第29章
- 69 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:40:53.51 ID:Nuq0+N020
- (;・∀・) (やばかった……今のでどっか行ってくれたかな……?)
茂等(No30)は冷や汗をかいていた。
先ほど、後ろの方で人の気配がした。怖かった。振り向くことができなかった。
そこで、精一杯虚勢を張って脅し文句を言ってみたのだ。
( ・∀・) 「……」
どうやらその試みは成功したようで、先ほどまであった気配は消えてなくなった。
本当によかった……茂等は安堵の溜息をつく。
( ・∀・) 「……でも」 - 71 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:43:26.17 ID:Nuq0+N020
- さっきの虚勢で逃げてしまったということは、自分はきっと要注意人物としてピックアップされているのだ。
それは、大いなる誤解だった。確かに、茂等は自分からは進んで人間関係を作ろうとしない。
しかしそれは生来の気恥ずかしさや人見知りから来るもので、決して友達がいらないということではなかった。
( ・∀・) 「……俺だって」
しかし、そんな茂等もここまで一人も友達がいない、ということは決してない。
むしろ中学校までは、その容姿の端麗さもあいまって友達が多い、いわゆるクラスの中心的人物だった。
そんな彼が、高校に入って「変人、危ない人」という評価になったのには、訳がある。
- 72 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:46:02.68 ID:Nuq0+N020
- 時は高校入学直後のこと。
茂等は化学の教師に放課後に化学教室の片付けを頼まれた。
面倒だったが、特に断る理由も見つからないまま承諾してしまった。
( ・∀・) 「はぁ……」
爪゚A゚) 「悪いわね茂等君。手伝わせちゃって」
( ・∀・) 「あ、いえ、お気になさらず」
指示されたとおり淡々とゴミ箱や黒板を綺麗にしていく。
放課後すぐに掃除を始めたのだが、すべて終わったころには夕陽が照る時間になっていた。
( ・∀・) 「んじゃ、これで終わりですね。じゃあ帰ります」
爪゚A゚) 「ああ、茂等君。待って待って」
( ・∀・) 「……なんすか」
茂等はこの教師があまり好きではなかった。
こんな片付けに協力したのももっぱら成績をカバーするためだった。
そこにはこの教師と友好を深めようとか、そんな思惑は一切としてなかった。 - 75 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:48:38.58 ID:Nuq0+N020
- 爪゚A゚) 「あのね……私の話、聞いてくれる?」
( ・∀・) 「はあ、なんでしょう」
じりじりと近寄ってくる教師からじりじりと逃げる。
何かよくないことが起こりそうな予感はこの時から感じていた。
にじりにじりと後ずさり、ついには壁に自らの体がついてしまう。
爪゚A゚) 「私ね……あなたのことが好きになっちゃったみたいなの」
( ・∀・) 「……」
あまりのことに脳内がスパークした。告白された。誰に?
この眼前にいる50代の、細木数子を33発殴ったような顔面をしている女性にだ。
普通ならうれしいだろう。現に中学時代に受けた告白で嬉しくないものなどなかった。
しかしこの告白は間違いなく世界でいちばん受けたくない告白だろう。 - 79 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:51:18.43 ID:Nuq0+N020
- 爪゚A゚) 「ね、お返事、聞かせてもらえないかな?」
肩に手を置かれる。そういえば、この人は母親よりも年上だな、とぼんやりと思った。
まだ、思考に感覚がついていかない。
こういうときは、何をすればいいだろう?
( ・∀・) 「嫌です。年を考えてください。つーか、気持ち悪い」
そうだ。断ればいいんだ。
ついつい、思ったこと全てが口から飛び出す。
これは茂等の癖だった。自らの発言に衣を着せることが出来ないのだ。
( ・∀・) 「帰りますね。明日から話しかけないでください。授業中でも。気持ち悪いですから」
爪゚A゚) 「……」 - 82 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:54:00.40 ID:Nuq0+N020
- 爪;A;) 「あgづいえshふぉあうぇいうfぎえをあjfふいあうぇrほぱwせjhふいうぇj」
( ・∀・) 「うわ、さらに気持ち悪い」
それは間違いなく本心からの発言だった。
本当に気持ち悪かった。泣き声とも鳴き声ともつかぬ奇声を上げる50代はこの世のものとは思えなかった。
( ・∀・) 「ちょ、お前、俺の脚をつかむな、離せ」
爪;A;) 「だってだってhjヴいdrvhyじょえあwぷgふぃえうvじょいうあでvhjぽあえr」
さらに悪いことに自分の足に掴みかかってきた。
足を振って振り払おうとするが、しがみついて離れない。
なんだこれはさながらホラー映画のようだ。冗談にしてもたちが悪すぎる。 - 84 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:56:34.72 ID:Nuq0+N020
- ( ・∀・) 「うぜえ」
だから、そばにあったパイプ椅子を思い切りよく教師の頭に振りおろした。
あれだけ奇声を上げていた教師は一回ビクン、と跳ねたあと動かなくなった。
これでやっと安心と、茂等は疲れに溜息をつきながら家路についたのであった。 - 88 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 21:59:09.66 ID:Nuq0+N020
- もちろん、この話はこれで終わりではない。
殴られ、逆上した教師が茂等を訴えると騒ぎ始めたのだ。
もちろんそんなことは学校の威厳にかかわるので阿部をはじめとする教師陣はこぞってそれを止めた。
爪;A;) 「あの子が! あの子が私をづふぁうぇおpfkjへいwぐあyふおぱえ」
N| "゚'` {"゚`lリ 「まあまあ」
そしてこの話は瞬く間に学校中に噂となって流れた。
『教師との禁断の恋の末に暴走した男』茂等についた二つ名は大体そんな感じのものだった。
( ・∀・) 「冗談じゃねえっつの……」
そんな独り言をいった所で自分の立場が良くなるわけでもなく。
『熟女好き』の汚名を着させられたまま茂等はなんとなく気まずい雰囲気のクラスの中3年間過ごしてきたのである。
- 89 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:01:43.67 ID:Nuq0+N020
- そんな経緯があって、茂等はずいぶんと孤独だった。
まあ、このクラスになってからは内藤なんかの支えもあってまあまあ溶け込むことができたような気もするのだが。
相変わらず女子からの評価はウジ虫のようなものだ。いい評判を1つも聞いたことがない。
( ・∀・) 「……ん?」
なにか、あちらの方に人影が見える。
誰だろうか。特に死の危険も感じず、その人影の方へ足を向ける。
ただ、自分の武器であるメリケンサックは一応拳につけたままで。 - 91 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:04:23.16 ID:Nuq0+N020
- ( ・∀・) 「……何やってんの?」
川 ; -;) 「! ……」
そこにいたのは須名だった。どうみても自殺直前5秒前。
邪魔しちゃったかな、と茂等は感じた。
( ・∀・) 「ごめんね、邪魔しちゃった? 悪い悪い、今すぐどっか行くから」
川 ; -;) 「……は」
( ・∀・) 「?」
川 ; -;) 「速くどこかへ行け!! わた、私はお前のような屑に殺されたくないから自分で死を選ぶんだ!!」
( ・∀・) 「え、ちょ」
かけられた言葉は須名のことを思いやってどこかに行こうとしたのも関わらず、ひどい言葉だった。
それに、須名もなんだか自分のことを殺人鬼かなにかかと思っているらしい。
冗談じゃない。自分は短気でこそあるが、人を殺す人間では――
川 ; -;) 「この、熟女好きが!!」
( ・∀・) 「あ、カッチーン」 - 95 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:06:58.01 ID:Nuq0+N020
- 違う。自分は断じて熟女好きではない。
どちらかと言うとカーデガンを着た女子高生が好みだ。
殺しはしない。せめて、一発でも殴ってやろう……そう思って、須名の方へ足を向ける。
川 ; -;) 「来るな変態!! それ以上来ると、う、撃つぞ!!」
須名は自らのこめかみに当てていた銃を片手でこちらに向けてくる。
やたらと大きい銃だ。ゲーセンにあるシューティングゲームのコントローラーぐらいの大きさがある。
あれほどの銃なら威力も相当のものだろう……
( ・∀・) 「あ」
その時、茂等は見た。須名の手に持たれている銃が本当に発射されたところを。
銃口が紅く光る瞬間を見たのはもちろん初めてのことだった。
あまりにその紅が綺麗で、思わず回避するのを忘れてしまった。そして、弾丸はもちろん音速で発射されている。
「あ、あああぁぁぁああぁあぁぁっぁああぁああああああ!!!!」
そして、一筋の悲鳴も森林にこだました。
- 96 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:09:35.10 ID:Nuq0+N020
- 川 ; -;) 「あ、あああああああああああああ……」
悲鳴の元は、須名だった。
彼女の肩は普通ではありえない方向へひんまがっている。
恐らく、脱臼だろう。
( ・∀・) 「ふーん、そうか。威力も大きいけど、反動も大きいってわけだね」
川 ; -;) 「うううううううううう、あ、あぁぁぁあああぁぁあああ……」
脱臼の痛みは相当のものなのだろう。
須名は先ほどからうめいたり、叫んだりを繰り返している。
( ・∀・) 「なるほどなるほど。こういう銃は両手で構えて撃たないといけないんだ。
片手で撃つと、こういう風に、反動で肩が外れる」 - 98 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:12:11.58 ID:Nuq0+N020
- そう言って須名に近づき、外れた肩を思い切りよく踏みつける。
その脱臼の痛みよりも強烈な痛みに須名はさらに悲鳴を上げる。
その光景に、普段は特にサディストでもない茂等も、じわじわと這い上がってくる快感に身を震わせた。
川 ; -;) 「う、うううううううううううううう……」
( ・∀・) 「ははは。痛い? 痛い? ねえ、痛い?
……返事は?」
あまりの返事のなさに業を煮やし、肩をぐりぐりと踏みにじる。
茂等は怒っていた。もともと我慢して『熟女好き』なんて称号を受けていたのだ。
この殺し合いという特殊な場において、その暗い感情は何倍、何十倍、何百倍にもなって茂等の心を支配していた。
川 ; -;) 「うぐっ! う、ううううううううううう!!」
( ・∀・) 「ははっ。かわいーでやんの」
- 99 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:14:46.21 ID:Nuq0+N020
- 茂等の心の暗い感情は竜巻となりアマゾンの森林をすべて枯らす。
竜巻は高波となり島国の気の毒な人々を沈めたかと思うと大火事となり大陸を焼き滅ぼす。
さらにエルニーニョ現象となって南極の氷を全て溶かしてしまった。
つまり、それほどまでに茂等は怒っていたのである。
( ・∀・) 「さて、そんなかわいー須名さんに質問です」
須名の耳元に口を持っていく。
そして、須名にも、もしかしたら自分自身にも聞こえないほどの声で囁いた。
「殴り殺されるのと、撃ち殺されるの、どっちがいい?」 - 102 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:17:09.44 ID:Nuq0+N020
- 川 ; -;) 「! う、ううううううううううう!!」
須名は抵抗しようとする。
しかし肩の激痛と共に踏みつけられている。
この支配からは須名の力ではどうにも抜け出せそうになかった。
川 ; -;) 「……う」
ついに観念したのか、須名の口から言葉が漏れる。
その言葉は茂等の待ち望んだ言葉であった。
川 ; -;) 「う、うち、ころして、ください……」
- 103 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:19:34.21 ID:Nuq0+N020
- ( ・∀・) 「ははーん。なるほどなるほど。つまり須名さんは早く死にたいわけだ」
川 ; -;) 「……う」
( ・∀・) 「じゃあ、メリケンサックの刑だ」
川 ; -;) 「! や、約束が違う!!」
何を言ってるのだろうこの女は。
全く笑えてくる。SMビデオを見た時にはわからなかった感情が今は分かる。
ああ、これがサディストの感覚か。
( ・∀・) 「やだなあ。約束なんてしてないよ」
その言葉に須名の顔が真っ青になっていく。
あはは、これは面白いや。あはは。
メリケンサックをつけた拳で鼻を横殴りに殴る。
ああ、すらりと通っていた鼻筋は無残にもあらぬ方向へ曲がってしまった。
はは、鼻血が。あは、あはは。あははあはは。
( ・∀・) 「もう一発」
今度は腹部に拳を振り落とす。
なんだか蛙が潰れたような声を須名さんは上げる。はは、こんなにきれいな人が蛙なんて。ははは。
と、ともに胃液を含んだ吐しゃ物が須名さんの口から溢れ出る。 - 106 :第29章 「マタアイマショウ」:2009/02/15(日) 22:21:43.43 ID:Nuq0+N020
- それを指ですくい、一舐めして一言。
( ・∀・) 「まずい」
なおも拳を振り落とす。須名さんの体全体にまんべんなく。彼女を慈しむように、激しく。
やっとその遊びに飽きたのは須名さんの顔が完全に陥没してパーツがわからなくなってからだった。
絶望に震える顔を見なくては死刑執行も楽しめない。
一応脈を診る。知識などはないので適当だが、たぶん死んでいるだろう。
死んでいなくても、これほどの怪我では長くは生きられない。
( ・∀・) 「は、はは。ははははは。あり、はははありがとう、す、ははは須名さん、ははは」
笑いが止まらない。なんだ。自分にはこんな一面もあったのだ。
これは新たな発見だ。これが笑わずにいられようか。はは、ははは。
( ・∀・) 「あ、これもらってくね。大丈夫。俺は肩外さないから」
そう言って須名の銃を拾い、歩きだす。
自分では気づいていないが、茂等の陰茎は、勃起していた。
【No30 茂等 武器:メリケンサック・デザートイーグル50AE 現在位置:D-4】
【No14 須名 × 残り29名】
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