
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:52:14.19 ID:/lJAYKAWO
从'ー'从「私、買われちゃうんですか!」


( ^ω^)「どうやらそのようだお。必要最低限の内臓だけ残して、その他の臓器は売り払うお。
着せ替え人形なら、別に生きてれば必要のないものだお。大丈夫、痛くないお!」

根拠も何も無く、ブーンは無責任に保証した。
ちなみに、『大丈夫、痛くないお』とはブーンの言ってみたい言葉ランキングの上位そこそこに入っており、理想場面は、もちろん初体験時だ。

ξ*゚听)ξ「渡辺って名字よね。名前は何て言うの?
私は津田麗子、ツンって呼んでくれて構わないわ。よろしくね」

从'ー'从「名前は綾子です!
あんまりよろしくしたくないけども、よろしくです!」

ξ*゚ー゚)ξ「元気が良いわね。感じの良さそうな娘だわ」

よしよし、と渡辺の頭を撫でてからツンは聞いた。

ξ゚ー゚)ξ「で、誰?」

今更だった。
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:54:19.30 ID:/lJAYKAWO
友好的な雰囲気ぶち壊しのその質問には、ブーンが答えた。

( ^ω^)「ブーンの生き別れた妹だお。
ほら、ちゃんと自己紹介するお」

ξ゚听)ξ「真顔でさらりと嘘つくな。
ブーンに生き別れた妹も、義理の妹もいないでしょうが。脳内妄想的妹は知らないけど。
生まれた時からずっと腐れ縁が切れずに一緒にいる私が、ブーンの家族構成を知らないわけないじゃない」

ツンの突っ込みを、ブーンはまるで聞いてなかった。

( ^ω^)「仮定の話だお。
んでまぁ、とある裏組織に引き取られて暗殺者としての技能を修得し、『名も無き隣の隣人』という名を付けられた渡辺さんは、初仕事として敵対組織の幹部の一人である『BooN』を暗殺せよ、との命令を受けまして。
劇的な再会を果たしたのがついこの間である……って設定はどうだお?」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:56:09.16 ID:/lJAYKAWO
ξ゚ー゚)ξ「もうね、ブーンに聞いた私が馬鹿だった。
馬鹿というか、愚か者というか、低脳というか、脳無しというか」

(;^ω^)「いや、そこまで卑下されると、まともに答えなかったブーンがさらに貶められる結果になるし、お願いだからやめてくれお……」

ブーンは懇願した。

ξ゚听)ξ「そんなわけで、綾子ちゃん。説明よろしく」

ブーンに任せていては埒が明かないと判断し、ツンは本人に自己紹介を促した。

渡辺はこほん、と咳払いし、

从'ー'从「天界から来ました渡辺綾子です!
見ても分からないかもしれませんが、こう見えて死神です!
ローブとか骸骨とかエンターテイメント性はないですけど、その辺は許してくれるとありがたいです!
どぞ、ご贔屓に!」

( ^ω^)「死神をご贔屓にはしたくないお」

さらりとブーンが突っ込んだ。

( ^ω^)「んで、何でまたバナナの皮を仕掛けたんだお。
危なく踏んじゃうとこだったお」

ξ゚听)ξ「危なげもなく踏んじゃったわ」

状況も分からないまま、とりあえずといった感じでツンも言った。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:58:15.98 ID:/lJAYKAWO
从*'ー'从「ふっふっふー!死神である私が来たのです!
もう大体分かってるとは思いますが――ブーンさん、あなたの命、頂戴しに来ました!!」

( ^ω^)「あ、狙われてるのブーンかお?」

ξ゚听)ξ「あ、狙われてるの私じゃないんだ?」

二者二様にそう言い、二人は無言でツンの死体に目を落とした。

渡辺も同じように自分が仕掛けたバナナの皮がもたらした成果を見る。

从;'ー'从「……まさか影武者を用意してるとは、さすがブーンさんといったところです!」

あっぱれ、敵を褒めた。

( ^ω^)「相変わらずドジで間抜けで天然な上ボケボケだお、渡辺さん。
だというのに、死神職は解雇されなかったのかお?」

以前、ブーンはこのドジな死神の手で間違って殺されてしまったことがあった。

その際、霊体のまま死神の手伝いをしてから生き返ることにしていたのだが、ブーンの精一杯の健闘も虚しすぎるほど虚しく、これ以上ない失敗をやらかして死神を解雇された……はずだった。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 21:59:47.80 ID:/lJAYKAWO
从'ー'从「はい!ブーンさんを生き返らせた後、仕方なく会社に戻って土下座して涙と鼻水を垂らしながら潔く切腹します的な勢いで報告したら、もう次はないぞ、という感じで名誉毀損のチャンスをもらいましたー!」

( ^ω^)「名誉を傷付けられる良い機会に恵まれたのかお。
『単語は用法・用量をお確かめの上、正しくお使いください』と言いたいところだけど、まぁいいお、おめでとうだお」

从*'ー'从「ありがとうございます!
そんなわけで、こいつを殺ってこいって渡された『死者の書』を開いてみたら、ブーンさんの名前が載っていたから驚きでした!
これがその『死者の書』ですよー」

間違った単語の使い方をしていることに気付かず、天然娘はポケットから何かを取り出した。

( ^ω^)「その質感といい、色褪せたかのような色合いといい、端っこのギザギザ感といい、もしやそれはパピルスかお!?」

よもや、古代エジプトで使用された文字筆記のための媒体でもあり、歴史上初めて作られた紙が出てくるとは。

死後に迎えるであろう様々な障害や審判をしていることに、乗り越えて無事に楽園に到達するためのガイドブックである、古代エジプト時代にパピルスに書かれた有名な『死者の書』と様々な面で被っていた。

ちなみにブーンも皮を被っている。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:01:19.03 ID:/lJAYKAWO
渡辺が見せ付けるように掲げるそれには、『うおんてっど―死者の書―』と題されていて、劇画調で描かれたブーンの似顔絵と題されて、探し出すのに必要な特徴やら、明らかに必要の無い特徴やらが事細かに書かれていた。

( ^ω^)「うむ、確かにブーンが抹殺対象である『死者の書』に違いないお。
前回みたいに『聖者の書』だったってオチもなさそうだお。
それにしても、千四百二十七回も悪夢を見ていたのかお。
あと出来れば、ツンの歯ブラシをこっそり盗んで人に売っていた事実は記載してほしくなかったお」

ξ゚ー゚)ξ「いつだったか歯ブラシがなくなったことがあったけど、ブーンが犯人だったわけね。
後で練りわさびを歯磨き粉に付けて、強制的に歯磨きしてあげる。
うがい用の水は、健康にも配慮したニガリ入りよ」

余計なことまで書かれていたおかげで、恋人間に新たな確執が生まれた。

从*'ー'从「今度は抹殺する対象をわざわざ探し出す必要がなかったから手間が省けましたー」

( ^ω^)「渡辺さんのことだから、探し出すだけでも一本の小説が書けるだけのエピソード満載な旅になるお。
第三者的な立場でなら見てみたい気がするお」

と、ここで、ブーンは一つの疑問を抱いた。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:02:48.22 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「そういえば、普通の人間には死神と死者の姿は見えないって設定なかったかお?
ブーンは普通も普通、小市民的な立ち位置で無個性を遺憾なく発揮した上に数多いるサラリーマン予備軍に埋没して生きてるはずだけど、死神である渡辺さんのパンツとか死者であるツンのパンツとか見えちゃってるお?
白雪を思わせる純白の」

ξ゚ー゚)ξ「……綾子ちゃん、可及的速やかに記憶を削除する秘術の一つや二つ、死神なら知ってたりしない?」

从*'ー'从「この大鎌で頭部をサクッっと殺っちゃえばいいかと!」

何やら、今回はツンが死神のお手伝いをする展開になりそうだった。

( ^ω^)「勝手に視界に入ってきただけでブーンに過失はないお!
見られたくなければ、下にスパッツでも穿けお!」

ξ゚ー゚)ξ「穿くべきスパッツが変態の魔の手……もとい、魔の下半身に……なんつってwwwwww」

ごもっともな意見だった。
ちなみに、今ブーンは勃起している。

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:04:43.73 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「んで、変態だけど普通人のブーンに、死神だけどドジっ子天然娘やら、脇役だけどバナナ死した死者やらが見えちゃう理屈って何だお?」

ξ゚听)ξ「さらりと脇役言うな。
重要性が今一つの配役に甘んじてるせいで身代わり的な形で身罷った悲劇のヒロインとでも紹介しなさい」

つつがなく訂正が入れられた。

从'ー'从「んとんと、そもそも肉体を失って全ての感覚が失われて当然だというのに、
霊体の状態で五感を含めた生命活動的な機能が正常に働いていたことを不自然であることを理解してくれたら説明が容易くなります」

( ^ω^)「目がないのに見えたり、脳がないのに思考したり、年金の支給が危うくなってきたのに国民年金を払わなきゃならないのは確かに不自然だお」

ξ゚听)ξ「明らかに話が逸脱してるわ、ブーン」

从'ー'从「年金問題に関しての議題はまた違う機会にするとして、目も脳もないのに、って部分はよく考えると当然のことですよね?

なのにその『当然なこと』に気付かないほど、より『当然なこと』が存在するせいで打ち消されてるんです」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「………」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:06:38.12 ID:/lJAYKAWO
从'ー'从「『見えて当然』、『思考出来て当然』がそれです。
生きている頃の反復的な生体器官の使用によって、様々なことが『当然』という思い込みができたわけで、それは魂レベルに浸透しているものだと思ってください。

肉体とは世界に干渉するための媒体であり、その肉体を失ったとはいえ、魂が消滅するわけでもなく、そこに刻まれたあらゆる情報を損なわれたりしないのです。
その情報こそが天界に戻った際に抽出されるものですから、かなり重要なものですしね。

世界へ干渉することが不可能になっても、魂に刻まれた情報を再構成、再構築することは可能ですから、魂の状態でも『当然のことを当然のように』を行うことがあらゆる生命活動を正常に機能されてるんです」

( ^ω^)「三行」

ξ゚听)ξ「再生、録画
機能付き
でーぶいでー」

ツンが的確な答えを出した。

从'ー'从「つまり、ブーンさんは一度魂の状態になった時に死神や死者を見ましたから、その情報も魂に記録されていて、生き返った後でも死神と死者が見えて『当然』になったわけです!」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:07:52.86 ID:/lJAYKAWO
死後を経験したことで、その経験が生き返った後にも反映されている、ということらしい。

( ^ω^)「つまりつまり、生きている人間をナンパ出来るブーンは、死神や死者までナンパ出来る特異体質になったわけだお。
さっそくだけど、そこ浮くツン、ブーンと一緒に駄菓子屋ハシゴして夜明けのモーニングベビースター共にしないかお?」

ξ゚听)ξ「食べ疲れそうなデートコースね。もちろん却下」

( ^ω^)「んじゃそこを浮かれる死神ちゃん、親類縁者に年上のお姉さんがいたら、すかさずブーンに紹介するお!」

从'ー'从「声掛けた相手を恋愛対象から排除しといて、堂々と仲介役に任命するナンパは珍しいです!」

失礼なやつだ、とツンが締めくくった。

从'ー'从「あ、でもでも、今なら特別ご奉仕、血縁関係にはないですけど知り合いのお姉さんを紹介してあげます!」

( ^ω^)「ほぅ、とても興味深い話だお」

ξ゚听)ξ「うん、とても不快な話ね」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:10:29.28 ID:/lJAYKAWO
从*'ー'从「その人、ずいぶん前になんとか仕事を成功させた時の抹殺対象さんで、それ以来仲良くしてもらってる美人で優しくて私のお母さん的存在です!

さぁ、紹介しますから、さっそく冥土に向けて旅立ちましょう!」

すちゃり、と渡辺は大鎌を掲げた。

( ^ω^)「その件に関しましては、後日メールにて。
今はともかく、ブーンの大事な彼女を生き返らせてあげないといけないお!」

ξ゚听)ξ「そうしてあげて。状況が分からないまま霊体でいる彼女はとても不安を感じているだろうし」

全く不安など感じられない声音でツンは言った。

从*'ー'从「ふっふっふー、そう来ると思いました!」

ドジな死神はここぞとばかりに表情を輝かせる。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:12:23.52 ID:/lJAYKAWO
从*'ー'从「ツンさんを生き返らせたければ、ブーンさん、あなたの命と引き換えです!」

自らの失敗を省みることもなく、渡辺は堂々と取引を持ちかける。
だがしかし、ブーンはあっさりとそれを無視した。

( ^ω^)「ツン、そこに転がってる自分の体に霊体を重ねるように寝そべってみるお。
それで魂と肉体の繋がりが修復されて生き返れるはずだお」

从;'ー'从「なな、なぜそれを!?やっぱり超能力者さんですね!読心術もお持ちとは!」

( ^ω^)「アホかお。この間ブーンに生き返り方を教えたのはどこのどいつだお。
……体脂肪二割減の約束を反古にした恨みは忘れないお」

从;'ー'从「あ、そうでした!ちっ、です!せっかくチャンスでしたのに!」

そうこうしている間にも、ツンの蘇生は完了していた。

ξ;゚听)ξ「いたたた……。すっごいでっかタンコブが出来てるわ……」

( ^ω^)「後頭部を思いっきり打ち付けただろうから、痛いのはしょうがないお。我慢するお」

ツンに近付いたブーンは完了、その身体を抱き寄せて後頭部を優しげに撫でる。
ついでとばかりにお尻を撫でるのはブーンらしかったが、当然ながら、手の甲を思いっきり引っかかれた。

そんな隙をさすがの渡辺も見逃さない。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:14:20.56 ID:/lJAYKAWO
从'ー'从「今です!ていっ!」

(;^ω^)「危ない、ツン!」

狙われたのは自分だというのにそう言ったブーンは、セーラー服姿の彼女を路上に押し倒した。
さすがに勃起はしなかったが、頭の上の空間を、大鎌が鋭く通り過ぎる。

( ^ω^)「ふぅ、間一髪助かったお、ツン。ブーンのおかげ……ってあれ?」

図々しいことこの上なく命の恩人になったブーンだったが、助けたはずのツンが白目を剥いていることに遅ればせながら気付いた。

ξ#゚听)ξ「あんたねぇ、強く押し倒しすぎなのよ!
また死んじゃったじゃない!」

顔を上げて見れば、再び霊体となったツンの半透明な姿がそこにあった。

どうやら、押し倒した拍子に後頭部をしたたかに打ち付けて、魂が肉体から離脱する羽目になったらしい。

(;^ω^)「ごめんお。まぁそんな怒るなお。大したことじゃないお」

ξ#゚听)ξ「彼女を殺しちゃうこと以上に大変なことって、そうあるとは思えないけどね」

生き返ってから五分も経たない間にまたもやあっさりと死んでしまったツンは、すでに慣れた雰囲気すら漂わせながら自分の肉体に霊体を重ね合わせた。
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:17:17.14 ID:/lJAYKAWO
ξ#゚听)ξ「もう、痛いなぁ!
いつまで乗ってるのよ、早くどけ!」

押し退けるようにブーンをどかした直後だった。

从ー从「死ね」

ξ゚ー゚)ξ「あら、綾子ちゃんは――」

絡み合う二人の頭上で大鎌を降りかぶった死神の姿。
しかし、当のブーンはツンが横に押し退けたばかりで、盾がなくなった今、降り下ろされる大鎌の軌道にいるのはツンだけだった。

路上を横に転がってツンはなんとか回避に成功するが、見れば、大鎌はツンがいた場所の地面にすこぶるいい音を立てて突き刺さっている。

ξ゚ー゚)ξ「死ねるかしら?」

从ー从「まさか。とりあえずその五月蝿い口を潰そうか」

渡辺は話を聞いていないどころか、なぜかツンをも狙っている雰囲気だった。

ξ;゚听)ξ「何で私まで狙うのよ!?」

从'ー'从「そんなの、その場の勢いに決まってます!」

ξ゚听)ξ「言い切りやがった」

その場の勢いで命を狙われる方はたまらない。

( ^ω^)「こいつに何言っても無駄だお。
逃げるお、ツン!」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:19:00.75 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「どうやらそのようね。
その前に反撃、ていっ!」

起き上がる途中で狙われちゃ困る、とでも言うように、ツンは渡辺の足を払った。

あだっ!と叫び声をあげて尻餅を着く死神を横目に見ながら、一挙動で立ち上がる。

ξ゚听)ξ「全くもう、面倒なことになったわ」

( ^ω^)「いざ参る、愛の逃避行!
と、その前におまけだお」

ブーンは半べそをかいている渡辺の目に、外した鉢巻きをきつめに巻いて、ついでにおっぱいを触ろうとしてツンに殴られた。

从;'ー'从「ま、前が見えません!」

( ^ω^)「さぁ行こう、薔薇色の未来へ!」

手を取ろうとしたブーンの手を払って、ツンは一人颯爽と走り去った。
ブーンを置き去りにする形で。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:20:15.20 ID:/lJAYKAWO
市街地を少し外れて緑も濃さを増す郊外にその児童公園はある。
場所柄、人気は極端に少なかった。

ブランコ、鉄棒、滑り台の遊具三種の神器を当然の如く備えた公園で、ベンチや動物を模したバネ仕掛けの遊具などの座る場所は幾らでもあるというのに、ブーンとツンはよりにまよってシーソーの両端に向き合って座っていた。

ξ゚听)ξ「さて、何が何だか分からない内に二度も私が死ぬ羽目になった理由とやらをお聞かせ願いましょうか」

( ^ω^)「その件に関しましては、後ほどメールにて」

ξ゚听)ξ「喧嘩して家庭内別居してる夫婦じゃないんだから、今すぐ口で言いなさい」

ツンは地面を蹴ってシーソーを動かした。
ギー、バタンと音を立てて、ブーンが足を着く。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:22:10.08 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「ネットワークシステムも社会に浸透し、混沌渦巻く情報化社会に発展した昨今、溢れ溢れる情報によって真実と虚実の錯綜が極めて甚だしくなることによって真実はその価値を高めたと言っても過言ではない」

ξ゚听)ξ「↑誤爆?」

ギー、バタンと音を立て、ブーンが上に、ツンが下になった。

( ^ω^)「情報を提供するにあたって、対価を要求するお!」

置かれた状況なんてなんのその、偉そうにそんなことを言ったものだからツンの目尻は即座に逆立った。

ξ#゚听)ξ「そもそも、ブーンが命を狙われているから私まで巻き添えを食ってついでとばかりに狙われることになったんじゃない!
私には生きる権利はもろちん、失礼、もちろん、事情を知る権利もあるわ!
むしろ、巻き込んでごめんなさいくらいの気持ちで謝礼を包め馬鹿!」

ギー、バタンと音を、あっさり立ち位置が変わる。

( ^ω^)「じゃあ言わせてもらうお」

ξ#゚听)ξ「何よ?」

ギー、バタン。
ブーンが上になった。

( ^ω^)「その件に関してはごめんだお」

ブーンは体重をかけて自らシーソーを動かし、位置を下に戻した。
ギー、バタン。

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:25:10.17 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「はい、もったいぶる必要なし。
最初から素直に謝りなさいよ。
まぁいいや、包み隠さず恥ずかしがらず、犯罪歴の一つでも交えながら話してごらんなさい」

( ^ω^)「よし分かったお!
薄々感付いてるとは思うけど、この間のあれ、般若のごとき形相で包丁持って追いかけられてる時に、ブーンがバナナの皮を踏んで転んだことは覚えてるかお?」

ξ゚听)ξ「人のイメージを貶めるような余計な脚色するな」


( ^ω^)「実は午後からバイトの面接があったのに、遅刻して雇ってもらえなかったお……」

ξ゚听)ξ「没ネタはいらん!
私が知りたいのは、バナナ転倒からバイト面接の間なの。
分かる?間が重要なの」

( ^ω^)「あっ、そこかお。
そこはあれだお、一言で言うと」

ξ゚听)ξ「誰も一言で言えなんて言ってない。
原稿用紙十枚以上、三十枚以内にまとめなさい」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:28:47.40 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「細かいお。
……分かったお」

こほん、と咳払い一つ、ブーンは真剣に語りだした。

( ^ω^)「そう、あれはバナナの皮を踏んで転んだ拍子に後頭部を激しく打って死んでしまったときのことじゃった。
ふと気が付くと、おじいさんは自分の死体を見下ろしていたのです。

『こりゃたまげた』

おじいさんは大いに驚きました」

ξ゚听)ξ「日本昔話風にお届けしてるのね。
分かるには分かるから、よしとするわ」

( ^ω^)「タンゴ・ユニフォーム」

ξ゚听)ξ「それが綾子ちゃんね」

( ^ω^)「グリーンライト」

ξ゚听)ξ「綾子ちゃん、人違いでブーンを殺しちゃったわけね
……やりそうだわ」

ツンはうんうん、と何度も頷いた。

( ^ω^)「バディスパイク」

ξ゚听)ξ「痩せ団子ってのは、さっき言ってた体脂肪二割減ってやつね」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:30:12.62 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「ウ・シャヴテム、マイム、ヴェ、・サソン、ミ・マイネイ、ハ・イェシュア」

ξ゚听)ξ「分かりづらいけど、要するに素直に死ねって要請ね」

( ^ω^)「かっきー」

ξ゚听)ξ「どれもこれも綾子ちゃんならやりかねないわね」

( ^ω^)「イワノフ・チェルネンコ・シバタノビッチ」

ξ゚听)ξ「落ち着いて、おじいさん」

( ^ω^)「フレンドリー」

ξ゚听)ξ「精子あげたばっかりなのに乱交パーティー開くんだから、相当性欲旺盛な老人ね」

( ^ω^)「ぅいるぃあるきゅあいきゅう」

ξ゚听)ξ「死ぬわよ、おばあさん」

( ^ω^)「エリドリアーン!」

雄叫び一つブーンは締めくくった。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:31:56.36 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「日本昔話から有名な洋画の名場面名台詞にシフトするとは思わなかったわ。
でもまぁ……うん、綾子ちゃんとの間に何があったかは掴めたわ」

さすがにブーンと付き合いが長いだけあって、暗号めいた会話からでも事情を正確に把握したようだった。

ξ゚听)ξ「つまり、今回はそのデスノに書かれているのがブーンの名前だったから、ブーンは綾子ちゃんに狙われる羽目になったわけね」

( ^ω^)「ついでにツンもだお」

ξ゚听)ξ「全くもって傍迷惑な話だわ」

たん、とブーンは地面を蹴った。
ギー、バタン。

高い位置からブーンは力強く言い放つ。

( ^ω^)「心配すんなお。
ツンのことはブーンが守るお!」

ξ゚听)ξ「今さっき私を押し倒して殺して死姦しようとしたのはどこの誰よ」

冷ややかにツンは切り替えした。
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:34:11.61 ID:/lJAYKAWO
( ^ω^)「そこは胸キュンするシーンだお。
つれないお、ツンってば。
おっ」

どこかに隠し持っていた野球のボールを蹴った、ブーンはシーソーの上に乗せた。
ころころと転がって、ボールはツンの元に辿り着く。

ξ゚ー゚)ξ「このボールで思う存分、仕返しをしてくださいって、意思表示?」

( ^ω^)「たまにはバカップル気分でも味わってみるお。
相手まで辿り着かずに落ちたら負け、みたいな」

ξ゚ー゚)ξ「了解。えい♪」

ツンは降りかぶって豪速球を投げた。

( ^ω^)「危ね。内角高めもいいとこだお」

ξ゚听)ξ「ちっ!ちゃんと受け取りなさいよ、私の愛」

( ^ω^)「命が惜しいから、もう少し優しめの愛を希望するお」

ξ゚ー゚)ξ「大丈夫!死神に狙われてるんだから、どうせ近いうちに死ぬ!」

( ^ω^)「ふむ。それは確かに問題だお」

さすがに自分の命がかかっているだけあって、ブーンも真剣に悩む様子を見せた。

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:35:32.17 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「そもそも『死者の書』ってなんなの?馬鹿なの?」

( ^ω^)「渡辺さん曰く、死ぬべき人間が記されたもの、らしいお。
寿命やら、病死やら、事故死やら、孤独死やら。
死ぬのが運命とされている人間の名前が刻まれた書、って解釈でいいと思うお」

ξ゚听)ξ「孤独死する人なんて滅多にいないだろうけどね」

( ^ω^)「運命で死ぬのとは別に、生きていても人間社会に害しか与えない人間もその対象になりうるらしいお」

ξ゚听)ξ「えっと、とんでもない極悪人とか?」

( ^ω^)「だお。そういう人間も死神が削除するらしいお」

ξ゚听)ξ「ってことは、ブーンは後者ね」

( ^ω^)「うむ、ブーンもそう思うお」

何の躊躇いもなくツンは断言した、何の戸惑いもなくブーンは肯定した。

面白ければ何でもあり、としか思っていないブーンなら、何かをしでかしてもおかしくないと自他供に認めている証拠だった。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:37:03.39 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「いっそのこと、私が殺してあげようかしら?」

( ^ω^)「愛しのツンに殺されるなら本望だけど、麗しのツンを犯罪者にしたくないから却下だお。
高級料理店で死ぬまで食べ続ける偉業に、ツンも一緒に挑んでくれるならいいお」

ξ゚听)ξ「魅力的な提案だけど、私はまだまだ死ぬ気ないから却下。
ってことで、どうするのよ?
一生死神から逃げ続ける?
それとも、いっそのこと死神を返り討ちにする?」

仮にも死神に対して、ツンは強気な発言をした。

( ^ω^)「前者は面倒、後者は場合によってはありけりだお。
渡辺さん程度なら軽くあしらうことは可能だけど、違う有能な死神がやってきたら、たかが人間にはどうしようも出来なくなるお」

ドジな死神に対しては言いたい放題だった。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 22:38:24.77 ID:/lJAYKAWO
ξ゚听)ξ「だとしたら、手段は限られてくるわね。
あのドジな死神が相手のうちに、『死者の書』からブーンの名前を消す。
……これしかないわ」

( ^ω^)「それが可能なら、って話だけど。
可能性があるだけマシとでも思って、正々堂々行きますかお」

どうやら話はまとまったようだ。

( ^ω^)「んじゃ、渡辺さんが来るまで暇だから、砂場の砂粒を数えて待つかお」

ξ゚听)ξ「手間がかかる上にどこまでも不毛な作業だわ。
考えるだけでうんざり」

ひらりとツンがシーソーから飛び降りると、シーソーは重りを失って勢いよく傾いた。

ギー、バタン。

衝撃で尾てい骨を強く打ったブーンは、あぅあぅ、と悲鳴をこぼしたのだった。

五話終わり
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