第22章
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:01:03.04 ID:JsPkaiij0
- 第22章 「目的」
(゚、゚;トソン 「……」
('、`;川 「……」
G-4地点の家屋の中ではにらみ合いが続いている。
都村(No19)の腕にはフライパン。
伊藤(No1)の腕にはヌンチャクが握られている。
(゚、゚;トソン (動いた方が……)
('、`;川 (やられる……)
彼女たちがこんな状況になったのは理由がある。
話は、少し前にさかのぼる。
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:04:16.17 ID:JsPkaiij0
- (゚、゚トソン 「フライパンでどうしろって言うのよ」
都村はぷりぷりと怒りながら住宅地を歩いていた。
別に殺し合いをする気はなかったが、やはりフライパンでは心もとない。
それに人目を気にし、神経をすり減らしながら歩いていたので、そろそろ体力も精神も限界に来ていた。
(゚、゚トソン 「どこか家にでも……」
そう思い、適当に家を見つくろう。
脳裏にはふと、はち合わせの可能性が浮かんだ。
しかし、ここは住宅地だ。家などそれこそいくらでもある。
気にすることはない――
(゚、゚トソン 「よし、ここにしよう」
適当に決めた家のドアをくぐる。
そして――
('、`*川 「「あ」」 (゚、゚トソン
ばっちりはち合わせしたのである。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:07:22.14 ID:JsPkaiij0
- (゚、゚;トソン 「……」
('、`;川 「……」
トソンは伊藤の一挙一動を見逃さないようにする。
フライパンでも、気絶、あるいは殴打による死亡まで持って行けるかもしれない――
それが彼女の思考だった。
伊藤の顔を見るに、相手も同じことを考えてそうだが。
(゚、゚トソン 「!」
('、`*川 「!」
お互いがお互いの隙を見つけたのか、同時に武器を振り上げる。
後は、どちらが早く武器を相手の頭に振りおろせるかだ―― - 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:10:20.18 ID:JsPkaiij0
- 『アッーアッーアッー! 午後6時です! 定時放送の時間です!』
何とも耳触りが悪い声がどこに設置してあるのかスピーカーを通して聞こえてくる。
これは、説明時に言っていた6時間ごとの定時放送だろう。
(゚、゚;トソン 「! ……」
('、`;川 「! ……聞こうか」
(゚、゚;トソン 「う、うん……」
2人は並んでソファに座る。
先ほどまで殺し合おうとしていた2人が並んで座っている画はなんともシュールだ。
『おーす、阿部だ。元気か、それとも死んでるか?
おまちかね、定時放送の時間だ!』
(゚、゚トソン 「誰も待ってねえっつの……」
('、`*川 「同感」
そのやり取りの後、2人は顔を見合わせ、クスリと笑う。
そこには殺し合おうとしていた空気は霧散していた。
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:13:24.00 ID:JsPkaiij0
- 『まずは死亡者の発表だ!
4番斉藤、12番須田、22番中嶋、23番長岡、33番山村。以上5名だ。
最初にしてはまあまあだな。ペース上げていけよ!』
('、`*川 「ペース……?」
(゚、゚トソン 「人を殺す、ペース……」
阿部たちは本当にこの地獄をゲームと思っているのだろう。
そうでなければペースなんて単語が出てくるわけがない。
遊んでいるのだ。あいつらは。それを思うとそのゲームに乗ろうとしていた自分が恥ずかしくなってくる。 - 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:16:43.01 ID:JsPkaiij0
- 『次に禁止エリアだ。入ると首がドカンだぞ! 気をつけろ。
午後8時・G-6。午後9時D-2。午後10時・A-1。午後11時・G-7。今回の発表分は以上だ。
繰り返す……』
(゚、゚トソン 「……」
見れば、伊藤は鞄の中に入っていた出席簿と地図に線を引いている。
恐らくさっき放送があった所に線を引いているのだろう。
死亡者はともかく、禁止エリアは大事な情報だ。自分もならって書きこむ。
('、`*川 「トソン……」
(゚、゚トソン 「……なに」
('、`*川 「ごめんね。さっきは」
(゚、゚トソン 「いいよ、お互い様だし」
その言葉に嘘はなかった。
先ほどまで殺し合おうとしていた者に言うには少しばかりおかしい言葉かもしれないが。 - 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:19:45.85 ID:JsPkaiij0
- ('、`*川 「……ヒーちゃんも、貞子も、死んじゃったんだね」
(゚、゚トソン 「……そうだね」
('、`*川 「あたしたちも、死んじゃうのかな」
(゚、゚トソン 「やだよ」
('、`*川 「きっと、ヒーちゃんも貞子もそう思ってたと思うんだ」
(゚、゚トソン 「……」
2人は優しい人間だった。
ヒートは(恋人の自慢が激しいものの)元気溌剌な子だったし、貞子はよく気配りをしてくれる子だった。
その2人が死んだと放送されても、実感が湧かない。
なんだか、一歩離れてTVの中から見ているようだ。
('、`*川 「ね、誰か今会いたい人いない? こんな状況でも、信じれる人」
伊藤が重い空気に耐えかねたのか、話題を変えて来る。
しかし、重い話題であることは変わってない気もするが。
考える。誰だろう。自分には恋人もいないし…… - 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:22:52.10 ID:JsPkaiij0
- (゚、゚トソン 「……デレちゃん、かな」
('、`*川 「そうなんだ。あたしも同じこと考えてたよ」
デレ――出玲は都村が知る限り優しい人間だった。
きっと、人を進んで殺そうという人間ではない。なんとなく、わかる。
(゚、゚トソン 「合流、したいね」
('、`*川 「できたらね。でも、今日はもう暗くなったし……」
(゚、゚トソン 「明日ね」
('、`*川 「それまで死んでませんように、って?」
(゚、゚トソン 「……」
また少し空気が重くなる。
伊藤もそれに気づいたらしく、バツが悪そうにしている。
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/07(土) 21:26:02.39 ID:JsPkaiij0
- (゚、゚トソン 「お腹すいたね、ご飯にしようか」
('、`*川 「鞄に入ってたビスケット、結構おいしかったよ」
ひとまず伊藤と組み、出玲を探すことにしよう。
それからのことは、それから考える。
それが都村の考えだった。
しかし都村の案には穴があった。
その探し人が、修羅と化していることを考えなかったということである。
【No1 伊藤 武器:ヌンチャク 現在位置:G-4】
【No19 都村 武器:フライパン 現在位置:G-4】