(,,゚Д゚) Channelers のようです
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:02:35.11 ID:/1u5+x/K0
 
こんな世迷言、述べたところで誰が信じてくれようか。


(;゚A゚) 「ははははは、あはははははは!」


月明かりの中、広陵としたグラウンドをひた走る俺。
20数年の人生で最も素敵な逃避行。
なんせ俺は今、うら若き乙女、制服姿の女子高生に追い駆けられているのだ。

しかも相手のルックスは折り紙つき。
小さくて可愛らしい、肌が雪のように白いショートカットの女の子。 無論美少女と呼んで差し支えない。
スカートが翻るのも厭わず、懸命に俺を追い走って来る。  モテる男はこれだから辛いわね。

あはは、待て待てうふふ〜。  こっちよ捕まえてごらんなさ〜い。
夜中とはいえ、とっても和やかで微笑ましい光景だ。


(*゚ー゚) 「──」


唯一つ。
彼女の頭上に、地面を均すためのクソでかいローラーが掲げられていることを除けば。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:04:24.64 ID:/1u5+x/K0
 
●第三話 『 覚醒せよ! ── V.S ギコ&しぃ@ 』


びゅん、という風切り音。  


Σ(;'A`) 「ひっ!?」


思わずその場に伏せる。
直後、俺の頭上を、先ほど女の子の抱えていたローラーが……通過していった。

ローラーは放物線を描いてグラウンドに落下したが、
勢いは完全に死なず、ゴロゴロ転がって壁にぶち当たる。
壁の一部がへしゃげ、轟音が大気を揺らす。 

ひぃと情けない声が俺の口から漏れた。
いやはや、開いた口が塞がらないとはこの事だ。


(*゚−゚)


あのちっこくて華奢な女の子が、巨大なステンレス製のローラーをいとも軽軽しく持ち上げ、
そのまま走り、俺に向かって投げつけた、というわけだ。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:05:58.89 ID:/1u5+x/K0
 
(*゚ー゚) <ロードローラーだッ!
その事実を咀嚼した途端、身も凍るような悪寒が俺の脊椎を駆け抜ける。


(i||i゚A゚) 「ぎ、ぎえええええええ!!」


まずい、助けて、このままじゃ殺される。
俺は死に物狂いで走り、走り、走って、校舎の隅の生徒玄関口まで辿り着いた。


(;'A`) 「ひぃ、はぁ、はぁ、くはっ……」


幸いというか何と言うか、扉は閉まっていたものの鍵はかかっていなかった。
チラリと後ろを振り返れば、やはりというか何というか、
女の子はなおもこちらに走り向かっている。


(;'A`) 「う、うう、うわあああ!」


ガラスに凭れ掛かるようにして扉を押し開き、俺は校舎に逃げ込んだのだった。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:08:18.85 ID:/1u5+x/K0
 
−−−−−

(; ^ω^) 「おっおっ……はふう、なんとか間に合ったお」


ブーンは、第一話と同じセリフ(コピペ)を発しながら、VIP学園の前に辿り着いた。

時刻は既に21時35分。
途中で寄ったコンビニのトイレで、
鏡に向かってカッコイイポーズとイケてる髪型を模索しすぎたせいで遅れてしまったのだ。

そして、ここにはドクオがいないので、地の文が三人称になっていることには注意していただきたい。
すなわちこれは神の視点である。  むしろ私は神だと言っても過言ではない。 


( ^ω^) 「ところで、猫塚さんはどこにいるんだーお?」

(* ^ω^) 「かくれんぼかお? むふふ〜。 張り切って見つけちゃうお〜」


そんな神の前で、ニヤけたむくれ面がきょろきょろ辺りを見回している。
間もなく彼は、正門の向こうから誰かが歩いて来る気配を察知した。

フラグの成立を予感し、逸る気持ちの抑えられない陽気なブーンさん。
色んな妖気アンテナがビンビンに反応しているのだ。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:10:11.39 ID:/1u5+x/K0
 
(* ^ω^) 「おっおっ。 こちらから出向いてあげるお〜ん」


職員用の入口を目敏く発見し、スキップしながら学園内へ入る。
と、彼はそこでばったり、目当ての人物──。


(,,゚Д゚) 「……!?」

( ^ω^)


──ではないが、彼を呼び出した者達の片割れ。
つまり、言ってみれば目的の相手に出会えたのだった。 コングラッチュレーション。


( ^ω^) 「……」

(,,゚Д゚) 「……な、お前、何でここに居る!?」

( ^ω^) 「ま、まさか僕を、呼び出したのって……」


スキップの姿勢で固まったまま、ブーンが質問を質問で返す。 テストでは0点の対応だった。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:12:00.98 ID:/1u5+x/K0
 
(,,゚Д゚) 「……俺だけど」

( ^ω^) 「……」

( ;ω;) ブワッ


その返答を聞いた途端、ブーンのまなこに清らかな涙が浮かんだ。


( ;ω;) 「騙されたお! お礼参りならお礼参りってそう言えばいいじゃない!」

(,,;゚Д゚) 「……くそっ、じゃあ、しぃは今誰と?」

( ;ω;) 「釣られたあああああ!!  しかも多分今からボコられるうううぅぅ!!」

(,,;゚Д゚) (しゃーねえ、『聞いて』確かめてみるとするか)


相手はゆっくりと目を閉じ、耳をそばだてるような動作を行った。


(,,-Д-) 「……」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:14:29.91 ID:/1u5+x/K0
 
( ;ω;) 「いいじゃない! ヲタだってちょっとくらい期待してもいいじゃない!」

(,,-Д-) 「……」

(; ^ω^) 「ハッ! ま、まさかひょっとしてっ!」

(,,;-Д-) 「……」

( ゚ω゚) 「じ、実は本当に君は僕が好きで、これからここで愛の告白を……」

(,,;゚Д゚) 「ええい黙ってろ、集中できやしねえっ!」

Σ( ;ω;) 「ふひぃ!?」


小柄な金髪の男子──ギコの一喝にブーンは押し黙る。
そう、ギコの一喝にブーンは押し黙ったのだ。


(; ^ω^) 「お……な、何やってるお……?」

(,,-Д-) 「……」


ギコは目を閉じ、両手を広げ、ブーンの前で唇を尖らせている。
丁度タイタニックのローズがやるアレのようなアレをアレしていた。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:17:28.18 ID:/1u5+x/K0
 
わざわざ女の子の名前を騙って自分を呼び出した相手だ。
ブーンに対し、何かを期待しているのは明らかだった。


(; ^ω^) 「ま、まさかこのフラグは……」

(,,-Д-)


ギコの姿を眺め、ブーンはそれを確信する。


( ^ω^) (間違い、ない……)

(,,-Д-)


ざわ・・・


(  ω )

( ゚ω゚) (接吻ですたい!!)

(,,-Д-)


ブーンの脳内に、電流走る・・・!


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:18:01.65 ID:/1u5+x/K0
 
(; ゚ω゚) (そ、そんな、僕のファーストキッスはこんなところで散ってしまうのかお……)

(,,-Д-)


(; ゚ω゚) (で、でも、断ったらどんな仕打ちを受けるか……)

(,,-Д-)


(; ゚ω゚) (……)

(,,-Д-)


(; ゚ω゚) (……あ)

(,,-Д-)


(; ゚ω゚) (よく見たら、思ったより、かわいいかも……?)

(,,-Д-)


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:20:14.69 ID:/1u5+x/K0
 
(; ゚ω゚) (ええい、ままよ!)


ブーンは意を決し、ギコの唇に向かって歩を踏み出した。


(,,-Д-)  (-ε- *)


(,,-Д-) 「……」

(,,-Д-) 「……内藤、ドク、オ……?」

(* ゚ 3゚) 「え、ニーチャン?」

(,,-Д゚) 「……?」


(*- 3 -*)


(,, Д ) ゚ ゚


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:22:26.16 ID:/1u5+x/K0
 
Σ(,,;゚Д゚) 「うぎゃあああぁああ!!」


間一髪で気付いたギコが、驚愕の叫びをあげる。


(;*^ 3^) 「お?」

(,,;゚Д゚) 「て、てめ、てめええ!! 何のつもりだぁあああっ!?」

(; ^ω^) 「ぼ、僕だって初めてなんだお!  緊張してるんだお!」


抗うギコの肩を掴んで体を引き寄せる。
レモンの味がもう間近に迫っている。  ブーンが男として花開こうとする瞬間だった。


(,,#゚Д゚) 「んなろおおおおっ!!」


しかし。
あなたとわたしの唇がこんにちはする直前で、ブーンの鳩尾にギコの強烈な蹴りが浴びせかけられた。


Σ(; ゚ω゚) 「うぼっ!?」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:24:32.90 ID:/1u5+x/K0
 
そのまま彼は1メートルほど後方に吹っ飛び、惨めに背中から着地する。
前に続いて後ろからも衝撃を受け、ブーンの胃は激しく揺さぶられた。


(i||i;ω;) 「ぐ、ぐえ、うええ」


えづきながら見上げると、今しがた自分を蹴飛ばした脚が目の前に伸びている。
ブーンは涙目になりながら事態の把握に努めた。
金髪くんの目的は告白ではない。  そして、状況はまったくもって穏やかではない。


(,,゚Д゚) 「……ニーチャン?  ドクオって、お前の兄貴かよ」

( ;ω;) 「う、うぐぐ……」

(,,゚Д゚) 「仲間を呼んでたって事は、何か知ってるんだな?」

( ;ω;) 「ぐす、うう、ううぅ……」

(,,#゚Д゚) 「おいっ! どうなんだ、答えろよっ!」

Σ( ;ω;) 「ひぃ!? や、やっぱりボコられるのかおぉぉおおお!?」


ブーンは立ち上がると、わき目も振らず逃げ出した。
……入口の正門ではなく、体育館のほうへと。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:26:22.50 ID:/1u5+x/K0
 
(,,#゚Д゚) (あいつは、何らかの情報を握ってやがるに違いねえ……)

(,,#゚Д゚) 「……てめえ、待ちやがれっ! ゴルァぁ!」


ギコがすぐにその背中を追ったのは言うまでもない。
それは、書いてる拙者がわざわざキーボードを叩くのが面倒臭くなるくらい、明らかな事だった。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:27:39.13 ID:/1u5+x/K0
 
−−−−−

(;゚A゚) 「はっ、はっ、はっ……」


学校の廊下をダッシュしたのなんて何年ぶりだろうか。
非常ベルのランプが点在している上、窓から射し込む月明かりが思ったよりも強いせいで、
辺りは暗闇というわけでもなく、辺りの様子を把握することは容易だった。


(;'A`) 「はぁ、はぁ、はぁ、はひぃ……」


廊下を端から端まで全力でひた走ると、俺はそのまま階段を駆け上がった。
情けないことに、一段昇るごとに疲労が圧し掛かる。  腿が痛くてたまらない。
手すりを掴み、体を引っ張り上げるような感じでえっちらおっちら2Fへ辿り着いた。


(;'A`) 「……」


突き当たりの壁に背をつけ、後方の様子を窺ってみる。
ある程度遠くはなったが、リノリウムを蹴る足音はなおもはっきりと聞こえる。
彼女がこちらに向かっているのは間違い無さそうだ。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:29:53.11 ID:/1u5+x/K0
 
(;'A`) (ど、どーすりゃいいんだよ、ちくしょう)


逃げ出す際、グラウンドの方向に下りてしまったことから始まった失敗だが、
学校に逃げ込むのもこれまた間違いだったとしか言いようがない。
外に出ればいくらでも撒いてしまえるのに、自ら進んで追い詰められてしまったようなものだ。


(i||'A`) 「は、はやく何とかしなきゃ、あば、あばばばば」


この状況を打開する手立てが欲しい。
まごついているうちに、階段を駆け上る規則的な足音が響いてきた。
まずい。  本当にまずい。  このままじゃすぐに追いつかれてしまう。

身を焼くような焦燥感に苛まれる中。
俺の目に、ある一つの希望が飛び込んできた。


Σ(;'A`) 「あ、あれはっ……」


これを、これを使えば、なんとか……なるか!?
俺は壁際に向かい『そいつ』を取り出すと、両手で抱えて再び走り出した。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:31:24.15 ID:/1u5+x/K0
 
廊下を直線距離にして半分ほど過ぎたところで、後ろから大きな声が響き渡った。


(;*゚□゚) 「待ちなさいっ!」

Σ┗(゚A゚;)┓ハイ 三 


静寂の中、透き通るようなその高い声。
普通 『 待てと言われて待つ奴がいるかよ! 』 って話だが、
彼女の声は、俺をその場で立ち止まらせるに値する、どこか神秘的な音色を持っていた。


(;'A`) 「ひぃ、ふひぃ、ひぃ……」

(;*゚−゚) 「はぁ、はぁ……」


俺たち二人は、それぞれの武器を手に、
月明かりの射し込む廊下の中央で対峙した。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:33:10.51 ID:/1u5+x/K0
 
(;'A`) 「……っ!」

(;*゚ o゚) 「っ!」


驚くべき事に、女の子は片手に俺と同じ『そいつ』をぶら下げていた。
考えることは一緒って事だろうか?

いや、違うはずだ。
多分、きっと、彼女は──!


(*゚ー゚) 「……」


俺の足はがくがく震えていたが、
この見た目可愛らしい、中身悪魔の追手を撒くには、
こうする他、道はない。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:35:07.95 ID:/1u5+x/K0
 
(;'A`) 「う、うううぅ……」


互いの手に抱えられた、赤いボディの重厚な獲物。


それは。


消火器。


(;゚A゚) 「う、うあああああああっ!!」


予め栓を抜いていた俺が、中の薬剤を彼女に噴射するのと。


(*゚ο゚) 「──やぁっ!」


彼女がそれを振りかぶり──こちらに投擲するのは、


(;'A`) 「「  え?  」」 (゚ー゚*;)


同時の出来事だった。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:36:44.68 ID:/1u5+x/K0
 
消火器は投げるものじゃない、火を消すものなんだよ!
(*゚ー゚) <な、なんだってー!

しかし、何でもかんでもポイポイ投げてくる彼女にとっての『常識』は、
俺のそれとは、少々認識のズレがあったようだ。

こちらには相手の遠距離攻撃に対する心構えがあったが、
彼女にとってのそれ──『消火器噴射』は、まったく予想外の行動だったらしい。
お前の脳内は物理攻撃オンリーなのか。


(;'A`) 「うわっ!」

(;*゚ー゚) 「きゃん!?」


瞬間、煙幕が廊下を白く染め上げてゆく。

視界が白に塗れる直前、俺は飛んでくる消火器を紙一重でかわしたつもりだったが、
どうやらそれは、右手に抱えていたこちらの消火器に、見事クリーンヒットしたらしく。


Σ(;゚A゚) 「いでぇええっ!?」


ガゴンと大きな音を立てて、消火器同士が弾け飛ぶ。
同時に、右腕から肩にかけて凄まじい衝撃が迸った。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:39:00.73 ID:/1u5+x/K0
 
(;A;) 「わ、ぷ、うわああぁあっ!!」


二つの消火器が乱舞し、
辺り構わずめちゃくちゃに噴出される薬剤により、白い闇が廊下を覆い尽くした。
床に落ちたあとも、それらの噴射口がネズミ花火のように踊り狂い、薬剤を撒き散らす。


(*>−;) 「けふ、こほ、げふっ……」

(*;−゚) 「!」

(;A;) 「!」


煙の向こうで口もとを抑え、よろめいている女の子の姿がかすかに見えた。
薬剤をまともに吸い込んだのだろうか、可愛そうなくらい咳き込んでいるが、
当然、今の俺に構っている余裕はありません。


(;A;) 「はあ、はあ、はあ……」

(;A;) 「不肖内藤ドクオ、逃走のためには手段を選ばない覚悟であります!!」

(;A;) 「正義は勝つ!!」


この世で唯一のジャスティスである俺は、
ふらつきながら、正義の遁走を再開したのだった。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:40:48.30 ID:/1u5+x/K0
 
−−−−−

一方、場面は再びブーン達のほうに移る。
それは即ち、地の文が神視点の三人称に移ったということ。
賢明で耽美なる読者の貴方がたには、もはや説明を要しないであろう。

ちなみにこの地の文とは小説的な地の文ではなく、筆者の地だから地の文なのだ。
現在私はイチゴ大福をほおばりながらこの文を書いている。
口内に踊るイチゴと大福のハーモニー。  いちごとあんこの素敵な出会い。


(,,;゚Д゚) 「くそっ……思った以上に逃げ足の速い奴だな」


鉄戸が開きっぱなしの体育館に侵入したいちごは、あんこを探して辺りを見回した。


(,,゚Д゚) 「どこに居る?  おーい、出てこーい」


ステージに登り、緞帳の端を捲って確かめながらそうのたまう。
しかし、DQNに出て来いと言われてのこのこ出てゆくいじめられっ子が世の中にいるだろうか。
辺りは当然のように静まり返っている。  窓の外の月が雲に覆われ、視界がより一層暗くなった。


(,,゚Д゚) (……俺の前じゃ、どこに隠れようと一緒なのによ)


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:42:55.46 ID:/1u5+x/K0
 
(,,-Д-) 「……」


暗闇の中、ギコは再び目を閉じ、聴覚に全神経を集中させる。


『はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ……』


これは断じてえっちな吐息ではなく、
ギコの耳に届いたブーンの呼吸の描写なので、誤解なきよう願いたい。


(,,-Д-) 「……」

(,,゚Д゚) 「……そっちか。 つーか、隠れるとこ別にねーもんな」


ギコはすたすたと歩き、体育館の隅にある、体育用具室の扉を勢いよく開く。


Σ(; ^ω^) 「ぶ、ぶひぃっ!?」


バスケットボールの詰まったカゴの端から、肉付きのいい尻が覗いていた。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:45:00.34 ID:/1u5+x/K0
 
(,,゚Д゚) 「さーて……知ってること、洗いざらいしゃべって貰おうか」


そうやって、襟を掴んでブーンを引っ張り出すと、
ギコは眉を顰め、鋭い眼光で彼を睨みつける。


(; ゚ω゚) 「ひ、ひぃぃっ、ひっ」

(,,゚Д゚) 「ドクオっていうのがお前の兄貴なんだな?  何でここに呼ぶ必要があった?」

(; ゚ω゚) 「あ、あう、うう、うひっふっ」

(,,゚Д゚) 「……おい。 黙ってないで答えろよ」

(; ゚ω゚) 「おぼ、ふぇ、うぇ、ぐぇえ」

(,,#゚Д゚) 「何とぼけてんだコラ!
てめーの兄貴としぃは今、校舎ん中で戦ってんだろうが!?
何故だ?  お前がけしかけたんだろ!?  ええっ!!」

Σ(; ゚ω゚) 「ひっ! ぶひいいぃっ!?」


ギコの剣幕に恐怖したブーンは、思わず彼の胸を突き飛ばし、逃走を再開した。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:46:40.43 ID:/1u5+x/K0
 
(,,;>Д゚) 「うおっ!?  て、てめー!!」

( ノ;ω;)ノ 「あう、あうう、うあぁあああん」

(,,#゚Д゚) 「やりやがったなぁあ!!」


腰がひけ、ふらつきながら出口を目指すブーンに向かって怒号を放つ。 


(,,#゚Д゚) 「……もう勘弁ならねえ。 『チャネル』、切り替えるか」


腕の骨を、首を、パキポキ鳴らしながらそう呟く。
次の瞬間、ギコの体がびくんと痙攣し、瞳の奥に青い炎が揺らめいた。


( ;ω;) 「は、はふぃ、ふひっ」


ようやく中央のドアまで到着し、取っ手に両手をかけたブーンだったが……。

どがん!


Σ(; ゚ω゚) 「ひいいいぃぃぃいいいっ!?」


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:48:22.80 ID:/1u5+x/K0
 
掴んでいた鉄の扉にギコの飛び蹴りが炸裂し、けたたましい音を立てる。
ブーンは慌ててそこから飛び退いた。

ギコは扉を蹴った勢いで、そのままアクロバティックに空中でターンを決める。
それからさらに宙返りしつつ、ブーンの脳天目掛けてサッカーボールキックを繰りだした。


Σ( ノ;ω;)ノ 「いだぁ!!」


すんでのところで頭を交わすも、肩口に鈍い衝撃。
そのまま片足で着地したギコは……、


( ;ω;) 「ひ、ひっ?!」


(,,^Д^)


笑っていた。
今までの怒り顔が嘘のように、余裕綽々といった表情で、妖しい舌なめずり。


(,,^Д^) 「うーっす。  『はじめまして』、ないとーちゃん」

(; ^ω^) 「ほひ!?  は、はじめ……」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:50:52.01 ID:/1u5+x/K0
 
(,,^Д^) 「オイラ、『タカラ』ってんだ。  よろしくな!」


体育館の二階、その窓に映る雲間から、隠れていた月が姿を現す。
射し込む月光を合図に、ギコの体が大きく跳ねた。

瞬時にブーンのもとへ跳躍したかと思うと、その腹中に膝を一発見舞う。


Σ(; ゚ω゚) 「うげぇっ!?」


それから両手を床に落とし、逆立ちの姿勢で器用に腕を回転させ、右脚を振り上げる。


Σ(#)ω;) 「あがっ!」


ブーンの頬に、ギコの足先が勢いよくめり込んだ。

倒れ込んだブーンの前で、ギコは大口を上げ、愉快そうに嗤い声を上げた。


(,,*^Д^) 「プギャー! ギャハハハハハ!  なんだいそのカッコ!」

(#);ω;) 「うぐぐぐ……」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:52:37.97 ID:/1u5+x/K0
 
(,,^Д^) 「どうしたのさっ! 君も『ちゃねらー』なんじゃないの?」

(,,^Д^) 「それくらいでへばってないで、『のーりょく』使いなよ! ほらほらっ!」


続けざま、四つんばいで手を伸ばすブーンの背に、
ブレイクダンスのトリックを思わせる、両足を広げた踵落としが炸裂する。


Σ(#)ω゚)ノノ 「ぐがっ」


ヒキガエルの轢死体の如く、ブーンは惨めに床に這いつくばった。
なんというか、ぶっちゃけ書いてて段々かわいそうになってきた。


(#);ω;)ノノ 「お、おおぅおぅおぉお……」


折れた歯を血とともに吐きながら、ブーンはしくしく涙を流した。
何故だろう。 どうして僕がこんな目に遭わないとならないのだろう。


(#);ω;)ノノ 「おぅおぅおぉお……ううぅ……」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:55:04.80 ID:/1u5+x/K0
 
突然だが、人は強いストレスに晒されると様々な反応があらわれるものである。
指をしゃぶる、爪を噛む、頭を掻き毟る……。

これは何も人間に限ったことではない。 
猫が着地に失敗したり、喧嘩に負けたりした際、
突然猛烈な勢いで毛づくろいを始めるのも、そういったストレス反応の一種なのだ。


(,,^Д^) 「え?  ひょっとしてキミ、泣いてるの?」

(,,;^Д^) 「参ったなー!  これじゃ弱い者いじめみたいじゃん!  プギャハハハ!!」


そして、ブーンにとってのストレス反応、辛い現実からの逃避行動とは……、


(#);ω;) 「う、ううぅ、ううー」


乳首をいじることだった。

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:56:40.34 ID:/1u5+x/K0
 
断じてシリアス展開の描写に飽きたとかそういうわけではない。 最初からそういう設定だったのだ。
私は、ブーンがこのシーンで乳首をいじるよう、これまでのプロットを念入りに作り上げてきたのだ。
今までのは言わば乳首への布石だ。 乳首というメインに向けてのアペリティフだ。 国際乳首ロードだ。

そうやって、制服の隙間から差し入れた指先が、左のつぼみを浅く摘んだとき。


(#)ω゚) 「!!」

(,,^Д^) 「……おっ」


Σ(#)ω◎) 「ふ、ふごおおおおおおおおお!?」


彼の全身に、稲妻の如き衝撃が迸った。

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:58:36.48 ID:/1u5+x/K0
 
(,,^Д^) 「……おっ!  ようやくのお出ましだね、よかったよかった」


どこからともなく犬の遠吠えが聞こえ、追随するように遠吠えが連鎖する。
煌々たる月明かりを正面に浴びながら、ブーンはゆらりと立ち上がった。


(,,^Д^) 「さーて、ここからが本番だねっ!  頑張んなきゃなっ!」

(  ω ) 「……」


その表情は、先ほどまでの彼とは明らかに異なる者の、形相。

目を見開き、仁王立ちの姿勢で、


( ΦωФ) 「我が名は、『怪人ロマネスク』……」


堂々と、そう名乗り上げた。
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 22:59:20.75 ID:/1u5+x/K0
 
(,,^Д^) 「……へ〜え、そっかぁ〜。  楽しめそうだなあ!」


ギコ……いや、今や『タカラ』である彼は、愉しそうににんまり笑う。
一度、二度、首を曲げて予備動作を行ったあと、


(,,^Д^) 「……それじゃっ!  お手並み拝見といこーかなっ!」


満面の笑顔で、『ロマネスク』に躍りかかった。



(続く)
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