- 1 : ◆080mxUe5zE :2009/01/04(日) 22:51:24.67 ID:LZysZ+KH0
-
『あたしのパートナーは――』
――それが、後年にVIP学園で語り継がれることとなる、
一人と一機の名コンビの出会いであった。
( ゚∀゚)ジョルジュはξ゚听)ξツンとエースになるようです
【第二話】
――開始。
,
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 22:54:43.83 ID:LZysZ+KH0
- 【第二話:実力の秘密】
――シャワー室――
適正試験で流した汗を流す。
VIP学園内のシャワー室で、湯を浴びながらジョルジュは呟いた。
( ゚∀゚)「厄介なツレができちまったな……」
思い出すのは、先程のこと。
第二格納庫での、出会いだ。
( ゚∀゚)「……」
シャワーで濡れた身体を拭い、視線を送る。
制服に予め付属していたソケットに差し込まれた、白色の長方形へだ。
( ゚∀゚)「この中に女の子の意識が入ってんのか?」
火狐の最高レベルの技術を詰め込んだ、操縦支援高速量子計算機、名称はターミナル。
アラマキの説明では、それが少女の人格を模した人工知能となっているらしい。
思わず独り言が多くなっていることに気づいたジョルジュ。
そんな技術が存在することにも、自分が企業特別枠に選ばれたことにも、彼は衝撃を受けていた。
- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 22:57:16.55 ID:LZysZ+KH0
- ( ゚∀゚)「まったく……」
悪態をつきながら、制服を着込む。
ズボンを穿き、ターミナルが接続されている上着を着込む。
同時に、若干の頭痛。
(; ゚∀゚)「――ッ」
ξ#゚听)ξ「……」
突然現れた女の子、ツンだ。
これまたアラマキの説明なのだが、どうやら制服を着ると脳内とターミナルがリンクする仕組みらしい。
それによって擬似的にツンが視覚化される、と。
( ゚∀゚)(だけど……なかなかどうしてだねぇ)
意外に、可愛い。
金髪が良く似合う同年代の女の子が再現されており、身長も少し低めに設定されているようだ。
オマケに肌は白く透き通るようで、それでいて――
(; ゚∀゚)(って、機械に対して何考えてんだよ!)
俺は貧乳ダメなんだよな、と内心で呟く。
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 22:59:58.80 ID:LZysZ+KH0
- ( ゚∀゚)「で」
ξ#゚听)ξ「……」
(; ゚∀゚)「なんで不機嫌そうなの?」
目の前に視覚化されたツン。
青筋を浮かび上がらせる、とまではいかないが、表情からは明らかな不機嫌さが伺えた。
ξ#゚听)ξ「あんたねぇ……まずさっさと着替えなさいよ、あたしの前では」
( ゚∀゚)「は?」
ξ#゚听)ξ「丸見えだっつってんのよ!!」
(; ゚∀゚)「ええ!?」
ξ#゚听)ξ「まったく……あたしの視界は360度よ!?」
(; ゚∀゚)「わりわり」
さりげなく性能アピールしやがったなこいつ。
心の中で呟くと同時、強烈な頭痛。
(; ∀ )「――ガッ!?」
ξ#゚听)ξ「頭で考えてることも聞こえてんのよ!!」
アラマキの説明では、これは脳内電気ショックらしい。
操縦者がブラックアウトなどで意識を失ったときに作動させるものだが、怒らせても作動するのだ。
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:02:56.23 ID:LZysZ+KH0
- ξ゚听)ξ「あー、すっきりした」
それでいて、一通りやったあとはこれだからタチが悪い。
(; ゚∀゚)「いつつ……むちゃくちゃだなぁ」
ξ゚听)ξ「何よ、まだなんかあんの?」
( ゚∀゚)「いえ、なんでも」
ジョルジュが思い出すのは、先程のことだ。
第二格納庫でツンにパートナー認定されたこと。
企業特別枠で火狐製の実技戦闘機を貰えること。
そしてツンと生活をも共にすることだ。
( ゚∀゚)(意思の疎通が大事とはいえ、なぁ……)
納得がいかない。
自分に敬語を使うな、ドクオや教育科の生徒は仕方ないとしても、自分の存在は他言無用である、など。
色々と注文つけられてばかりである。
ξ゚听)ξ「聞こえてるわよ?」
(; ゚∀゚)「うわ!」
と、何を考えようにも読み取られることも、納得がいかない理由のひとつだ。
もっとも全てを聞き取れるわけではなく、記憶の引き出しを勝手に開く、などということはないらしいが。
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:03:16.48 ID:LZysZ+KH0
- ξ゚听)ξ「なんなら、あたしからもプレゼントあげようか?」
( ゚∀゚)「お?」
ξ゚听)ξ「見てなさいよ……」
ツンが言うと同時、視界が緑に染まる。
(; ゚∀゚)「おわ、何してんだよ!」
ξ゚听)ξ「ほら、どう?」
(; ゚∀゚)「え?」
冷静なツンの声に、落ち着きを取り戻したジョルジュは、前を見る。
視界に次々と表示される、情報。
目の前のロッカーの寸法、シャワー室の出口までの距離。
室温、湿度、高度、自分の速度、自分の心拍数、自分の脳波。
徐々に機能を増やしながら、情報が増大していく、比例するように頭痛も。
そして挙句の果てに物質が透過し始め、壁の向こう、つまり女子シャワー室まで眺望できた。
(*;゚∀゚)「うっひょー! これはたまんn――ウゲッ!」
ξ///)ξ「あんたバカじゃないの!?」
再度、強烈な頭痛が襲った。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:06:58.18 ID:LZysZ+KH0
- (; ゚∀゚)「くっそーいいじゃねーかよちょっとくらい!」
ξ゚听)ξ「バカ言わないで、今のが限界よ。
人の脳に干渉するなんて、無茶を通り越して無謀もいいとこよ」
( ゚∀゚)「今平然とやってたよな?」
ξ゚听)ξ「なんかの間違いじゃない?」
そうかなぁ、と首を傾げ、ジョルジュはシャワー室を出た。
通路を歩いている間、ジョルジュの隣をツンが歩く。
まるで本物の女の子と一緒に歩いているようで、少し誇らしく感じるが、同時に虚しさも感じた。
ξ゚听)ξ「で、これからの予定は?」
( ゚∀゚)「今からシミュレーターの訓練を受けに行く。
一日に指定された時間、まぁ今日は二時間だったかな。
とにかくそれだけやれば、あとは自由になれるぜ」
ξ゚听)ξ「あ、そう。まぁあんたの自由時間なんか興味ないけど」
( ゚∀゚)「まぁそういうなよ」
ξ゚听)ξ「ところで、周りの視線が痛いんだけど……?」
気づけば、周囲がジョルジュたちを見ていた。
いや、正確にはジョルジュ"だけ"を見ていた。
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:07:13.66 ID:LZysZ+KH0
-
「「何あれ、変人?」」
「「独り言とか……ハァ」」 - 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:11:34.84 ID:LZysZ+KH0
- (; ゚∀゚)「とても恥ずかしいんですが……」
ξ゚听)ξ「まぁ、仕方ないんじゃない?」
(; ゚∀゚)「じゃあ外では会話しないってことでよろしい?」
ξ゚听)ξ「はぁ? 脳内でやればいいじゃない」
( ゚∀゚)「あ」
そっか。
思い浮かべるだけでツンには読み取れるのだ。
ξ゚听)ξ「あんたもしかしてバカじゃないの?」
(; ゚∀゚)(おっしゃる通りでございます……)
さっきから散々バカバカ言われてる気がする。
そんな感情を飲み込み、シミュレーター室の扉を開く。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:13:34.52 ID:LZysZ+KH0
- 中には、実技戦闘機のコックピットを模した座席と、それを覆いつくす画面が一体化した機械が並ぶ。
横に十五列の台が連り、奥行きは数え切れないほど広がる、総数は八百台ほどあるようだ。
ξ゚听)ξ「言っとくけどねぇ、シミュレーターなんかはサポートできないからね?」
( ゚∀゚)(期待してねーよ)
空いているシミュレーターの座席に座り、身体を固定する。
ターミナルが装着されている側とは反対の胸のポケットから、カードを取り出す。
通信機としての意味合いが強いカード。
しかし本人確認の為にも用いられる、個人情報満載の代物だ。
( ゚∀゚)「ジョルジュ=タート」
声と同時にカードを読み取り機にかざす。
短い機械音と共に、シミュレーターに光が灯る。
ξ゚听)ξ「はー、すごいわねぇ」
横で感心しているツン。
( ゚∀゚)(明らかにお前の方がすごいだろ)
ξ゚听)ξ「褒めてもなんもでないわよバカ」
理不尽なセリフを吐かれるが、もはや気にしている場合ではない。
シミュレーターで日々鍛錬を積まなければ、操縦というデリケートな技術はすぐに失われるのだ。
戦闘機というのは、ただ飛ぶだけのモノではないから。
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:16:48.02 ID:LZysZ+KH0
- ( ゚∀゚)「――ッ」
次々と襲い来る敵機の機銃を避け、ミサイルから逃げ切る。
今行っているシミュレートは、自機の残弾がゼロから始まる、という条件がついていた。
ξ゚听)ξ「どんくさいね、あんた」
(; ゚∀゚)「うるせっ」
適当にツンをあしらいつつ、操縦桿を操作するジョルジュ。
敵の数は現在四、そして一定時間毎に増え続ける設定だ。
最大五十まで増えるというのだから恐ろしい。
そして、敵機の数が六になった。
気づくのが、遅すぎた。
ξ゚听)ξ「あ、バカ」
( ゚∀゚)「やべ、囲まれた」
シミュレート終了の文字が画面全体に表示する。
嫌みったらしく浮かぶそれに怒りを覚える者も多いという。
だが今の機嫌はそれほど悪くないジョルジュ。
続けて、次のシミュレートを開始した。 - 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:18:47.05 ID:LZysZ+KH0
- ξ゚听)ξ「ねぇ、暇なんだけど?」
(; ゚∀゚)「るっせぇ!」
「「何あれー?」」
「「シミュレーターで必死とかマジモンー?」」
(; ゚∀゚)「くっそおおおお!」
ジョルジュの悲痛な叫びがシミュレーター室に響いた。
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:21:48.12 ID:LZysZ+KH0
- ――休憩室――
場所は変わり、休憩室。
そこに複数存在するテーブルに着いたドクオとショボンが談笑していた。
('A`)「今日の訓練は楽だったなー」
(´・ω・`)「Fタイプは二時間だっけ?」
('A`)「ああ、お前らRタイプは一時間だっけか?」
(´・ω・`)「そうだね」
Fタイプとは、実技戦闘機の中でも航空機型のものを表すもので、
Rタイプは逆に人型機を表すものだ。
入学から一年の夏までに生徒の振り分けが行われ、最終的には一定の割合で収まる。
つまりドクオやジョルジュはFタイプ、ショボンはRタイプに振り分けられた、という訳だ。
当然ながら操縦の仕方、難易度も違っている。
Fタイプが一なら、Rタイプは三の難易度がある、と一般に言われているのだ。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:24:14.00 ID:LZysZ+KH0
- ('A`)「お前も大変だねぇ」
(´・ω・`)「いやいや、慣れたもんだよ」
('A`)「そうかい」
基本的にRタイプは、Fタイプに比べ実力の伸びが遅い。
そして高学年になるに従い、その差は縮まっていくものである。
だが低学年の間は、ショボンの様に平均以下の実力しか擁さない生徒には、辛い期間となる。
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:24:35.43 ID:LZysZ+KH0
- (´・ω・`)「……ところで、ジョルジュ君は企業特別枠に選ばれたんだよね?」
('A`)「ん? ああ、そうだ」
(´・ω・`)「そっか」
('A`)「俺もいいとこまでいったと思ったんだがなぁ」
(´・ω・`)「すごいね、皆」
('A`)「……」
(´・ω・`)「僕なんかじゃ、手も届かないよ」
ドクオは立ち上がり、ショボンの肩に手を乗せる。
('A`)「まぁ、そんな気にすんなよ」
(´・ω・`)「……」
休憩室から退出していくドクオを、ショボンは無言で見送った。
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:26:48.11 ID:LZysZ+KH0
- ――通路――
決められた時間の訓練を終了し、晴れて自由の身となったジョルジュ。
上機嫌になった彼は、VIP学園を案内してやるよ、とツンに言い、学園内を歩き回っていた。
( ゚∀゚)(ったくてめーは邪魔なだけだな、ツン)
ξ゚听)ξ「あら? 演習では全力でサポートさせてもらうつもりだけど?」
( ゚∀゚)(だからって生活をアンサポートされちゃ敵わんって)
ξ゚听)ξ「ふん。どうせあたしは空気読めませんよー」
( ゚∀゚)(あれ? 怒った?)
ξ#゚听)ξ「怒ってない!」
( ゚∀゚)(かわいー)
ξ#゚听)ξ「むきー!」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:28:06.63 ID:LZysZ+KH0
- 擬似的に暴れまわるツンを無視し、ジョルジュは歩く。
広大な敷地を有する学園内は、一周するだけでも丸一日はかかる程だ。
これまで暇を持て余すということは一切なかったことからも、それは窺い知れた。
( ゚∀゚)(で、どこ行くよ?)
ξ゚听)ξ「そうねぇ……」
時間が過ぎ、ツンの機嫌が戻ってきたところでジョルジュは聞いた。
さながら玩具のようだ、と自分のことを勘違いしているジョルジュの脳内に電気ショックを食らわせた彼女は、言う。
ξ゚听)ξ「じゃあ、食堂行きましょ、学食」
(; ゚∀゚)(学食ぅ? なんでよ)
ξ゚听)ξ「だってあたし食事ってみたことないんだもん。
アラマキはいつも研究室に食べ物は持ち込めない、とか言うし」
( ゚∀゚)(そんなもんかね)
ξ゚听)ξ「そうよ、さっさと歩きなさい」
( ゚∀゚)(態度でけぇーな)
ξ#゚听)ξ「うっさい!」
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:30:40.81 ID:LZysZ+KH0
- 通路を進み、やがて見えてきた学食。
まだ夕方にもなっていない時間帯なので、人も疎らだ。
( ゚∀゚)(なんかリクエストあるか?)
ξ゚听)ξ「うーん。あたしが食べるわけでもないし……あ!」
何かを思い出したかのように声を上げたツン。
ξ*゚听)ξ「かれーらいす!!」
( ゚∀゚)(カレーか、よっしゃ)
先程と同じく通信機のカードを取り出し、店員である教育科の生徒に手渡す。
(*゚∀゚)「やーいらっしゃい! 何にしますか?」
( ゚∀゚)「カレーで」
(*゚∀゚)「はいよー! カレーライスいっちょう!!」
「はいよー」
彼女の叫びに呼応し、背後から聞こえる声。
そこで、違和を感じるジョルジュ。
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:33:09.90 ID:LZysZ+KH0
- ξ*゚听)ξ「ワクワク」
( ゚∀゚)「あれ? あんた前からいたっけ?」
(*゚∀゚)「んー? あたしですか!」
違和感の正体は、彼女だ。
基本的にVIP学園の学食の店員というのは変わることがない。
一貫して配属された生徒が担当するものだ。
なのに、目の前の少女には見覚えがない。
カードを読み取り機にかざし、ジョルジュに返した彼女は、言う。
(*゚∀゚)「あたしは明日入学する、一年生のつーです、あひゃ」
( ゚∀゚)「あー、一年生か」
どうりで見覚えがないはずだ。
(*゚∀゚)「正式には明日からなんですけど、ちょっと早めに参加させてもらってるんです」
と、妙に饒舌に言う辺り、何度か同じ疑問を抱えた者に聞かれたようだ。
なんせ、つーと名乗った彼女は、可愛いのだから。
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:35:10.64 ID:LZysZ+KH0
- そこで、よし、とジョルジュは心に決めた。
(; ゚∀゚)「ねー、今度遊びにいかねー?」
ジョルジュ曰くやんわりと誘ったつもりの文句。
(*゚∀゚)「いかねっす!」
それをやんわりと断った彼女は、次の生徒の対応を始めてしまった。
ξ゚听)ξ「あらら、ふられちゃったわねー色男」
(; ゚∀゚)「……」
冷や汗をかきながら、料理が出来上がるのを手近な席に着いて待つ。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:37:11.27 ID:LZysZ+KH0
- ξ゚听)ξ「あんたは女心がわかってない」
(; ゚∀゚)(恐縮です……)
ξ゚听)ξ「まったくもって褒めてないし。
まず忙しいときに話しかけられて良い感情を抱く人がいると思う?」
(; ゚∀゚)(てめぇシミュレーターのとき散々やったろ)
ξ゚听)ξ「記憶障害でも起こしてるんじゃない?
とにかく、恋はゆっくりと進めるものなのよ」
( ゚∀゚)「ゆっくり……ねぇ」
思わず声に出してしまうジョルジュ。
よもや機械に諭されるとは思っておらず、驚いた。
しかし、
ξ゚听)ξ「あ、ちなみに今のはアラマキの受け売りだから」
その言葉で絶句した。
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:40:07.51 ID:LZysZ+KH0
- (; ゚∀゚)(……)
ξ゚听)ξ「ちょっと、何呆けてんのよ、さっきの娘が呼んでるわよ」
(*゚∀゚)「あひゃー」
(; ゚∀゚)「あ、ああ」
あんな老人が。
様々な思いを抱えつつ、つーからカレーを受け取り、席に戻る。
ξ*゚听)ξ「うわーこれがかれーらいすかー」
( ゚∀゚)(ああ、旨そうだろ?)
そんな思いも、カレーを一口食べれば消えた。
学食で旨いものといえば、カレー、ラーメン、うどん、と相場が決まっている。
それはVIP学園でも同じで、芳醇な味わいが食欲を増幅させる。
ξ゚听)ξ「まるでウンコみたいね」
(; ゚∀゚)(ああ、そうだね……)
でも、今日はあんまり食べたくないかな。
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:43:13.39 ID:LZysZ+KH0
- ξ゚听)ξ「でもおいしそうに食べるわねー」
( ゚∀゚)(シミュレーターのあとは格別に旨いんだぜ?)
ξ゚听)ξ「確かに必死だったもんねー、あのときの顔、保存してるわよ?」
突然、ジョルジュの視界が黒に染まり、同時に現れる彼自身の悲痛な顔。
(; ゚∀゚)(てめーマジやめろ)
ξ゚听)ξ「ひょうきん者ね」
(; ゚∀゚)「うぜええええ!!」
(*;゚∀゚)「あひゃ!?」
「「キチガイ……」」
ジョルジュは本日何度目かになる冷たい視線を一身に受けた。
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:47:21.95 ID:LZysZ+KH0
- ――シミュレーター室――
ほぼ全生徒が課題の時間の訓練を終了した時間帯。
夕暮れだ。
(;^ω^)「ふぅ……」
そんな時間でも、課題を終了し、シミュレーター室に篭り自主訓練を繰り返す生徒がいる。
数は多くなく、ブーンもその少数派の一人だ。
(;^ω^)(こんなんじゃ、まだまだだお……)
目標には、程遠い。
ジョルジュと同じく目標に向かって突き進む彼は、ストイックを地で行く性格だ。
普段は朗らか、天然、陽気、などの性格で表されるが、真剣な時間になるとそれは変化する。
あくまで、上を目指すのである。
だが、操縦とは多大な集中力を要するものであり、自らの限界を超えて訓練を行うのは時間の無駄である。
そして、そこにこそブーンの強さの秘密があった。
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:51:38.39 ID:LZysZ+KH0
- ( ^ω^)「もう一回……」
呟き、操縦桿を握るブーン。
開始される訓練は、先程ジョルジュが行っていたのと同じ、残弾がゼロから始まるものだ。
( ^ω^)「――ッ!」
シミュレーター内で再現された空を、舞う。
同学年では卓越した技能を持つブーンの操縦は、上級生にも引けをとらない程だ。
他方向から襲い来る敵機を、一瞬で視認する。
全体を把握した上で、先を見通し、次の行動計画を構築し、イメージ通りに実行する。
言葉にすれば簡単であることだが、彼の技術があって初めて成し遂げられることである。
( ^ω^)「……」
敵が増え続ける。
開始時は一機だった敵機が、今では十機。
先程ジョルジュが失敗したのは、四機。
そしてジョルジュ自身のこれまでの最高記録は、六機。
それを大きく上回る数の敵を、難なくあしらうブーン。
彼とジョルジュの実力差は、大きく開いていた。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:54:33.90 ID:LZysZ+KH0
- 十一機の敵の弾丸とミサイルをも凌ぎきり、十二機目が飛来する。
異変が起きたのは、そのときだ。
(;^ω^)「――ッ!?」
ブーンの視覚が、十二機目を捉えられない。
それどころか、眼前が断続的に白に染まる。
仮想的にブーンの駆る機体は、敵機が放った弾丸の雨に飲み込まれた。
同時に、シミュレート終了の文字が浮かぶ。
( ω )「またかお……」
両手で目を覆いながら、ブーンはそう呟いた。
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/04(日) 23:59:16.39 ID:LZysZ+KH0
- ――寮――
('A`)「ジョルジュー、晩飯食ったー?」
夜。
ドクオが部屋に戻ってきた。
( ‐∀‐)「Zzz」
寮に戻り、カードをいじり、時折ツンと会話をしていたジョルジュ。
だが疲れも溜まっていたせいか、既に眠ってしまっていた。
ξ゚听)ξ「ちょっとジョルジュ、起きなさいよ、ドクオが呼んでるわよ?」
ジョルジュの脳内とリンクしているツンの声も、眠ってしまっていては届かない。
ξ゚听)ξ「もう……」
さすがにこの寝顔を見て電気ショックをする気にはならないな、とツンは思う。
('A`)「まったく、嫁さんも泣いてんぜ?」
と、呟くのはドクオだ。
彼はおもむろにジョルジュの胸に手を伸ばし、ターミナルを引き抜く。
ξ;゚听)ξ「え、ちょ……」
リンクが強制解除された。
擬似的に出現していたツンの体が、眠るジョルジュの脳内から消失する。
- 45 : ◆080mxUe5zE :2009/01/05(月) 00:01:40.45 ID:gbdiKYyM0
- 「ちょっと何すんのこいつ!」
と、怒り狂うツンを知ってか知らずか、ドクオは言う。
('∀`)「へっへーん、これがターミナルねー」
第二格納庫でジョルジュが受けていた説明を真横で聞いていた彼である。
傾けたり、逆さ向けたり、振ったりしていじっている。
('∀`)(こういうのって、男のロマンだよなー)
科学の力ってすげー、の名言の様に、ドクオはときめく。
そして好奇心が溢れ出す。
('A`)「ちょっとくらい、いいよな……?」
と言い、自分の制服に備え付けられたソケットにターミナルを接続する。
リンクする脳内、走る僅かな痛み。
ξ#゚听)ξ「……」
('A`*)「うひょ、女の子!!」
叫び、ツンの華奢な身体に抱きつこうとするが、すり抜けてしまう。
- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:03:19.03 ID:gbdiKYyM0
- ξ#゚听)ξ「 何 し て ん の よ 」
('A`*)「おお、喋った……」
ξ#゚听)ξ「あんないきなり抜かれたら壊れるじゃない!」
('A`*)「あ、そうなんだ、ごめん」
ξ゚听)ξ「まぁ謝るなら許してあげるけど」
('A`*)「ところで……その……」
ξ゚听)ξ「何よ、顔真っ赤よ?」
(*'A`*) ボンッ
ξ゚听)ξ(きっめぇ……)
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:06:07.35 ID:gbdiKYyM0
- ( ‐∀゚)「んあ?」
ξ゚听)ξ「あ、ジョルジュ起きた」
(; ゚∀゚)「何してんのドクオ」
('A`)「なぁ……真剣な話しよう」
(; ゚∀゚)「はぁ?」
机の上に突っ伏すように寝ていたジョルジュの横に並ぶドクオ。
そして、正座をする。
('A`)「ツンを……俺に下さい……」
ξ;゚听)ξ「え……?」
(; ゚∀゚)「は……?」
ドクオが体勢を変えた。
足の甲、膝、両腕、額の全てを地に当てる。
その体勢の名は、土下座。
- 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:08:04.28 ID:gbdiKYyM0
- ('A`)「頼む……」
(; ゚∀゚)「あー、顔上げてくれ」
ξ゚听)ξ「そうよ、そこまですることはないわよ」
('A`)「え、じゃあくれるのか?」
( ゚∀゚)「いや誰もそんなこと言ってねーだろ」
ツンの声を、ジョルジュは聞くことができない。
それによって僅かに食い違う会話だが、本筋は変わらない。
( ゚∀゚)「とにかく返せ」
('A`;)「ちっ……」
と、舌打ちし、ターミナルをジョルジュに渡すドクオ。
( ゚∀゚)「よ……ッ!」
自分の制服にターミナルを接続しなおし、少しの痛みに顔をしかめた。
ξ#゚听)ξ「ドクオ死ね」
(; ゚∀゚)「は?」
ξ゚听)ξ「あ、いやこっちの話よ」
そう言ってはぐらかすツンに疑問を抱くも、しかし追求はしなかった。
- 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:10:21.23 ID:gbdiKYyM0
- ('A`)「で、ジョルジュ晩飯食った?」
( ゚∀゚)「あー」
思い出すのは先程のことだ。
ツンの要望に答え、少し早くに学食に行ったこと。
( ゚∀゚)「わり、もう食った」
('A`)「そっか……じゃあひとりで学食ってのもあれだし、作るかな」
と言って、壁に掛けてあったエプロンを着込み、キッチンへ向かったドクオ。
ξ゚听)ξ「え? 何あいつ、食事作れるの?」
ツンの問いかけに、普通に答えかけるが、思い出した。
脳内で、だ。
( ゚∀゚)(ああ、半分自炊してるようなもんだしな)
ξ゚听)ξ「へー……」
料理をしているドクオを興味津々と見ているツン。
( ゚∀゚)(可愛いとこあんじゃん……)
聞こえてもいいように内心で呟いた言葉。
しかし観察に集中しているのか、ツンの反応は無かった。
- 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:12:15.63 ID:gbdiKYyM0
- ( ゚∀゚)(さ、寝るかな)
二段ベッドの上段に登った。
昨晩はドクオが上だったから、今日はジョルジュが上である。
ξ゚听)ξ「何、もう寝るの?」
( ゚∀゚)(ああ、やることねーしな)
ξ゚听)ξ「制服で寝るの?」
( ゚∀゚)(シャワー室で無水洗浄されてるし、大半の奴は年中制服なんだ。
まぁ、今日は新学期だったから着替えたけどな)
ξ゚听)ξ「ふーん」
と、興味無さ気に言った彼女の視線は、すぐにドクオへと向いた。
彼女の身体が宙に浮いていることなどが気になったが、眠いので頭まで布団に潜った。
ξ゚听)ξ「ちょっと! 見えないじゃない!」
(; ゚∀゚)「ああ!?」
最後に一度叩き起こされ、ターミナルをベッドの隅に起き、眼を閉じた。
- 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:15:20.60 ID:gbdiKYyM0
- ――寮――
時間が過ぎた。
時刻は、早朝と呼ばれる時間になろうとしている。
( ‐Д‐)「ううぅ……」
ξ゚听)ξ「起きなさい、ジョルジュ」
( ‐∀゚)「んあ?」
ξ゚听)ξ「やっと起きたわね」
( ゚∀゚)「なんだ?」
窓を見て、太陽が昇っていないことを確認し、カードを折る。
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:15:41.34 ID:gbdiKYyM0
- ( ゚∀゚)(入学式はこんなに早くねーぞ?)
充分、というより過度、というくらいの時間だ。
それだというのに、ツンには何か目的があるようだ。
ξ゚听)ξ「違うわよ、火狐から譲渡される試作機の話よ」
( ゚∀゚)(……? そんな予定あったか?)
ξ゚听)ξ「今アラマキから伝えられたのよ」
( ゚∀゚)(あー、ね)
通信機能もあったのか。
妙なところで関心したジョルジュは、ベッドから降り、ドクオを起こさないように仕度した。
机の上に置手紙を置き、扉のほうを向く。
ξ゚ー゚)ξ「じゃ、行きましょ?」
そこで待つのは笑顔のツンだった。
( ゚∀゚)(ああ)
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:18:25.61 ID:gbdiKYyM0
- 寮の中は眠る者ばかりで、静まり返っていた。
無音の寮内を寂しく照らす電灯の下を、ツンとジョルジュの二人が歩く。
( ゚∀゚)(どこ行けばいいんだ?)
ξ゚听)ξ「第四格納庫よ、第四演習場で試作機のテスト飛行もするからね」
(; ゚∀゚)(大変だなぁ……)
ξ゚听)ξ「ええ、ちょっとハードなスケジュールになるわね」
(; ゚∀゚)(まったく……あ)
ところで、と脳内で言い、続ける。
( ゚∀゚)(ターミナルの充電とかってしなくても大丈夫なのか?)
ξ゚听)ξ「……」
(; ゚∀゚)(……なんだよ)
ξ゚听)ξ「あんたが昨日先に寝ちゃったから、ドクオ君がやってくれたわ」
(; ゚∀゚)(!?)
ξ゚听)ξ「ホント、ドクオ君は優しいわー」
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:18:41.43 ID:gbdiKYyM0
-
(; ゚∀゚)(ドクオがそんな気の利くことをしたのか?
いや、どうせやましい目的で触れたんだろうが、
それにしてもツンがドクオを君づけでああああ!!)
ξ;゚听)ξ(丸聞こえ……)
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:21:16.31 ID:gbdiKYyM0
- ――第四格納庫――
/ ,' 3「おお、早かったの」
ジョルジュが必死に昨晩のことを想像しているうちに、第四格納庫に着いた。
真っ先に出迎えてくれたのは、乙女心の伝道師、アラマキだ。
背後に山形のビニールシートがあることから、それが試作機かと思われた。
他に、格納庫内にはノットファウンドなどの量産機や、
企業が試作した機体、オーダーメイドで作られた機体などが並ぶ。
(*゚ー゚)「こんな時間に、って思うかも知れないけど、
それも企業特別枠に選ばれたからだから、誇りなさい」
( ゚∀゚)「はい」
少し高圧的な態度をとるしぃ。
どうしたのだろうか、と思考すると、ハインが来ていないことが原因のようだった。
/ ,' 3「ところでジョルジュ君」
( ゚∀゚)「はい?」
アラマキに小声で話かけられた。
一体なんだ、と思う間に、話は続く。
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:23:18.92 ID:gbdiKYyM0
- / ,' 3「その、ツンはどうじゃ?」
( ゚∀゚)「あー、めっちゃ迷惑です」
ξ゚听)ξ ピクッ
/ ,' 3「やっぱりか、すまんの、人格形成がまだ甘くての」
( ゚∀゚)「気にしないで下さい、結構楽しんでる部分もあるので」
ξ#゚听)ξ ビキビキ
それはジョルジュの本心だ。
ターミナルという機械で擬似的に作られた存在とはいえ、対話を楽しんでいる自分がいた。
/ ,' 3「それでもまぁ、ツンは学習していけるからの」
( ゚∀゚)「あ、そういえば若干人間らしくなった気がします」
/ ,' 3「そうかそうか、それは良かった」
ξ*゚听)ξ ポッ
思い返せば、最初に比べて落ち着きが出てきていた。
ドクオに君づけし始めたことなどからも、それは伺えた。
- 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:25:42.60 ID:gbdiKYyM0
- (*゚ー゚)「あのー、そろそろ始めたいのですが……」
/ ,' 3「おお、そうじゃな」
しぃの呼びかけによって、アラマキは説明を始めた。
/ ,' 3「ジョルジュ君とツンに譲渡する実技戦闘機は、これじゃ」
と言うと、ビニールシートのカバーが外され、機体が露になった。
機体色の黄色が特徴的な、後退翼で細身の機体。
形状はhttp_404F、つまりノットファウンドのFタイプのそれに酷似していた。
(* ゚∀゚)「おおー! 感動だぜ!」
/ ,' 3「そうじゃろう! そうじゃろう!」
その光景に心躍るジョルジュとアラマキ。
ξ゚听)ξ「ださ……」
(*゚ー゚)(ださ……)
(; ゚∀゚)「……」
対して、女性陣には不評だったようだ。
- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:28:02.27 ID:gbdiKYyM0
- / ,' 3「"http_405F"、つまりノットファウンドのカスタム機、"ノットファウンドカスタム"じゃ!」
( ゚∀゚)「おお! かっけー!!」
/ ,' 3「そうじゃろう! そうじゃろう!」
ξ゚听)ξ「まんまじゃん」
(*゚ー゚)(そのまま……)
(; ゚∀゚)「……」
/ ,' 3「さぁジョルジュ君! そしてツン! ノットファウンドカスタムに乗り込めー!」
女性陣の声が聞こえない老人、必要以上にノリノリである。
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:30:41.32 ID:gbdiKYyM0
- ( ゚∀゚)「おっしゃあ!」
言われるままに乗り込んだジョルジュ。
コックピットには見慣れた計器の他に、制服に付いているソケットと同型のものが付随していた。
( ゚∀゚)「このソケットにターミナルを差し込むんですか?」
/ ,' 3「おお、そうじゃ」
ξ゚听)ξ「やっとあたしの出番ね」
自分とターミナルとのリンクが解除されたのを確認したジョルジュは、ソケットからターミナルを外す。
そのまま、計器類の左に付随する、クリアカバーに包まれたソケットに差し込んだ。
異変が起こったのはそのときだ。
ξ*゚听)ξ「ああーんっ! ダメぇええええ!!」
ツンが突然、叫び声をあげた。
それはコックピット内から擬似的な声として再生される。
- 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:32:21.78 ID:gbdiKYyM0
- ( ゚∀゚)「え?」
(*゚ー゚)「は?」
ξ;゚听)ξ「あれぇ?」
/ ,' 3「ふぉふぉっふぉ! 実にいいもんじゃのう!」
ツンの眼下では、老人が手を叩いて喜んでいた。
プログラムに組み込んどいてよかった! と喚き散らす老人に向けられる殺意が、二つ。
ξ# )ξ「しぃさん、恥を承知でお願いするわ……」
(#゚ー゚)「今なら、ツンの言ってることがわかる気がする……」
/ ;,' 3「!?」
――――――――――――――――――――――――――
――寮――
「ぎゃああああ!」
('A`;)「なんだなんだ!?」
老人の絶叫は、遠く離れたドクオの耳まで届いたようだ。
- 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:34:18.16 ID:gbdiKYyM0
- ――第四格納庫――
場所は戻り、格納庫。
意識が朦朧としているアラマキにツンのプログラムを修正させ、テストが再開された。
再度ターミナルをソケットに差し込むと、根元のアームが動いた。
倒れた状態だったソケットは、直立になる。
ξ゚听)ξ「ふぅ」
コックピット内の三次元投影機によって、ツンがジョルジュの視覚に映った。
( ゚∀゚)「はー、すげーすげー」
(*゚ー゚)(ホントに女の子だ……)
ξ゚听)ξ「脳とのリンク、行くわよ?」
( ゚∀゚)「あいよ」
了解の返事をすると、少しの痛みが走った。
しかしそれも慣れたもので、すぐに制服のズボンに耐G装置を接続し、計器類のチェックを始めようとした。
そのとき、
ξ゚听)ξ「いいわよ、チェックはあたしがやるし」
とツンが言った。
( ゚∀゚)「そうなの? わりーな」
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:36:10.11 ID:gbdiKYyM0
- (*゚ー゚)『それじゃ、テストを開始するわよ』
( ゚∀゚)「了解」
(*゚ー゚)『その前に、機体の電源を入れて?』
(; ゚∀゚)「あ、忘れてた」
すっかり失念していた。
シミュレーターでは電源は入りっぱなしだったし、実機との違いはそこにもあった。
計器類の下部にある円形のスイッチに指を当て、押す。
しかし、起動しない。
(; ゚∀゚)「あれ?」
(*゚ー゚)『どうかした?』
(; ゚∀゚)「電源入んねーっす」
(;゚ー゚)『えー……』
- 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:36:27.32 ID:gbdiKYyM0
- ξ゚听)ξ「ちょっと、もっと奥に押し込むのよ」
(; ゚∀゚)「こうか?」
人差し指の第二間接まで押し込んだところで、カチッ、という音と手応えを感じた。
だが、起動しない。
(; ゚∀゚)「ありゃ?」
ξ゚听)ξ「まぁ、今はあたしが管理してるから意味無いけど」
( ゚∀゚)「……」
ツンが素っ気無く言い放ったあと、機体が起動した。
- 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:38:29.29 ID:gbdiKYyM0
- (*゚ー゚)『それじゃ、準備オッケーかな?』
格納庫の巨大な扉が開かれる。
しぃの確認に、答える。
( ゚∀゚)「完璧っす」
ξ゚听)ξ「うん。いつでもいけるわ」
(*゚ー゚)『それでは、テスト開始!』
声と同時に、スロットルを開いた。
( ゚∀゚)「――ッ!」
加速。
適正試験のときを上回る速度で、滑走路を疾走する機体。
ξ゚听)ξ「エンジン出力106%を突破」
ツンの言葉を耳に入れ、ジョルジュは操縦桿を引く。
( ゚∀゚)「!!」
通常のノットファウンドとは、明らかに違っていた。
ツンのサポートのお陰であろうか、操縦桿がとても軽く感じられる。
エンジンの出力も上昇しており、速度も上回っている。
- 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:38:45.21 ID:gbdiKYyM0
- ξ゚听)ξ「まぁあんなアラマキだけど、技術だけはあるからね」
( ゚∀゚)「はー……」
ツンが褒めるだけのことはある、と思った。
- 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:41:15.95 ID:gbdiKYyM0
- ξ゚听)ξ「でも、真髄はこっからよ」
( ゚∀゚)「え?」
ξ゚听)ξ「あたしの力、見せてあげる」
と、ツンが言うと同時。
ターミナルと機体を繋いでいたソケットが、クリアカバー越しに淡く発光した。
(; ゚∀゚)「なんだなんだ?」
速度980Fkm/h、高度2000Fm以上の上空の機内で起こった異変に、戸惑うジョルジュ。
ξ゚听)ξ「リンクLv.2に移行」
言葉と共に、ソケットの発光が一層強くなった。
ジョルジュの頭に、強烈な痛みが走る。
(; ‐∀゚)「つっ……」
ξ゚听)ξ「ほら、前見なさいよ」
痛みで思わず閉じてしまった眼を、開いた。
流れる景色が遅く見える、機体周辺の状況が手に取るようにわかる。
ξ゚听)ξ「あんたの脳の能力と、あたしの計算力、観測力がプラスされた状態。
それが、今。簡単に言えば"シンクロ"ってとこかな」
(; ゚∀゚)「すっげぇ……」
- 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:43:24.20 ID:gbdiKYyM0
- 余りの変化に戸惑い、比例するように喜びを感じるジョルジュ。
しかし、強烈な頭痛は治まらない。
(; ‐∀‐)「くそ……」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、ジョルジュ大丈夫!?」
(; ‐∀‐)「ダメ……だ……」
そこで、ジョルジュの意識は途絶えた。
- 88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:45:28.69 ID:gbdiKYyM0
- ξ;゚听)ξ「……リンク……解除」
自分とシンクロしたジョルジュの脳が、オーバーロードした。
ツン自身も、まさか人間の脳にこれ程の負荷がかかるとは思ってもみなかったのだ。
思い返してみれば、先程のシャワー室での出来事もそうだった。
自分の観測力をプラスしていたとはいえ、人間の視覚が物質を透過した。
そんなことは通常では起こり得ないことだ。
ξ゚听)ξ「ジョルジュ……あんたは一体……」
オートパイロットに切り替えられた機体の中。
ツンは誰にも聞こえない声を呟いた。
( ゚∀゚)ジョルジュはξ゚听)ξツンとエースになるようです
【第二話:ただ闇雲に】
――続く。
,
- 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/05(月) 00:48:00.45 ID:gbdiKYyM0
- 今日はここまでです。ありがとうございました。
投下中に気づいたのですが、今回はギャグ回、ということになりそうですね。