第11章
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/24(土) 21:31:18.06 ID:2R0QGmtg0
第11章 「田植え」
(-_-) 「しぼうかっくてーしぼうかっくてー」


なにやら死亡確定と自分を評価しているのは出席番号25・比木。
彼はなにがなんでも生き残るつもりでいた。
そのためには武器が必要。武器を取り出すために自分のバッグを開ける。
出てきたのはコンバースのオールスター。靴だった。しかも右足のみ。


(#-_-) 「せめて左足をつけろよ!!」


微妙に的外れの抗議をしながら海岸沿いをひたすら歩く。
かくして生き残ることは不可能と判断した比木はせめて最後にはと海を見ることにしたのだ。
綺麗な海。近くの海水浴場のエメラルドグレーの海とは比較にならない透明度。
修学旅行は沖縄だったから、やはりこの島は沖縄周辺なのだろうか。もはやどうでもいいが。


(-_-) 「しかし疲れたなー。そろそろ陽も傾いてきたし、小屋かなんかあるかな……」


そう言って比木は自分の言葉に少し自嘲的に笑う。


(-_-) 「生き残るのは無理って悟ったばかりじゃないか…… !」

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/24(土) 21:34:00.99 ID:2R0QGmtg0
……向こうの灯台もとに、小屋がある。
その小屋の前で、誰かが動いている。


(-_-) 「人……? 誰だろう」


もしかしたら自分を殺す人かもしれない。
それなら女の子がいいなーと童貞精神丸出しで目を凝らす。


lw´‐ _‐ノv


そこにいたのは砂尾(No13)だった。
彼女は草を砂浜に植えてはまた次の草を等間隔に植えていく。
その等間隔の列は何列も何列も並んでいた。


(-_-) 「……た」


そういえば彼女は3度の飯より米が好き、と言っていた。
意味はわからないが、彼女の取っている行動は1つだ。


(;-_-) 「田植えしとる――!!」 ガビーン
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/24(土) 21:36:53.39 ID:2R0QGmtg0
w´‐ _‐ノv 「む、誰かと思えば比嘉君か。ちょうどよかった、田植え手伝え」

(;-_-) 「え、いや、あの、その(名前間違えられてるし)」

lw´‐ _‐ノv 「ほら、これ」


そう言って草の束を渡される。
どう見ても雑草です本当にサンキューベリーマッチ。


(-_-) 「はは……こんな状況でも稲を植えるのは大切だよね……」

lw´‐ _‐ノv 「なにが稲だそんなもん雑草に決まってるだろうが」

(;-_-) 「……」


やはりこの人はちょっと、かなりおかしい。
早々に退散しようとする。しかし。


lw´‐ _‐ノv 「まあここで会ったのも何かの縁だ。我が豪邸に招待しよう」

(-_-) 「豪邸……まさかこの小屋……? つーか、我がってこれ砂尾さんのじゃ」

lw´‐ _‐ノv 「いいから入った入った」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/24(土) 21:39:22.70 ID:2R0QGmtg0
小屋の中は意外にもぼろい外見とはあいまってなかなかきれいだった。
どうやら灯台守の宿直小屋のようなものらしい。
畳のイグサの匂いが懐かしい気持ちにさせる。


lw´‐ _‐ノv 「さ、上がった上がった」

(-_-) 「は、はあ…… !」

(;-_-) (靴脱いでる――!!)ガビーン


砂尾はしっかりと土間で靴を脱いでいた。
しっかりと言うかなんというか、やっぱり読めない人だ。
流石になにかあったとき逃げ切れなさそうなので土足でお邪魔した。
何か言われるかとも思ったが特に何も言われなかった。


(-_-) 「あの……」

lw´‐ _‐ノv 「ご飯にする? お米にする? それともラ、イ、ス?」

(-_-) 「いや、あの……」

lw´‐ _‐ノv 「あいや、これはしてやられた。比桐くんはパン派だったか」

(-_-) 「比木です。それより砂尾さん……」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/24(土) 21:42:09.37 ID:2R0QGmtg0
lw´‐ _‐ノv 「やだわ砂尾さんなんて馴れ馴れしい。シューって呼んで頂戴」

(-_-) 「はあ、ごめんなさい。え?」


やはり、読めない。
どうしようか。この人と行動を共にしてよいものか。
いや、こんな感じで油断させて一気に殺す作戦かもしれない……


(-_-) 「あの、砂尾さん」

lw´‐ _‐ノv 「比藤くん、将棋を見つけたぞ。一局お手合せ願おうか」

(;-_-) 「……」


まあ、いいか。
どうせ砂尾さんと別れても武器が靴では間違いなく死ぬだろう。
ならば罠だとしても将棋に没頭するのもいいかもしれない。
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/24(土) 21:43:24.63 ID:2R0QGmtg0
(-_-) 「うん、いいよ」

lw´‐ _‐ノv 「いようし、まずは私からだな。喰らえダブル歩兵アタック!!」

(;-_-) 「二歩だ――!!」 ガビーン


かくして、なんだかおかしなコンビがここに誕生した。
殺人の島の最果ての一角だけはいつもと変わらない光景が映っていた。


【No13 砂尾秀  武器:??? 現在位置:H-2】
【No25 比木 武器:靴 現在位置:H-2】
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